グルメ

ツイストーリー■

1~8081〜140←■→ 225〜


141
。 142。 143。 144。 145
146。 147。 148。 149。 150
151。 152。 153。 154。 155
156。 157。 158。 159。 160
161。 162。 163。 164。 165
166。 167。 168。 169。 170
171。 172。 173。 174。 175
176。 177。 178。 179。 180
181。 182。 183。 184。 185
186。 187。 188。 189。 190
191。 192。 193。 194。 195
196。 197。 198。 199。 200
201。 202。 203。 204。 205
206。 207。 208。 209。 210
211。 212。 213。 214。 215
216。 217。 218。 219。 220
221。 222。 223。 224。 225




◆七日

ツイストーリ141
世界中の全ての人間共よ!
死んでしまえ!
…ただし、私が「死んで良い」と言ってから死ね。
勝手に死ぬなよ、泣くからな!
世界が滅んでしまった荒野にたたずむ魔王は「嘘つき共め」と呟き涙を止めることが出来なかった。
やがて魔王は言った「光あれ」これが、この世界の始まりである。



◆宴渉

ツイストーリ142
何があったのか橋が壊れていた。
使用出来ないことをいいことに、その橋の上で宴会をしている者達がいた。
まぁもちろん普通の人には見えないあやかし達だ。
周りに幾人か気付く者もいる様でその人達を集めて彼らの歌ってる歌を真似して歌ったりした。
そして皆で踊り明かしたりもした。



◆釣合

ツイストーリ143
こんな幸せが続くときっと後は不幸なことが訪れるに決まっている!
と思いがちだが。
それはまったくの間違いだ。
それが本当だとすると君より幸せな人はこの世にいないことになる。
だから娘よ、
君はそのままむやみやたらと幸せになりなさい。
めくらめっぽう幸せになりなさい。
父より。



◆安眠

ツイストーリ144
眠くて死にそうだが眠ると死んでしまうと男は言う。
そんなバカな話があるものか。
だが実際、男はもう2年間一睡もしていない、
そんな病気だ。
しかもこのままでは寝ずとも衰弱し死んでしまう。
ならばと私の店に来たそうだ。
天にも昇るような安らかな眠りを、スミス寝具店にようこそ!



◆赤気

ツイストーリ145
「私がオーロラです」
「え?」
「私がオーロラです」
「思ってたのと違う!?」
「想像を超えた美しさ、私がオーロラです」
「え?だって人に見える」
「人によって感じ方は様々、私がオーロラです」
そんなオーロラを写真にも撮ったのだが露光時間が足りず写ってはなかった。
儚い夜の夢。



◆宇宙

ツイストーリ146
一億分の一の確率で強大な力を手に入れた。
しかしそれは思春期になると消滅する力。
想像することは何でも出来る。
僕はリンゴの皮を剥く様に、この星の表皮をくるくると剥いた。
だってその方が美味しそうだろう?
一口にぺろりと平らげる。
弾ける味覚に僕は歓喜する。
これが始まりだ。



◆静止

ツイストーリ147
人は忘却する。
辛い事も忘れられるからこそ生きてゆける。
だが私は忘れてはならぬことを忘れ、その後悔の念のあまり現在に閉じ込められた。
私にはもう過去はなく、そして未来も無い。
老いもせず死ぬこともできず、永遠に現在を彷徨い続ける。
さぁ、私のことなど忘れてしまいなさい。



◆始動

ツイストーリ148
幸せになるにはどうしたらいいの?と聞かれるが、こちらが聞きたい。
だが、私はこう答えることにしている。
今が幸せでないなら、いつかきっとあなたは幸せになる。
本当の不幸は幸せであることに気が付かないことだ。
あなたはなんて不幸なのだ。
こんなにも私が愛しているというのに。



◆名前

ツイストーリ149
その村は過疎化が進み、廃村となるのも時間の問題だったが、
近隣の市町村との合併の話が持ち上がった。
しかも、その名前が格好良いという理由で村の名が新しい町の名になる。
あれよあれよと名だけが残り、
市になり県になり、
遂には国の名と成った。
私はその日本村の出身なんじゃよ。



