「構想に問題があった」とハブが言っても74歩は羽生の往年の葛藤手。
だから羽生のやりたかったことは別の地点に読まないといけない。
谷川は察していたようである。よく見ている。
そして森内はそれだけを脳裏に焼きつけていた。
ひとつのことを信じる。
それだけのこと。

84飛から始まり、35歩も封じ手56歩も75歩も55角も寄せの43銀もすべてマシュダ一家実況通り。
森内。初の竜王位おめでとう。
見事な寄せ。
見事づくしの森内将棋。
緩手ひとつ折り交ぜたことも竜王位の艶にふさわしい。
あとは4タコを完遂するだけ。
今まで以上に精神集中が必要なのは第3局。
明日からが自己との勝負になる。
第3局でマシュダ一家4タコ軍団も燃え尽きるかもしれない。

第2局では我々が想定して実況に掲載せずに破棄した手がある。
羽生。気持ちはわかる。
それを指したことに実は心の中では敬意を表したい。
しかしその先の54角変化は昨日のマシュダ一家実況変化と同一なのである。
最後の55飛車切りは無論形作りとして最大限評価したいが、残念ながらそれ以外にはすでに手は皆無。
55角で投了すべきであった。
羽生。気持ちはわかる。
しかし44歩は逆行連動手に成り得なかった。
それはね、
棋王戦以来我々が夢に描いて夜も寝られない日々を過ごした変化。
気持ちはわかる。
いい戦いであった。
内藤は控え室の予想をすべて覆されたそうである。
そしてそれが珍しいことだと述べた。
名棋士内藤が言うから説得力がある。
その理由がわかるのは我々と羽生だけであろう。
孤独な内藤には我々が棋譜だけで理解しあっていることがわかるかもしれない。

対局日：2003/11/04(火) 9:18:01
先手：森内
後手：羽生

▲７六歩 ▽３四歩 ▲２六歩 ▽８四歩 ▲７八金 ▽３二金
▲２五歩 ▽８五歩 ▲２四歩 ▽同　歩 ▲同　飛 ▽８六歩
▲同　歩 ▽同　飛 ▲３四飛 ▽３三角 ▲３六飛 ▽２二銀
▲８七歩 ▽８四飛 ▲２六飛 ▽４一玉 ▲５八玉 ▽６二銀
▲３六歩 ▽５四歩 ▲４八銀 ▽５五歩 ▲６八銀 ▽７四歩
▲３五歩 ▽７三桂 ▲３八金 ▽５一金 ▲１六歩 ▽８五飛
▲３七桂 ▽４四角 ▲４六歩 ▽５六歩 ▲４四角 ▽同　歩
▲５六歩 ▽８六歩 ▲７七桂 ▽８四飛 ▲８六歩 ▽同　飛
▲８七歩 ▽２五歩 ▲２九飛 ▽８四飛 ▲４七銀 ▽７五歩
▲６六角 ▽５四飛 ▲７五角 ▽７四飛 ▲５七銀 ▽５四角
▲４五歩 ▽７六角 ▲６六角 ▽５三銀 ▲２三歩 ▽同　銀
▲２二歩 ▽同　金 ▲４四歩 ▽３二玉 ▲３六銀 ▽４四銀
▲４五歩 ▽３三銀 ▲５五角 ▽９四角 ▲７五歩 ▽同　飛
▲４四歩 ▽７六歩 ▲６六銀 ▽５五飛 ▲同　銀 ▽７七歩成
▲同　金 ▽５七歩 ▲４八玉 ▽２六桂 ▲２五桂 ▽５八歩成
▲同　玉 ▽３八桂成 ▲３三桂成 ▽同　金 ▲４三銀 ▽２二玉
▲３二飛 ▽同　金 ▲同銀成 ▽同　玉 ▲２三飛成 ▽同　玉
▲２四歩 ▽投了

