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Chena はオーロラ見物に便利で日本人が多い

'98 秋は 新館 Moose Lodge 竣工で、近代的な設備と共に収容数 up, '99 秋は岩風呂 (25m プールくらいはある大きさ) が出来ました ^o^/。滑走路脇には recreation center も完成。
([Next]'00 Mar. 下旬の友人の訪問記)
以下の旅行記は '97 冬のものですので、それ以降の変化があります。

目次

短い滞在に燃える団体客

3日目の夕方のことでした。私は、ジャグジーの露天風呂に浸かっていい湯加減を楽しみつつ、夜への英気を養っていました。

12 人入れるという浴槽は日本人で一杯であるばかりか、賑やかでもありました。どうも、団体の仲間のようです。おばさんたちが、「この肉付きのいい『ナイスバディ』を是非…」などと記念撮影をしていたり、「○○さん、積極的ですねぇ、犬橇にお乗りになって…」「あ〜ら、△△さんこそ、スノーモービルに…」

そういう会話はどうでもいいことなのですが、続く次の会話が耳に残りました。「あ〜、こんないいところが今日だけなんて…」

「あれ、Chena で 1泊だけとはかわいそうな旅行だな」がその時の私の感想でした。

Chena への日帰り tour

が、このジャグジーで一緒だった団体は、Chena で 1泊するどころか、日帰りだったのです (翌日、Fairbanks → Anchorage の飛行機で一緒になりました)。そりゃぁ、大変だし、Chena での行動も積極的のおてんこ盛りにならざるを得ないでしょう。

帰国後、「地球の歩き方」を見ると、Fairbanks から Chena への northern light 見物 tour があることがわかりました。Faibanks 発 1400, Chena 発 0200 くらい, $130/人〜 という条件のようです。上記団体はこの tour ではなかったようですが、同様の行程であったと推定されます。どおりで、駐車場に見慣れない大型の観光バスが停まっていたわけです。

(冬の) 宿泊需要に応じきれない Chena Hot Springs

Anchorage に戻ってから、現地ツアー会社の社長から次のような話を伺いました。それで事情が少し飲み込めました。

Chena Hot Springs Resort の常置宿泊施設は 55室あります (他にキャンプスペースがある)。 そのうち、30室の権利をこのツアー会社が持っているそうです。

「もっともっと権利は欲しいんですけど、今はこれが限界で… 足りない分は Fairbanks に宿泊して、Chena へ日帰りの tour になるんです。皆さんがお泊まりの時、近畿日本ツーリストさんの tour が来てたでしょ、あの tour もそうです (青山注 : このページ最初の、ジャグジーで一緒だった団体がそれだ)。近畿日本ツーリストさんは東京と大阪の新聞に広告を出してね、それもかなり破格の価格設定だったんです、若い人が多かったでしょ?」
「いやぁ、お歳を召された方が多かったですけど…」
「あぁ、そうですかぁ。とにかく、Chena に冬に泊まるのは難しくなっています。」

Chena Hot Springs Resort の経営の歴史

通俗的な歴史は然るべきガイドブックかパンフレットをご覧下さい

もともと、この Resort は 6人のオーナーの共同所有でしたが、現在ではすべてのオーナーが亡くなってしまっていて、銀行に経営が任されました。'97 年 3 月現在、実質的な経営は州政府が行っています。しかし、州政府が税金を使って営利事業を行うことについてはとかくの批判があり、州政府は売却 (引き受け) 先を捜しています。出来れば、長年の付き合いがある旅行会社に売却したいのが州政府の本音だそうです。最初は ¥ 3億- という売却価格でしたが、後に ¥ 4.5 億- まで値上がりしました (¥ であって、$ ではなかったと私は記憶しています。なぜ値上がりしたのか聞いたのに忘れてしまいました)。

「そんな価格なら、日本の旅行会社が乗り出してきそうですが」
「それが、バブル崩壊後は日本はどこの会社も及び腰で…
…結局、San Francisco の韓国資本が手を挙げたんですけど、その韓国資本は『部屋数を 100 室に増やす等の整備を行ってから』っていう条件を付けたんです。 州政府は『部屋を増やすのは、買収後に自分の投資でやれ』と主張して物別れになって、この話は沙汰闇になってしまいました…」

「で、今、この Resort の manager をやっている男 (名前を聞いたが失念) が以前、うちの会社で fishing guide をしていたんで、うちに買収話が来たんです。でも、すぐには金が無くってねぇ。」
「今、経営を引き受けるとしたら、儲かりそうですか?」
「いやぁ、駄目でしょう。冬はご覧のとおり、満室状態が続きますが、夏が…」
「夏は Chena では何をする人が多いんでしょう?」
「Small convention と camp ですね。現状だと、$20万 / 年 程度の赤字になると思います ($ であって ¥ ではなかったと私は記憶しています)」
「むむむ…」
「我々の優先権は今月 ('97 年 3 月) 末まであるので、今『はい』と手を挙げたら我々のものになるんですけどね。すぐには金ありませんが、give up もしませんょ。」

すでに上記の優先権主張期間が過ぎたのですが、売却話の結末を私は知りません。ご存じの方がいらっしゃれば、御教示頂ければ幸いです。


この話をしてくれた人が社長を務めるツアー会社には去年秋も今回も、さんざんお世話になって、印象もいいので、私個人の感想としては、頑張っていい方向へ持っていってもらいたいものです。