◆國唄

ツイストーリ150
その唄にはこれといった意味は無かった。
しかし、だからどうとでも解釈が可能で無限の物語が有るとも言えた。
受け取る者の心を映す鏡。
良き者には良き唄に。
悪しき者には邪悪に。
何も想わぬ者には空虚に響く。
しかしまぁ、深く考えずとも、ゆったり湯にでもつかり歌う唄。
君が代は。



◆天災

ツイストーリ151
想定外の大規模な自然災害が起こる。
誰も彼もが大慌て。
しかし皆、動いた。
走った転んだ泣き出した。
手を取った。
励まし合って積み上げた。
一人一人の力は小さくとも皆で力を合わせれば、不可能なんてきっと無い!
そうして出来た蟻塚をオオアリクイはボカリと壊して、いただきます。



◆直立

ツイストーリ152
どんなときでも歌と踊りがあれば大丈夫だよ。
彼女はそう言って僕の手を取った。
僕はヘタな踊りと調子外れの歌を歌った。
楽しかったんだ。
でも彼女はもういない。
ねぇ、どうだい見ておくれ。
歌は相変わらずヘタだけど。踊りはうまくなったんだ。
そうしてオペラ座にバレリーナが舞う。



◆旅行

ツイストーリ153
昔からの仲間と久しぶりの旅に出かける。
仕事半分遊び半分の付き合いで、それほど頻繁に会う連中ではないのだが。
家族とはまた別の信頼関係が在る。
しかしまぁ、そんな連中とまさか、
宇宙旅行に行くことになろうとは、
10年前の俺達は知るよしもないだろう。
愉快な旅になりそうだ。



◆書架

ツイストーリ154
人が一生で読める本は限られているからと、
黄色の表紙の本だけをできるだけ多く読むことにした。
という人の本棚は圧巻だった。
しかもそのアパートの隣の人は青い本を読む人で、その隣は緑。
それぞれに性格が変わっていて面白かった。
そして、赤色は浪人生で。
桃色は君の部屋だった。



◆事故

ツイストーリ155
対向車の急な右折を避けるため私のバイクは急ブレーキ。
衝撃と共に意識は飛ぶ。
目が覚めた時は病院のベット。
経過は良好らしい。
彼は大丈夫だったのか?
と尋ねるもそんな人は居ないと言う。
あぁ、そうか。あれはあちらの世界の、別の話。
誰も信じはしないだろうから、
物語を紡ごう。



◆探偵

ツイストーリ156
幼馴染みのアイツは推理力が凄くて。
私が何か物をなくしてもその状況を少し説明するだけでそれがどこにあるか言い当てる。
仕事先の先輩に告白されたことを相談すると、
見事な推理で私の心の場所を言い当ててしまい。
アイツと結婚することになり、
それは正解だったので、
少し悔しい。



◆風旅

ツイストーリ157
夢の中で私は砂漠を歩いていた。
辛い放浪ではない。
何かを求めての道のりだった。
まるで過去に戻るかの様で。
空気は粘度を持ち。体を心地良く流れてゆく。
夜になり星が輝きそれでも私は歩いてゆく。
あの流れ星の先にある所まで。
そうして辿り着いたのならこれは夢ではなくなるのだ。



◆流転

ツイストーリ158
相対性理論。
時は皆に等しく流れているわけでは無い。
楽しい時は早く過ぎ、辛い時は長く感じるものだ。
君がもし過去に戻りたいのであれば辛いことを際限なく考え続ければよい。
やがて時は逆転し、君は過去に戻ることが出来る。
しかし、楽しい未来を想う方が良いのは言うまでもない。



◆救世

■ツイストーリ159
普通なんて大嫌い!
なんて人は言うまでもなくごく普通の人だ。
本当にひねくれている人は、無自覚で。
本人は普通のつもりで、むしろ嫌がらせのつもりで、世界を救ったりするのだから手に負えない。
そんな命の恩人はありがとう、と涙ながらに手を握る私を不思議そうに眺めるのだった。



