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秋の味覚の楽しみは…
  (西川竜章堂書。天保5年(1834)刊 『女用筆の枝折』。[京都]丁子屋源次郎ほか板)
秋は風の音も心細くなるほどで、木の葉も枯れ落ち、草もしおれて、見る物、聞く物全てが皆あわれに寂しげになります。その寂しさを忘れれようというので、茸狩りや紅葉狩りに終日出掛けて遊ぶのは、このうえない楽しみでございます。とはいえ、楽しみというものは極まってしまうと、かえって悲しみが増すとよく言うように、楽しみは半ばでやめておくのが良いでしょう。例えば、お酒は百薬の長と申しますが、飲み過ぎれば毒となるのと同じことです。女性はなおさらのこと、楽しみに耽ることはよろしくないと思います。