名人戦第3局 舟の解体作業-火事場の死に化粧

分析解題マシュダ一家 MashudaBBS2003.05.09


32歩=森内Dタイプ 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月10日(土)00時05分11秒

本家からクレームがついてしまった。なぜ15歩を深浦Dタイプと呼んでいるのに、一昨日の32歩がSDタイプなのかと。それではスーパーデフォルメと勘違いされるのではないかと。或いはインポテンツの薬と思われてしまうのではないかと。
そこであの32歩の有無を言わせぬ先手ディレイに森内Dタイプという愛称を付すこととなった。 


火事場の死に化粧 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 9日(金)23時32分21秒

名人戦第3局の写真がUPされている。
羽生はいい顔に撮られている。写真家は良き演出家である。決して敵にしてはならない。テレビに映ったナマハブの方は犯罪者の顔であった。ヤッテシマッタというあの顔が怖くて子供が逃げ出すのである。大介など脇で脅え切っている。情けない。A級入りした期待の新人がこれではマフィアの子分である。
森内は感想戦で笑っていた。頼もしい。51手めは金の尻に香を打つより41飛車打の攻防手で凌げばどうかとの名人感想であるがそれは恰好良く負けた方がよかったかという余裕である。しかし最後の一手まで勝負を捨てなかった。だから頼もしいのである。森内でなければあの二枚角の防戦トリックを表現できるのは丸山と杉本だけであろう。しかしこの色気は火事場の死に化粧にされた。だからこれを見た者は脅えるのである。


もひとつオマケ SDTから大局観-動タイプの残骸へ 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 9日(金)22時25分48秒

41手めに77香が最善手になり得るかという問題を最終盤の73香成が見込める攻防手として再構成した者は棋界を制する事ができる。将棋はそこまで進歩していない。したがって77香打のメリットは目下のところせいぜいが78地点に玉が居すわれば69金にヒモがついたままという事ぐらいである。69金が孤立無縁となった場合にどの受け変化も頓挫する。その生々しいバラバラ殺人現場は諸君等も昨日目の当たりにした通りである。77香は金の下に香車を手放す本局よりマシという次善手としての評価は可能。
渡辺明の場合は77香によって名人の新手32歩を31歩成とする一手の余裕が作れるという局面を想定した。いい日記である。毎日そのように考えて行けば名人になれるであろう。通常の大局観-静タイプはこの歩が成れなくては先手はおかしいと訴えるはずである。大介なら明日の囲碁将棋ジャーナルでそう述べるであろう。しかしそこがすでにおかしい。既に非常事態である。加速定跡と我々は呼ぶ。大局観-動タイプにおいてあの32歩をそのように考えてはいけない。33手めの32歩は深浦の15歩や羽生の95歩と同じように相手に指させる手なのである。しかも端歩D2タイプのさらに上を行く。手待ちなどではなくさらに強烈な名人の恫喝手である。スーパーDタイプと呼ぶ。略してSDT。相手が何もしなければ成りますよという凄まじい恫喝なので相手が暴れ始めたらそれで目的は達成される。羽生が暴れ始めたらあとは残骸で一向にかまわないということである。32歩が絶妙手である由縁。


オマケ 後手の骨格 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 9日(金)14時52分23秒

将棋の骨格の意味がわからないと言われては困る。そこで基本図を述べておく。
57地点は可塑性にとんだトリトヌス空間である。これを開いた先手56歩が後手の43銀との相乗効果でトリプル手となったことは初日に述べた。これに匹敵する後手のトリプル手が71玉であることも述べた。そこで羽生は香損回復の試算をこの57地点へ求めたというだけの構図である。もしあの時の先手のトリプル手が逆行相転化すれば後手は勝てるというのが骨格である。
そこで後手の狙いをはずす為には手順に57地点を補強する意外にない。そうでないと先手は手番が取れない構図なのである。そのチャンスは先手に一度だけ。即ちあの幻の68玉という一手のみ。


朝日オープン挑戦者決定戦の怨念2 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 9日(金)13時52分42秒