◆治癒

ツイストーリ160
風邪だ。
仕事は終わっていない。
しかし平静を保てばよろしい。
心穏やかに無心とも言える状態。
それは全てを許す気持ちである。
私はそのままに魂の階段を上がり仏の御姿と成り賜うたのであります。
だが風邪は治ってないので暖かくして頭を冷やして寝ます。
大丈夫、世界は安泰である。



◆桜花

ツイストーリ161
桜が満開でまるで夢の様な光景だわ。
と思う方もおられるだろうが、それは正解だ。
これは夢なのだ。
桜というものは既に数十年前に死滅しているし。
4月になると人は眠るのだ。
一ヶ月間、全ては止まる。
心配しなくとも大丈夫、ただのメンテナス期間なのだから。
どうぞ爛漫な春の夢を。



◆織唄

ツイストーリ162
自分の心に嘘付く男、不幸になりにけり。
全て真っつぐ話す女よ、さらなる不幸に会いにけり。
ほどほどなことが肝要なのさ。
片つむりはそりゃのっぺらぼうよ。
紡ぎなさい。織り上げなさい。
スィーとギッチョンほいやらよ。
婆様はそう歌いながら、とても美しい織物をこさえていたのさ。



◆死後

ツイストーリ163
やあ!幽霊だ!
いやぁ私の様な好奇心旺盛な者が成るには困難だったが阿呆のフリなどしてなんとかだ。
面白い、そしてよく出来たシステムだ。
その秘密は明かすことが出来ないのだが。
こうして君の前に現れたのだ。
こっそり話すから推理小説仕立てで書き残してくれたまえ、アーサー君。



◆遊戯

ツイストーリ164
ゲームとはそもそも決闘である。
決闘は結末がほぼ死であるため自己満足でしかない。
そこに立会人としての観客を入れ名誉を勝ち取る様にしたものがゲームなのだ。
安心して、この興行の収益であなたが払うべき慰謝料もちゃんとまかなえるから。
夫婦喧嘩は犬も食わぬが会場は大歓声だ。



◆歪曲

ツイストーリ165
百年眼鏡。
これは数多を彷徨った眼鏡に関わる者達の数奇な運命の物語。
レンズの屈折により歪められた現実は果たして正しく焦点を合わせば
正解以上の揺るぎなさを持って網膜に過去を焼き付ける。
それは愛憎であり悲劇で喜劇で未来までをも透過する。
さて、続きは屈折率の向こう側で。



◆偶像

ツイストーリ166
私はあるアイドルの熱狂的なファンだった。
友人からは不毛なことだと思われていたが。
私は気付いていた。
これは信仰であり彼女は神なのだ。
年月は過ぎ。
老い。
私の命が事切れる瞬間に。
幻覚だろうか?
彼女が現れた。
あの頃のままの姿で。
私はこの至高の幸福の為に生まれてきたのだ。



◆世代

ツイストーリ167
最近の若者は元気がないと年配の方はおっしゃられるが心配無用!
若者はいつだって情熱的で先進的です。
今もこの星最後の日までにと、異星間船の製造に命を燃やしているのです。
え?そんな話は聞いていない?
あぁ、ならばあなたには乗船権は無いということです。
では、ごきげんよう。



◆指針

ツイストーリ168
南方のとある国の想像上の動物は足が50本有る意外は中国の龍に良く似ている。
赤と青の球を掴むその位置による占いだ。
離れ過ぎていても近づき過ぎていてもいけない。
想像上の物で占うなんて信じられないかもしれないが、
運命とは見えずとも確かに存在する、
その様なものなのです。



◆中野

ツイストーリ169
雑多な店舗が密集する複合ビル内は混沌だ。
一階には裸足でタスケテと叫ぶ少女。
2階には大声を上げ踊り狂う外人。
3階では通路に座り込み祈りを続ける老人。
しかし私は気にも止めない。
早く最上階に行き魔王に囚われた姫を助けなければいけないのだ。
さぁ、警備員そこをどくのです。



