---スペイン語映画のお楽しみ。---

9 マヌエル・ゴメス・ペレイラ監督
スカートの奥で
Between your legs

両足のあいだ

1999年
115分
レンタルビデオ
OnlyHearts.co.,Ltd

(日本語字幕)
OH00-1213
(日本語吹替)
OH00−1214

スプラッター度
なし

ラブシーン過激度
@@ R指定


ビクトリア・アブリル
(ミランダ:ラジオ番組の電話応対係)

ハビエル・バルデム
(ハビエル:映画の脚本家)

カルメロ・ゴメス
(刑事:ミランダの夫)

カルメン・バラゲ
(空港の謎の女)

*やはり、スペイン映画は濃ゆい。冒頭から、脇役の個性からガンガンアピールしてきます。映画が3本くらい作れそうなサイドストーリーたっぷりな脚本で、きっちり完結へと走っていきます。犯罪に巻き込まれた映画の脚本家の不倫もの。でも、ユーモアもあって、お巡りさんが爆弾があるらしい不審車を調べるのをためらう場面なんか、長閑な警察という感じで笑える。今のマドリッドの街の風景が興味深いです。80年代のスペイン映画と比べて、すごくビジネスタウンになった感じ。主役3人は貫禄十分で、刑事と容疑者としての会話と、ミランダを愛する2人の男としての対決がスリリング!ハビエル・バルデムさんは「ハモンハモン」の豚男から「ライブ・フレッシュ」のクールな刑事を経て、ビジネスで成功している余裕の脚本家を演じています。30代なのに、すごく落ち着いた感じに見える。カルメロ・ゴメスさんは時々アンディ・ガルシアにそっくりで、でも、彼よりも演技派だなあ。ビクトリア・アブリルさんは40才を過ぎてもやはり妖精のよう。自分の欲望に素直に生きる女がぴったりです。犯人が一体いつ殺人を行ったのか、そのあとどんなセリフをどんなふうに言っていたのか、シャツの色をたよりに見直してみるのも面白いです。お勧め映画です。
***あらすじ***
セックス依存症の会でハビエルはミランダに出逢う。彼は空港で出逢った謎の女との会話を知らないうちに録音され、それは盗聴テープとして街で売られていた。恨みを持つ者の復讐か、、ミランダとハビエルのまわりで、殺人事件の捜査が始まる。
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8 アレハンドロ アメナーバル監督
オープン・ユア・アイズ
Able los Ojos

目をあけて

1997年
117分
DVD

PCBG-00102

スプラッター度:なし

ラブシーン過激度:@


エドアルド・ノリエガ(セサル:裕福で美貌の青年)
ペネロペ・クルス(ソフィア:ペラーヨの彼女)
フェレ・マルチネス(ペラーヨ:セサルの友達)
チェテ・レーラ(アントニオ:精神科医)
ナイワ・ニムリ(ヌーリア:セサルの女友達)
*この映画評に「主要登場人物の誰にも共感が出来ず、感情移入できない」というのがありましたが、そのとうりです。2回目もしみじみ見てみます。こんな節操の無い女は居ないぞ〜、優柔不断な親友?友達やめちまえ〜。そのとうりです。シナリオどうり、監督の思うつぼです。
で、最終場面に押し寄せる感動!!ああ、人間って、なんて不思議なものなの、、。
アメリカ人の「魔法使い」が主人公に問いかける質問に、私たちはなんと答えたらよいのでしょう。

他人から見ると幸せそうに見えるけど、本人は寂しい思いをして暮らしている、そんな人がいます。気持ちの持ちようで、人生をもっと楽しめるのに。なぜ、自分で辛い人生に浸ってしまうのか。「私たちは舞台を用意した。君の思うままに物語は進むはずだ。彼女は自分のものになる。顔も元どうりだ。それなのに、なぜ、悪夢を見ようとするのか。」

