葛飾区再生計画案行政編


FATA REGUNT ORBEM ! CERTA STANT OMNIA LEGE

(不確かなことは運命の支配する領域。確かなことは法という人間の技の領域)

―― ローマの格言 ――

 

 

【10、健康・福祉】

 すべてを区が背負いこむと人も金も膨大にふくらむ可能性のある分野である。民間の知恵と活力を有機的に活用し区はそれらを上手にコーディネイトあるいは情報の提供基地の役割を担えばよかろう。基本的に個別給付は廃止する。また自分で為し得る層に支援する必要はない。所得による制限は設ける。ただし機械的な制限ではなく実態に応じた弾力的な運用を心掛ける。

 しかし、山口二郎氏も言うように(『政治改革』岩波新書、1995)、僥倖やコネでしか福祉の恩恵を享受できない国は福祉国家とはいえない。市民生活を支える基盤の不足(籤に当たるやら長時間順番待ちしなければ恩恵にありつけない)が役人の裁量を生み、それが政治の腐敗を生むとすれば、生活に必要な基盤については大幅に増やすか、提供される基準を役人に裁量を差し挟ませないまでにルール化することである。基本的には徹底的な情報公開である。

 基礎的自治体の新たな役割としての生活に密着した全ての相談事の第一次窓口として「オール相談総合施設」を開設する。(cf.0331)

★「お金があっても、同居する子供に気兼ねして自分のことには使いづらいんです」「自宅で暮らし続けたいという願いは同じだ。すべての区民の思いにこたえなくては」と所得の制限をなくすことにしました。・・・は『江戸川区長一代記』(読売新聞[6/30])の一節です。区の施策というのは「所得に関係なく無条件」が原則ではないでしょうか。所得が高いということはすなわち高い税金を負担していることです。高負担でありながら施策の恩恵を受けられないというのはおかしいのではないでしょうか。

⇒もっともな意見であると思う。しかし税金には「富の再配分」という機能も持たせるべきで、富める者が益々富むという社会は好ましいとは思えない。区の助成というのは「よりよい生活への援助」であるが、その程度のレベルの生活ならば自らの力で既に達成している層もある。しかし、所得の低い層の場合「よりよい生活」のための道のりは「同居する子供に気兼ね」のレベルではすまないのである。区民が区民として一定水準以上の生活を送るための助成は、財源の限られる状況にあっては先ず量的拡大を優先すべきで、その後、所得制限のハードルを低くしてゆくべきと考える。

1001、近隣自治体および友好自治体と共同での特別養護老人ホーム建設・運営

松戸、流山、三郷、八潮、吉川、松伏、野田、越谷、草加の葛飾より1時間以内に行ける自治体および災害協定等のある友好自治体との間で共同の特別養護老人ホームの建設。

建設主体は民間でそれぞれの自治体が後援(補助)する形態が望ましい。
(逆に設置主体は自治体で、運営を民間が行う選択肢もある。)

当該施設までの道路整備支援、周辺整備支援

設置自治体の町づくりに添って商店街の集合化、温泉などの保養施設、劇場等を周辺に配し高齢者の孤立した状況をなくする。面会する家族も楽しめる場にして面会に訪れる頻度が密にするような施設配置にする。「特別養護老人ホーム」を中核に据えた「新しい町」をいくつかの自治体が共同で作ることである。「福祉リゾート」構想。

*都市部の住宅事情においては在宅介護よりも施設介護に重点を移さざるを得まいが、施設に入れればおしまいという風潮は厳に排さなければならない。(面会回数によって利用者家族の負担額に差をつける等の制度導入。)(cf.1014松五郎の玉手箱「5」
 

1002、低所得者層の葬祭施設

社会保障の観点からの葬送を考える。区民葬祭施設の検討

残される者への負担を心配することなく、人々が安心して死ねる装置を作ることである。

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<参考記事>                         00.11.1 産経新聞 正論

介護の次は葬儀、墓の問題が…

 公益法人のあり方再検討すべき時   舛添要一

 準備万端進めてたが…

 9月26日に母が他界したので、東京から九州に通って続けてきた介護も5年で終わった。介護の次は、葬儀であり、お墓の心配である。介護で疲れ切った身に、この課題は重い。しかも、葬儀にしろ、墓にしろ、介護と同じくらいに様々な問題と矛盾を抱えている。だから、それが面倒で、最近では散骨だの自由葬などがはやっている。

 私の場合、2年前に母の病状が悪化したとき、最悪の事態に備えねばと考えて、葬儀の準備を始めたのである。また、お寺やお基についても、少しずつ方針を固めていった。

 父は、1963年に死去したが、その際には、隣近所が協力してくれて、質素ながら心温まる葬式を執り行うことができた。住職も飾るところのない、徳の高い人だったので、その唱えるお経は、本当に心がこもっていた。40年前には、まだ近隣の相互扶助、魂の救済としての葬式は存在していたのである。

 ところが、1960年代以降、工業化と都市化が進み、伝統的な村落共同体が崩壊し、核家族化が進展した。そのため、家を単位とする葬儀や檀那寺や墓は成り立たなくなっていった。その傾向は、少子化の進む今日、ますます顕著になっている。

 両親が浄土に旅立ったとしても、息子としては、供養し続けたいし、また彼らが健在だったころを偲びたい。そのためにも、足繁く墓参もできるように、私は、檀那寺と墓を東京に移すことに決めた。今年の春に、その計画を実行に移したが、都心では地価(墓地の場合は使用権)が高すぎて手が出ない。そこで、妻の実家のある湯河原の禅寺にしたのである。これからは墓地不足が都会の問題となろうし、合祀廟の類が増えていくであろう。

 やはり持ち上がった騒動

 こうして、母の遺骨を納める場所は、すでに数ヵ月前に確保していたのである。この檀那寺変更・墓の移転と新設に、平均的サラリーマンの年収に相当する金がかかったが、これは私の自己満足の代償でもある。

 息を引き取るときには、医者の世話になる。死亡診断書がないと、火葬や埋葬の許可が出ないからである。死後のことは僧侶が面倒を見る。その生から死への橋渡しをするのが、葬儀屋である。母の葬儀は、北九州市の自宅で家族による密葬で行うことに決めて、その準備は、一年半前から整えておいた。そのおかげで、万事順調に密葬は終了した。お経は、私自らがあげ、荼毘に付した後、遺骨を東京に持ち帰り、翌日には、湯河原のお寺に預けに行った。

 それからが、また一騒動である。檀那寺における告別式を10月2日と取り決めたが、こちらは事前には決めていなかった。四九日が済んでから故人を偲ぶ会を催そうと考えていたからである。しかし、それでは間延びがするし、母の死を知らせないのも関係者に申し訳ない。そこで、急遽方針を変更し、初七日の日を告別式と決めたのである。

