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耐え難き暑さに耐えてこそ
  (西川竜章堂書。天保5年(1834)刊 『女用筆の枝折』。[京都]丁子屋源次郎ほか板)
夏のけだるい暑さには何事にも集中できず、疲れやすく、自然と自堕落になりやすいものでございます。どんなに耐え難い暑さでも、肌を露わに手足を投げ出したり、かりそめにもごろ寝をしたりするのは、本当に見苦しいものです。普段から慎みを第一とする賢女は、耐え難い暑さにも行儀をくずさず、汗もまた出にくいもので(?)、顔の化粧もくずれにくいため、人と接している様子も本当に奥ゆかしいものでございます。
*いつも母親の目の届く所に子どもがい、子どもが振り返れば母親がいた、そんな様子が伝わってくるような挿絵。本当に鍛えた人は微動だにして長時間じっとしていられたというが、そんな人を探すのは難しい時代になった。真冬の寒い日の朝礼で生徒がブルブル震えるような時に、「今日は少し涼しい…」と言って生徒を激励?していた高校時代の剣道の先生を思い出す。