103手で先手の勝ち

終局=午後6時40分
持ち時間各８時間
各消費時間　先手=7時間59分　後手=7時間37分

谷川の出番がないことを森内が自ら述べる手。これはすでに郷田の29飛ではない。連盟用語で「金持ちケンカせず」
羽生の腰抜けぶりを見て森内が完封体勢に入った証し。
これで次に羽生が76飛の歩の補充でも後手は相変らず不利なナンバー駒アタリ偶数番2となる。逃げれば先手の駒アタリ奇数番1が残るだけ。
あとは我々の出番もない。
せめて谷川の顔でも久しぶりに衛星放送でみたいものである。

86歩-同飛-87歩と余りにフツーに進んでいる。そして羽生は2分で25歩。
ここで76飛や飛車逃げでは話にならない。そこでなんとかカッコつけた25歩となる。これは我々の用語で駒アタリ偶数番2と呼び不利のナンバー。
わかりやすく羽生の用語を借用すると「苦し紛れ」

午前中に控え室が読んでいた56歩に替る45歩変化は内藤発見の36歩で先手負けというのが結論であった。テレビで解説されたこの手順はもし阿部の言うように36同飛だと確かに先手が負ける。そこに皆騙されているのである。我々はまず36飛などのような閉塞手は絶対にその局面で読まない。昨日述べたように桂馬は最初からサクリファイスであり、Ｕの特権維持が最優先となる。36飛では本譜の手順でもでてきた86歩（見えない駒アタリ奇数番予備の顕在化）からの直線変化で先手は後手から王手飛車を喰らうからである。
しかし本譜では飛車が36地点にいないために羽生は飛車を見捨てて87歩成が決行できなかった。ひとめダメな変化。80分読めば無理と確認するだけである。

羽生。王将戦の康光の苦悩を味わったか？
そのブランコ第2変奏は実際我々が昨日想定した手順と同じ。55角変化に行く前に後手オダブツと書いておいたろ？
そこで我々は単一ブランコに意味を与えようとしていた。
それが35角変化と共通している。即ち75歩。
違いは34飛-74飛の対鏡像大転換。しかしブランコ運動自体の原理は変わらない。81は75を誘う手。先に84は先受けだがすでに角交換している為に羽生は手数を延ばして森内の悪手を期待しているだけ。
森内。呆れるのは我々だけでよい。
谷川。今日は出番がなくて残念だったね。

おい羽生。それは昨日の変化。全部ここにだしてやろーか？
お前な。その手はマシュダ一家の軍門に下った手。
我々は81-84の単一ブランコまで作成していた。よくも竜王戦で見せてくれる。
貴様、それでも竜王か？

やはり歩が一枚足りないかね？

中原囲い攻略は楽しい。最弱点の43地点開放へのブチコミは最高に気分良い。清水&中井ママと3Ｐを楽しむ気分である。
森内は77桂に72分費やした。あとは殴りあいなので剣を磨く時間。
基本は簡単。片翼の天使は両翼の天使に蹴飛ばされるということである。
しかも頭上から銀が降っては銀河戦も裸足で逃げ出すであろう。
そういえば銀河戦優勝の康光は今日は何をしているのであろう？

森内見事な換算。この77桂は封じ手が35角の場合なら必勝変化であった。
今度は1手勝ちへの最終盤への芸当に換算されている。
谷川。喜べ。最強後継者がまた増えた。

羽生の86歩など怖くない。これを見て羽生指せると考える者は、ハブに相当痛めつけられた傷心の天使。傷心の羽では昇進はおろか昇天さえもできない。
我々はこの44手めの局面はすでに先手勝勢と考えている。
森内の56歩の緩手は谷川の緩手と同じように芸当と考えればよい。その方が美しい終盤が構築できるからである。
森内が見せる将棋を指していると考えればよい。羽生の56歩も森内の56歩もありきたりの手。しかもこの86歩はもっとありきたり。
なぜアリキタリ記念館となったのか？
それは彼らが故意に恋した病気のコイだからである。
谷川ならこの心情がわかるであろう。阿部が来たのがまずかった。
森内。優勢は動かない。終盤の彩度が換っただけ。
これを換算と読め。谷川戦で見せたろう？

