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休むからこそ、命も続く
  (樹下先生作。浦川公左画。嘉永2年(1849)刊 『今昔道之栞』。[大阪]河内屋太助ほか板)
夏の風物詩、夕涼みの風景。川岸で飲み食いしながら、仲間とゆったり過ごす人、一人で休む人と、それぞれだ。「清水」と書かれた屋台では、屋根の風鈴が涼しげに鳴るのが聞こえてきそうだ。右側の男たちは、甘酒を飲んでいるのであろう。詞書きには、「君子のまじわりは淡くして水のごとし、小人の交わりは醴(甘酒)のごとし」とある。一人静かにくつろぐ武士の上には、「帷子(かたびら)の 背中ふくるる 風涼し 是でこそ 命もつづけ 夕すずみ」の一首を載せる。