 北九州市での葬儀と違って、こちらは急ごしらえで、まさにてんやわんやである。このように、多くの人は、肉親の死に直面して動転している中で、葬儀の準備をせねばならなくなる。それだけに、葬儀屋や僧侶の姿勢次第で、遺族は怒り心頭に発したり、逆に心が洗われる思いをしたりするのである。

 「価格」に必要な透明性

 村落共同体が葬式に責任を持っていた時代には、葬儀屋は、いわばそれを支援する下働きで、男の力仕事であった。したがって恩恵的に志を頂戴して、労働の対価としていた。しかし、今は葬儀屋は遺族の相談にのり、葬式一切を取り仕切るコンサルタント・サービス業である。たとえば、女性の遺体は女性従業員が死装束を準えるくらいの配慮が必要である。葬儀費用も事前に公表して透明性を高めなくてはならない。

 10月20日の国税庁の発表によれば、葬儀屋は脱税ワースト5位にランクされており、一人当たり申告漏れ額が1,120万円にも上っている。葬儀屋が人々から尊敬される職業になるためには、このような点を改善せねばなるまい。

 事情は、お寺や僧侶についても同様である。葬式などでのお坊さんの仕事は、サービス業として位置づけ、心の救済とは別立てにしたはうがよい。宗教法人として税制はじめ様々な優遇措置を与えられているから、「葬式仏教」だの「坊主丸儲け」だの悪口を言われても、反論もできずにびくびくしている。

 僧侶とて霞を食って生きているわけではない。生活の糧を保証すべきで、それはお布施という形ではなく、正当なサービス事業への対価として支払われるべきである。したがって、価格が公表され、透明性が確保されたほうがよい。寺の経理も営利法人と同様な合理性が求められる時代なのであり、それを怠れば、散骨が増えて、長期的には寺の存続そのものが危うくなろう。伝統的な葬儀や寺を守るためにこそ、公益法人のあり方を抜本的に再検討すべき秋(とき)が来ているように思う。                  (ますぞえ よういち)
 

1003、一人暮らし者との葬儀執行および祭祀契約

少子高齢化時代に突入した今日、自分が入る墓を承継してくれる人も期待する人もいないという人々が少なからず存在する。こうした人々の葬式とお墓のケアーを生前に区と契約する制度である。区民霊園(公園墓地、共同墓地)の建設

民間業者と生前に葬式やお墓についての「生前契約」を締結している場合の当該契約の実行の保障および監視機関の設立。(cf.1029)NPOの支援か独自事業か検討事項。
 

1004、保養施設一括借り上げの中止

区民の保養目的の施策を継続するにしても一括借り上げ方式は廃止する。場所も現行の5施設に限定することなく、申請者の希望する施設の利用料金の何%、あるいは上限○○円までの助成金支給方式とする。個人の助成申請方式にして所得制限を加える。(cf.1018
 

1005、子育て支援計画の再検討  (cf.0810

まず基本的認識として「子育て」は単に個人的なことではなく社会的な価値を認めることから出発する。→「子育て」支援の諸策は恩恵的なものと考えられてはならない。「子育て」を社会的役割の一つとして「大きな顔のできる」地域社会を構築する。
(cf.M's net〜Working Mother<働く母さん>応援ネット〜)

「健康・福祉」のジャンルのみならず「産業」のジャンルで捉えるべきテーマである。

策定委員に現在「子育て中の母親」を選任。(観念的な支援計画ではなく具体的要望)

幼保一元化を推進すべきか?保育は教育施設か託児施設か?

保育園、学童保育施設(学校の開放時間の変更で対処可能。cf.1303)などの待機者を出さない。(受益者負担)

区立幼稚園を定員割れでも存続させるべきか。定員割れを防ぐ方策を講じるべきか。廃園とし、ニーズの高い保育園に移行すべきか。学齢前教育についてきちんとした議論が必要であろう。(プラン0115、区長と「議論する会」のテーマ)

少子高齢化時代の労働力の担い手としての女性に対する労働環境の整備の側面

 ならば企業の社会的貢献も求めるべきである。

◆ 00.12.20 ネットで子育て支援 世田谷区が24時間サービス

 24時間、ネットで子育て支援します―。世田谷区はこのほど、区内の公・私立保育園と無認可の保育室などの情報を網羅した「保育情報ホームページ」を開設。空き情報や緊急・一時保育などの案内を始めた。

 ホームページでは、入園に関する基本的な案内のほか、施設の住所や定員、子育てに関する相談案内などを提供。外国人在住者に配慮して、基本的な事項は英語でも案内している。また、23区では初の試みとして、毎月の入園申込締切日などを通知する「お知らせ」のページも開設。空き情報などは変更があり次第更新し、きめ細やかな情報提供を目指す。

 区保育課では、「現在、受け付けている来年4月の入園申し込みに役立ててもらいたい。保育園でのイベント情報も掲載するので、利用者以外の地域の人にも見てもらいたい」と話している。
 ホームページには世田谷区のサイト(www.city.setagaya.tokyo.jp/)からリンクする。

◆ 01.01.03 空き教室を保育園に   墨田区の小学校

 小学校の空き教室を有効活用しようと、墨田区本所の区立外手小学校に4日、光の園保育学校外手分園がオープンした。入園待機児童の解消に小学校の空き教室を使う試みは都内初。保育園入園を希望しながら受け入れ先がみつからない入園待機児童は、昨年12月1日現在、同区で253人。こうした状況を解消するため、昨年7月から同小学校の空き教室の改修工事を開始、11月に入園児を募集し、0歳児8人の入園が決まった。

◆ 01.01.12 ゼロ歳児も保育園に    葛飾区が編入予約制度

 働きながら子育てをしている女性たちをサポートしようと、葛飾区は15日から、育児休業中の女性が、ゼロ歳児の子供を年度途中からでも保育園に編入できるようにする予約制度を始める。予約制度が始まるのは、区内の42ヵ所の保育園のうち13ヵ所。1ヵ所につき3人の定員を増やして、計39人のゼロ歳児の入園予約を受け付ける。

 出産を終えた女性は出産月から一年間の育児休業に入ることが通例。しかし、保育園の入園は新年度の4月からのため、育児休業の終了月が4月と重ならなければ、子育て中の女性らは育児休業を早めに切り上げて、子供を保育園に入園させていたのが実情だった。

