名人戦第3局考察 藤井システム存亡の鍵

グランダイアのヘソ1-10 クライゼル効果1-3

MashudaBBS2003.05.12



グランダイアのヘソ45地点-10 クライゼル効果3 動く星座 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月12日(月)05時15分41秒

いよいよマシュダ一家クリティカルエディションのクライマックスを迎える。
グランダイアの構図に対してクライゼルの星座は動く!
我々はこの動くコマに興奮しながら何枚もの図面を次から次へと作成した。重心で決まる構図の中のクライゼル。
そう。対四間飛車で重心を開く56歩。そして角換り腰掛け銀での46歩。光の柱は双方の戦形を貫くが発生する重心がひとつ違うだけでクライゼルの星座が動く!
あの金や銀はクライゼルの縁であったと言えば諸君等は驚くであろうか?
クライゼルの縁は動けば動くほど求心力と遠心力を発揮するのであった。


グランダイアのヘソ-45地点-9 クライゼル効果2 トリトヌス地点=クライゼルの重心 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月12日(月)04時53分50秒

森内名人が41手めに88玉と逃げたのは「舟囲い」の幻影に誘われた為であると我々は述べた。
そもそも「舟囲い」とはなんであろう?相手は不動の美濃囲いであるのに絶えず形を変えたがる「舟囲い」とは正体不明である。そこで我々はこれを「クラゲ囲い」と述べたのであった。名人戦第3局感想戦では銀交換変化から飛車交換となる変化では後手不利と羽生は結論している。飛車の打ち合いでは先手に59金打があるので攻めきれないと大介はその感想戦を紹介した。加藤一二三は初日解説で59金打で先手良しと述べていたが二日目には金を温存し68金寄りでもっとよいと訂正した。局後の感想戦ではまた59金打が手堅いという流れである。肉体疲労後のプロ棋士の感想戦に付き合っていたのでは本当のクラゲになってしまうかもしれない。
なぜ森内は舟の幻影を本物の舟と思って88玉と身を預けたのであろう?極端な思考を敷衍すると辺境で遊んでいるかのように見える後手の34銀に至る。切らす将棋の最善は入玉であるがその保養地にあの銀が居すわっている。あの銀が遊泳禁止の立て札に見えるのである。この銀をはずす為には31飛車と打てばよいのだが32歩が邪魔をしている。これが思考の末端である。極端な思想はよろしくない。哲学の最高峰とは中庸である。中心地点にエッセンスがある。中心とは重心のことである。
ここで玉を68地点へリバースしトリトヌス地点=クライゼルの重心である57地点に隣接することが何を意味するのか?
具体的にはすでに述べた。繰り返すと後手の端歩の脅威から遠ざけ、角の王手を避け、後手の飛車切りから57角打を回避し、なおかつ68金を離れ駒にしないということである。
これを構図&概念として把握してみようというのが本項。


グランダイアのヘソ45地点-8 クライゼル効果1 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月12日(月)04時20分30秒

昨日の清水市代のNHK将棋講座では「舟囲い」を紹介していた。そして角頭の歩を弱点として相横歩取りを紹介している。いい講座である。羽生村山戦を思い出す。村山は相横歩取りの後手番で羽生を倒す為に命を燃やしていた。後手の会心譜を羽生相手に残したことが命となる。人体実験ではない。生命の輝きである。この棋譜は誰にでも熱戦とわかる。
諸君等はコマを回したことがあるであろうか?コマは日本人の最良の玩具である。これを手の平に乗せて綱渡りができるであろうか?これを外国人に見せれば大受けである。一点で回転するだけのコマは単調であるが横に動くコマは誰にでも拍手喝采ということである。
単調でも華やかでも共通する事はコマは回っているということ。単調なようでも必死に回転している。むしろ必死に回転しているほど静止状態に見える。将棋盤にもコマがある。我々が言っているのは駒ではなく回る方のコマである。将棋用語で同音異義語は紛らわしいのでドイツ語でクライゼルと呼ぼう。
クライゼルの支点=57-45-34-74-65
この支点を星座のようにつなぐとクライゼルの形となる。見えたであろうか?ジャイロと呼んでも良かったがあえてクライゼルと名付けた理由は追々わかる。語尾変化の問題がある為に発展性があるクライゼルという言葉を使用するのである。
名人戦第3局、羽生の28手め34銀は角頭を守るG効果として指された必然手。これがクライゼルの縁となる。初心者用の清水講座でもここが重要な地点であると示されている。だから基本は大事なのである。初手から考えるということは基本の練習となる。
重心は例のトリトヌス57地点。羽生はこの先手トリプル手が発生した地点を弱点にする為に34銀との構図を直感のみで考えた。プロ棋士の直感とは28手め34銀が遊んでは絶対に勝てないという大局観に裏打ちされる。


