葛飾区再生計画案行政編


FATA REGUNT ORBEM ! CERTA STANT OMNIA LEGE

(不確かなことは運命の支配する領域。確かなことは法という人間の技の領域)

―― ローマの格言 ――
 

【02、組織・機構】

 『爾俸爾禄 民膏民脂 下民易虐 上天難欺』(お前の給料は民の汗の結晶。民をいじめるのは簡単だが天はだませない。)1749年、二本松藩主が藩士を戒めるために藩庁通用門の脇の花崗岩に刻ませた「戒石銘」。公務に携わる者の最低限度の心構えであろう。
 

0201、区長スタッフ(副区長制導入)

助役(副区長)の複数制の実施。

政務助役(議会・儀礼的交際関係)・事務助役(事務方のトップ)
 

0202、区長部局組織の再検討

プラン0102の事務事業見直しをふまえて区長部局を再編する。

部の統合か、関連する部を集めて「局」とする。局長(複数部の長)は副区長とする。
部局再編にあたっては国の省庁にならって縦割りにすることなく区民のニーズの観点から捉えたものにする。部門によっては「事業本部」制を導入し、外部登用(cf.0205)を含む本部長を置く。事業本部に対する予算は大枠で付けて、事業本部内で配分する。

部、局のネーミングは漢字2字のオーソドックスなものにする。課、係のネーミングは仕事を表す親しみ易いものにする。
 

0203、区長の諮問機関として『区政諮問委員会(審議会)』を置く

区長への政策アドバイザー機関として『区政諮問委員会(審議会)』を設置。 (cf.2110)

委員構成および委員の任免は区長の専権事項とする。

企業の社外取締役類似のポジションである。それぞれの事業部門の責任者(部局の長)のみではそれぞれの部局の利害関係の調整のみに終始し、全体としての戦略的視点からのチェックに欠ける。(区のライン上の組織とするかについては要検討)
 

0204、特別職の「秘書」職を設置

特別の行政任務に対する秘書職。定員2名。
 

0205、特別職の「参与」職を設置

特別の行政任務に対する非常勤専門職(職務によっては常勤とする)。定員5名。

[例]防災部門(cf.0211)、広報部門(cf.0308)、財務部門(cf.0403)、ゴミ部門(cf.0801)、    金融部門(cf.04040808、葛飾開発銀行)、福祉部門(cf.1025)、
 

0206、職員名簿は係長級以上の職員は顔写真を掲載。販売も可能にする。

職務に自信と責任を持たせる。

0207、財団法人のうち土地開発公社、地域振興協会の見直し

財団法人のうち土地開発公社、地域振興協会は設置当時の目標と現時点での乖離が著しいので見直しする。土地開発公社は経理ないし企画担当部門に移す。地域振興協会は産業政策担当部門と地域振興部門に統合する(cf.0806)。地域振興協会の融資部門は設置予定の葛飾開発銀行(cf.0808)に移す。

*土地価格の異常な高騰がもはや予想出来ない状況にあっては土地の先行取得は遊休地となり過大な金利負担をもたらす。現在所有の土地は数年以内の事業見込みのないものは売却する。

0208、区立政策研究所の設立

 もはや国の政策への依存や責任転嫁の出来る時代ではない。国基準、都基準を越え、区の独自課題領域における自由かつ責任ある政策、それに対応する法的な精査、調整のための自治体政策セクションおよび自治体法務セクションを充実する必要がある。区のシンクタンク的位置付けである。

 職員研修所での研修の場合は現区長の施策に対して法的にどのような問題点があるのか等については限界があろうが、「政策研究所」の所員(職員)の自主研究として行う分には限界を設けない。現区長以下執行部を被告席に座らせて区民、議員も間に入れて徹底的な歯に衣着せぬ議論をすべきである。そういうことの積み重ねが柔軟な思考をする職員の養成につながるのであろう。(cf.0319)

 研究者は区長以下幹部職員、行政スタッフ、議会関係者、および区民との日常的な接触を通じて学問と個々の政策の融合を図る。現実の政策決定に直接寄与する研究を求める。問題は研究員であるが将来的にはプラン060212021311に掲げる大学誘致の際に共同研究所とする。それまでの段階は区政、行政および地方自治体の政策等に関心をよせる職員、議員、学生、地元企業、一般区民などに政策研究の一翼を担ってもらう。

