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帰ってきたウルトラマン 作品解説 ウルトラマンA 作品解説
ウルトラマンタロウ 作品解説 ウルトラマンレオ 作品解説

ウルトラマンレオ 作品解説

「ウルトラマンタロウ」は娯楽性の頂点を極めた作品といってもいいと思う。 そのためか新作のウルトラマンはがらりと方向性が変わることになる。 これにはブルースリーの「燃えよドラゴン」のヒットの影響も一因としてある。

初期の企画では宇宙パトロール隊の隊長の川上鉄太郎がレオの正体を見抜いて、 1人の地球人と1人の宇宙人が力を合わせて地球の平和を守っていくストーリーだった。 ただ最初の段階から隊長は森次晃嗣のキャスティングをイメージしていた。 そこで森次氏に依頼したところ「ウルトラシリーズに出るのなら、やはりダンとして出たい」という意見でモロボシダンが隊長ということになった。 ただ、ダンがセブンに変身して事件を解決してしまうと主役のレオが目立たなくなってしまう。 そこでダンは1話で変身不可能になるということになった。

そうして自分の故郷であるL77星を滅ぼしたマグマ星人との戦いでレオの戦いは幕を開けるが、初期は海や滝や丸太、 さらにジープに追いかけられるなどハードな特訓話が続く。 ゲンを演じた真夏竜が当時は“「やるんじゃなかった」と思いました。(笑)”と雑誌のインタビューで語っているけど、 海や川や丸太やジープと兎に角凄まじいの一言に尽きる。 いままでのシリーズにはない「熱さ」がここにはある。

反面「本当にウルトラシリーズ?」という意見もあったとは思う。 実際ゲンにハードな特訓を行なうMACのダン隊長はウルトラ警備隊のダン隊員とはかなりイメージが異なる。 (私は再放送で「レオ」の方を先に見たので「セブン」のダンが温厚なのをみて驚いた!(爆))

そうしたこともあったのだろう、視聴率的に苦戦して路線を変更していくことになる。 16話の「真夜中に消えた女」あたりからそれが出始め、21話の「北の果てに女神を見た!」を最期に特訓は行なわれなくなる。

個人的にはそれでよかったと思う。なにも特訓編がつまらなかったと言うわけではないけど、1年間特訓編のままだったら 「レオは本当に強くなっているの?」という疑問が湧いてくる。 「後から特訓しなくても相手と戦えるレオ」があったからこそ、振り返っても特訓編のレオが生きる気がする。 (またこの時期のてこ入れの1つだと思うが、MAC隊員の大半が入れ替わっている)

そして22話でレオの弟アストラが登場。26話にはウルトラマンキングが登場と華やかになってくる。 23話(コロ星人・レンボラー)、27話(オニオン)、35話(タイショー)のようなユニークな話、 25話(クリーン星人・サタンビートル)、31話(バーミン星人)では子供を狙った侵略者、33話(アクマニア星人)では怪奇性満載、 36話ではダンとゲンとアトランタ星人3人による作戦の攻防と各話にバラエティがあるのもこの時期である。 また29話にはひし見ゆり子、30話には黒部進と桜井浩子、34話は団次郎と旧作のレギュラーだった人がゲスト出演もしている。

38と39話はレオ兄弟とウルトラ兄弟が激突する娯楽編。 この事件が解決した後でレオとアストラは(ようやく?)ウルトラ兄弟の仲間入りをする。 (ウルトラ兄弟の一員として華々しいデビューを飾ったAやタロウとの違いを個人的には改めて 実感するシーンでもある)

上記のようにレオの中盤は初期ほどハードではないが、この時期もダンとゲンは「信頼」しつつも意見が対立することは多かった。 21話ではニケの女神と北山隊員への対応、36話では長官やその娘への対応をめぐって等、 そして39話ではウルトラの星を破壊する作戦を指揮するダンをゲンは非難している。 路線を変えながらも初期のカラーも大事にしていたのが分かる。 (路線を変えつつ初期のカラーも大事にしたのは「レオ」だけに限った話ではないが)

そして40話からまた展開が大幅に変わる。 実際に作成された円盤生物シリーズの他にウルトラ兄弟を円盤に乗せて戦うというアイディアもあった。 それまでのレオの作品のカラーからいっても、また空を自由に飛べるウルトラ兄弟をわざわざ円盤に乗せると言うのも、 あまり納得できないので円盤生物の方でいったのは正解だと思う。 (どちらにしてもMAC全滅は大前提だったそうだ) ただダンがセブンに戻って活躍するところがあればそれだけは見たかったかも!(笑)

MAC全滅、百子やカオル達も死亡というのは衝撃だった。 また黒づくめのブラック司令は怪しいムードを醸し出していた。 この時期の話で好きなのが45話のブリザードの話や50話のブニョの話。 蟹江敬三の演技はやはり味がありますね。

そして51話で最期の円盤生物ブラックエンドを倒して、レオは美山家から旅に出る。 その時「やっとこの地球が僕の故郷になったんです。 だから青い空と青い海をこの目で見て、この手で確かめてみたいんです」とゲンは言った。 苦しい戦いを乗り越え、彼は第2の故郷を手に入れたのだ。

・更新日:2011/03/19・ページ製作者:トータス砲