 新たな保育園入園予約制度では、女性たちが育児休業を一年間にわたって取得できるようにあらかじめ子供の入園を予約し、育児休業終了時点で、子供が編入できる制度となっている。区保育課では「育児休業を短縮せずに、入園が可能になり女性たちが安心できるはず」と話している。(産経新聞)

◆ 01.01.17 大森に駅前保育所、23区初来春オープン

 働くお父さんやお母さんたちが出勤前に子供を預けられるようにと、大田区のJR大森駅前に平成14年4月、23区内では初となる駅前保育所がオープンする。

 保育所の施設は3階建ての予定で、定員は40人。0歳児から保育を受け付ける。JR東日本が所有する土地を、社会福祉法人の島田福祉会が借り受けて運営することになっている。JR東日本管内では初の認可保育所となる。また、区が行う「少子化対策臨時特例交付金事業」の対象として、土地の賃借経費以外は100%を区が補助するという。保育時間は、午前7時15分から午後8時15分まで。駅前にあるため、出勤前に子供を預けて、帰宅前に子供を引き取るのに便利な施設となる。ほかに休日保育や障害児保育も行う。(産経新聞)

<参考記事・投書> 育児疲れの母凝いやす場を

伍田つくみ 50 (主婦)  (長崎市)

 幼児虐待が続いている。個人主義が浸透し、周りに目を向けなくても生きていける時代にたった。会社に出てもあいさつなしで不便を感じないし、一日中、会話がなくても生活できるという。自分の意のままになるのが当たり前と錯覚したまま大人になり、親になる。初めて知る人との触れ合いの難しさに恐怖心を抱くのも無理はない。

 少子化が進む中で授かった尊い命を、社会全体ではぐくむ時代と思う。周囲の子育て経験者がさりげなく支援の声掛けをしたり、乳幼児の一時預かり所を至るところに開設するなど、母親の心をいやす場所が必要だと思う。国の礎を担う子育てが充実してこその国家繁栄だと思う。行政の十分な支援を望みたい。私の子育てに勇気をくれた言葉がある。平成百人一首に選ばれた24歳の知的障害者が詠んだ一首である。

おかあさん 産んでくれてありがとう 今度はぼくが たすけてあげる
 

1006、ホームレス自立支援対策

300人収容の「かつしか寮」建設……自助努力が基本

*これと併行して公有地の期限付き貸与等の民間組織(NPO)の居住支援のサポートをする。 (cf.英サッチャー政権下の住宅困窮者への住居保障政策)

★何故、自治体の一つの葛飾区が取り上げるテーマなのでしょうか。(99.12.3)

⇒情けは人のためならず。因果応報、善因善果、積善の区に余慶あり。――というより以下に掲げるように当たり前の区民として迎え、区の経済活性の一助を担ってもらうものである。基本的に我々は人間の尊厳を妨げる現象を座視してはならないのである。(99.12.9)

区営産業廃棄物処理事業、区営リサイクル事業に就労

寮に「職業訓練施設」を併設し「修理技術者」の育成を図る

疾病のため就労不可の場合は健康体にして社会に戻す

上記に係る費用は区営事業の中で賄う

入寮時に所在していた自治体および都から補助金を頂く

 上野や新宿を歩くと段ボールに青いシートの小屋に寝ているいわゆるホームレスの人々を見かけます。皆さんはこの人達を見て心が痛みませんか。その一人ひとりは日本の今日の発展に何等かの寄与をしてきたに違いありません。(私自身、大学休学中に大阪の釜ヶ崎に寝起きし大坂城公園を作る土方として働き、夜や雨の日は仕事仲間と酒を酌み交わし、東京でもビルの建設現場で針金をまき、夜は上野の山谷で仕事仲間と酒を酌み交わしたこともあります。)社会への対応の仕方が上手でないところがあったのでありましょうが、私はこれらを見るにつけ聞くにつけ心が痛みます。

 現在3000名近くが都心部にいるといいますがこれら全てを葛飾区でフォローすることはできませんが、先ず10%程度葛飾区が自立支援の先鞭をつければ後に続く自治体が現れて来るでありましょう。現れなければ私自身先頭にたって面識のある首長を説得に回ります。これらの自治体と連携して一人でも多くの方々に「ホームレス」から脱してもらいたいと考えます。

 しかし、この事業は上記にあるように自助努力が基本である自立のための支援事業です。従って、当人の性別、年齢、能力、健康状態に応じて区営事業に就労してもらうことになります。

★リストラされる人すべてが駄目な人という訳ではない。真面目でコツコツやる人がリストラされ、上司に媚びる人が優遇されることもしばしばある。百歩譲って、駄目な人でも、職場や環境が変われば立派に仕事をする人もいる。 (99.6.15)

「生活保護」制限でホームレス急増   運用、違法な例も 安全ネット整備を

 全国の主要都市の8割で、生活保護制度の趣旨に反する適用制限が行われ、ホームレスの人々が急増する一因になっている。                        (科学部 原 昌平)

 路上やテントの暮らしを、憲法25条にいう「健康で文化的な最低限度の生活」、つまり人間らしい生活とする人はいないだろう。どんなに貧しくなっても、そうならないよう生活保護法があるはずなのに、失業や倒産などで生活に困り、やむなく屋外で暮らす人々は全国で30,000人と推定される。

 主要79市と東京都を対象に読売新聞社がこのほど行った調査で、ホームレス増加の背景にある生活保護の違法な運用が、2種類浮かび上がった。一つは、働く能力があるとして失業による生活困窮者を門前払いするやり方だ。厚生省保護課は「求職に真剣に努力しても、現実に仕事がなければ保護の対象になりうる」という。ところが、65歳ないし60歳以上の高齢者か、病気や障膏で就労できない人に事実上、保護の適用を限定している都市が28にのぼった。求人の多い時代なら「探せば仕事があるはず」という論理も成り立つ。しかし、日雇いを含めて雇用情勢が極端に厳しく、失業対策事業も消えた今、生活保護で転落を予防しないと、収入の途絶えた人々が家賃を払えず、路上生活や自殺に追い込まれるのは自明ではなかろうか。二つ目は、住まいがないことを理由にした排除だ。80都市のうち、住居のない人の保護を入院時に限定する自治体が42、就労不能の場合に限定する自治体も24あった。家に住み、少し収入のある人は保護しても、もっと困窮して住む所まで失った人は、体を壊して救急車で運ばれるまでダメ、という奇妙さ。しかも病院からの退院時に住まいがない場合、制度上はアパートの敷金を支給できるのに、10市は「しない」と答えた。結果的に、病みあがりで路上に戻している。