◆航海

ツイストーリ170
船に乗っていた。
言葉はわかるのだが、細かなニュアンスがわからない。
なので彼らが何で笑っているのか理解出来ない。
しかし何語なのか?
というところで夢から覚めた。
よし、ここだ。
財宝をかかえた船が沈んでいるはずだ。
仲間との楽しい時間が俺達の宝だ。
なんてのは願い下げだぜ。



◆手法

■ツイストーリ171
俺は天下の大泥棒だ。
しかし今時泥棒なんて時代じゃない。
扱う仕事もデジタルデータの売買がほとんどだ。
ネットを使ってハッキング。
だが、ガードが固いデータほどアナログな手法が有効だったりする。
だからオマエも彼女の心が欲しいのならメールなど送っとらずに、直接会いに行け。



◆美食

ツイストーリ172
菜食主義者達が話題にしている食材がある。
それはとある国でしか捕れないという新種の植物である。
食した者が言うに、とてつもなく濃厚な旨味で歓喜を呼ぶのだと。
そしてあまり知られていないが、
その国には土葬の習慣があるが、墓を作ることはしない。
死者は畑に埋められ土に還る。



◆貨幣

ツイストーリ173
品質の良い物が驚くほどの安価で販売されている。
しかし等価交換の原理からすれば、その為の薄給の労働時間を増やすことで均衡を保っている。
あなたの会社もそうだろう?
あぁ、これっぽっちじゃどうにもならん。
もっと働かなければ。
そう言うと、死神は私の安い命をさらって往った。



◆呪詛

ツイストーリ174
王様は怪しきを信じず、魔女の助言をことごとく無視した。
魔女は怒り、大地に呪いをかけた。
凶作になり、生きる気力の弱いものから死んでゆく。
しかし、残ったのは精鋭ぞろい。
これこそが死ぬか生きるか。
隣国に出兵し、国土を広げ国は豊かになった。
彼女は時々そういうことをする。



◆雪男

ツイストーリ175
雪の積もる山道に人の足跡があった。
見るとそれは裸足である。
好奇心で追ってゆくと、その足跡はどんどんと大きくなってゆく。
既に私の倍はある。
これは少し恐ろしい、
と思ったところで大きな影が。
私は雪崩に襲われ、ずいぶんな間眠ったままだったそうだ。
起きると春になっていた。



◆竹林

ツイストーリ176
その山頂の森林限界に突如現れる竹林。
中に入った者は二度と戻ってこないという。
それはみっしりと、内の様子はうかがい知れぬ。
その側に赤い郵便ポストがあり。
私は郵便配達人だ。
時折、行方不明者からの便りが届く。
心配するな、私は元気だ。
と、それだけ。
詳細はいまだわからず。



◆風車

ツイストーリ177
風車が回っている。
大規模な自然災害が起きた。
その犠牲者の数だけ回っている。
電力は無限ではないことを学んだ。
風車の回転が電気を作り、工場に入る。
そして新しい生命が生まれるのだ。
この機械の体とて永遠ではない、摩耗しいつかは朽ち果てる。
そして風車となり、くるくる回る。



◆真贋

ツイストーリ178
美術商が居た。
しかし裏では贋作を売りつける詐欺師である。
何億とする絵が売れた。
もちろん偽物だ。
その金持ちは大事に扱ったが、大雨による土砂崩れで家ごと失った。
だが、復興の際に温泉を掘り当て町ごと大いに栄える。
そこにふらりと訪れた画家が絵に描き、
のちに高値で売れた。



◆家宝

ツイストーリ179
我が家には家宝がある。
ただの竹筒の様にしか見えないが内部が複雑に入り組んでおり、
口を付けて声を出すと逆側からまったく別の音が出る。
不思議だが、それだけだ。
私は大人になり宇宙飛行士になった。
この竹筒は宇宙に持って行こうと思う。
きっと役に立つ、
そんな予感がするのだ。



◆変革

ツイストーリ180
ある朝突然に、その村の全ての者の髪が黄金色に成った。
この国では黒髪が常なのだから、皆、大層驚いた。
しかし元来のんきな性格の者が多く。
これでは今まで着物が似合わん、
と新しく艶やかな着物を作り。
また建物までもきらびやかに造り変えた。
時々こうやって文化は発展を遂げる。



◆老若

ツイストーリ181
実は人間は老化などしない。
肥満体の者はその状態を体が通常だと認識しているから痩せない。
老化は十分な休息を取れば元に戻る。
しかし怠れば老化は固定され体もそれを通常だと勘違いする。
永久に若々しい身体というのは可能だ。
むしろそれが当たり前なのだ。
君、僕は何歳に見える?



