shougiとは象徴遊戯。
幾つもの象徴遊戯が生まれては死に、最後は将棋と言う形になって残った。
千年以上に渡りいったいどれほど多くのヒトがこの象徴遊戯に熱狂したことであろう。
盤上に見るものは人生などではない。
そこに観るものは死生。

自玉を生かすために香車を殺すのが将棋。
全体を生かすために弱者を生かすのが人。
彼女をイカスために自我を殺すのが彼氏。
あの象徴遊戯では死生が絶えず入れ換る。

捨てる神あれば救う神あり。
神は己自身が宿す。
あの飲んだくれの肉体にさえ60兆の細胞が日々踊る。
この数は決して減らない。

あの戦艦は天地が裂けても沈まないと誰もが信じていた。
無数の死が折り重なると海底の藻くずさえ蘇る。
戦艦大和は模型として戦後子供の憧憬となった。
最後は宇宙戦艦となって次世代の子も熱狂させた。

名人戦第2局で横歩取り中座飛車の終着駅35同飛が森内に封印された。
誰かが負けてそれを次の者が改良する。
この駅にたどり着くまでに多くの定跡が死んでいる。
もともと定跡とは死体の山であった。

谷川が駒を持つと深浦さえ輝く。
谷川の駒は熱い。
深浦のシケモクが消えた頃、谷川光速ノート50がＵＰされた。どうして谷川には当家の気持ちがわかるのであろう。いつもグッドタイミング。
第49回人間将棋。凄い名前。全ての駒を動かすことが鉄則。
全駒駆使は谷川自身、千六百数十局の公式戦で殆ど記憶がないと言う。2004.03.14NHK杯準決勝の対久保戦が谷川初の全駒駆使だったのであろう。
あの日の229手は谷川の最長手数記録になったと自身で振りかえっている。
あのような熱戦には当家とて子供のように熱中している。
257手に及ぶ羽生阿部戦もそうであった。
折しも一昨日「熱い系譜横歩取り2002　20の練習局」をＵＰし当時を回想していた。

合計52で星は輝き、爆発し、そして昨日硝煙を残して消えた。
横歩取りで200手を越える戦いが期待できるであろうか？

「横歩取り32の変奏局」をＵＰした時に何か感じるものがあった。
まったく同じ日に名人戦第2局で中座飛車は終焉を迎えた。
星の消え行く様をリアルタイムでみた瞬間であった。
羽生の横歩取りへの執着は昔から凄まじい。村山は命を落とした。
再び羽生に火を付けたのは丸山であった。横歩取り総本山は丸山。
35歩を同飛と取らずに73桂とすると2004.03.07NHK杯準決勝羽生VS丸山になる。
丸山自身が中座飛車の終焉を真っ先に感じた瞬間に天から降ってきたあの日の42金変化は夢。
35歩は2003.01.15&16王将戦第1局解説で森下が同歩と取りにくいと述べていた時、当家のみが取るべきと実況。
そして取る変化に森内が今週終止符を打った。
羽生同様横歩取りに命を燃やした渡辺明。
死が新たな生命を生む。

4月23日に20歳の誕生日を迎えたばかりの渡辺明はすでにパパになっていた。ママは伊奈祐介の妹めぐみ様。8月出産予定。
昨年の王座戦の頃は19歳で中出ししまくっていたと日経リポートが暴いている。
出産前に入籍するというのは合理的。妊娠してから結婚という手筋が最も手堅い。結婚しても子供ができない夫婦は寂しい限り。
昨年の王座戦は素晴らしい戦い。特に73歩は忘れ難い。全ての連盟棋士にけなされたあの手に当家は最も胸を打たれた。
羽生の棋譜が語る祝福は14年間待ったアモルフォの花。
何か霊感を感じたのであろう。