この主人公は金持ちの美男子。で、自動車事故で顔が「オペラ座の怪人」みたいになる。それですっごく自分の顔にこだわってます。たしかに可愛そうだけど、彼、性格悪いから同情できない、、。そういう不満をそのまま持って最終場面になだれ込むおもしろさ。だって、結局、顔の映画じゃないんだもん。

スペインの画家ダリの描く、きれいな青い空が最終場面の主役です。
私は自分が死ぬとき、この場面を思い出して死のうと思いましたよ。「一瞬、自分の人生が走馬灯のように思い出されて、、」なんて、嘘ですよね。そんなヒマはない。この一場面だけで私は結構。白絵の具がいっぱい入った水色の空と雲。新潟市の空です。むこうに在るはずの日本海とアカシア並木、松林。倒れてる自分のほっぺをコンクリートが押し付けてくる。ここは女子高の屋上。鎌倉の由比ヶ浜からふいて来る5月のあったかい風。あそこに家族が私を見ていて、友達もいて、死んだはずの人も笑ってる。そういう自分の満足できるイネージとしての最終シーンがインプットできて、自分の死の準備がひとつできただけでも、すごい満足です。


「Open your eyes は我々を『人間の心』というもっとも恐ろしい迷宮の罠に閉じ込める。」ヴィンセント・ナセリ
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7 アレハンドロ アメナーバル監督
テシス〜次に私が殺される〜
Tesis

修士論文

1995年
124分
DVD

PCBX-00073

スプラッター度:XXX 
ラブシーン過激度:なし
アナ・トレント(アンヘラ)
フェレ・マルチネス(チェマ)
エドアルド・ノリエガ(ボスコ)
*ジョニー・デップの「ブレイブ」やジョエル・シューマーカーの「8mm.」と比べると"殺人映像"を扱った映画では出色の出来だと思います。ほとんど「スクリーム」の軽いタッチが後味を悪くしない秘結です。
特にチェマ君のキャラクターが最高。ポルノと日本のアニメとスプラッターに囲まれた魔窟なお部屋で、アンヘラの隠し撮り映像が見つかっちゃうシーンとか、「警察は俺のような人間を絶対信用しない。」と怯えるシーンとか。そうだろうなあ、、という、いかにもなマニアックさが共感をよぶのでした。29歳の「みつばちのささやき」のアナちゃんも、「オープン ユア アイズ」のノリエガ君も存在感たっぷりですが、ここはひとつ、フェレ・マルチネス君を楽しむ映画ということで。
後半場面、映画学校の図書室奥の暗い通路で、怖がるアンヘラがチェマにしがみつくシーン、真っ暗で見えないんだけど、会話だけの滑稽でロマンチックなシーン、好きです。あと、最終場面で、スペインのTVのド迫力な美人キャスターが出てくるあたり、病院のおじいちゃん達が固唾を飲んでTVに見入ってるところなんかは、「近ごろの若いもんにしては、なかなか感心感心、、」とほめてあげなきゃならないとこでしょう。私としては無責任な「スクリーム」も結構好きだったりしますが。
***あらすじ***
映画学校の学生アンヘラは、卒業論文の題材を、映像に写し取られた暴力に決めた。ところが担当の教師が図書室の奥にあったビデオを見て、心臓マヒをおこし死んでしまう。そのビデオは数年前に失踪した学生の殺人映像だった。アンヘラはカルトな映像蒐集家の学生チェマに協力を求め、失踪した学生の恋人ボスコを疑う。犯人はボスコなのか、、
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5 ビンセンテ・アランダ監督
危険な欲望
INTRUSO