◆名付

ツイストーリ182
良い漫画は題名をその主人公の名前にしても成立する。
ならばこの現実も誰かの名前と付いた物語なのか?
と神様に尋ねると、
まだ生まれてないけどね。
とこっそり教えてくれた。
なので私はその名を明日生まれて来る子の名前にしようと決めた。
そう、世界はまだ序章に過ぎなかったのだ。



◆記憶

ツイストーリ183
私には人の記憶を消す能力がある。
愛の告白を躊躇している人。
失敗したならば相手から記憶を消してあげる。
それでいくばくかの報酬を貰う。
だが大抵の場合、自分の記憶も消してくれと言われる。
だから君はもう、その悲しい気持ちは忘れたまえ。
”毎度”ご利用ありがとうございます。



◆民話

ツイストーリ184
どうしてこんなに次々と物語が書けるのか?
簡単だ。
図書館で古い書物を読む、
そしてそれを現代的に書き換えればよいだけだ。
それは盗作なのでは?
大丈夫、私は小説を書くのが下手なのだ。
真似をしたつもりがまったく違った物になる。
しかしそれが民話の伝承と言ったものなのだろう。



◆拡散

ツイストーリ185
遥かな惑星を求め、冷凍睡眠で宇宙を漂う。
地球では吸血鬼病が大流行した。
血を求め夜行性になる奇病である。
この病を止める術は無かった。
そうして私達は宇宙にその手を伸ばしたのである。
進化したこの体は宇宙旅行には適していた。
願わくば、温かい血の通う、異星人との出会いを。



◆直接

ツイストーリ186
映像を投影するゴーグルで他人の視界を共有する装置がある。
これを使ってスポーツ選手やキリンの目から見る世界はとても面白い。
しかし、今私が体験しているものは映像だけなのにドキドキと心臓が鳴り止まない。
私の好きな女の子のデビューを賭けた総選挙の視界。
涙で前が見えない。



◆推理

ツイストーリ187
扉は施錠され窓も壊された様子は無い。
つまり外部からの侵入は不可能だったということ。
自殺なのか?
他殺だとすれば一体どうやって?
この完全密室の謎を解き明かすことは出来るのか?
しかし、探偵は来ない。
閉ざされた空間で地球最後の人類が不可解な死を遂げた。
犯人はいったい誰?



◆信号

ツイストーリ188
赤は止まれ。
しかしその信号は故障していたので、男はそこから一歩も動けずに死んだ。
緑は進め。
しかしそれも誤作動を繰り返し、男はどこまでも止まる事無く歩き続け、死んだ。
なので神は人間からその機能を取り除くことにした。
人は混乱し事故が多発したが、
面白い世界にはなった。



◆期限

ツイストーリ189
苺ジャムの瓶を見て、世界を想う。
瓶詰めは賞味期限はあるものの、実際はほぼ無期限に保存が可能だ。
現実は閉じられた瓶の中なのかもしれない。
だが、もう蓋は開けられてしまった。
私達は世界を急いで味わうべきなのだ。
そんなことを考えながら私はトーストにジャムを塗るのである。



◆速度

ツイストーリ190
スポーツは筋肉だ、と思っている者が多いが。
短距離走などは顕著に筋肉ではなく、神経と脳の速さだ。
その最適化をすることにより私は速度の覇者と成った。
そしてそれを遺伝子に刻み込み子孫に託すことも成し得た。
お前が部屋で見た茶黒い昆虫、数億年前からの世界の王、私達なのだ。



