葛飾区再生計画案議会


IMPERATURUS OMNIBUS ELIGI DEBET EX OMNIBUS

(我々全ての統治を託された皇帝は、我々全ての人の中から選ばれた人でなければならない)

―― ローマの格言 ――

議会内部のことは議会の自律権に属することであり首長の権限外のことであるが4年間の内部からの体験にもとづき、疑問ないし矛盾を掲げて議会側に提案するものである。

(区長部局サイドの論点も議会に関するものについては本編に記載する。)


【21、議員の積極活用および待遇】

議員は非常勤で常勤区長の60%余の報酬である。ならばそれに見合った活動をして頂きたい。多チャンネル、双方向メディア時代の今日「住民と区政のパイプ」といった「ご用聞き」はやめた方がいい。地域に起こった個別の事例から区政全般にどのように係わるべきかの大局観からの提言を期待したい。職員は色々なセクションを渡り歩くゼネラリストであるから、一方の議員は健全な常識は当然として何等かのスペシャリストたるを期待したい。「族議員」もあながち悪いものではない。

2101、区民代表としての議員派遣

ケースにもよろうが区民代表から議員をはずすこともあるまい。議員として奉るのでなく当該議員の有する知識、人的資源を有効に活用させてもらう。
 

2102、地元説明会開催時の議員の処遇

行政の地元説明会の折りの議員の役割の位置付けをいかにすべきか。借りて来たネコのように住民の生の声を聞くだけでおとなしくさせるのか。それとも活発に議論に加わらせるのか。住民に行政が「知らしめる」のを聞いているだけでは議員としての職務怠慢であると思う。住民の本音の議論を引き出すくらいの役割は担わせてもいいのではないか。
 

2103、隣接、友好自治体との交流会(首長・議員)

住民の行動範囲が広域化している今日、葛飾だけで完結することはまれである。住民ニーズの的確な把握のためにも隣接自治体は勿論のこと多くの自治体と交流すべきである。区長は区長のルートで議員は議員のルートで。また職員あるいは区民の独自のルートでの交流も奨励し、積極的に支援してゆく。 (cf.0306)
 

2104、行政視察

*単に施策の内容そのものならば書物からでも知識として取り入れられるが、風土の違う土地には価値観、習慣の異なる人間が住んでいる。そうした地理的、人間的な背景を持った施策と言うのは、その土地の空気を吸い、その土地の人と話さなければ分からないことである。こうした行政視察は内国、外国を問わず実施すべきである。

*『比較こそ学問と教養の生命ではないか。言語、道徳、宗教、礼儀作法の研究において、「一つしか知らぬ者は一つも知らぬ」と言われるのは真理ではないか。』(「新渡戸稲造著、矢内原忠雄訳『武士道』岩波書店、1974」W.E.グリッフィスの緒言)は自治体施策においても同様であろう。自分の町しか知らない「井の中の蛙」になってはならないのである。

自治体のサイズにはとらわれない。

<来訪>テーマ関連委員会委員(議員)を数名参加させる。
    行政施策に議会としてどのように関わったかについての説明

<訪問>テーマごとに関心のある職員を同行させる。
    議会と行政が他の自治体の施策に接し同じ視点でモノを考えるいい機会である。


*区長は相手自治体の首長宛てのメッセージを出す。

相互に長所の視察であるから相手自治体と共同して双方の地元マスコミに売り込む。

来訪の場合は区長、議長は応接する。(戻ってからの当該視察地に対する印象が違う。)

*来訪自治体旗をメインポールに掲揚し、応接場に掲げる。(当該旗はパソコン印刷で対応)

当該視察団が区内宿泊の場合は区長主催「懇親会」をセットする。区議会からは視察団の党派構成と同様(類似)の議員が出席する。(cf.0313

⇒視察について私と視点を同一にする見解を見つけたので紹介する。

「田村明著『まちづくりの実践』(岩波新書)岩波書店、1999」より

   2 「まち」の価値発見の方法

 外の世界を見る

 地域の価値は、あまりにも地域にドッブリと浸りすぎていると、かえって見えないこともある。良い点も悪い点も、すべてが当たり前のことになっているからだ。だから時には外の世界を旅してくることも必要だ。大分県の大山町は先進的な「まちづくり」で有名だが、1960年代のまだ海外にゆくのは難しい時代に、矢幡治実町長自ら世界を見て歩き、その刺激を、うけて考えた結果を、自分の「まちづくり」の実践に繋げた。一人で地域の中に閉じ寵もっているだけでは、すぐれた価値の発見と発想は生まれなかったろう。序章の五十崎の市民は自費を投じてスイスまで勉強にでかけた。

