2003.05.07名人戦第3局二日日 長崎決戦 対四間飛車急戦46歩型

森内俊之VS羽生義治

死者の舟

実況&分析マシュダ一家 MashudaBBS2003.05.08


死者の舟 投稿者マシュダ一家  投稿日: 5月 9日(金)00時22分10秒

名人たちはなぜ88地点へ向かったのであろう?
それは88地点が形だからであった。
美の形という亡霊。
それは死者の舟であった。


名人戦は死んだ 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 8日(木)17時51分27秒


70手めの64歩で会場にはため息がもれたようである。
我々は森内の41手め88玉を見て実況を中断した。長いため息であった。
それ以後は名人戦の将棋ではない。
感想戦では41手め88玉が名人の敗因と語られるであろう。
諸君等は我々がここでの最善手68玉を10時59分37秒に実況していたことを人に語る勇気があるであろうか?
68玉ならば羽生が暴れても57角などとは打たれなかった。羽生は飛車を切れなかったということである。


青野のまなざし 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 8日(木)13時48分55秒

午前中の衛星放送では封じ手の34手めに32飛は後手負けの変化が加藤解説で詳細に述べられている。銀交換後43銀打から飛車を取り合い後手の下段飛車は68金で受け先手は42飛で対抗するという変化。後手84桂打に対して43角打ちが攻防手となり先手が勝つ変化となる。43角打は対四間でよくでてくる攻防手。
青野が最後に登場し後手の攻めを「暴れるのみ」と表現した。そしてしばらく沈黙。その時の青野のまなざしがすべてを物語っている。それは昨日の95歩に対する加藤一二三の「アラ、アララララ」と同じ感慨であろう。


居飛車穴熊から「クラゲ囲い」へ  投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 8日(木)12時18分14秒

加藤一二三が「穴熊は指す気がしない」と公言することに拍手をするだけではこの将棋は理解できない。羽生が72銀としたのは居飛車穴熊対策だからである。ところが後手71玉がこの72銀と61金を逆行相転化させたことにより先手の56歩に対応し得る絶好のトリプル手であるという解説は今まで為されたことは我々が知る限り一切なかった。プロ棋士はそれを体験的に述べるだけである。プロ棋士の経験値は「さばきあいで互角の分かれは振り飛車有利」という言葉に集約される。後手の美濃囲いが優秀であることは誰にでもわかる。しかし先手の囲いがなぜそれに対抗できないのであろう?そこを誰も解説できないのである。だから昨日の解説では後手に飛車を打ち込まれた時に59金打となり、今日の解説では68金寄りというように臨機応変に対応することになる。従って先手の囲いの名称は「クラゲ囲い」とでも名付けるしかない。玉が88に居れば舟囲いであるが78玉の位置では得体の知れぬ「クラゲ囲い」


加藤一二三の盲点 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 8日(木)11時42分36秒

昨晩加藤一二三は必死に考え封じ手44角の変化を読んでいる。それだけでも凄まじい解説者である。解説者というより対局者のレベルで体を張っている超人であった。その場合44角-55銀が先手に成立するはずと読んだ。55銀に対して22角ならば先手優勢の変化である。しかし33角と引けば同じく飛車交換となりさばきあいは互角のわかれというのが衛星放送で紹介された手順であった。我々なら玉形の差で後手優勢と判断する。なぜ元名人は44角の判断停止をしたか?原因は大介であろう。四間飛車の達人が41飛でいいと言っているので遠慮してしまったのである。しかしそれでは大介がひとり非難されるかもしれないのでフォローしなければならない。不本意ではあるが加藤一二三に絶大なる敬意をもちつつあえてその盲点を考察。
加藤一二三は対四間は棒銀オンリーである為に対戦相手の後手は72銀とは絶対にせずに62玉からの蟹這い囲いを目指す。その為に加藤一二三には71玉と引いた手が後手特有のトリプル手であるという認識が最初からなかった。これが加藤一二三の盲点であった。いかがであろう?


40手めの形成判断 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 8日(木)11時08分45秒


角が交換されたためにさばきあいの商談は半分成立。大もとは玉形。後手は71玉のトリプル手発生ですでに玉形優位。従って香と歩の2枚換えを互角のさばきと試算すればすでに後手優勢。そこで先手は香と歩の2枚換えを清算し直す必要がある。88玉は危険。既に述べたように86の方に玉は逃げなければ負ける。96歩からの端攻めを狙い後手は桂馬を取りに行く順を権利として保有する。85桂や76地点が空白となった為に76桂の直撃もある。後手にとって11馬対策は33角の合せで手順に再交換し33桂と進軍する権利がある。そこで先手は後手の弱点と狙いを見抜く必要がある。それは飛車の位置。56飛とさらに1歩取られては危険。従って加藤一二三変化で紹介された前進流55銀はない。33角の合せには33桂以後57銀と引いて56歩を死守しつつ45桂馬を誘うのが最善である。しかしすでに半狂乱の羽生はそれを許さない。2筋に飛車を回帰する強靭な意思があれば47歩は怖くない。


41手め 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 8日(木)10時59分37秒

41手めに名人は68玉と指せるであろうか?


41手め名人長考中 絶対命題の連続性 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 8日(木)10時47分49秒

午前10時までに衛星放送では40手まで指された。41手めは加藤一二三は88玉ではないかと言う。歩があれば77歩で良いが歩切れの為にここで77香ではつらい。そこで88玉と言う対の読みとなる。プロ棋士はこのような読みを消去法と呼ぶ。これで先手は香と歩の二枚換えからさらに21桂馬を取る余裕はない。王手であることは絶対命題の提示であった。
88玉は危険である。後手の96歩が絶対命題の連続性を導き手抜きできない為である。


35-40手め 自然な流れ 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 8日(木)10時37分39秒

35手め44同角=必然
36手め44同飛=必然
37手め55角打=当然。66角打でも同じ。飛車は逃げることになる。
38手め74飛=4筋に逃げては32歩が生きる展開。次に歩切れをついた王手を狙って当然。
39手め11角成=角を打ったからには必然。歩の換りに香入手。
40手め76飛=当然の王手。これで2歩得。2歩と香車の2枚換え。先手は歩切れが大きなマイナス。


控え室の驚き=等価交換の先入観 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 8日(木)10時28分30秒

なぜ控え室は驚くのであろう?昨日は鈴木大介は封じ手が41飛と思い、加藤一二三は32飛という見解を衛星放送で述べていたが、今日になってもこの封じ手が驚きであるという。この封じ手を見た森内本人が驚いた表情であったというが呆れたというのが実感であろう。モニターでは盤面が44角を見せた後、羽生の飄々とした顔、名人が指を鳴らす場面が映し出される。加藤一二三はこの44角を意表の一手と述べる。
プロ棋士解説の落とし穴は一手一手の交換が等価交換であるかのように解説せざるを得ないことにある。次の一手はなにかを解説する自転車操業を昔から今日まで行なってきた。だから前の手に対応する次の手が等価値であるかのような錯覚を持ってしまう。ところが羽生の44角出はすでに後手の権利として盤面にあったはずである。玉が62地点では44角と歩を取れなかったがすでに71玉とした為にこの手は自然な後手の権利行使であった。44角に驚いたということは彼らは71玉の価値を見損じていたということになる。簡単に言えば71玉が後手を引いているという形成判断を下し32歩が放置できないはずと思い込んでしまったはずである。これを等価交換の先入観と呼ぶ。


34手め封じ手44角! 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 5月 8日(木)09時05分44秒

羽生が31手め46銀から決行しようとした角出。後手の権利をここで遂行。背後には例のトリプル手暗躍。