日本人は多い

日本の旅行代理店の多くは Alaska 内の旅行を現地ツアー会社 (Alaska を専門としていることが多い) に任せています。従って、日本で申し込んだ旅行代理店が別々でも、現地で請け負うツアー会社は同じ、ということは起こり得ます。 上述のように、Chena の部屋の半数以上について、日本人が経営する現地ツアー会社が権利を確保し、そこに日本の旅行代理店を通した客が集まってきて、常時満室状態となれば、日本人が多いのは当然です。(日本の旅行代理店の tour でなくても、上記会社を通すと、Chena の宿泊料金は割引になるようです。「地球の歩き方」を提示すると割引になる、という話は未確認。)
そこへさらに、Fairbanks からの日帰り tour 客が来たのでは、「Chena が日本人ばかり」になるのは当然です。

Chena では、日本語は第2外国語と呼ぶべき状態のようです。
[SnowCat](24kbytes)
宿泊ロッジの正面にある雪上車乗り場の案内板は英語と日本語の 2ヶ国語表示です。パンフレット等でも日本語のものは揃っています。英語, 仏語, 独語, 西語, … とあって、中国語, ハングルと並んで日本語がある、というのではありません。日本人が突出して多い、ということでしょう。

最近、オーロラ見物の日本人が急増していることは現地でも注目されているらしく、一文を寄稿してくれ、という Fairbanks の新聞社からの依頼が現地駐在のガイドにあったそうです。「何故日本人はオーロラを見に来るのか? 日本ではオーロラを見ると良いという神話でもあるのか?」と訊かれて、そのガイドも「理由はわからない、神話は知らない」と言うしかなかったそうですけど。私はさらに、そのガイドから何故だと思うか、と訊ねられました。私にもわかりません。神話は初耳です。(アイヌの伝承では「オーロラは不吉の前兆」でしたっけ?)

いつも日本人ばかりというわけでもない、らしい

Chena は私の滞在中はずっと日本人で溢れていましたが、いつもそうだというわけでもないようです。この冬シーズンに 2 回も Chena へ行き、計 7泊した私の知人はその滞在中、ジャグジーとオーロラキャビンで日本人をたくさん見かけたのは 1日だけだったそうです。もっとも、その人は 3月出発の tour に 2月に申し込もうとしたら、「軒並みキャンセル待ち」で、空いていたのはひとつだけ、という程度にその tour は混んでいたそうです。(募集人員が少なかったのかもしれないけど、つまり、定員一杯分だけ日本人が Chena に行った、ということでもあると思うが)

その知人の話によると、「今年 ('97年) の 1月に、日本の某 TV 局の番組で、2度にわたって Chena が比較的長時間紹介されたらしく、そのせいで、2月以降急に日本人が増え、tour のキャンセル待ちをしなくてはならない状況になったのではないか」というのですが、真偽のほどはわかりません (今回の Chena でも、その TV 番組を見た、という人がほとんどではあった)。 私は TV を全くといっていいほど見ないので、どのような番組だったのか知らないのですが、親切に教えてくれた人によると、http://www.ntv.co.jp/denpa/ なる URL で紹介されている番組だそうです(敢えて link は貼らない)。もっとも、オーロラ見物の人気は TV 云々以前からあったように思うし、いくら人気の TV 番組でも、それだけで急に tour が一杯になったりすることはない、と思うのですが。

上記 TV 番組をたまたま、'98年正月にちらりとですが見る機会がありました。どうも、1997年末から翌年年始にかけて、2人の日本人がヒッチハイクの末に Alaska にたどり着きました、という番組だったようです。たどり着いたところは、背後のボードに「Circle city」とあったことと、Central から 50km という情報を信じると、下記の Steese HWY の終点の Circle であると思われます。しかし、そこは「End of the road」という固有名詞には該当しない、と ATLAS の上からは判断されます (Chena Hot Springs Road の終点にも「End」の標識は立っている)。どうせ、Fairbanks から道の果てを狙うなら、James Dalton HWY の終点で、北極海沿岸にある Prudhoe Bay を目指せばよかったのに (TV 局は視聴者の無知につけ込んでいるとしか思われない)。

Chena は 立地条件が優れている

先に上記のような話をしてしまいましたが、Chena はもっと本質的な点で魅力的です。Fairbanks 近辺の Hot Springs Resort は Chena, Manley, Circle と 3箇所あります。この中で、Chena は Fairbanks に最も近い (車で 1時間強) という好立地条件 にあります。おまけに、上記 3 hot springs のうち、目的地までの道路が完全舗装されているのは Chena だけです。Manley は送迎バスがあるらしいですが、Circle は飛行機で行くのが実際的です (Fairbanks のレンタカー屋では、Circle への Steese HWY に乗り入れてはならないと決めている会社が多い、らしい)。それなら、お手軽な tour は Chena に集まるのも無理はありません。(これは日本人が特に多い理由にはならないでしょう。むしろ、なぜ「オーロラに人気があるか」の方が重要かと…)

アメリカのガイドブックでも日本人は多いことになっている

"Let's Go The Budget Guide to Alaska & The Pacific Northwest", St. Martin's Press, p. 124, 1997. (洋書売場にたくさん並んでいる黄色っぽい一連のガイドブックシリーズのアラスカ編のうち、Chena Hot Springs を述べた部分)

In the winter, scores of Japanese travelers shiver their way to the resort for its prime Northern Light viewing. In the summer, the resort is still a nice place to relax and lower 48ers and Europeans alike are frequent guests in rooms at relatively reasonable summer rates (single $85, double $95).

Chena の冬は黄色い猿で埋まっているから近づかない方がよい、と著者は言いたいのでしょうか ? (それほどでもない?)


余計なお世話

上記の現地ツアー会社は現地での営業も長いので、よもやそんなことはあるまいと思いますが、経営権を獲得したからといって、日本人目当てに Chena Hot Springs 名物の「温泉饅頭」などは作らないようにして欲しい!



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Last Modified : Oct. 8, 2001