グランダイアのヘソ45地点-7 流通経路 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月12日(月)03時24分10秒

さてマシュダ一家青春杯55手めの形成判断であるが「これにて先手良し」となる。ところが藤井は頑固者なのでこれでも後手が指せると思うであろう。そう思ってくれないことには藤井システムではない。そこであとは大工さん達にオマカセということになる。ロマコン総帥は「人体実験」などと言うが家を建ててそこに住んで居るのは諸君たちである。本項の主題はなぜ45地点がこんなに目立つのかという分析なので先に進む。
藤井システムの95歩は双頭手に進化した。最初はイビアナ対策であったが、先手が「擬態イビアナ急戦」を第1相停滞手に求めた為にこの95歩は玉の逃げ道として逆行相転化させる必要がある。あの戦略家室岡でさえ75歩という角頭狙いの殴り込みを披露しておきながら最後は「居玉が」とさかんにボヤいていた。75歩をやればどこかで破綻する。これはグランサタンのマイナスをどこでリカバーするかと思考するべきである。羽生の場合は未来に発生した44角破綻手のリカバーを71玉のトリプル手に求めていた。場所はどこでもよいのであるが、囲いのトリプル手が発生すれば急戦は成功する。名人戦第1局では森内の見事な68銀が該当。飛車を取らせてもこのトリプル手があった為に無理攻めとはならない。名人戦第3局では逆に羽生がそれを示した。我々がトリプル手中心に分析を明示したのは名人戦第3局で森内が68玉とすればそれが後手に対抗し得る唯一のトリプル手となった為である。相転換後もこの基本はかわらない。トリプル手発生とは構図ではなく概念だからである。構図は位相が換るが基本概念は換らない。失恋しても人間に目鼻はついている。換らないものがあるのである。それが信念となる。森内が恋人に44角のビンタを喰らって目鼻が欠けたと思ったかは定かではない。そのような詮索はワイドショーネタなので大介や島あたりが言っていれば良い。棋譜が全てを語っている。
基本概念は換らない。将棋の場合はそれが玉にまつわる絶対命題。
藤井システムも同じである。2001年の竜王戦ではこの端歩が玉の逃げ道となるかが争点であった。ここを攻めさせて自玉が逃げるか、逆にここへ相手玉を逃がしてしまうかという駆引である。そして昨年からの角換り腰掛け銀もこの端からの玉脱出が争点だった。それをまっさきに指摘してきたのがマシュダ一家であることを認知できない者は観戦記者だけであろう。では一年以上将棋界はマシュダ一家中心に回転してきたのであろうか?プロ棋士はそこまでお人好しではない。彼らはひそかにネタを盗んで回転寿司屋を営業している。そこで羽生は業を煮やし25金という入玉阻止の筋悪手を名人戦第2局で披露したのであった。ネタは悪いが値段で勝負という回転寿司である。これは既に断罪したので先に進む。そう。あの45地点へなぜ羽生が至ったか?
45金が「手厚い」とはよく言う。回転寿司でも「厚タマゴ焼」は美味しい。特上寿司しか注文しない加藤一二三でもこの「厚タマゴ焼」は許すであろう。「手厚いタマゴ」はコンビニでもパックで売っている。寿司屋に行かなくとも辺境地で「厚タマゴ焼」が食べられる。しかしどのような流通経路で45地点へ至ったかを我々は検証したいのである。そうでないと森内と羽生がいかに必死にこの地点まで漕ぎつけたか誰にもわからないままとなる。それでは腐った卵焼きという不当な汚名を両者は蒙ったままであり見過ごせない。羽生は勝ったから賞賛されているが負けた名人が大介ごときにまでクソミソ言われたのでは羽生と森内が提示し得なかったバックグランドを明示するしかない。