 排除の理由を、自治体側は「入れる施設がない」「住所不定では保護の要否調査がしにくい」と説明する。しかし、今問われているのは、路上のままの保護費支給ではなく、居住の確保を含めた最低生活の保障だ。厚生省は「住居がない人も保護の適用基準は一般と同じ。施設がなければ、民間住宅や公営住宅も活用すべきだ」とする。鹿児島、浜松、藤沢など10市は、敷金を出して路上から直接、アパートに保護している。広島市は旅館の一室を借りて仮住居に使っている。

 違法運用が慣例化した背景には、@厚生省が80年代から不正受給防止を目的に厳密な監査で適用を締め付けたA自治体が財政負担などの増大を恐れるBケースワーカーに法を深く理解した福祉専門職が少ないC当事者側に不服申し立ての知識、資力が乏しい―などがある。

 生活保護の現状には、国会議員からも「使いにくい」との声が出ている。「事業に失敗すれば路上」では起業家も育ちにくい。これまで事実上、黙認してきた厚生省も「漏れの多さ」を問題視するようになった。

 ホームレス問題の解決には、まず生活保護の運用を法律通りに改め、住居の確保を含め最低限の安全ネットをきっちり張ることが急務だ。ただし、それがベストではない。働ける人は仕事をする方が、本人にも社会にも良いに決まっている。しかし、自立支援センターを通じた再就職は、容易ではないのが現実だ。以前の失業対策事業は固定的なものになりがちだったが、その反省も踏まえた形での大規模な公的雇用も検討する必要があろう。                       (01.01.09 読売新聞)
 

1007、区民メディカルセンター(救急医療施設の集中) (cf.0301

区医療・区福祉の拠点化。行政の福祉部、医療の保険所の中枢を置く。区役所移転後に赤十字産院もあわせて24時間オープンの区民病院開設。(複数の専門開業医の「病院長屋」化も検討)

心身障害者機能回復訓練施設、福祉人材養成施設、要介護養護ホーム、ホームヘルパー基地、福祉情報提供施設

救急病院の充実=1次・2次・3次と分かれている救急医療施設の集中化⇒たらい回しを防ぐ (cf.松五郎のつぶやき「10」

(区役所の移転迄には時間を要するであろうから、先ず区内のいずれかに作る。複数箇所あってもいいと思う。(cf.1012))

★老人の憩いの場としての病院もいいが、緊急時に役立ってこそ病院の存在意義がある。

<参考記事>『総合病院』たった一つに"高齢区"台東〜強まる中核医療機関整備の声

 23区で最も高齢化が進んでいる台東区内の総合病院が、老朽化などによる移転、立て替えで来年早々一つだけになる。台東区は23区内で唯一、大規模災害時の都の医療拠点となる「災害時後方医療施設」指定病院がないなど、地域医療整備の遅れが目立つ。多くの区民からは、早急な中核医療機関の整備を切望する声が上がっている。

 現在、台東区内の総合病院は、下谷病院(根岸)と永寿総合病院の二つ。しかし、下谷病院は来年3月までに江戸川区へ移転するため、来年はじめには台東区内の総合病院は、元浅草から東上野に移転する永寿総合病院だけになる。台東区は人口約156,000人で、65歳以上の区民が22%を占める"高齢区"にもかかわらず、病院数が少ない。都などの調査では、台東区の病院のベッド1床当たり人口は147人。中央区の43人、文京区の33人と比べて約4倍と高く、23区平均の107人も上回っている状態。こうした状況を打開するには、病院新設などが有効。だが、台東区は大学病院などが多い千代田、中央、港、文京の4区とともに「二次保健医療圏」に組み込まれているため、区内での新病院開設ができなかったり、ベッド数を増やせないなどの制約を受け、地域医療整備が進めにくい状況にある。

 このため台東区は、江戸川区に移転する下谷病院が持っていた201床のベッド数を、永寿総合病院に上乗せできるように都と調整。その結果、東上野へ移転後はベッド数400床、内科、小児科、産婦人科など17診療科を備えた地域の中核医療機関になる予定。

 区は、永寿総合病院の移転先になる旧西町小学校跡の区有地を年額9,000万円で貸与し、権利金は全額免除する方針。また、建設費や医務設備費についても、約25億円補助金を交付するなど、病院運営を積極的に支援する構えだ。区は、急速な高齢化や介護保険制度の実施などを背景に「地域医療の基盤整備には、民間医療機関と行政が互いに役割分担を明確にし、協力体制をつくることが重要」(保健福祉部)と強調する。だが、区民からは「台東区は高齢者が多く、施設の整った病院がもっと必要」との声も。医療施設充実が、引き続き台東区の重要な政策課題になることは確実だ。
 

1008、障害者の雇用促進および「親なきあと」対策の確立

障害のレベルに応じた働く施設の建設、民間への就職斡旋、民間の福祉作業所の支援、

精神障害者の家族支援、「親なきあと」対策の確立

【行政実例〜幸手市】 (01年3月5日読売新聞)

障害者の仕事応援 幸手市が専門指導員採用 就職から離職予防まで

 働きたくても就職先が見つからない障害者の職場の開拓や、就職後も雇用主との間に立って手助けする「障害者職場指導員」を、幸手市が新年度から採用する。障害者の就職の支援、就職後の離職予防までを体系的に行う専門員を配置するのは、県内では珍しいという。障害者職場指導員は市の特別職の非常勤職員とし、障害者が働きやすい職場を探し出し、就職後も離職の予防のために雇用主や職場の同僚との間に立って相談に乗り、調整を行う。アメリカでは、「ジョブコーチ」という名称で広く知られている。

 同市によると、これまでは障害者が就職を希望しても、自治体はハローワークを紹介する程度で、専門の担当者もいなかったという。また、同市が1998年秋、市内の障害者と健常者約2,900人を対象に、障害者の就労実態や理解について調査を実施したところ、就労率は身体障害者で30%、知的障害者は15%でしかなかった。このため、同市では知的障害者職親委託事業を実施するなどしてきたが、新年度からは専門の担当者を置いて、さらに障害者の就労支援を充実させることにした。障害者職場指導員の資格については、特に法律などでの定めはなく、同市では、障害者への理解があり、就労支援に熱意を持った人を新年度は1人採用した――としている。
 

1009、乳幼児医療費は診療科目を問わず、10歳未満まで無料化。所得制限あり。

先ず、量的拡大を図る。(最終的には義務教育年齢終了までを対象とする)

日本人の父親、外国籍人の母親(あるいはその逆)で、日本国籍を有しない子供については日本人と看做す。

両親ともに外国籍の不法滞在者である場合の子供については検討

([案]診療時は区が一時立替え、国あるいは本国政府に請求する。) (cf.1028
 

1010、元気印の一人暮らし高齢者対策

若年障害者について検討。

気の合った者同志のグループホームの支援。

生きる生き甲斐ともいうべき仕事を持ってもらう。一人暮らしに限らないが働ける意欲と体の健康さがある場合は就労してもらうための機会を提供できるよう支援する。(cf.0408