プラン0801の『区立ゴミ研究所』もこの研究所と一体とすべきであろう。区職員、住民、企業人、学会、他の自治体職員、学生等とネットワークの形成等、情報の拠点基地化をめざす。

[研究テーマ]

(1)葛飾区の街並みをコンピューターで再現(バーチャルリアリティー化)
*地震や火災等の都市災害、未来の都市設計に活用。
(cf.「バーチャルLAプロジェクト」UCLA都市シミュレーション研究所/毎日新聞99.9.20朝刊)

(2)ダイオキシン汚染、遺伝子組換え作物、放射能汚染など食品の安全に関する情報管理

≪ダイオキシン関係の参考文献≫
左巻健男・桑嶋 幹・水谷英樹編著『ダイオキシン100の知識』東京書籍、1998
宮田秀明著『ダイオキシン』(岩波新書)岩波書店、1999
宮田秀明・保田行雄著『ダイオキシンの現実』(岩波ブックレット)岩波書店、1999
左巻健男監修・露本伊佐男著『図解雑学 ダイオキシン』ナツメ社、2000
環境庁『ダイオキシン類』(関係省庁共通パンフレット)1999
環境庁『ダイオキシン類排出抑制対策検討会第二次報告について』1999
環境庁『ダイオキシン類排出抑制対策検討会及びダイオキシンリスク評価検討会の報告書について』1997

(3)住宅の建材や壁紙の接着剤に含まれるホルムアルデヒドなど揮発性の化学物質を吸入して頭痛やめまい、吐き気などを引き起こすとされる「シックハウス症候群」、アスベスト、PCBなどの健康被害をもたらす化学物質の区内に存在するものの管理、情報収集。

(4)太陽発電、コジェネレイション(*)〜区施設のエネルギー自給の方策(cf.08011106)

【(*)WORDS】
コジェネレイション ( cogeneration ) 一つのエネルギー源から二種類以上のエネルギーを発生させる装置。発電時に使った蒸気を使って発電と発熱を同一施設から供給すること。

◆00.3.16 食糧庁は有害物質カドミウム濃度の高い米の流通を止めず調査自体も隠していた。新潟県独自の調査で汚染米が発見され、食糧庁の調査の存在も明らかになった。

◆00.3.24 荏原製作所藤沢工場(ISO14001認証事業所)から流出したダイオキシン 8,100pg/l(環境庁基準の8000倍)が藤沢市の引地川から検出された。

◆00.9.13 大田区内の廃工場跡地(現在は区道部分)の土壌から今年7月、国の環境基準の10数倍の極めて高濃度の有害物質ダイオキシンの一種である「コプラナーPCB(ポリ塩化ビフェニール)」が検出されていた。区道部分の土壌だけでなく、周辺の土壌も広範囲で汚染されている可能性が強く周辺土壌についても調査を急ぐ。現状では飲料水の汚染などの影響はなく周辺住民への健康被害の可能性は低いとみられるが汚染が判明した土壌は除去していく。―― 区当局は危険物質の区内事業者の保有、管理、処理等の情報収集ないし監視について怠慢ではないのか。

◆(01.01.07)古いお守り燃やしても安心  最新鋭の焼却炉でダイオキシン抑制  富岡八幡宮

 古い守り札やしめ縄などを燃やす「お焚き上げ」の際に猛毒のダイオキシンが発生す、るのを防ごうと、江東区富岡1の富岡八幡宮が、境内に最新鋭の焼却炉を設置した。年末から正月に持ち込まれた大量の守り札などの焚き上げにフル稼働しているが、同神社は「煙がほとんど出ないので近隣からも好評です」と自信を見せている。

 焼却炉は「簡易型」で意さ約2メートル、直径約1メートルの円筒形。社務所北側のお焚き上げ所に昨年11月に設置された。1時間に約45キロのごみを焼却できる。電動モーターで炉内に空気を送り込み、約1,250度の高温で焼却できるため、800度以下で焼却した場合に発生するとされるダイオキシンの発生量を、大気1立方メートル当たり0.02ナノ(ナノは10億分の1)に抑えられる。

