Lake Ferguson 湖畔 lodge へのナイトツアー

湖畔のロッジで northern light を見、Greenland 伝統的食材を食べる
[Northern light at lodge]

2 月 25 日 (水曜日)

出発

2100 ホテルのロビーに集合。TOYOTA のバンに 6人 (客 3人, 運転手, Jesper さん夫婦) 乗り、空港横を通って南へ。途中からは、車の前照灯以外には明かりのない暗い雪道になり、小さな建物に着きました (乗車時間 10分くらい)。
[Map around Kangerlussuaq]
Tasersuatsiaq (Lake Ferguson) 湖畔のロッジですが、夜なので、湖面が見えたりはしません。
ツアー会社の summer house としても使われていて、Jesper さんはここで週末を過ごすこともあるそうです。玄関の扉上部には caribou の頭蓋骨が飾られていました (記念撮影しようと努力したけれど、結局うまく撮れませんでした。自動焦点式のこのカメラの測距能力の低さには頻繁に泣かされています)。後で建物の外側をぐるりと一周すると、南側には、ox の頭蓋骨もありました。
早速、要所に灯をともし、運転手のおにいさんは湯を沸かしはじめ、「久々の別荘生活を始めるぞー」という感じです。小屋には電気は来ていません。

Greenland 伝統的食材を食べる

[Greenlandic cuisine] (大きい写真は 32kb)
Butikken で買ってきたオツマミもたくさん持ち込まれてきていました。Jesper さんの奥様がまな板の上で、鯨の干し肉を手際よく切っています。お、手に持っているナイフがちゃんと女性用です 。使い捨ての紙皿, クッキングペーパー, プラスチック製まな板, 近代的な奥さまの防寒着と、伝統的な食材, ナイフとのミスマッチ。
帰るときに、余った食べ物は、Jesper さんの奥さまがうまい具合にポリ袋に詰めて持ち帰れるようにしてくれました。

Ammassaat でも食べる部分、食べない部分が Greenland の地域によって違うんだょ」と Jesper さんが講義してくれました。
[ammassaat]
Greenland 地方 頭部 胴体 尻ひれ
北部 食べる 食べる 食べる
中部 食べない 食べる 食べない
南部 食べない 食べる 食べる
伝統的なこだわりがあるのかもしれません。私は日本で鰯の干物を食べるように、Greenland 北部風に、頭からがりがり全部食べてしまいました。

一緒に行った Nさん夫婦は、水割りの飲み過ぎでしょうか、おつまみの皿を前にして、眠り込んでしまいました。奥さんの方は、目が覚めて、「トイレはどこ」と訊いていましたが、ロッジの建物内にトイレはなく、"野糞" になると聞いて、生理的欲求を断念し、我慢を選んだようでした。

Northern light は現地語では"arsarnerit"

"Northern light" を Greenlandic で何というか? と尋ねてみましたが、 Jesper さんは知らないそうで、奥さまに訊いてくれました。奥さまの発音は「アッサンナ (arsarnerit)」と聞こえました。
Jesper さんは Denmark の大学を出、英語と独語の教師の経験があり、日本にも滞在していたことがあるから日本語も話せて、奥さまは Greenlander なのに、それでも知らない Greenlandic は多いそうです。
「『どういたしまして』だって難しいんだょ」と実演してくれましたが、とても真似できるような発音ではありませんでした。
それはとにかく、奥さまは「northern light なんて珍しくないのに、日本人はどうしてわざわざ遠路遥々やって来て、寒い中を耐えてまで見ようとするのか? とても不思議だ」と言っていたそうです。なるほど、夜空には星や月と同様、 northern light は毎夜のように見えるもの、ならば、わざわざ見る気にはならないでしょう。Jesper さん自身、そんなに興味はなかったから、Greenlandic で何というか知らなかったのかもしれません。似たような話は Alaska の Fairbanks でも聞きました。
Bar の止まり木のようになっているところに guest book が置いてありました。繰ってみると、日本人のサインがたくさんありました。女性が多かったです。何ページか前には 60歳の方が、日英両語で上手くサインを残しておられました。私の左側のページは、Feb. 12, '98 の日付で、Chena や Finland でも northern light をご覧になったことがある方でしたが、この当日は雪だったそうです。それはつまらなかったでしょう。
私が guest book に「Greenland では northern light は南に見えても『北の光』と言うか?」とつまらない書き込みをしているうちに、少し濃い northern light を逃してしまったようです。

Arsarnerit」の意味は後で分かりました。「ボールで遊ぶ」の意味だそうで、セイウチの頭蓋骨を使って死霊たちが行う球技が northern light だと昔は信じられていたからのようです。これは Alaska, Canada, Greenland のイヌイットたちの northern light に関する物語で共通する点だそうです。この時点では、まだそんなことは知らなかったので、「オーロラは、北極圏の国々では言葉は異なっても、みな『北の光』である。」(「オーロラへの招待」赤祖父俊一, 中公新書 1273, p. 35) の方だけが頭にあったのでした。Danish で northern light を示す言葉 "nordlys" は確かに、"nord" (北の), "lys" (光) です。

Northern light を逃してからカメラにフィルムの装填を始めたのでは、泥縄もいいところです。しかし、今度は逃さないぞ、というつもりで、部屋を出て、建物周囲を巡ることにしました。もっとも、数分外に出ては、寒さに耐えきれず、室内に戻ってきて、mattak をつまみ、水割りを飲んで、たっぷり暖まる、というパターンになりました。寒い、となったら、東の玄関, 西の庭のどちらからでも部屋に引き返してくることができて便利。

この夜一番濃い northern light

そのうち、ようやく少し濃い northern light が南の空にかかりました。それが、このページ最初の写真です。建物から光が漏れ、柵で囲われた"庭"とその中の机も見えます。人影が"庭"に見えるのは、もうロッジを引き上げて帰る時間が近づいていて、Jesper さんが私を捜しているもののようです。ロッジにいる間にはこれが最も大規模な northern light でした。
ロッジ内の火を全部消したことを確かめて、再び真っ暗になった中、懐中電灯で車を探り当て、2315 hotel 帰着。さらに Hotel Tuttu へと戻っていく車中から Jesper さんの奥さまがいつまでも手を振り続けてくれていました。

補足

日本の mattak ?

「皮鯨 (鯨肉の皮に接した脂肪の部分) は夏季非常に美味いけれども、冬は一向に食う気がしない」(北大路魯山人「魯山人味道」 中公文庫 p. 110,「鰻の話」所収) という食べ方が日本にもあるなんて知らなかったんですけど。

northern light は南の空に見える

オーロラ環は地磁気極を中心とする平均半径約 2,500km の円に沿って現われます。 現在の地磁気極は、Greenland 北西端の Siorapaluk 付近にあります。Kangerlussuaq は Siorapaluk から約 1,340km 離れているだけなので、オーロラ環の北側にあります。だから、通常の northern light は、当然、南の空に見えます。

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Last Modified : Oct. 3, 1999