<行政実例 東久留米市> お年寄りの住まいに安心を

 バリアフリー+緊急通報体制 「5年で11万戸」目指す……政府

都内に初「優良賃貸住宅」

 国や地方自治体が建設費を補助した民間マンション「高齢者向け優良賃貸住宅」が、このほど東京都内で初めて完成した。お年寄りが暮らしやすいように設計されており、家賃の一部も補助されるため、入居希望も多い。国では今後5年間に、この優良賃貸住宅を全国で11万戸まで増やしていく方針だ。

 都内に完成した高齢者向け優良賃貸住宅は、東久留米市の「こもれび滝山」。3階建て22戸で、4月から入居開始の予定。同時期に練馬区、日野市でもオープンする。

 優良住宅の条件は、段差のない床、手すりの設置などのバリアフリー化と、病気などいざという時にナースコールでスタッフが駆け付ける緊急時対応サービスがあること。こうした条件を満たすと、高齢者向け設備などの部分で最大3分の2まで国と地方自治体が補助する。また入居の条件は、年齢が60歳以上であること。入居時に身の回りのことが自分でできること。所得制限もある。家賃についても本人の収入に応じて国と地方自治体から補助金が出る。

 「こもれび滝山」の場合、総事業費約3億円のうち補助金は6,700万円で、国と都が半分ずつ負担。家賃は1DK約36平方メートルのタイプで月76,400円。収入が少ない場合、最大25,600円の家賃補助が出るため、家賃負担は50,800円だが、共益費10,200円、基礎サービス費9,100円も必要で、月額費用は計70,100円となる。共益費は、サークル活動室など共有部分の光熱水道費。基礎サービス費は、緊急通報サービスと生活・健康相談などのサービスの費用。必要なら地域の家事凄助、介護サービスなどもあっせんするが、この場合は介護保険を利用することとなり、その1割負担は自費となる。おおむね年収640万円未満が入居の条件。痴呆や寝たきりで一人暮らしが無理になった時は、「立ち退きを迫ることはないが、別のふさわしい施設に移ってもらうことも含めて、本人や市と協議をする」としている。

 22戸の募集に約100件の申し込みがあった。一人暮らしや高齢者のみの世帯が多い。「安心が欲しい、という理由が圧倒的で、緊急通報システムなど高齢者向けの設備が人気の秘密では」と管理会社では話す。同年代の友人が欲しいという声も多いという。

 高齢者向け優良賃貸住宅の制度は、高齢者が安心して暮らすことができる住宅を供給することを目指して1998年度に制度化された。自治体の財政難からあまり普及しておらず、99年度までに全国で約1,200戸が都道府県から認定されたに過ぎない。国では、2001年度から入居の際の収入制限も撤廃し、建て主への優遇税制も創設するなど制度を変更し、さらに普及をはかっていく方針だ。(01.02.01 読売新聞)
 

1011、水について

特殊浄水装置による生体エネルギー水などの区民プール、学校プールへの導入検討。

EM菌の水質浄化作用の実験導入
 

1012、高齢者の居場所づくり・高齢者の仲間づくり支援

本来ならばプラン1007の事業の中で考えるのが最善であろうが、時間がかかるであろうから、次善の策として、「かつしかのとげ抜き地蔵」を作る。葛飾以外からも来れるようにアクセスを考慮。どこぞの神社か寺社と提携し、「爺婆の原宿」(巣鴨のとげ抜き地蔵)に対抗して「爺婆のベイブリッジ」「マディソン郡の橋」高齢者のデイトスポットとして売り出す。(cf.旭川市「病院銀座」) (cf.0408)

区内の拠点の一つと位置付け、最寄り駅から動く歩道、濡れずに行けるアーケード街をつくる。地元商店街との共同事業。

1007の病院の代わりとして、高齢者が楽しめる施設が必要。
 

1013、DV(家庭内暴力)問題への取り組みの充実 (cf.1020

DV(Domestic Violence)からのシェルター(避難所)、24時間相談の場の設立、およびその情報の普及。 (cf.0331
 

1014、在宅ケアーの場合の介護支援施策の充実、老老介護の特例支援

プラン1001とは逆に、自宅での介護支援は積極的に支援する(徘徊高齢者捜索支援、バリアフリー住宅改造支援)。いずれかの施設に登録してもらい、その施設のヘルパー班、医療班が地域のヘルパー等と連携して介護の支援を行う。
どちらかが70歳以上のいわゆる「老老介護」の支援は、ホームヘルプサービスを厚くし、家族の介護は精神的なケアーにとどまるようにする。
 

1015、チャイルドライン(子供電話相談)の設置

ボランティアの相談員が24時間体制で少年少女たちの電話(フリーダイヤル)に応じる。
 

1016、歯科、視力などの分野で「No.1自治体」をめざす。

先ず特定の分野での「No.1自治体」をめざす。そして更に「No.1自治体」の種目を増やして行く。(愛知県海部郡佐織町の六才臼歯の例を参考)
 

1017、高齢者の住宅確保支援

高齢者の単身世帯、高齢者の二人世帯の区営アパートの建設。(ただし、子どもに当該アパートの賃借権の相続権は認めない。) 民間アパートの入居支援。(非常の場合の緊急通報システムを完備する。)

 民間アパートの入居支援。(非常の場合の緊急通報システムを完備する。)

★高齢者に部屋を貸さないという話を聞いたことがある。これは、社会的な年齢差別であり、条例で禁止出来ないか。

⇒個人所有の住宅の賃貸契約を個人的な契約自由とするか、社会政策的な範疇で契約自由に制限を設けるか。憲法29条[財産権]と憲法14条[平等権]の衝突である。一自治体の条例では荷の重い仕事だと感じるが国に警鐘を乱打するという意味で誘惑を感じるテーマではある。

* 私は社会的責任が伴う場合は民間同士(公権力の行使でない場合)であっても憲法14条[平等権]は適用されるとする立場をとる。

(cf.川崎市「住宅基本条例案」高齢者、障害者、外国人等であることをもって民間賃貸住宅への入居が制約されることがあってはならない(第14条)。保証人が見つからず家探しに困っている人に市が民間保証会社を紹介、損失があれば補てんするというもの。)
 