損して得取れの典型。同じ歩を三枚駒台に乗せるのでも飛車の位置が違う。
羽生は84飛-54飛という地獄門第1変奏を放棄し地獄門定跡への回帰は不能であったはずが、ここで86飛-56飛という地獄門第2変奏へ逆行相転化することが可能となった。
問題はこれが逆行相転化なのか、すでに相転換なのかという解釈。これが相転換の範疇であれば森内は負ける。
そこで我々はこの飛車の鏡像形を逆行相転化の範疇で再構築している。
森内の風は南から吹き棋界最強の防御策を見せてくれるであろうか？

しばらく目を離すとこうなってしまう。桂馬はサクリファイスで使えと昨日書いたのに。対中原戦の裏筋は森内の風ではないということであろう。それが人間のサガ。むしろその風を楽しむことにしよう。
56歩は緩手。阿部の優しさが風に乗ってきたね。
指してしまったものは仕方ない。悪手を指すよりマシ。
フツーならトミーと同じ手では負けると怒り散らすところであるが、なぜか今日は好天である。天気が良い日は気分もよい。
ここでさらに1歩得するずうずうしさはまだマシである。中原は歩を三枚得すれば大駒とカナ駒交換でも指せると考えているほどである。
ここで寄せ形を築くには57地点の歩はむしろ切らせた方がよい。その為にわざわざ序盤で銀二枚の布陣を先手は敷いた。
しかし森内には敢行できなかった。
美味しい人間？
平たく言えばこれは羽生の呪いが復活したということ。
歩が三枚駒台に乗ると羽生は狼男に変身するのでね。
森内はここで基本を軽視した。即ち後手のＵの特権。飛車先歩を切れば常に見えない駒アタリ奇数番予備が終生年金のように保証される。86歩とあわせる十字飛車の筋。56歩と取ったことにより羽生が放棄したはずの地獄門定跡への逆行相転化を可能にしてしまった。

居飛車が最初の縦筋から攻撃する権利を我々はＵの柱の特権と呼ぶ。
これは角換り腰掛け銀における一連の考察ですでに述べた。
昨日羽生は54飛地獄門第1定跡を放棄しＵの特権に固執した。森内はすでに2筋に飛車が廻りすでにＵの特権に回帰している。後手は横歩取りで1歩損の替りにこの先手のＵの柱めぐりで手得をしたというのが横歩取りの基本。羽生は54飛が腰掛け銀の四辺形から千日手になりやすいことを知っている。だから躊躇した。この恥じらい自体は美しい。
そこで中庸74歩となりこの将棋はゆがみ始めたのである。
羽生が選択した84-85飛の単一ブランコ運動は昨日の考察通り。浦野はコレを昨日「独り時間差」などと言っていたがそれはバレーボールの用語である。谷川の悪影響であろう。しかし視点はマシュダ一家寄り。ロボトミーよりはるかにいい。谷川は今日は来るのであろうか？
Ｕの特権は常に居飛車の最強変化。しかし郷田のようにガンコに29飛ではドイタカコなのであった。
森内の現在の長考は昨日の羽生の葛藤と同じ質。 即ちＵの柱めぐり。

結局阿部は浦野と解説してもなぜ羽生が42手めに57歩成を決めなかったのか一切無視した。甘い証拠。
昨日は内藤の責任ではなかった。ＮＨＫのディレクターが内藤のヨタ話の間に対局室を映せばよかっただけ。しかしＮＨＫは大物ゲストに気を使ってそのようなことができない。だから放送に気を使うのは内藤自身である。それをこの大ダコは延々と富士山と琵琶湖ではどっちの容積が大きいかなどと話し始めたのであった。将棋解説で恥を晒したくないという漫談攻撃。アホのノリでは羽生には勝てない。羽生はもっと大アホのフリをするからである。
森内がここで長考する気持ちは我々と同じ。森内は右か左か昨晩考えていた。ところが羽生はそれを外して中央に視線を淀ませた。
森内。畏れることはない。それも羽生の惑わし。昨日の気を殺すな。