 お焚き上げに出される守り袋や正月飾りなどには、ダイオキシンの発生源となる塩化ビニールなどの化学製品が使われている物も多いため、「このまま野焼きを続ければ空気を汚染し続けてしまう」と判断して導入に踏み切った。簡易型焼却炉には環境基準はないが、50kg以上焼却できる小型焼却炉の基準値5ナノ・g竿も大幅に下回るとあって、関係者は一安心。同神社の桜井重信権宮司(53)は「人間に有害なダイオキシンの発生をできるだけ少なくしていくのは、社会的な責任と考えた」と話している。また、この焼却炉を導入するまでは、耐火レンガを積んで作った焼却炉で燃やしていたが、煙が出るため、近隣から「洗濯物が汚れる」という苦情があった。新しい焼却炉にしたことで、その問題も解決したという。同神社には年末年始に5tトラック5台分以上の守り札やしめ縄などが納められたといい、そのお焚き上げに威力を発揮している。(読売新聞)

<行政実例・鹿児島県川辺町> 川辺町でダイオキシン無害化実験   (01.4.11)

 鹿児島県川辺町で行なったダイオキシン無害化実験で、土壌50kg(ダイオキシン480pg/g)について18回試験をしたところ、最高99.55%〜99.97%のダイオキシンを分解した。分解は方法は、土壌にナトリウム等金属と触媒を加え、攪拌・粉砕するもの。
 ⇒当該実験の事業主体について問い合わせたところ、「川辺町(亀甲俊博課長)、鹿児島大学、摂南大学(宮田秀明・薬学部教授)、ドイツ・ハノーバー大学(ベルジング名誉教授)、民間3事業者の協同実験です。」(回答:川辺町町民生活課)

<行政実例・千葉県君津市> 地質汚染を除去するノウハウを開発   (01.4.14)

 地質汚染(地下水汚染、地層汚染及び地下空気汚染の3種の汚染)を除去するノウハウを開発し、パテントをとって市の財源につなげる。と、いう。

0209、職務に関し過誤を前提に「修正」が出来る職場環境の制度的保証の確立

「行政無謬」(行政は過ちを犯さない)に基づく従来の行政理論から脱し、過ちを犯すべき存在であるとの認識から出発すべきである。同時に、体裁の為に事実を隠蔽し当然採るべき処理をしないというのは過誤を認めない風潮に問題があるからである。「修正」なり「リセット」がオープンに出来る職場環境を制度的に保証する。昇進のポイントを減点法から加点法に改める。(cf.松五郎のつぶやき「8」

⇒ 一方で突出したことを平気でやれる、且つ、そういうことを許す自由で個性を尊重する雰囲気、さらには知識、情報の創造を重要視する知的雰囲気が職場に形成されて行くことが中央集権時代の管理と効率の視点しか持たなかったか重要視されなかった自治システムから地方分権時代の自治システムへの脱皮となるであろう。

[ケーススタディ] 文京区役所の対応

 文京区で区立保育園のアスベスト撤去工事に関して保護者の間で区の対応について非難が噴出しているが問題は何処にあり、区はいかに対処すべきであったか。

@ 過去に危険が認識されていない頃に吹き付けられた「アスベストの撤去」という行政判断は間違いではない。

A 「アスベストの撤去」に際し飛散防止措置をとることを施行業者に指導すべきであった。(この点で指導したとする区側と、指導はなかったとする施行業者側の対立がある。)
危険性をきちんと認識しておれば区側としては、くどいほどに「指導」するであろうし、「アスベストの撤去」の工事の際は専門家をして立ち合わせるであろう。一方、施行業者も、プロの業者として入札に参加するならば事前に「アスベストの危険性」および関連法規について学習しておくべきであろう。どちらの言い分が正しいかは置くとして(そんなことは本来どうでもいい)、結果的に両者ともに「アスベスト」の危険性に対する認識がなかったか、甘かったのであろう。

B ここまでは、悪意ではない善意(不注意)の過失ないし過誤として、ありうることとして認めてもよかろう。問題はここからの区の対応である。「アスベストの撤去」が何故必要なのかの原点に立ち戻るべきであった。保育園児を「アスベストの被害」から守るにはどうすべきなのかの視点が欠落している。不適切な工事をしてしまったのなら、その工事の正当性などをあげつらう前に、それ以降の工事を専門家の意見を聞きながら被害が拡大しない方向、園児の保護者の不安を減少させる方向の対応こそがなされるべきであった。

C 区議会本会議での『職員を信じる』という区長の情緒的な発言は区長失格である。つまり、『職員を信じる』の裏返しは『区民を信じない』となるからである。もっと言えば、文京区役所全体に危険物質に関する危機管理意識が立ち遅れていたためと言わざるを得ない。問題を追及した議員にしても噴出した現象を批判することも大切であろうが、こうした危機管理の充実、過失ないし過誤のあとの区の対応について平素から提言していくべきであろう。

