「有明」の創作 1922(大正11)年4月13日
「有明」の創作
1922(大正11)年4月13日
『春と修羅』に「有明」という詩が収められています。短い詩ですが、
早朝の月が描かれています。
『春と修羅』第二集にも「有明」という詩がありますので、
区別をすることが必要です。
詩「有明」
起伏の雪は
あかるい桃の漿をそそがれ
青ぞらにとけのこる月は
やさしく天に咽喉を〔鳴〕らし
もいちど散乱のひかりを呑む
(波羅僧羯諦 菩提 薩婆訶)
賢治がしるした日付、1922(大正11)年4月13日の早朝にシミュレート
すると、確かに西の空に月がかかっています。「青空にとけのこる月」をシミュレートしてみました。
ほぼ満月で、これは『春と修羅』第二集にある「東の雲ははやくも蜜のいろ
に燃え」とほぼ同様の情景のようです。
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