おいおい阿部。貴様の予想は25歩に訂正していた？
じゃあ西條は先ほどテレビで大嘘ついたことになる。
すると封じ手予想を的確に当てたのはマシュダ一家のみということになる。
我々は嘘のないＵＰ時間付なので嘘つき読売臨時軍団にマシュダ一家は勝ったということである。
25歩は我々も当然読むが羽生ならそれは後回し。
さて阿部は落ち込んだまま浦野と解説。25歩に29飛？それは郷田である。
内藤手順で36歩-同飛？
阿部は絶賛している。優しい。実は我々も昨日は内藤にアタマに来ていたので言いすぎてしまった。阿部は本当に優しい。その優しさを今日は阿部から貰いたい。しかしその優しさで連盟棋士は羽生にことごとく嘲笑され負けたのである。
阿部。貴様は甘すぎる。だから迷った挙げ句に封じ手は25歩だなどと結論する。

本当に来たか！（阿部が衛星放送に登場）

羽生は先に57歩成で王手をしなかった。トミー喜べ。初めて羽生の思考通りに富岡の手が当たった。と言うことは羽生はすでに負けを自認したということである。
これは羽生特有の悪手の連動手。なぜ羽生がこのようなことをするのか？
それはトミーの解説通りである。トミーは森内が56歩と手を戻すと解説している。そこで羽生は1歩のサクリファイスで手番を握ることができる。これが羽生の唯一の主張？
後手はすでに序盤で1歩損。しかも唯一の連動手は43地点開放により中原囲いの弱点露出。だからこれを逆行マイナス連動手にする以外に羽生に逆転のチャンスはない。それだけのことである。
阿部には我々同様56歩がひとめであった。（本日の衛星放送での読売記者の証言）
では阿部に聞こう。なぜ羽生は57歩成とここでできなかった？
それで羽生の歩が三枚駒台に乗る。
しかし阿部はいなかった。
そこで代りに答えよう。
羽生が先に57歩成としなかったのは、35歩を取れと恫喝して森内が昨日取らなかったようにこの歩も取らないと読んでいるからである。その換わりに森内が手番にこだわりここで疑問手を出すことを期待している。

森内のこの手は当然。これは同角と取った時にまず43地点が開放する。
これは中原囲いの最大の欠陥。ところが森内は中原の脅威の44角にこの地点開放から戦い竜王挑戦権を勝ち取った。そして竜王戦第1局は森内の35歩が34地点を開放するという逆行マイナス連動手となった。
羽生は丸山と森内の思考法を吸収したということである。

後手にはこの切り札しかない。
大方の予想が裏切られたって？
おい板倉。だから富岡を信用してはいけない。
羽生は結局中原囲いの44地点をブラックホールにするしかない。それは本家中原相手に森内が敢行している。棋王戦では丸山が見せた反地獄門の44歩。羽生は背水の陣を43地点開放に求めたということ。
富岡。56歩に驚いたって？
我々はこの手は10秒で結論。60秒で作図し一発で決定。
封じ手開封直前にＵＰした通り。
56歩は後手唯一の切り札。35角や23銀など羽生の手ではない。こんなことが富岡にわからないのであろうか？特に35角など問題外。こんな手を指せばすでに羽生は羽生ではなくロボトミーのタコである。

森内が46歩突いたからには切り札。
56歩後は先手から角交換後すぐに同歩ではなく先に57歩成。
36角の王手飛車が先手の46歩の欠陥。
25歩に36飛は54角。
これがふたつの大きな基本構図。飛車はＵで使用が双方最善。

富岡、貴様はタコ。84飛も予想できないのは仕方ないが有名な15角変化も知らないのでは解説も辞めた方が良い。しかも富岡の言う封じ手35角は羽生負け。55角変化までも行かないであろう。60手以内にカタがつく。
明日は浦野に委せろ。
すでに羽生は苦しい。だから攻め合える形を羽生は四苦八苦して作成するしかない局面。我々は検討し終えた。