侵入者

1992年
83分
レンタルビデオ

APVR-0068

スプラッター度:なし
ラブシーン過激度:@@
ビクトリア・アブリル(ルイサ:ラミロの妻)
イマノル・アリアス(アンヘル:ルイサの元の夫)
アントニオ・バレロ(ラミロ:裕福な歯科医)
アリシア・ロサス(アンヘラ:ルイサの娘)
カルロス・モレノ(ラミリン:ルイサの息子)
ビクトリア・アブルルさんの一人勝な映画です。3人で暮らしたいという彼女の気持ちが今一つ掴めなくとも、アンヘルの心象風景がなんか分かりにくくても、とりあえず、OK。日本語吹き替え版があったらきっと、そういうわかり辛さも解消するのでしょう。ものすごく寒そうな海岸通りと灰色の空が、こういうスペインもあるんだなあと、、。バスク地方の海でしょうか、それとも冬のバルセロナでしょうか、、。ペレダ通りってどこだ?知りたいなあ。死に向かうアンヘルと心がつらいルイサの、暗ーい映画を二人の子供が柔らげています。
でもこういう「2人の男と私」というテーマはやっぱり女に受けるよね。「ライブ フレッシュ」とか「ハモンハモン」も。いわゆる女性映画?それで夫達の影が薄いのかなあ、、。
***あらすじ***
ルイサはペレダ通りで、すっかり貧しい身なりをした元夫アンヘルを見つける。10年前、彼はベネズエラに渡り成功したはずだった。子供の頃からラミロとアンヘルと3人で過ごし、二人と結婚することが理想だったルイサは彼を家に迎え、夫と3人の微妙な生活が始まる。敵意をもつラミロとアンヘル。ラミロは彼を追出そうとするが、アンヘルは膵臓炎の末期患者だった。
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6 ビンセンテ・アランダ監督
リベルタリアス
〜自由への道〜
LIBERTARIAS

絶対自由主義の女達

1996年
**分
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スプラッター度:XXX
ラブシーン過激度:@
アナ・ベレン(ピラール 女性兵士)
ビクトリア・アブリル(フローレン 元本屋の女性兵士。)
アリアドナ・ヒル(元尼僧。ピラールに救われる。)
ロレス・レオン(チャロ 元娼婦の女性兵士)
ホルヘ・サンス(父と一緒に戦う兵士)
ホセ・サンチョ(元工員の兵士)
*ケン・ローチ監督の「大地と自由」が、お向かいのイギリスから見た、憧憬に満ちた思い入れ過多なスペイン市民戦争なのに対し、こちらは真只中、フランコ大好き派も抱えた現在の新生スペインで作るスペイン市民戦争もの。それだけに、アナーキストの女達が主人公とは言え、様々な配慮の効いた現代の映画です。

殺された司祭を見て「なぜ殺すの?」という問いに、「誰かが償いをするの」と答えるピラール。そのことについてはあまり考えないんだという「兵士」としての彼女は、やがて惨たらしく死を迎えることになります。前半のコミカルな展開と後半の息苦しい場面の対比が、あまりにも鮮やかで、思い出として他者が語るセンチメンタルな市民戦争と、それを生き抜いて現在も抱えているスペインのおじいちゃん、おばあちゃんの思いの落差に、想い到るわけです。実際、フランコ側に立った人たちの方が圧倒的に多く存命しているのでしょうから、終わりの方の場面でフランコと思われる優しげな将軍がマリを救う場面があっても失笑などしてはいけない、当然な配慮なのです。残酷なのはモロッコの傭兵たち自身で将軍には罪はない、、で、右側も左側も両方に配慮しながら、ではその主幹はと言うと。

一つは戦争という惨い現実、もう一つは自由を求めて生きた無名の人々の記憶、特にフェミニズムから見た市民戦争です。この視点があるから、この映画は単に歴史再現ドラマではなく、90年代の映画として秀逸だと思うのです。 

女性は武器を置いて女性らしく革命を支えようという論者に対して、ピラールが噛みつくシーン、武器を取ったから男と同じ権利が手に入ったんだ、私は今嬉しくてしかたがない、もう、以前の「家庭にいる女」には戻らない、という叫びに今のスペイン女性が共感を持つのは当然です。(まあ、でも、そのままいけば、男も女も深夜勤務の企業戦士になっちゃうわけで、シエスタのあるスペインこそ、残しておいてほしいな、、とか、、)