 なにも海外まで行く必要はない。すぐれた「まちづくり」の実践者は、機会をつくって、これはと思う国内の他の地域との交流を深めている。外の世界を見るのは、自分の目から鱗を落すためであり、広い見方を養い、発想の刺激を受けるものであり、実際の姿を自分の目で見ることである。あるときには活用できる手法を学ぶことになる。

 外を見てきても、そのままの受け売りや丸呑みをするだけでは、実践には役立たない。ひとつひとつの地域には、それぞれ固有の事情があり、そのまま他に適用できるはずはない。外を見てきた新しい目で身近なところに価値を発見しなければならない。

 ドイツでは、職人がマイスターになるには必ず諸国を遍歴して回る。イギリス貴族の子弟は、ヨーロッパ大陸を時間をかけて回るグランドツアーをして見聞を広めた。日本でも全国行脚する武者修行があった。かつてはそういう体験を経ないと一人前になれなかったのだが、それは他を知ることによって、自分を知るということであった。

 現在では、あまりに情報手段が発達して、ほかの地域のことでも大体はブラウン管の上で分かるし、パソコンのインターネットは、世界の情報を瞬時に画面の上で提供する。だが、生きた情報に直接接すると、情報の質が違う。実践につなげてゆくには、実際を見て触れ、実感としての刺激を受けてくることが必要だ。いま、昔と同じことはできないが、とにかく外に触れ、外の目でみることだ。(同書 p.63-64)
 

2105、海外視察

積極的に実施する。日本国内での自分の全てを捨象し、外国に行くことは今の自分を知ることであり、外国とは今の自分を映し出す鏡である。

テーマを事前に発表し、公募で募集した参加区民、テーマに関心のある参加職員および参加議員とともに視察地を選定する。非日常の海外視察をすることによって当該分野に関心を寄せるスペシャリスト議員をつくることになる。海外視察は何も先進自治体に限ることはない。発展途上国に出かけて、かの地の人々との友好を深めることを目的としてもよい。大上段に振りかぶった国と国、政府と政府の議論より小さな草の根の交流の積み重ねが結果として日本の国際的な地位を高め平和につながるのである。こうした活動も議員としての役割であろう。
(cf.香川県主催「海外スタディツアー」)

⇒近年、財政難を理由に海外視察(派遣)を中止している議会がある。また、実施されても参加しないグループもある。これは職務怠慢あるいは職務の放擲である。もしも自治体の財政難を理由とするのであれば私費で実施すればよいのである。それが出来ないと言うのであればこれまでの視察がいかに観光メインの慰労の色合いの濃いものであったかの証左である。
後援会へ配るお土産の心配に忙しいのは「視察」ではなく「旅行」である。視察は議員に与えられた特権ではなく義務であることに思いをいたすべきである。

 

2106、視察終了後は公開の「視察報告会」を開催しなければならない。

国内視察の場合は各委員会、各グループ合同で実施する。

とくに海外視察の場合は参加した区民も含め、単に視察地の特徴をあげつらうだけでなく、葛飾区との異同および当該視察地での先進行政を葛飾区に応用した場合についてのシミュレーション作業までを報告の範囲とする。
 

2107、議員、職員合同勉強会

議員は区政全般の知識を、職員は民間の発想、考え方を学ぶ。けっして馴れ合うことではない。勉強会に地位、立場は不要である。
 

2108、議員の研究紀要(年1回)発行(個人、グループ)

事務局ノータッチ。必ずしも行政事項に限定することはない。各議員の専門分野のことでもよい。文学でも教育学でもよい。
 

2109、報酬、賞与の支給規定

報酬、賞与の支給は各月1日現在に在籍の場合に支払う。但し月の途中で職を離れた場合は日割りとする。(現行では賞与は支給月の1日に在職していた場合のみ支給される。)
 