1018、管外施設に保養機能を付加した複合施設に

管外施設(日光林間学園、あだたら高原学園、保田養護学校)に保養機能を付加した複合施設にする。
 

1019、緊急一時保育の夜間および長期あづかり施策の検討

保護者が出産や病気等で子供を面倒みられない場合、それが日中および短期では間に合わない場合の措置についての施策を検討する。
 

1020、児童・幼児虐待防止等の問題への取り組みの充実 (cf.1013

幼児虐待の場合の隔離保護。虐待傾向のある保護者の転出の場合は移転後の自治体への連絡等、情報のネットワーク化を促進する。プラン1013と同様に24時間相談所、シェルター(避難所)、高齢者のショートステイに似た施設を設置する。(→子供の人権vs. 親の親権の衝突である。幼い子供にとって頼るべきは親であるが、その親の暴力、虐待を訴えるすべがない。以前ならば地域社会がそうした行為の防波堤になったであろうが、今日では末端自治体の役目であろう。)

実母による加害行為が実父の二倍という現状から「児童・幼児虐待」は育児ないし子育て支援の問題かも知れない。(cf.1005

1021、高齢者緊急通報システム協力員の斡旋の自治町会への依頼

高齢者緊急通報システムは高齢者およびその家族にとって、有意義な施策であるが、2名の協力員の確保が困難である。居住年数が短い者にとっては尚更である。協力員の斡旋を居住地域の自治町会へ依頼する。 (cf.0503)

1022、公的常勤ヘルパー(非常勤を含む)の存置 (cf.0102) (検討事項)

介護の全てを民間に委託することには躊躇を覚える。若年者介護、介護認定までの介護、緊急介護ないし要介護者の希望にそう介護のあり方のモデル事業形成のために政策的公的常勤ヘルパー(非常勤を含む)を存置する。

1023、介護認定、生活保護認定等の請求が棄却された場合の追跡調査の徹底

制度の趣旨を生かすのはそれに携わる者の心優しさである。当該個人のプライバシーを侵さないことはいうまでもないが、請求が棄却された後の生活状況の追跡調査を密にする。タイトルに掲げる認定作業のみならず、区民の生活に直結するような認定の場合は同様とする。介護保険制度の認定もれ対策の国基準(厚生省メニュー)なんぞで事足れリとせず、葛飾区の地域事情に応じた細やかな対応を工夫、検討する。プラン1025の声を集積する。

1024、憲法第25条の精神が国の施策に盛られていない場合の区独自施策の構築

憲法第25条は人として生存する権利を保証する。この条文の精神が国の施策に盛られていない場合は区として独自施策を構築する。生存を直接脅かす状態を避ける方策。 例えば意識的無年金者、制度的無年金者(在日韓国・朝鮮人等)への保護的給付。法律や都区の条例の網から漏れてしまう障害者、高齢者、母子家庭、父子家庭等への保護的給付。

⇒介護疲れの子どもの親殺し、介護に疲れた老いた夫(妻)の連れ合い殺し、呼び寄せられた老親の孤独からの自殺――こうした悲劇を放置しておいて何の自治体ぞ。裁判では直接の加害者を非難するが、真に裁かれるべきは基礎的自治体たる市、区、町、村ではないのか。

(00.5.7)新聞記事より

「世話嫌になった」息子が放置 重度身障の母、衰弱死 致死容疑者逮捕

 同居していた寝たきりの実母を放置して死なせたとして、茨城県警鉾田署は6日、同県鉾田町半原、土木作業員K容疑者(37)を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕した。
 調べでは、K容疑者は今年4月23日ごろから今月2日までの間、重度の身体障害で自力歩行ができない母親のYさん(56)を自宅に置き去りにして家を空け、衰弱死させた疑い。 同容疑者は「世話をするのが嫌になって、家を出た」と言っているという。
 YさんはK容疑者と二人暮らし。一年半ほど前から同県旭村の身障者療護施設に短期入所を繰り返していた。4月スタートの介護保険制度の適用を受けようとしたが、同施設は同制度の指定事業所ではなかったため、3月25日に退所。自宅に帰ってからはK容疑者が食事の世話などをしていたが、4月23日ごろから家を空けたらしい。K容疑者は今月2日、自宅に戻り、布団の中で死んでいるYさんを発見、同署に届けたという。
 鉾田町保険課によると、K容疑者は町に要介護認定の申請をしたが、主治医の意見書が必要なことから、同課はYさんを主治医のところに連れていくように、たびたび催促の電話を入れた。K容疑者は「必ず連れていきますから」と答えたものの、結局は連れていかなかったという。
 近くに住む主婦(67)はK容疑者について、「一人でお母さんの面倒を見るのはたいへんだったのでしょう」と話した。

⇒「土木作業」に従事しながら一人で寝たきりの母の世話をするのは辛いぜ。「たびたび催促の電話を入れた」だけからは分からないが、@何処の病院へ行っていいのか、A何時行っていいのか。B何と言って行くのか、等など、担当の職員には簡単なことでも始めて体験するKには分からなかったのであろう。『心を配ると書いて心配や』(早川一光さん→松五郎の玉手箱「13」)というが、マニュアルに合うことのみを要求し、残余の「心配」をしない鉾田町保険課の、電話をしたという職員に現下の日本の「マニュアルあって、心の無い福祉」が表われているような気がする。
 実際に犯罪を犯したのはKだが、鉾田町保険課にはそれを防ぐことのできる機会はあったはずである。ならば、不作為の"共同正犯"ではないのか。

<参考記事 00.11.2 産経新聞>

大田区役所に刃物男が乱入   警官が現行犯逮捕

 1日午前10時40分ごろ、大田区蒲田の大田区投所本庁舎4階に男が乱入、紙袋から刃渡り約35cmの短刀と茶封筒を取り出し、応対した職員に対し、「茶封筒の中身を読め」などと怒鳴り、短刀を突き付けた。通報を受けて駆けつけた警視庁蒲田署員が「刃物を置け」と言うと、切りかかってきたため、署員がその場で取り押さえ、殺人未遂などの現行犯で逮捕した。
 逮捕されたのは、大田区の男(46)。調べに対し、なにも話さないという。調べによると、男が乱入したのは大田保健所健康推進課。茶封筒の中には療養手当請求書に不備があるといった内容の文書があったという。この文書は区役所が男の母親に出したとみられ、男は母親に療養手当が出なかったことに腹を立て、区役所に乗り込んだらしい。

1025、介護保険の公正な運用を期するために第三者機関を設置する。

福祉は全ての当事者が善意であっても介護を必要とする者が公平に且つ適正なサービスを享受出来るとは限らない。区民参加の協議機関を設置し、行政とは違った観点からサービスの評価、相談、苦情の窓口とする。「福祉オンブズマン」の制度も検討する。(cf.01122306)