こうして 投稿者:凡夫  投稿日: 5月12日(月)02時47分43秒

 40手目前後を追ってみて生ずる最大の疑問、即ち、「4四角を指す時に7六飛には6八玉があることに羽生自身が気付いていたのかどうか」、そして「森内は決して6八玉とは指さないという確信の下に角を出たのか」の2点は依然として謎ではあります。謎ではありますが、前稿の整理に記したとおり、この順は羽生に依って操作された疑いが極めて濃厚です。妙な表現ですがこの「疑惑」を状況証拠によって今一度検証します。

1.4四角出は好手ではないが、応手の中では最も強い手であり、森内の中に「用心に越したことはない」という心理状態と、封じ手ということもあり、朝一番にパンチを繰り出されて緊張が生じた。
2.角に出られたら後は一本道であり、森内は香得で馬もでき、と金も約束されて悪かろう筈がない。悪くなければ2連敗中でもあり、この将棋は「確実に」勝ちたい。羽生は無理筋に入り込む可能性が大なので、できれば「切らせ」たい、という安全志向が森内の中で働き始めた。
3.羽生はあまり時間を使わずに一本道に誘導し、森内に「必要以上に」警戒心を抱かせないように注意を払った。これにより8八玉又は7七香という直感の手に「悪くない筈」という暗示がより一層強くかけられることになった。これはトランプ手品で、術者が思い通りの札を取らせようとするフォーシング技術に近い。
4.羽生は研究会以来森内の読みの癖を熟知しており、7六飛に対して顔面受けに近い6八玉という果敢な手ではなく「慎重で確実な」8八玉を選択することを確信していた。
5.8八玉だと羽生に飛車切りの手が生じるが名人戦の大舞台で大した成算もなくそんな「乱暴狼藉を働く訳がない」と見切った。又、9五歩と伸ばしてあるのがダミーとして立派に働いており、予想される羽生からの端攻めを受け切れると読み切った。9五歩の思い掛けない効果を羽生が当てにした可能性もある。

 6八玉が最善手だとして、森内がそれを逃した背景には以上のような羽生による心理操作が働いていた、というのが管理人の解説を拝見しての小生の結論です。実は、羽生の手にこれと似た印象を持つことは度々あり、誰が付けたか「マジック」という呼称を言い得て妙とは思っていました。しかしながら、小生はこれを品のないハメ手ともオタメゴカシとも考えておらず、本筋ではないにせよ人を見て法を説く格別の勝負術と評価をするにやぶさかではない訳です。むしろ、本筋ではない手ながら将棋の巾や奥行きを拡げるのに貢献しているとさえ感じられます。この敗戦は森内には大きな傷を残すことが予想されますが、今期は本調子とは程遠い印象もあり、月並みですが捲土重来を期して精進して欲しいとしか言い様がありません。唯一つ注文を付ければ、森内も康光もやや強靭さが不足している感があります。敗戦こそ心を鍛える最高の機会でしょう。名人戦、王将戦、二人にとってはキツい勝負となりましたが、次に会ったら倍返しの心意気で熱く戦って欲しいものです。割り込みの割には長広舌、失礼を致しました。
 


グランダイアのヘソ45地点-6 第二相停滞手32歩 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月12日(月)02時19分53秒

藤井システム破り「マシュダスペシャル」1号局デッサンはいかがであろう?山崎の77角は第1相停滞手。それに森内の32歩を第2相停滞手として組み込めば藤井システムは破れるというデッサンである。最後に32歩など成る必要はない。すでに名人戦第3局分析で述べたように32歩はオトリなので後手の攻めを誘発すればあとは残骸でよい。この32歩を第2相停滞手としてプロ棋士が認知していないことは諸君等も昨日までのプロ棋士解説で体験したとおり。最終解説者であるA級棋士の鈴木大介はこの32歩が成れないようでは先手がおかしいと何度も述べている。名人候補の渡辺明もこの31歩成となる変化が本筋であると書いている。こうしたものがトップ棋士の大局観である。我々はそのように考えない。第2相停滞手として相転換を誘発すれば役目を果たしていると考える。相転換するということはそれで位相がすでに一旦分断されているからである。別れた彼女が彼氏のプレゼントであった32歩に今さら未練をもっても仕方ない。32歩など質屋にもって行っても二束三文である。
丸山「反地獄門定跡」初披露時には第二相停滞手から残骸44歩が逆行相転化で弱点となり羽生に負けた。羽生の邪宗門56飛では36歩が邪魔をして逆に丸山が羽生不敗伝説を撃破した。しかしこの森内SDT32歩は残骸でも邪魔にならないのである。ただし先手が未練たらしく21桂馬を馬で取るようであるならばこの32歩は邪魔となる。香車を奪って桂馬も奪うようなご都合主義はイケナイ青春である。だからゴキゲン中飛車の場合でも後手は香車は取っても桂馬は取らない。これらの将棋にはその余裕がないからである。