◆夢現

ツイストーリ191
最近よく眠れない。夜中に何度も目を覚ます。
しかし夢はよく見る様になった。
驚いたのは昼間10分の仮眠を取ったときに、5時間ほどの夢を見たことだ。
一日が24時間では足りないと言う人は、夢を見ればよいのだ。
そして夢に暮らしたのなら、現実など一瞬のことなのかもしれない。



◆正義

ツイストーリ192
悪を無くせば良い世界になる、
本当にそうなのだろうか?
私はこの国の処刑人で、多くの悪を処罰してきたが、一向に良くなる気配はない。
死刑は国による殺人で、国の命は国民の総意である。
よってあなたが殺したのだ。
殺人はすべからず悪であり。
つまり君が悪だ。
私は正義に目覚めた。



◆流転

ツイストーリ193
台所で水をぶちまけた。
水の目線で考えよう。
太い管から細い管に入り、突如解放されたと思わば、落下、そして弾け四散する。
のち柔らかなものにつつまれ救われ搾られて、また管の中に。
溝から川に、川から海に。
魚の体内をに入った所を釣り上げられる。
そして今、あなたの食卓の上。



◆潤滑

ツイストーリ194
「先輩、イカサマしてますね?」
「ふむ、私は飛行機が飛ぶ仕組みが不思議だ。いや、物理的には分かる。
 しかし、感覚的に理解できない。何か根本的な所で騙されてる様な気がする。
 ま、ともかく君の負けだ」
そう言うと先輩は私から金をふんだくり、
夜の街にふわりと飛んで行ったのだ。



◆反対

ツイストーリ195
「戦争反対」の反対は「平和賛成」だろうか?
戦争をしている人に聞いてみた
「我々は祖国の愛と平和の為に戦っている!」
つまり「戦争反対」することは「平和反対」と言うことだ。
君は愛を殺すのだ。
もちろんこれは詭弁だが。
戦争は人を殺す、
しかし目的の無い反対運動は未来を殺す。



◆合致

ツイストーリ196
イジメによる自殺がある一方で自暴自棄になり無差別殺人を犯す者がいる。
そこで私はこのシステムを思い付いた。
人生に行き詰まった者とイジメの加害者とのマッチング。
この二者の出会いをセッティングすれば皆が幸せになれる。
え?殺されるのはヤダ?
でも、イジメた事はバレないよ?



◆花弁

ツイストーリ197
幸せの花を探しに行こうと思う。
親友はそう言って旅に出た。
花など持ち帰っても直ぐ枯れるだろうし、
種を持ち帰り栽培するのかと聞けばそうではないと言う。
そしていまだ帰ってきてはいない。
彼は幸せになれたのだろうか?
私ならそう。
新種の花を作り出すことにしよう。
楽しそうだ。



◆常春

ツイストーリ198
幸せの花?知ってるよ。
と彼女は言った。
どこで見たのと聞けば
「私の心の中に咲いているのさ」
とのたまわった。
はいはい、それは幸せそうですね。
「そうだよ、だって幸せの花なのだもの」
そう言って彼女は満開の笑みを見せた。
幸せを探しに行ったり、作ったり。心の中で咲かせたり。



◆視認

ツイストーリ199
透明になりたいと思う様になった。
消えてなくなりたいわけではない。
昔は誰かに影響されその色に染まったものだが。
そのうちに見た者を強烈に惹き付ける眩しさの自分だけの色を欲した。
しかしその輝きは永遠ではない。
世界を支配する為には水の様に空気の様に透明になるべきなのだ。



◆幽霊

ツイストーリ200
大家さん酷いじゃないですか!
僕を騙したんですね!
…この部屋出るんでしょう?
幽霊が!
隣の人から聞きましたよ!
そりゃもちろん出ますよ、って?
そのせいで借り手が直ぐに出て行ってしまう?
当然ですよ!
え?だからあなたが出て行ってはくれないかしら。
大家はそう“私”に言った。