福祉の仕事は人が人をケアするのであるからメンタルな部分も含むことから仕事がハードになって行く。ワーカー側(職員)の相談役として「福祉オンブズマン」を活用すべきである。こうした「福祉オンブズマン」を設置した場合は区、民間あるいは職業者、ボランティアを問うことなく開放する。(代表者は区長直属の「参与」として組織横断的な権限を付与する。cf.0205

◆99.10.23 民間経営による介護型有料ホーム『サンライズ・ヴィラ』(栃木県小山市)の経営破綻が報じられた。こういう破綻施設に共通するのは高齢者の判断力が衰えてきたことをいいことに必要最低限の介護も施さず、施設としての基準さえも満たさず運営費を他に流用することである。こうした施設は民間主体であっても、所在地の自治体および入所者の住民票のある自治体には補助金の拠出の有無に関わらず立ち入り検査の権限を与えるべきである。

◆00.1.12 既に介護保険を実施しているドイツを視察中の厚生大臣、丹羽雄哉さんが『介護保険サービスの質を高めるため、外部の第三者が点検、監視する「介護サービス委員会」(仮称)を各都道府県や市町村に設置する方針。』を明らかにしたという。

◆介護保険 苦情処理に「調整委員」 葛飾区 事業者を直接調査、勧告
 介護保険の利用に伴う区民からの苦情を処理するため、葛飾区は来月から、「介護保険サービス等苦情調整委員」を置く。処理の公平さ、素早さを確保するため、委員は区を通さず、じかに事業者を調査し、不都合があれば勧告する。類似の役職は他区にもあるが、「直接の調査・勧告ができる委員は23区で初めて」(葛飾区)だという。
利用者不満に迅速対応
 調整委員は、河合克義・区介護保険事業審議会長(明治学院大社会学部教授)、内山忠明・日大法学部研究所教授、田口哲朗弁護士(葛飾弁護士倶楽部)の3人で、12日、青木勇区長から委嘱状を手渡された。介護保険に関する苦情の多くは「ホームヘルパーが時間通り来ない」「担当のケアマネジャーと連絡が取れない」などサービス提供事業者側に問題のあるケース。同区は、制度開始の昨年4月から7ヵ月間に68件の苦情や相談を受けた。
 介護保険制度では、こうした苦情に対し、各都道府県の国民健康保険連合会が処理することになっているが、住民にとってはなじみの薄い機関であるうえ、原則として苦情を文書で提出しなければならないなど手続きも面倒だ。このため、同区ば、区民が悩みを気軽に話せ、しかも、迅速に対応できるような調整委員の制度化に踏み切った。相談受け付けは毎月第1、第2、第3金曜の午後1時半〜同3時半。場所は同区役所2階の区民相談室。事前に区保健福祉計画課(3695・1111)に電話で予約する。   (01.01.13 読売新聞)

◆介護保険  厳しい声が質向上の鍵だ             (01.01.14 産経新聞 主張)

 高齢者の介護保険料徴収が始まって以来、苦情や相談がやや増えてきた。ほとんど無料の福祉制度から、保険料と利用料を払う契約システムに変わり、利用者の権利意識が強まっている。サービス提供事業者は、厳しい声を受け止め、質の向上に取り組まなければならない。都道府県の国民健康保険団体連合会が昨年4〜9月の半年間に受け付けた介護保険の相談は約1,500件、苦情申し立ては134件だった。利用者が負担とサービスの中身に目を光らせるようになっている。苦情の内容は、「介護職員の態度が悪い」「通所介護の送迎で待たされる」「特別養護老人ホームの職員が減った」「ケアプランの作成に不満がある」「介護施設でおむつの洗濯代を取られた」などの不満が目立つ。

 いずれも制度の根幹にかかわる問題ではなく、不平不満のたぐいも少なくないが、利用者として権利意識に目覚めたことは評価できる。これまでは役所が行う福祉だけに、提供側の都合を優先するケースが多く、利用者は苦情や不満を言えなかった。最も重要な課題は、サービスの質を向上させることである。国保連や市町村が利用者の苦情を受けて改善策を指導・助言するほか、介護相談員が利用者の意見を聞き、市町村や事業者に具体的な問題点を指摘する仕組みになっているが、まだ不十分だ。ホームヘルパー(訪問介護員)、施設職員など介護を担うスタッフの研修も欠かせない。とくに、利用者の希望に応じてケアプランをつくるケアマネジヤー(介護支援専門員)は十分に機能していないケースが少なくない。厳正公平であるべき介護認定審査会の委員が、申請書の事情に配慮しすぎた例もある。介護関係者は研修の充実や相互のチェックを心がけ、常に質の向上をめざしてほしい。厚生労働省は、利用者がサービスを利用する場合のチェックリストを作成中だ。チェックすべきポイントは、@休日・時間外・緊急の場合に利用できるかA訪問介護員・訪問時間・サービス内容を変更できるかBスタッフの数、性別、資格、経験年数、研修・教育、現在の利用者数C主治医・医療機関・ボランティアとの連携体制D損害賠償保険への加入E衛生管理・感染症対策Fサービス内容の説明G利用者・家族との意見交換・助言指導H契約手続き・解約料―などである。

 これをもとに第三者がサービスを評価し、利用者が事業者を選択できる情報を提供してほしい。事業者同士の競争がサービス向上の決め手である。

1026、自立否定の要介護認定から自立支援型介護のあり方を検討する。

より上位の介護認定を得るためには自立を否定しなければならない。(cf.「松五郎のつぶやき」14)これは本末転倒であり、葛飾区は自立を支える型の介護を区民あげて検討する。

鳥取県西伯町町民の提案する、4級、5級ヘルパー制度を独自に作り(民間資格的)区民の多くに取得してもらう。またこの区独自の資格を小学生から全ての区民が取得できるような講座を地域で開く。(パブリック・マインドの醸成)

【プランとしては異なるが背景は類似する意見を】

★葛飾区では今度、ふれあい給食が廃止になります。以下お教え下さい。 (00.3.4)

@ 導入の経過
⇒世代間交流+独居高齢者の昼食のお世話、等で導入したと思います。私自身も積極的に推進を働きかけたように記憶しています。

A 廃止理由
⇒現職でないのでよく分かりません。が、(i)財政上の理由、(ii)希望者が予定したより少ない、(iii)調理部門の反対(導入当初からあったようです。)それと、(iv)介護保険導入も理由の一つになっているのでしょう。なにより、行政トップの価値判断でしょう。私ならば草津だとか箱根に借り上げ保養所を確保するより、地域コミュニティ創造の事業を優先しますね。(cf.1004)

