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友と興ずる雪景色
  (西川竜章堂書。天保5年(1834)刊 『女用筆の枝折』。[京都]丁子屋源次郎ほか板)
雪が降った朝に、早起きして庭を見渡すと、その雪景色に目も心も清らかに洗われるようで、「これはもうすぐやってくる新しい年が豊かな1年になるしるしだ」と思うと、冬の寒さも忘れてしまうほどです。「どうして、この素晴らしい雪景色をいたずらに過ごしてよいものでしょうか。こんな風流を理解しない人は島の夷(未開の野蛮人)にも劣りますよ」と手紙に書いて、友達を呼び集めて「雪けしの会」などを開くのもとっても素敵なことでしょう。
  文習う 窓につめつめ 雪こかし(雪転し)
*中央左端の女性が、老婆に持って見せているのは、雪でこしらえた兎であろう。外に出られない(あるいは出たがらない)老婆にも雪を楽しませようとする心遣いが優しげで、ほのぼのする。老いも若きもいっしょに楽しむ場が常にあったのであろう。