自由を謳歌する「ふしだら」といわれた女性兵士たちは、組織的軍隊に組み込まれるのを拒否した兵士達といっしょに捨てられて、滅びていきます。最後まで生き延びるマリは、、修道院で育ち、誰かにすがって命令に従順に生きてきた彼女は、聖書をバクーニンに持ち替えても、その生きる姿勢を変えることができませんでした。 「教会」「アナーキスト」「フランコ将軍」と目まぐるしく変わる時勢を、流されるままに見つめてきた彼女の視線は、私達「ふつうの市民」のものです。彼女の姿はちょうど映画「禁じられた遊び」の少女のように、その最終場面のように、後ろを向いて痛々しく、うろたえた迷子の姿をしています。

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4 ビンセンテ・アランダ監督
ボルテージ
Aventis
Si te dicen que cai

たとえ私が死んだと彼等が君に言ったとしても...

1989年
110分
--

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スプラッター度:X
ラブシーン過激度:@@@
ビクトリア・アブリル(金髪の娼婦とオウロラ・ニンの二役。)
ホルヘ・サンス(ハバ 兄を密告した青年。成功した宝石商。)
アントニオ・バンデラス(マルコス ハバの兄。市民戦争時代のPOUMの幹部。)
ハビエル・グルチャガ(コンラド 金持ちの息子)
1940年、フランコの独裁が始まって1年目。内戦のときにお隣どうし親戚同士で戦った事が人々の心に大きな不信の傷を残していた。当時の共和国政府に関係した者は誰かの密告によって次々とつかまり殺されていく。たとえばハバの家でも、家族の数より夕飯の皿の数が1枚多い。ネコのエサだとハバは言うけど、家族を密告しないように神父を監禁し続けているのかもしれない。そんな子供たちの間のウワサ話しを大人たちはアベンティ(危険なほら話)という。「うちがロシアの飛行士を匿ってるって?まったく、近ごろの子供の流行は!」というのだ。誘拐、拷問ごっこもある。不発弾の上でキモだめしをする子もいる。大人たちの不安な生活は、子供の目にもはっきりみてとれるのだ。

ハバの家は廃品回収業で、古布からフェルトを作っている。彼はまだ10代だけど家計を支えている。今日はお得意さんのコンラドに娼婦と遊ぶところを覗かせて稼ぐ。始めて出会った娼婦ラモナは大きなお腹をしていた。

金持ち息子のコンラドは孤児院の経営もしていて、復活祭の学校劇を演出していた。悪魔役が花火の放火でヤケドをしたので、ハバは代役をもらいに来た。金にもなるし相手役はかわいい孤児のフゲニャだ。彼女の家族は内戦の時に教会に放火をした。彼女もその場にいたとわかれば殺されるだろう。

ハバにはマルコスという兄がいる。共和政府の時にこの地区の指導者だった。今は統一社会党とファランフェ党両方から命を狙われている。恋人はアウロラ・ニン。孤児院の院長で、コンラドの家のメイドをしていた。マルコスとアウロラはコンラドの部屋を留守中に使ったことがあり、それをコンラドに覗かれてしまった。彼を半身不髄にしたのは、多分マルコスだ。そのためアウロラはコンラドに乳首を切られてしまう。

人民戦線内閣ができてすぐ、力を得たマルコスはコンラドを逮捕しようとする。彼の母を呼び出したが息子の居場所は白状しない。部下のルイスはその父を捕えてアウロラの前で射殺した。その後社会は一変し、ファランヘ党独裁時代に入り、コンラドの母は夫を殺したマルコスとアウロラを探し続けている。何かと優しげにハバの家にやってきてはマルコスの所在を探っている。密告して殺すためだ。