B ふれあい給食を高齢者事業団の方が来て実施しておりますが、やっと人数も増え、子供たちとも交流を持ち始めたころに廃止とのこと。何とか続ける方法がないのかと思っています。
⇒行政トップの判断でしょう。教員にも高齢者と子どもの交流に参加させるように言ったら、当時の学校教育部長(確か、山崎喜久雄さん)と教育長(滝沢健さん)の二人が、「制度上難しい」ようなことを言っていたと記憶します。ならば、教員の任免権を都からはずさせて区の固有職員としたいと思います(cf.1307)。区の職員であれば、教育の一環として指示できましょう。(現行制度でも教育委員会の意識によっては出来なくはないと思います。)

C 来年度からは、総合的な学習も一部ではありますが始まるとのこと。その一環として行うのは難しいのでしょうか。
⇒A同様、行政トップの判断でしょう。

D 現在高齢の方でも、体が丈夫で働くことの出来る方が数多くいらっしゃいます。エージフリーの観点からも決して悪いことではないと思うのですが。
⇒おっしゃる通りです。人間なにが寂しいかというと自分がこの社会で必要がないと思わされた時でありましょう。95歳の高齢者が100歳の人の為に嬉々として食事の世話をしていることを聞きます。かつての農村日本のコミュニティが壊れた都市にあっては行政がそのコーディネイターの役割を果たすことが求められていると思います。介護をどうするかでなく介護の必要のない地域社会にすべきなのだと考えます。 (00.3.5)

1027、「ハガキを心の掛け橋に」独居高齢者へのボランティア通信を開始する。

練馬区の先行実施している「ボランティア友愛通信」事業の実施。

1028、区主宰で「外国人健康保険互助会」を設置、運営する

日本に暮らす外国人で在留資格のない場合は健康保険制度への加入は日本国政府によって認められていない。(労働対価への課税はなされている。)しかし、人は在留資格の有無に関わらず被災し疾病に罹るのである。そうした者に医療を受ける権利を保証しないでおいて、先進国だ、G7加盟国だと、どの面さげて言えるのであろうか。葛飾区はこうした政府の無策を少しでもフォローするために互助会方式で(国保の最低納入額程度の負担で診療時3割負担)国保に替わる制度を区独自で運営する。これには、国籍、年齢、性別、在留資格の有無、葛飾区居住の有無等一切を問わない。将来的にはNPO化することも一案である。 (cf.0810) (cf.みなとまち健康互助会)

1029、高齢者の所得保証制度(リバースモゲージ)の推進

1003と類似した発想の下に「リバースモゲージ( Reverse Mortgage )」というものがある。 つまり、住宅などの資産を担保に、老後の生活に必要な資金融資を受け、死後にその資産(住宅)を売却してその返済に充てることである。資産はあるが現金収入のない高齢者の所得保証制度の確立である。民間でも同様の事業がなされていようが、これも前述(1003)の「生前契約」の実行の保障の問題に帰着する。監視機関の設立が必要であろう。
(cf.松五郎の玉手箱「7」)

1030、難聴者のバリアフリー施策の充実

難聴者のバリアフリー施策の充実の一施策として区の設置するホール等にALDS(補聴援助システム)の敷設をする。 (cf.2113)

【WORDS】 ALDS(Assistive Listening Devices and Systems;補聴援助システム):ALDSには音声を磁波に変えて補聴器に伝える磁気ループ方式や、FM電波や赤外線を使ったものがある。
(cf. 滋賀県中途失聴難聴者協会HP:http://www.mediawars.ne.jp/~machida/index.html)

★難聴者のへの設備面での施策についてはALDSの設置を進めていただくことに意義がありますが、聴覚障害者は聞こえの程度が様々で、ALDSが必ずしも有効でない方が多数おられます。中途失聴者はろうあ者と違って、しゃべれるけれども全く聞こえない。全ろうに近い方です。手話もできず、筆談に頼る方がほとんどです。そのような方のために、要約筆記があります。滋賀県中途失聴難聴者協会のホームページをご覧になればわかりますが、書いて伝える要約筆記者は中途失聴者あるいは重度の難聴者にとっては欠かすことのできない、情報保障手段です。自治体に設置要約筆記者をというのが、中途失聴者・難聴者の願いですが、なかなかそれぞれの聞こえの程度に差があるため、力がまとまらず、運動が十分でないことが残念です。自治体にそのことを理解して頂けたらと思います。(00.3.6) 
                    滋賀県中途失聴難聴者協会 事務局 M.H.

1031、厚生部職員にヘルパー資格の取得を義務付ける

厚生部に所属する職員(管理職を含む)にヘルパー資格(2級、3級)の取得を義務付ける。5年程度をかけて順次取得させる。新たに厚生部に配属になった職員も同様とする。(cf.2116)

1032、介護保険の「1割負担」分の融資制度の導入

融資分の返済が当初より期待できない単身者等については区の負担とする。(要検討)

<行政実例>江戸川区 介護保険 低所得老へ助成 全サービスを対象に

 介護保険サービス利用時の自己負担を減らそうと、江戸川区は今月から、低所得のお年寄りを対象にした助成制度をスタートした。所得段階区分「第一段階」で、生活保護を受けていない人は、在宅、施設すべてのサービスで、10%の自己負担が3%に軽減される。全サービスを対象にした制度は都内初。昨年4月の介護保険制度開始以前から介護を受けていたお年寄りの中には、保険料と10%の自己負担分を合わせると、かえって負担が増してしまったという人も多い。中でも所得区分「第一段階」のお年寄りは、課税所得者のいない世帯で老齢福祉年金を受けて暮らしており、生活保護受給者と同程度のぎりぎりの生活を送っている。こうしたお年寄りの生活を守るのが同制度の目的で、当面の対象者は100人前後。介護保険スタート後にサービスを受け始めた人も制度を利用できる。都内では、中央区や三鷹市など約20の自治体が、独自の軽減制度を設けているが、対象がホームヘルプサービスだけだったり、数種類の在宅サービスに限られたりしている。

1033、「高齢者文化会館」+「託児所(保育園)」複合施設の設置

小学校区域に1ヶ所(現行19出張所管内2〜3ヶ所)のわりで「高齢者文化会館」と「託児所(保育園)」の複合施設を設置する。(cf.10051010)

⇒元気な高齢者に体力の範囲内で孫・ひ孫世代のお世話をお願いする。(cf.0506)

1034、「自筆遺言書」の保管サービス(有料)を実施する

「自筆遺言書」の保管サービスを区ないし区と民間のいわゆる第3セクターで行う。「遺言書」の存在の有無に関する検索はホームページでも可能とする。


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