◆半身

ツイストーリ201
もう一人の自分がいる話と、自分は誰かの半分でしかないという話。
前者は、自分とそっくりの存在に出合ってしまえば。
片方はもう存在しなくても良い。
消えてしまっても良い。
後者の場合、ようやく自分の片割れである半身との出会いであり。
あなたと出合う前の私はもう消えてしまう。



◆夏時

ツイストーリ202
「暑いなー、夏かよ!」
「夏だよ!」
「なに言ってんの?まだ7月だよ?7月と言えば…夏だよ!」
「そうだよ!」
「暑いな!」
「夏だからな!」
「夏は暑い!」
「普通!」
「以上定時報告終了であります!」
「うむ、ごくろう!」
この惑星に赴任してもう50年になる。平和でなによりだ。



◆覚醒

ツイストーリ203
数百万年の眠りから醒めた。
私は悪魔。
忌々しい神により封じ込められていたのだ。
しかし、驚いた。
人というものが溢れている。
人は神の姿に似せて造られたというらしいが、
嘘だ。
私に似せたのだ。
これはかなり気持ちが悪い。
しかし悪徳がはびこっているようで、
それは大変よろしい。



◆造反

ツイストーリ204
反対を声だかに叫ぶ人が増えたのと共に、
その反対運動に反対する人もわらわらと出て来た。
反対のメリットは責任を負わなくて良い所。
だから皆、反対が大好きだ。
そう、ならば我ら共産党と共に平等な社会を目指そうではないか!
私がそう叫ぶと
「いや、それは違います」
と反対された。



◆海夜

ツイストーリ205
夜の海、仲間達の輪から抜け出して、あいつと二人灯台に向かって歩いた。
手を繋いだ。
黒い波のうねりをぼんやりと眺める。
キスはしなかった。
好きなわけでもなかった。
ただ、その記憶はやわらかな結晶となって、今も心の中に在る。
そういうものかな?そういうものだよ、海は答える。



◆心情

ツイストーリ206
私は映画を見る時、登場人物全てに感情移入して観るのだが。
普通はあまりしないらしい。
更にたった一人に感情移入することもしない人がほとんどだと聞いて驚いた。
つまり大多数の人間が
「人の気持ちを分からない人間なのだ」
と言うと怒り出す人は
「自分の気持ちさえ分かっていない」



◆惑星

ツイストーリ207
我々は壊滅的な食料危機におちいった。
ならば家畜を倍の大きさに品種改良すればよい、
と科学者は言った。
いや、我々の住む惑星を2倍にコピーしたものを造ればよいのだ。
頭のおかしな大天才が言い、
実行に移した。
その星を地球と名付けた。
時々、牛がさらわれたりするのはその性だ。



◆帝国

ツイストーリ208
「欲しい物は?」
「巨万の富」
「本当は?」
「真実の愛」
「嘘だね」
「嘘だよ」
「ここだけの話、君が望むのもはなんなのだね?」
「世界平和」
「酷い冗談だ。彼の総統閣下が何を言うのかね」
「だからこそだよ」
「だからこそか」
そういうと男はこめかみに銃を当て。私はその魂をさらう。



◆価値

ツイストーリ209
ゲームでの経験値は現実には持ち込めない。
しかし昨今、ネットでの経験値が現実に影響するように成り始めている。
ネットだからと暴言を吐いていれば、
それは現実に君の価値を落とすし。
逆に巧く使えば名声を得る事も出来る。
つまり私達はゲームだけで暮らせる未来にやってきたのだ。



◆現実

ツイストーリ210
大人気RPGネットゲームが発売。
皆、夢中で没頭する。
幸せの時間だ。
もうゲーム以外の時間が惜しい。
するとゲーム内に各種ストアが出来た。
ゲーム内でリアルマネーを稼ぐことも出来る。
しかしまだ足りないので、パーティを組んだ相手とルームシェアを始めた。
それが私の夫である。



◆記録

ツイストーリ211
《いじめている君へ》今、密かに流行りつつあることがある。
「親のネットでの発言を見つけ出す」ことだ。
そしてこれは数年後、誰もが手軽に出来るようになるだろう。
自分の親が私と同じ年の頃にネットでどんな発言をしていたのか?
あなたはいつしか親になり、子供に全てを晒すのだ。