グランダイアのヘソ45地点-5 金と銀が入れ替わるヘソ魔術 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月12日(月)01時28分46秒

そこでこの昨日放映のNHK杯戦から先週の名人戦第3局と同じように進行させたらどうなるかという実験をマシュダ一家ではすでに行なっている。その主軸は45地点。この地点で金と銀が入れ替わる。つまり45地点は後手の攻防地点であるという輪郭が浮上するのであった。これをなんと名付ければ良いか。愛称は先に出来ている。ヘソ魔術である。45地点は大四辺形の天王山55地点に対して大菱形の中心軸なので当家ではグランダイアのヘソと呼ぶ。正式名称はこの項目の最後に出現するであろう。

棋戦:マシュダ一家青春杯
戦形:対四間藤井システム破り「マシュダスペシャル」1号局デッサン
先手:山崎隆之五段+森内名人+マシュダ三世
後手:室岡克彦七段+羽生竜王+マシュダ四世

▲2六歩  ▽3四歩  ▲7六歩  ▽4四歩  ▲4八銀  ▽4二飛
▲5六歩  ▽3二銀  ▲6八玉  ▽9四歩  ▲7八玉  ▽4三銀
▲5八金右 ▽7二銀  ▲5七銀  ▽9五歩  ▲7七角  ▽7四歩
▲2五歩  ▽3三角  ▲3六歩  ▽6二玉  ▲3五歩  ▽3二飛
▲4六歩  ▽3五歩  ▲4五歩  ▽5二金左 ▲4四歩  ▽3四銀
▲4八飛  ▽4二飛  ▲4六銀  ▽7一玉  ▲3二歩  ▽4四角
▲同 角  ▽同 飛  ▲5五角  ▽4六飛  ▲同 飛  ▽4五銀打
▲2六飛  ▽6四角  ▲1一角成 ▽1九角成 ▲5五馬  ▽同 馬
▲同 歩  ▽5六香  ▲6八金寄 ▽4八角  ▲1六飛  ▽5七香成
▲4一飛


グランダイアのヘソ45地点-4 藤井システム存亡の鍵 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月12日(月)01時10分35秒

もし山崎が77角とせずに飛車先を突いて後手に33角と先に上がらせておけば、この局面は名人戦第3局と全く同じ展開にできる。室岡は後手番藤井システムである。先手の山崎は「擬態イビアナ」となる77角を選択している。藤井システム続行を室岡に強制する77角と解釈するべきなので「擬態イビアナ」と呼ぶ。哲学用語では龍樹の中庸の概念に匹敵する。我々はこの77角を第一相停滞手と呼ぶ。この一手で後手は作戦明示を強いられる。室岡は18手めに藤井システムに従い74歩とした。この交換の意味は大きい。プロ棋士すべての主題となるべき最重要の局面となる。解説委員神崎もここが分岐点と知っている。77角と74歩の交換は一見名人戦第3局から離れる。77角第一相停滞手VS藤井システムの一大決戦となる局面である。大介ならば先手にイビアナに組ませるのでこの葛藤はない。しかし相手は序盤研究の鬼っ子室岡である。山崎が燃え上がって当然であろう。名人戦第3局が提示した藤井システム存亡の鍵がこの交換にある。


グランダイアのヘソ45地点-3 室岡と山崎 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月12日(月)00時53分35秒