(cf.アスベストについて考えるホームページ)   (99.9.20)

0210、庁内に設置される特別委員会には役職よりも専門性を優先する。

各種対策委員会ないし推進委員会等の特別委員会の委員あるいは部会員は現行では各部の部課長が並ぶ傾向があるが、役職にかかわらず委員(職員)の専門性を優先する。

0211、地域振興部防災課の「総合危機管理部(仮称)」への格上げ (cf.07節)

防災課の役割を単なる地域振興の一環と考えるのは、危機管理対策(意識)の欠如である。
地震や風水害等の自然災害から火災、構築物の崩落、遺伝子組み替え食品(cf.0208)・水質汚染・土壌汚染の情報入手、ダイオキシン、PCB、アスベストなどの化学物質、いわゆる環境ホルモン(内分泌かく乱物質)など(cf.0801)のもろもろの危機から区民の安全を確保するため「部」に格上げする。
この「部」の部長職ないし課長職は専門性あるいは渉外性を必要とする職域であることからある程度の継続性を付与する。

 自然災害および責任を負う者のいない(無能力者の行為を含む)全ての非常事態に対する準備は本来、国の責務であろう。しかし、国の施策の不備を言いたてるだけでは"被災者(被害者)"は救われない。予防、救助、災害復旧、保険の各セクション毎に被災者(被害者)が被災前の生活に復するために「必要なものを必要なだけ」配布できるような準備をしておく。
保険は葛飾区が被保険者となって保険会社、再保険会社と契約(検討課題)

 本案はアメリカの”FEMA(Fedral Emergency Management Agency)”を念頭においている。FEMAは国家レベルのエイジェンシー(機関)であるから規模の面では及ぶべくもないが個々の考え方なり施策は学ぶべきものが多い。FEMAの代表のJ.L.Wittはメッセージの最後で "FEMA,works to reduce risks, strengthen support systems and help people and their communities prepair for and cope with disasters regardless of the cause."と述べる。つまり、FEMAは原因の如何に関わらず全ての災害に対処しようとするものであると言う。(cf.FEMA)

⇒自分が不幸にも責任を問う相手が存在しない、あるいは加害者が責任を果たし得ない被害を受けた時、行政(区)が面倒見てくれるという信頼感を持たれる施策の確立。

◆00.3.18 地下鉄サリン事件から5年、夫が犠牲になった高橋シズヱさん(53)は「国や東京都に多くの要望をしてきたが、唯一実現したのは警察庁による被害者へのアンケートだけ。」被害者救済の面で国や自治体の支給のないことを批判。(00.3.19 朝日新聞)

◆ 00.11.23 <参考記事> 生活安全協設置へ 江東区が条例案 都市型犯罪に対応

 ストーカーやピッキング盗など都市型犯罪の増加に対応するため、江東区は22日開会した定例区議会に、区民の防犯意識を高めるための「区生活安全対策協議会」の設置を目的とした条例案を提出した。
 可決されれば来年4月にも、青少年団体、女性団体、自治会、警察などの代表約20人による生活安全対策協議会を設置する。同種の条例制定は都内ては目黒、渋谷、豊島の各区に次いて4番目という。
 協議会は、防犯講習会、啓発活動を行ったり、防犯対策について区長に提言したりする。これまで地域の防犯活動は、主として警察が事務局を務める防犯協会が行ってきたが、よりきめ細かな活動を行うため、区や各種団体も参加した場を設けてほしいとの要望が、警察から区に寄せられたという。区総務課は「各種団体の連携を強め、幅広く区民の意識向上を図りたい」としている。(読売新聞朝刊)

⇒犯罪に対する防犯も、自然災害に対する備えも住民生活の安穏の保障という面からすれば同一延長線上にあるものである。

0212、企画担当セクションに「PFI推進室」を設置する

社会資本(インフラ)整備の経費節減・経営効率化のために民間の資金や経営方式を導入する。

【(*)WORDS】PFI=Private Finance Initiative/民間主導の社会資本整備

[例]@現在稼動中の施設であっても単に年間管理費のみだけでなく減価償却費も加味した維持費を計上し、場合によっては民間に委託する。Aプラン0407の事業

「PFI推進室」は総理府の「PFI推進室」および他の自治体等の「PFI」情報を入手し、導入可能な事業の計画を立案する。


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