タニーとハブたんの幻想対談
第4回「言葉と意思」
2003.05.30


ハブたん「谷川さんが控え室にいると時々マシュダ一家さんからリクエストがきていましたね?」
タニー「どんなのがありましたか?」
ハブたん「ここらで谷川が一言わねばなるまい、とか(笑い)」
タニー「ああ、ええ、ええ」
ハブたん「そこで谷川コメントがネットに流され拍手喝采に(笑い)」
タニー「でも羽生さんの手に驚かんでくれーというシビアな返事もありましたけれど」
ハブたん「王座戦での桂打でしたか」
タニー「私があそこで羽生さんがなぜ歩を打たないのかと言ったとたんに速攻でアレでしたから、こちらも控え室で必死でした(苦笑)」
ハブたん「王座戦ではなんか凄いこと書いてありましたね」
タニー「まあなんとかあの棋戦は無事におわったようで(苦笑)」
ハブたん「見逃してくれたんでしょうか(爆笑)」
タニー「マシュダ一家さんは新聞社のサービスにはすごく好意的ですね」
ハブたん「ええ。朝日、日経、産経など充実したサイトですし、棋譜提供でも相当なファンサービスをしていますから、そー言う所はきちんとごらんのようで。でも記者の怠慢記事はあからさまに非難されていますね」
タニー「毎日さんは一度A級順位戦2002.2.7の全棋譜を探りで送ったらしいんですけど、その翌日にマシュダ一家さんはあっと言う間に分析解説をUPして驚いたそうですね。4局分でしたか。青野三浦戦だけはなぜか外してあるんですが(笑い)。それにしてもよくこれだけすぐに書けるものと(笑い)。一大曼陀羅都市など圧倒されますね」
ハブたん「漆黒の海が魂をえぐり取るような内容でしたでしょ。しかもいとも簡単にあんなことを書き連ねているんです。それで様子見で送ったらしいんですが、今度は速攻もさることながら漆黒の海を凌ぐあまりに高度な内容に逆に背筋が凍りついたとか(爆笑)」
タニー「Kさんも相当な影響を受けてましたね」
ハブたん「でも周囲が畏れすぎて逆にマシュダ一家さんは完全に抹殺されました(苦笑)。何も見なかったことにしようと(爆笑)」
タニー「おかげで名人戦はおろかその後の竜王戦まで修羅場になりましたか(笑い)」
ハブたん「マシュダ一家さんのおかげで佐藤将棋はおろか藤井さんも阿部さんも随分評価されるようになりましたね。凄い貢献度ですよ。だんだん真剣に近づくような迫り方でしたから」
タニー「そして丸山将棋の分析。鬼気迫る展開ですね。でも彼らが一番注目しているのはハブさんでしょ。ハブ将棋の為に彼らのサイトそのものが存在するようなことも書いていましたし」
ハブたん「生クリティークっていうのは必要かもしれないですね。結局人間が指す将棋ですから言葉は重要でしょう。それも気分屋の言葉ではなく理性と理論に裏打ちされた確固たる言葉が」
タニー「ハブさんもそうだと思うんですが私は今までに何度も嫌気がさしている質問がありまして」
ハブたん「何でしょう?」
タニー「将棋を何歳から始めたのかという質問なんです」
ハブたん「私も最近ガチャピンにそれを聞かれて6歳からと答えました(笑い)」
タニー「私はその質問がきそうな気配を感じたら<5歳で将棋を初めて10歳で奨励会に入会>と先に話してしまうクセがついてしまいまして(笑い)」
ハブたん 「私も厳密に言うと本当に6歳から始めたなどと言っていいものかと疑問には思ってはいます」
タニー「ヴァイオリンのような英才教育の印象は将棋にどうかなと。将棋は自分の自由意志で選んだ道と思いたいんですが」
ハブたん「5歳児に自由意志がありますか?」
タニー「無いでしょうね。ですから私の場合天命と自分を叱咤するしかないわけです。でも藤井さん達は自由意志で将棋を始めたことが明解ですよね」
ハブたん「ええ、ええ」
タニー「マシュダ一家さんはそこを見ているんですね」
ハブたん「なるほど」
タニー「もし幼少の頃から継続していることがその人の人生を決定するなら言葉に優るものはないですよね?」
ハブたん「2歳で話しますものね」
タニー「片言を話せるようになった自分の子供にパパ好きって最初に言われた時が人生で一番嬉しかったヒトって多くないですか?」
ハブたん「そうなんですか?(上目使いで谷川を見る)私はパパ臭いって下の娘に最初に言われて相当なショックでした(笑い)」
タニー「それはそれは。お酒でも飲んで帰ったとか?(笑い)」
ハブたん「おかげで翌日の対戦は惨敗で」
タニー「対深浦戦ですか?」
ハブたん「いえ、三浦さんだったかな(爆笑)」
タニー「冗談はさておき、人間は言葉を最初に覚えますでしょ?」
ハブたん「そうなんです。私たちにとっては棋譜が言葉と言いますけれど、その根底には日本語があるんですね」
タニー「でも誰も言葉を何歳で話し始めたか私たちに質問する人はいないわけで」
ハブたん「言葉が誰にも話せるものと思い込んでいるんでしょう」
タニー「それこそ水や空気みたいに当然のものと」
ハブたん「観戦記というのはもしかしたらあらゆる批評ジャンルで最も難しい分野だったかもしれないんです。マシュダ一家さんを読むとそれを感じます。棋士にはできないことをやっているのではないかと。棋士にできることは限られていますからむしろ歓迎すべきかと」
タニー「確かに。私たちは対局場を往復するだけでその間、棋士や関係者としか交流がないわけで」
ハブたん「その点青野先生がインターネットでも情報収集していると先週発言されたことはよかったことだと思います」
タニー「プロ棋士のレベルで情報収集っていうと見るサイトは決まっていますけれど(苦笑)」
ハブたん「自分達の将棋そのものがどう見られているのかはすぐに知りたいですね」
タニー「アソコはハブさんがやはりメインのような」
ハブたん「いや、私などむしろ切られ役扱いかと。王位戦の最終局なんかそれこそ鬼の首を取るような勢いで(笑い)」
タニー「あの銀でしたっけ。東北弁もさりげなくまぜて(笑い)」
ハブたん「44銀を敗因にしてやるって殴り込みには焦りました」
タニー「今だから話せるって感じですか」
ハブたん「あれは確かに敗因ですね」
タニー「それをリアルタイムで実況されたご感想は?」
ハブたん「と言うか、マシュダ一家さんは敗因に関してはいつもリアルタイムで断言していますね」
タニー「今年の棋王戦の95歩も?」
ハブたん「いやー、あれはバカタレと説教されましたけどノーコメントじゃだめですか?(笑い)」
タニー「昨年の実況に戻しますか?(笑い)」
ハブたん「朝日オープンあたりの話でも(笑い)」
(続く)