室岡が無類の序盤研究家であることは有名である。かつては康光の羅針盤でもあった。C級界はアイデアの宝庫である。昨日のNHK杯戦の山崎室岡戦は非常に興味深い序盤となった。まるで名人戦第3局はこれに合わせたかのようである。まずこれを第1サンプルとする。神崎解説委員も絶好調であった。あれで言語の膣痙攣さえなければ名解説者である。大阪弁を駆使すれば福崎を越えるであろう。さて下記の17手めと18手めの交換を見ていただきたい。

棋戦:NHK杯2003.05.11
戦形:対四間飛車急戦
先手:山崎隆之五段
後手:室岡克彦七段

▲2六歩  ▽3四歩  ▲7六歩  ▽4四歩  ▲4八銀  ▽4二飛
▲5六歩  ▽3二銀  ▲6八玉  ▽9四歩  ▲7八玉  ▽4三銀
▲5八金右 ▽7二銀  ▲5七銀  ▽9五歩  ▲7七角  ▽7四歩
▲2五歩  ▽3三角  ▲3六歩  ▽6四歩  ▲3五歩  ▽同 歩
▲4六銀  ▽3四銀  ▲3八飛  ▽7五歩  ▲3五銀  ▽同 銀
▲同 飛  ▽7六歩  ▲6六角  ▽3四歩  ▲同 飛  ▽6三銀
▲8八銀  ▽3二金  ▲7七歩  ▽同歩成  ▲同 銀  ▽7三桂
▲6八金直 ▽6五桂  ▲7六銀  ▽7二飛  ▲7五歩  ▽5二金
▲3六飛  ▽4三金右 ▲4八角  ▽4五歩  ▲6六歩  ▽7四歩
▲同 歩  ▽同 銀  ▲7五歩  ▽同 銀  ▲6三銀  ▽7六銀
▲7二銀不成▽7七歩  ▲6九玉  ▽2七銀  ▲3七飛  ▽3六銀打
▲6三銀不成▽4二玉  ▲3九飛  ▽3七歩  ▲3四歩  ▽4四角
▲7一飛  ▽3八歩成 ▲1五角  ▽2四歩  ▲同 歩  ▽3三歩
▲2三歩成 ▽同 金  ▲7六飛成 ▽3九と  ▲7二龍



グランダイアのヘソ45地点-2 57地点は悪魔の空間 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月12日(月)00時40分22秒

この45地点への相転移は57角打ちの相転換から始まっている。57地点は悪魔の空間と呼ぶ。音楽用語でトリトヌスのことである。全ての転調を可能にする増4度音程の愛称がトリトヌス。ジャズなどこのトリトヌスがあるだけで存在し得る。自由を確保する最大のキーとなる。この57地点に羽生が角を打って相転換したことは名人戦第3局で諸君等も見たばかりであった。これは我々が何度も述べてきた悪魔の空間効果である。ここに先手のトルプル手が発生した関係図については名人戦第3局初日に実況した通り。ここを制圧すると位相が転換する。そして相転換後は再び相転移に戻る。将棋ならば相転換後はここから元の構図に回帰することになる。本項の主題はトリトヌスからなぜグランダイアのヘソに回帰したのかという事である。


グランダイアのヘソ45地点-1 筋悪と思うプロ棋士 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月12日(月)00時25分23秒