ハバは傷のある娼婦ラモナが忘れられない。聞き回り待ち伏せて出会うと、彼女は隠れるように町を歩く女だった。性病持ちの汚れた娼婦、しかし会うたびにわかってくる。彼女がアウロラだ。マルコスが恋こがれていたアウロラだ。マルコスを愛した頃そのままに今も兄を思っている。そうわかったときに、ハバは彼女を兄の所へつれていき、その足でファランヘ党本部に向かう。兄の居場所を教え、兄と彼女を殺すためだ。

このハバとアウロラのお話しの他に、内戦で傷ついた人達のお話しが重なっていく。たとえば、4人のテロリストの話。パエリャ鍋をかこんで昔を懐かしんでも絶望的な今をどうすることもできない。かつてのマルコス のなかまは今では暗殺をし金品を盗む強盗に落ちている。標的は軍人あいての金髪の娼婦、密売人の女。

たとえば、フゲニャとハバの恋。コンラドに奉仕することで生き存えている少女と男娼の恋。10代の恋人というには痛々しい。

たとえば、刑務所から帰ってきた父ルイスを迎えるときの息子ルイスの顔。父が戦ってきた間、母と息子もまた生きるために戦わざるを得ない。喜ぶ顔のなかに父を裏切ってきた共犯者の表情があるのがいかにも辛い。父もまた誰かを密告することで保釈になったに違いなく、迎えるご近所も疑心暗鬼だ。一人一人が生きるために秘密をかかえている。

1970年、ハバとファニートの死体に、偶然にパラウが解剖室で出会うという所から始まるこの回想劇は、現代のバルセロナでラストシーンを迎える。パラウも、もう老人。内戦の頃を語る友達も少なくなっている。マルコスとアウロラの、時代に負けなかった愛だけが、あの絶望の時代の光だった。友が言う。「マルコスはまだどっかで生きていると言うよ。」「バカな。不発弾でこっぱ微塵だったじゃないか。」「いや、アウロラと二人で物乞いをしていたというよ。」それはもう、伝説になっている。現代のバルセロナ、ランブラス通りはかつての市街戦が幻のように日に輝いて海に開けている。


**** 参考 ****

『1937年6月1日、POUMの議長でカタルーニャ政府法務大臣のアンドレス・ニンがソ連共産党に逮捕される。「ニンはいずこへ?」という運動がスペイン内外に起こった。20日、ニンは殺害され、その死体はマドリッドの路上に捨てられた。』

--図説 スペインの歴史--
川成 洋
河出書房新社

映画のなかで2回ほど彼の名前がマルコスの口から出る。アウロラはこのアンドレス・ニンの姪になっている。「ニンはいずこへ?」が、兄の恋人アウロラを探すハバの姿に重なっている。

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3 ペドロ・アルモドバル監督
アタメ
〜私をしばって!〜

Tie me Up !Tie me Doun!


!ATAME!

あなたが私を縛るなんて!

1988年
102分
VHS

KF-0041

スプラッター度:なし
ラブシーン過激度:@@@
アントニオ・バンデラス(リッキー)

ビクトリア・アブリル(マリーナ)

ロレス・レオン(ローラ:マリーナの姉)

フランシスコ・ラバル(マキシモ)

***あらすじ***
*物心がついたばかりの頃に両親を失い、25才まで精神病院で育った青年リッキー。彼の精神構造はどうなっている?住む場所もあるし、友だちの患者もいる。器用で病院内では重宝されている働き者で、手に職もある。時々病気のフリをするのは面倒だけど、看護婦さんには大モテだから、彼女いない暦は0日。夜は自由に「脱走」してバルに行き、真面目に自分のベッドに戻ってくる。そんな彼がある晩、ポルノ女優のマリーナに恋をした。そしてそして、1年かけて病気の「治癒」を医者と市長に証明し、女性職員全員に惜しまれて退院し、、、。映画はここから始まる。

リッキーはマリーナを探し、プロポーズし、子供を育てて家族を持ちたいと切に願っている。これは、ボーイ ミーツ ガールの青春の恋愛物語りじゃない。むしろ、スペインらしい家族愛の物語だ。いわゆる、おたく青年のストーカー事件とはちょっとちがうのは、彼が社交的で経験豊富、マリーナに求めているのが「家族になること」だからだ。恋人として彼女を狙うのは、車椅子の映画監督さん。マリーナは両人とも、眼中にないんだけれど。さて、彼の計画はうまくいかない。「叫び出す患者には実力行使」「説得しても逃げようとする患者はベットに縛る」彼の常識が「病院」以外では通じない。傷心のリッキーは、どうする?