森内見事。これで旧島研の呪いは消えた。
我々もなかなかいい変化がすでに作成できている。
衛星放送が楽しみである。
すでに森内必勝体勢。
第三相停滞は千日手の道であるが羽生はすでに選択できない。

さて我々はすでに先手からの寄せの構想をデザインし始めている。
桂馬はサクリファイスなのでね。
44角がなぜ惑わしか？
駒アタリ奇数番1を解消するのが羽生世代の第一思考だからである。
ところが先手は既に1歩得している。だからこのような駒アタリ奇数番1は存在しないと我々はまず考える。

丸山と同じ基本思考法。羽生は棋王戦で学んだね。
その反対側の64歩は自滅の道。56歩は殺されるだけ。
そこで44角しかない。
随分考えたね。
ここでグランドデザインを引き直す余裕はすでに後手にはない。
一度の躊躇は我慢か千日手しかない。
森内。だから85飛など相停滞手と言っただろ？
ところがこの44角は第2相停滞手とは呼べない。
駒アタリ奇数番1なのでね。
これだけが丸山と違う点。しかし惑わしなので怖くない。

35歩と連動する最強変化。
これは56歩から角交換後、角打ち+36歩の弱点を畏れない指し方。
56歩には同飛でよい。昨年の対丸山名人戦でも56飛変化があった。
14角打ち変化はすでに16歩が突いてあるので15歩が間に合い36歩の余裕はない。それでも羽生が行くなら16歩まで連動手となる。

森内は実践者なので当然この85飛変化をすべてここで再確認するであろう。彼にはこの85飛を相転化手としてすべて読み替える義務がある。
しかし我々は最初から相転化手として読まない。まるで怖くないのでね。
恫喝にひるんではいけない。
丸山の恫喝にひるんで負けにした屋敷はこれを見ているであろうか？

16歩が緩手かと言うとそうではない。ここで後手が14歩とブランコ運動に付き合うと先手がハッキリ優勢となる。そこで羽生は工夫を強いられる。
それがこの85飛。
我々はニヤけながらこの手を見る。
即ち森下が森内相手に散った地獄門第1変奏54飛を避けた為に生じた84飛-85飛という羽生の単一ブランコ運動。
これはＵの特権を維持する相停滞手と読むのがマシュダ一家。
モナドは好きかね？
モナカは我々も好きである。

31手めは46分思考したが我々の予想通り35歩。
そして34手めで手順は違うが既にNo: 3133に記したＮＨＫ杯準決勝と同じとなった。
血塗れの雛祭。
無論こんなものはイチイチ検索しない。最も鮮烈な記憶のひとつ。

そして問題の35手めに16歩！
ここから変わる。
対森下戦、対中田戦での16歩を思い出す。前者は森内が指して勝ち、後者は中田に森内が指されて昨年の竜王戦予選敗退となった。
ＮＨＫ杯戦で森内はここで35手めに77銀という趣向を見せたが、森内自身満足した手ではなかった。
この将棋における16歩は15角変化を消した手である。しかし我々はこれをブランコ前進運動と考える。
羽生はこれを無効にする展開を強いられることになるからである。

羽生が何を根拠に84飛としたかまだわからない諸君は昼食休憩でこれでも読むと良い。
最近我々が話題にした近未来将棋の対局。

羽生。我々はこの局面を見てすぐに思い出した。
森内。次に35歩をやるかね？
先手陣は右の金銀と左銀の位置が違う。
羽生はまったく同じ陣形。
あの日の戦いを我々はベストテレビ対局賞に選出している。なんども引用させていただいた。
羽生は37分も74歩に費やした。すでに先手有利。じっくり考えてごらん。

