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心の仏像を作りたいもの
  (樹下先生作。浦川公左画。嘉永2年(1849)刊 『今昔道之栞』。[大阪]河内屋太助ほか板)
大江千里の歌に「もみじ葉を 風にまかせて 見るよりも はかなきものは 命なりけり」とあるが、人の命はもろいもの。「消える」「死ぬ」というと大層なことのように聞こえるが、実際は、毎晩毎晩、命は消えていっているのである。枕につくとそのまま消える。寝るも死ぬも同じこと。寝るのも死ぬのも。知らぬ心は一つであるから、「分別なしの生き仏」になるがよい。
 古い歌に、「土や木や 石や金にて 作るより 仏につくれ 人のこころを」(仏像を木や土や金属で作るよりも、人の心を仏にしたいものである)とある。