すでに2としたがこれで打止めとしたい。怨念がつく題名は健康によくない。羽生の95歩の挑発を36歩で受けた名人は立派である。それは森内個人の棋風の問題ではなく名人という立場の問題である。それを悪用したのが羽生であったという意地悪い見方は可能である。すると32手めまでは想定局面となる。森内名人の33手めの新手32歩は91分の長考であったが、これをその場で考え出した手と名人は感想戦で述べた。この新手を羽生が誘った悪手と読んだのが加藤一二三である。羽生は自らこの形に誘ったので当然ながら先手森内の33手めは45銀を想定してきたはずと加藤一二三は考えた。だから羽生の幻の秘手を見る為には名人が45銀とすべきと考えたのである。我々はそうは考えない。これは先後の問題があるために羽生-深浦戦の構図がそのまま逆になっているからである。初日はその為のトリプル手比較であった。羽生の44角は封じ手として2時間ほど費やしたが実質森内と同じように90分ほどで羽生は決断をしたであろう。そして二日目再開後1時間で封じ手から40手めの問題局面まで指されたことは衛星中継で公開された。羽生が森内の新手を受けその裏筋で混乱を誘ったのはこの局面である。羽生の44角自体は名人が32歩と垂らせば強制手と言ってもよい。それほど32歩は妙手であった。後手は動く選択肢を強いられたのである。だから44角は名人が誘発した後手の悪手であると読むべきである。しかし羽生は名人が想定するカラメ筋でジリ貧を選択するよりむしろその波に乗って40手めの必然局面でその上を行く緩手を森内が指すことに期待したのである。41手めはプロ棋士ならば99%以上が88玉か77香打しか読まないことは諸君等も昨日思い知ったであろう。名人もこの変化は先手勝ちとここで判断停止をして44角の読みを打ち切ったはずである。羽生と我々だけはそうは読まなかったということである。40手めの局面を自然に見ただけのことであった。
88玉は形が美しい。しかしすでに羽生サディズムの非常事態である。火事場で化粧をする者がいるであろうか?それだけのことである。
素直に見ればよい。ここで88玉は69金が離れ駒となり先手は収拾がつかないどころか羽生が藤井&深浦をマネした95歩まで攻めに使える。ところが68玉ならば69金を玉自ら死守すると同時に96歩を緩和している双頭手となる。しかも56飛には最重要の57地点をも玉自ら死守している為に本局でのような残虐な飛車切りや縁台将棋の57角打など発生しようもなかった。即ち68玉は双頭手どころかあの71玉に匹敵するトリプル手であったのである。68玉は単なるリバースではない。マシュダ一家ではこれを泡踊りと呼ぶ。見た目はまた68地点に戻るのではバスでゲロ吐く名人と思われてしまうようであるが、良く見れば逃げ道満載の大海への遊泳である。しかも囲いに発生したトリプル手。死者は生き返り71玉への香典返しを自ら送る。すると羽生に残った優位性は手番だけとなる。だからこそ暴れるしかない。あとは瀬戸内海のクジラであろう。この手番を必死に取りに行くしか羽生に勝ち目はない。羽生が考えたことはそれだけである。手番しかないのである。なぜこの単純なことが諸君等にわからないのであろう?
羽生の全ての指し手をみてごらんなさい。プロ棋士が意外であったという62手め45金など手番を取るだけの為に導かれた手なのである。ここでは大介が言う36歩など完全に一手遅い。青野がいみじくも「絶えず追う」と述べた通りである。羽生は一手の緩手も許されない為に必死に食らいついたのであった。暴力的な印象を恐怖感と共に与え得たのは自ら手負いの獅子となったからである。これを裏返せば自陣は一切顧みる必要がなかったということ。即ちあの71玉の一手にすべて収斂される。71玉に対抗するトリプル手68玉ならば深浦のように余裕で名人は躱せたということである。しかし誘ったのが先手深浦ではなく後手羽生であったというのがこの将棋の骨格なのであった。


朝日オープン挑戦者決定戦の怨念 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 9日(金)12時14分32秒

さて一夜明けたことでもあるので昨日の悪夢の謎解きをザックバランに語ろう。
羽生がなぜ95歩で名人を誘ったのか?
まずこれを一読していただきたい。
http://www.bekkoame.ne.jp/i/yusai/030318asahi.html
そう。朝日オープン挑戦者決定戦で羽生が深浦に惨敗を喫した分析を我々は行った。
あの棋譜と全く同じ構造である。深浦は15歩で羽生の55歩という悪手を導き出したが、羽生は95歩で森内を誘ったのである。
あの日の羽生の敗因は「単発的な美的力による自己正当化」と我々は述べた。そして昨日の名人の敗因もまったく同じである。名人は舟囲いの幻影に惹かれ、自己正当化に終始して負けにした。


加藤一二三讃 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 9日(金)10時50分56秒

それでも我々は加藤一二三の熱い情熱に胸を打たれる。
森内は剛の将棋。攻め所を間違えるなと加藤一二三は心情吐露をする。
第3局で我々が述べたかったことも加藤一二三と同じである。
ただその地点がひとつ違うだけであった。
45銀は自ら攻めに行く挑戦者の手。これは手が狭い。
32歩は後手に攻めさせる王者の手。これは手が広い。
後者を選択したことは名人らしい。32歩を我々は絶賛する。
我々も加藤一二三の精神を受け継ぎ最後は情的に述べよう。

88玉は逃げた船長である。
86玉は玉自らが戦場で迎え討つ真の勇者である。


名人戦第3局 舟の解体作業 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 9日(金)06時01分39秒

我々が名人戦は死んだと述べたことが不愉快であろうか?
ではお尋ねするが、名人戦第3局を見て諸君等は将棋を指したいと思ったであろうか?彼らのマネをしてみたいと胸を弾ませたであろうか?
加藤一二三までもが41手めの88玉を疑問視せずに換りの手があるとすれば77香しかないなどと最終解説で述べる。41手めは86玉で先手の勝勢となる。我々は86玉から後手に最も有利な変化を三種類作成したがいずれも先手勝ちとなる。試しに41手めを86玉でプロ棋士が指せば先手の勝率は7割以上であろう。従って森内の渾身の新手32歩に対する44角はプロ棋戦では今後出てこない。やりたいプロ棋士は試したらよい。そして羽生の18手め95歩も今後なくなるであろう。名人の換りに我々が86玉を初公開したことがショックであろうか?
誰にも隠し事はある。
我々の舟は諸君等には見えない。
見えても見えないと言い張るであろう。
彼らが盤上に見た88玉-79銀-69金-58金という舟こそ蜃気楼であった。その舟は改修工事で肥大化しお尻から羽生に火をつけられた。
美しかったはずの舟が炎上した風景は見届けるのも痛々しい。
最後はクレーン車が上部から舟の解体工事。
羽生の62手め45金はクレーン車の鉄球に見えたであろうか?
羽生が暴れるという青野の表現は実に的確であった。
それでは余りに野蛮なので我々も気をつかい舟の解体作業とした。
我々が考えたことは単純である。
あの舟は最初から幻であったと思えばどうであろう?