これが羽生の中庸の概念。
右金は51か52かをまだ選択しない。ここで54飛はあとで74歩の継続手の際に飛車を狙撃されるかもしれない。そこで先に74歩を突く。いずれの変化も73桂を跳ねることになるからである。
ところがこの74歩は森内の初手76歩に対応するブランコ後進運動と解釈できる。すると84飛はＵの特権を維持したことにより74歩自体がトリプル手として成立する可能性がある。
ここで確実な論理はブランコ運動のみ。この手を駒アタリ予備に加算しては羽生不利だからである。

羽生は1年前のベリーダンスを思い出したであろう。
あの横歩取りは竜王戦で阿部相手の実質第3局めの戦い。2回の千日手がいずれも無効試合となり第1局として後日指し直しとなった。
羽生は序盤で森内「無手勝流」をあの日示し、今日は家元相手に84飛は最強応手。森内87歩に対して84飛は地獄門への第1変化。手順の範疇で最も無駄がない。
この将棋は最短手順による羽生の地獄門開帳がすべて。
森内は1歩得を徹底的に主張し羽生は舞う。
現在29手め68銀まで。

さすが羽生。19分で敢行。
これで我々も気が漲る。
20分ほど前に富岡が8割方85飛だろうと衛星放送で述べていたが、コイツは王座戦最終局でも羽生が8割勝ちと述べた万年顔面神経痛男。万年補欠である為に永遠マークが立ったままである。∞＞8
羽生が最強であることが富岡にとって自分の価値となる。

ここで85飛ならば羽生は竜王位を失う。

貴様等は琵琶湖で物見遊山か？

ナイクニ「大山さんはイヤラシー勝負師。番外作戦も強い」
紫綬褒章は貴様には無理。もう帰ってほしい。小田と酒でも飲んでろ。
今この二人が指した二手は大変なテンションである。勝敗が決するほどの気をここで感じない者は立会人の資格さえない。
内藤は今回が初めての竜王戦立会人であるが、これで最後であろう。

富岡はここで33桂という手もあると言う。森内は33桂を指すこともあるが羽生はタイトル戦ではやらない。
問題は後手が85飛か84飛かということである。
森内は挑戦者決定戦最終局で中原相手に84飛を敢行し挑戦権を獲得している。内藤は羽生が85飛だろうと言う。我々は昨年85飛は再び84飛に逆行すると言っている。森内がそれを真っ先に示し竜王位を狙っていたことを確認したらよい。あれは今年最高の対局であった。

34歩を取れないのは「気合い負け」と言う富岡には生涯羽生も森内も理解できないであろう。
なぜ羽生は横歩取りを目指す12手めの86歩に12分以上も思考したか？
これはテンポ設定を調整する合間だからである。

左手で額を支えて羽生は考えている。
23歩と打つ可能性があるこの11手めの局面で思考する場合は予言行為。

理由は簡単。振っては勝てない。矢倉や角換り腰掛け銀でも勝てない。そこで勝つ確立が最も高いのは横歩取りしかないのである。

オタクラ「絶好調ですが」
森内「マーそーですねー。コンディションの維持が最重要です」
オタクラ「戦形は？」
森内「後手のブーハまかせ」

板倉「戦形予想は？」
羽生「マーそーですねー、私自身も予想はつきにくいんですが、明日は後手番ですし」
板倉「調子悪い？」
羽生「マーそーですねーって言わせる気？」

第1局で羽生は赤いザブトンを嫌って紺に替えた。
今日の森内の着物は彩度を落とした紺。
ひどいＮＨＫの衛星中継。板倉アナと富岡の責任であろう。
横歩取りとなろうとしているが第2手めが不明。

マシュダ一家実況開始以来これほど均衡の取れた初手は初めて見る。

第2局 滋賀県・長浜市「浜湖月」
立ち会い=内藤國雄&浦野真彦

森内は今回の旅程は完全別行動。
長浜駅での花束贈呈式には先に現地入り後、単独で駅に戻る。
ナマハゲは昨晩内藤と死ぬほど飲んだ。
内藤「ワシもー紫綬褒章もらえんね？」
小田「無理です」

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