羽生が名人戦第3局でなぜ45金と打ったかプロ棋士は成り行きと思うであろう。加藤一二三も鈴木大介もこの手はひとめイジワルな手と思ったはずである。そこで加藤一二三も遠慮がちに「この手はいい手なんでしょうか?」と衛星放送解説で呆れるしかない。米長だったら「友達をなくす手」とすぐさま解説するであろう。脇ならば「これはハブさんの将棋ではありません」と匙を投げるであろう。その後加藤一二三はこの手が勝ちを決めた絶好手であると理解し絶賛する。そこでなぜプロ棋士たちがこのような先入観を持ってしまったのか検証する。
プロ棋士にとってこんな辺境地に大事な金を手放す手は筋悪である。銭が取れる将棋ではない。だから先々週のNHK杯でタカミチが15金と打った時に脇は匙を投げたのである。森なら卵を投げる。夫婦げんかなら包丁が飛ぶ。しかし15金は良い手である。これでタカミチは勝ちを決めた。羽生が名人戦第2局に用意した角換り腰掛け銀の新手は筋悪確信犯25金である。そして第3局でついに本命が登場。それがグランダイアのヘソである攻防45地点。この地点に金を打てたことで羽生は「手厚くなったので(勝ちと思った)」と言う。手厚いとは曖昧な表現である。もっと明解な言葉を使うべきであるがそこまでプロ棋士の机上は整理整頓されていない。これはプロ棋士が悪いのではない。彼らは演奏家である。極端な話、演奏家は音符が読めなくても演奏できさえすれば良い職業である。ジャズ演奏家やオペラ歌手には本当に音符が読めない大家がいる。極論すれば演奏行為には理論などどうでもよい。理論などなくとも将棋界では「体で覚えた将棋」と絶賛される。ミラノでもバークリーでもそうであるので卑下することはない。半面「体で覚えた将棋」は「死んでも25金や45金など打てない」と思うであろう。筋悪すぎてこれでは商売にならないからである。商売しなければならない新聞社のマネージャーならばすぐに不快の意を表明する。読売の西條記者も名人戦第3局は悪い将棋と早速公開日記に書いている。それでは森内名人も羽生竜王も余りに哀れなので当家にリクエストが来てしまった。そこで45地点の検証となる。リクエストは匿名であるがハブと棋譜に書いてある。


屋下に 投稿者:凡夫  投稿日: 5月12日(月)00時19分44秒

 屋を架す愚を敢えて犯します。ペラペラのトタン屋根ですが御勘弁を。
 管理人の解説により、小生におけるこの1局の興味は4四角の場面に絞られました。羽生の指し手の持つ意味がかつてないほどビビッドに感じられる場面です。以下の様に整理します。あくまで6八玉が41手目の最善手である、という前提に立っています。

1.森内の3二歩は羽生にとって意外な手であった。
2.素直に応じると劣勢になることが予想された。
3.4四角と出ると良くはならないが、森内に読み抜けの可能性のある筋が潜んでおり、又、角出の手が持つ一本調子だが強気の気配に優勢側にありがちな慎重な応手が計算できた。
4.必然の応酬の後、7六飛と王手で走った。この手にはあまり時間を消費しておらず、一見如何にも一本道に入り込んだかのような流れが作られた。一本道とは、さほど変化の余地がないということであり、加藤の指摘する通り応手は8八玉とかわすか7七香と蓋をするかのどちらかであることが予想された。候補手がこの2手に絞られた理由は、どちらの手を指しても森内が悪くなることはなさそうなだからである。悪くなさそうな場面で「危ない橋を渡る」ような手が浮かばないとしてもそれはプロの生理であり、自然な読みのメカニズムである。
5.果たして森内は8八玉と寄った。香を温存したのは飛車を追い払った後攻めに活用しようという腹であり、手番は渡すが早晩攻める順が回って来ると読んだ。
6.羽生は歩得を図りつつ5六飛と回った。応手は何通りかあるものの依然として一本道の延長上にあるように感ぜられる手順であった。
7.森内は羽生の指し切りを確信して4七金と飛に当てた。4六飛切りは森内の中でも予想の範囲で、一本道の中でも最も単調で変化の余地の少ない順であった。
8.羽生の次の手5七角は森内の読んでいない手であり、もはや適当な受けはなかった。

 以上全て加藤・鈴木大・青野の解説を参考にした憶測です。加藤は特に5七角を好手と褒めています。しかし、もし管理人の仰る通りに6八玉が指されていたら、5七角はなかった。つまり、加藤も直前に森内が最善手を逃したことを見逃しており、勝負はあたかも羽生の好手一発で決したかのような説明でした。米長も森内に悪手らしい悪手はない、と述べています。両巨頭がそれで得心が行っているかどうかは定かではありません。どこか引っ掛かるものがあるかのようにも見えました。どのような変化があるのか小生には分りませんが、6八玉が指されていたら少なくとも5七角に至る順が実現しなかったことだけは確かでしょう。羽生は指し手に窮したかも知れません。とまれ、5七角が好手である理由は、それを好手にしてしまった疑問手がそれ以前に存在していたことがこの場面を追って行くと良く分ります。                           続く