2110、落選中の公職の候補者および引退議員の審議会委員登用

前者には区政勉強継続の意欲を、後者には在職中の知識を活かして頂く。

プラン0203の『区政諮問委員会(審議会)』の中に『議員経験者』部会を設置し、国都区の各級議員の経験者の方々に委員を委嘱する。(いわば、「賢人会議」。現職時代の所属党派にとらわれない大所高所からの教えを乞うことを目的とする。)
 

2111、常任委員会、特別委員会の議事堂外実施(cf.0502

議案案件によっては議事堂外で審議することも必要であろう。

その際、参考人招致の形で地域住民の声を聞くこともあり得る。
 

2112、議場での本会議、常任委員会、特別委員会の休日、夜間開催

プラン2111と同様に、住民の参加を志向するものである。参加しやすい曜日、時間に行うのも情報公開の一手段である。
 

2113、本会議、委員会の傍聴制度の充実

本会議、委員会制度の充実のためには、場所の整備と内容の整備が必要である。先ず、場所の整備は十分な傍聴席の確保。様々な身体障害者にも傍聴できるような配慮をする。(聴覚障害者用にALD[補聴援助システム]の設置(cf.1030)、イヤホンや手話通訳の配置。車椅子用にはバリアの無い施設など) 

ただし、手話通訳などの人の配置を必要とする場合は事前の申し込みを求める。

内容の整備は審議事項に関する大まかな資料を配布する。また、当日何が審議されるのかの審議案を予告する。(ホームページ、庁舎ロビー・出張所・図書館等に掲示)

(cf.東京都議会議会ホームページ)

現在の委員会の傍聴は委員長の許可が必要で秘密会が原則であるが、これを原則公開とし、合理的に必要のある場合のみを秘密会とする。

◆ 00.6.1 本議会傍聴は手話でどうぞ 渋谷区議会は8日に開会する6月定例会から、本会議の傍聴席に手話通訳を導入することを決めた。全区で進めているバリアフリー化の一環という。手話でも傍聴できるのは、年4回ある定例会の初日と、代表質問か一般質問が開かれて希望者がいる日。同区議会事務局によると、手話通訳での傍聴は、すでに新宿や杉並などでも実施されているという。手話が必頑な人は希望日の7日前までに、区議会事務局庶務係へ申し込む。

2114、議員の政策提案機会の充実

議員の最大の役割はチェック機関であるというが区政そのものもプロの行政マンによって遂行されているのであるから常識のみでチェックできるほど簡単かつ単純ではない。
「健全な常識人によるチェック」等と議員の役割を「曖昧」にしておくから区長提案の「通過機関」「まるのみ機関」と揶揄されるのである。 例え区政の全般ではなくとも個々の分野の提言を行えるような「専門家/族議員」になれば当然当該分野のチェックも厳しくなるであろう。複数の議員がそれぞれ得意分野の政策提言をし、他の議員をあるいは理事者側を説得できる力量を獲得しなければならない。そのための場を積極的に確保しなければならない。
 そのためにプラン220322062207を中心に第22節を有効に活用する。

2115、区民 VS. 区議会議員のバトルトークを開催する。

毎回テーマを決めて、公募による参加の区民数名対区議会議員数名が徹底的に議論する「朝までトーク」の場を設ける。年数回から始め隔月、毎月と広め一般行事化する。よい意見や提案は区行政に積極的に反映することを保証する。議論の要旨を区の広報で知らせるほか、将来はケーブルテレビ、FM放送、インターネットで流せるようにする。議員の参加は輪番制+希望制とすれば議員の能力が試される場になろうし、必然的に不勉強な議員はその地位に安住出来なくなるであろう。また、葛飾区を選挙区ないし投票区として選出される都議会、国会の議員にも参加を要請する。 (cf.0118)

2116、厚生委員会所属議員にヘルパー資格の取得を義務付ける

厚生委員会に所属する議員にヘルパー資格(2級、3級)の取得を義務付ける。1年程度をかけて順次取得させる。新たに厚生委員会に配属になった議員も同様とする。在宅介護、施設介護など実際にヘルパーの体験をして実情を知って施策に生かすべきである。 (cf.1031)

 紙の上で介護を考えるのは鳥が空から全体を見るような、いわば鳥瞰図的な見方であるのに対し、介護の現場は蟻が地べたを這いつくばるようなものである。政治に対する視点がまるで違ってきて今まで見えなかったものが見えてくるのである。


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