誘拐の被害者が犯罪者に心理的に囚われてしまう、というのは心理学でも事例としてあるように、痛々しい犯罪の傷なんですが、ここのマリーナは百戦錬磨の女優さん。監督のセクハラも上手にかわしてリッキーなんて子供扱い。でも、家族を作って幸せになりたいっていうリッキーの気持ちが伝わってきて、、。言葉少ななリッキーが、だんだんしおらしく見えるから不思議です。
TV のコマーシャル「ドイツ人は16才から老後を考えるが、、」というのが最高!リッキーは老後を考えてるけど、マリーナは考えてなかったのね。
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2 ペドロ・アルモドバル監督
ライブ フレッシュ

Live Fresh


Carne Tremura

引き攣る肉

1997年
101分
VHS

JHF-0417

スプラッター度:X
ラブシーン過激度:@@@
リベルト・ラバル(ビクトル:刑を終えた青年)

ハビエル・バルデム(ダビド:元刑事。エレナの夫)

フランチェスカ・ネリ(エレナ:イタリア領事の娘)

アンヘラ・モリーナ(クララ)

ホセ・サンチョ(サンチョ:ダビドの元同僚の刑事)

* 英国推理作家協会賞の「引き攣る肉」ルース・レンデル著(角川文庫刊)の映画化。しかし、ロンドンをマドリッドに代え、ビクターとデイビッドの関係を残して、あとは全くの別の物語りになっている。最初から最後まで、この映画の暗い面を一身に体現しているサンチョとその妻の関係が、ただのバイストーリーではなく伏線になっていて、だからこそダビドの強力な個性が光っている。かれはただの被害者ではない、という造型がいい。原作にある「"亀"のトラウマ」を捨てて、純粋に「男と女の愛」にテーマを置いたところ。ルース・レンデルの陰鬱さを吹き消して、ビクトルの再出発に話をまとめたところ。バルセロナのパラリンピックの明るさ、車椅子のダビドの強肩さが、すばらしい。アルモドバルの今までの映画とはかなり肌合いの違う、真直ぐなエンタティメント純愛映画になっている。
特に、サンチョが死んだ妻の手をとり、銃をビクトルに向けるシーン、二人の結婚指輪が重なって銃の向こうに見えるシーンは、まるで歌舞伎の見栄を切った瞬間のような様式美があり、息を飲む。
***あらすじ***
*戒厳令の夜にうまれたビクトルは刑事を銃で撃った罪で服役する。4年の刑を終えた彼は偶然エレナに出逢い、付きまといはじめる。彼女の夫になった半身不髄の元刑事ダビドはビクトルの行動を監視し、彼がサンチョの妻と会っている事を知るが、、。意外な人物から事件の真相が明らかにされる、、、。

〜〜〜INDEX もくじ〜〜〜

下の映画名を選んで下さい。
*****スペイン映画*****
惨劇の週末+パズル
死んでしまったら私のことなんか誰も話さない
スカートの奥で+オープン・ユア・アイズ
テシス〜次に私が殺される〜+リベルタリアス+危険な欲望
ボルテージ+アタメ+ライブフレッシュ+ベルエポック
****キューバ映画****
苺とチョコレート
****ボリビア映画****
地下の民+鳥の歌
***メキシコ映画***
アントニエッタ
**ベネズエラ映画**
テラノバ
*イギリス映画+米国映画*
大地と自由+ことのおわり+あなたにあいたくて
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Lastmodiffied:30/Oct/2000
CreatedBy
Etsuko