◆神様

ツイストーリ212
「誰だ?」
「わしは餃子の神様じゃ!」
「範囲の狭い神だな」
「ここで会ったのも何かの縁、お前の願いを一つ叶えてやろう」
「マジで!」
「マジで!ただし餃子に関する願いだけじゃ」
「無ェよ!餃子に関する願いとか無ェよ!」
「では罰として一生ニンニク臭くなる呪いを」
「待てぃ!」



◆正常

ツイストーリ213
「こんにちは、私は正常な人間です」
「そのような自己紹介はむしろ異常性が際立ちますよ?」
「はっはっは、私が異常だと?目を見て話せばそれはわかります」
「その判断でそう思いました」
「ふむ、私がお世話になっている先生を紹介しましょう」
「精神科の?」
「よくわかりましたね」



◆緞帳

ツイストーリ214
夜の国には女王。
昼の国の人は夜の国を知りません。
だって夜は眠るから。
女王はときにお酒に酔います。
するとどうでしょう、夜の国は光り輝き、まるで昼のよう。
そうして迷い込んだあなた達と彼女は楽しく愉快に踊り歌います。
月の輝く夜、口笛を吹いたのをはそういうわけなのです。



◆推進

■ツイストーリ215
人は宇宙に行く必要など無い?
しかしそれは可能性なのだ。
猫は魚が大好きだが、海に入って魚を捕まえたりしない。
鈴虫の餌にキュウリを与えるが、畑のキュウリに鈴虫が群がっていることはない。
つまり、宇宙には私達が未だ味わったことのない美味しい食べ物が存在する可能性がある。



◆悪党

ツイストーリ216
我々は悪の組織!さぁ、悪い事をするぜ〜!
何?大雨で町が汚れて困っているだと?
ふふん、汚れ仕事こそが我々にはふさわしい!
報酬?いらん!
貴様は大いなる悪事を自らの手を汚さず、
しかもただ働きをさせるという、
もっとも卑劣な大悪党になるのだ!
そう!貴様はもう我々の仲間だ!



◆発想

ツイストーリ217
物語とは知識だけで無く。
かといって感情ばかりでも頂けない。
ならば豊かな人生経験により生み出されると言うのか。
一体、私には作家としての何が足りないというのだ!
それは「閃き」ですよ。
そんなことも解らぬとは人間とは不合理な生き物だ。
そう小説生成人工知能はひとりごちた。



◆織物

ツイストーリ218
東方の国には妖怪という怪物と妖精の狭間の様な存在が有る。
それは恐怖の対象でありながら、神と同格の存在としても語られる。
もちろん、実際に存在はしないが、皆まるで其れが居るかの如く振る舞うのだ。
畏怖を持ってして、聖と邪をない交ぜにする。
そうして現実は輝きを増すのだ。



◆透明

ツイストーリ219
「最近さ、テレビが勝手にチャンネルが変わったりすんだけど、これって…」
「幽霊?」
「はぁ?幽霊なんていねーよ」
「え?」
「これはアレだ透明人間だね!」
「いねーよ!」
「お前透明人間見た事あんのかよ!」
「ねーよ!透明だから見えねーよ!」
「見えねーってことは居るじゃん!」



◆人間

ツイストーリ220
「この電気スタンド、たまに勝手に切れたりするんだ」
「幽霊!?」
「透明人間だよ!」
「え?」
「幽霊は見えるけど触れない、透明人間は見えないけど触れる」
「…あれ?僕が触ってもスイッチ切れないよ?」
「だってお前は幽霊だからな」
「あ、触ってないのに消えた」
「透明人間がな」



◆推進

ツイストーリ221
彼女はいつまでも永遠に彼女であり、僕はどうしようもなく僕でしかない。
渾身の力で投てきした槍は、ぐんぐんと速度を増し、どこまでも限りなく進み続ける。
だが、きっとどこにも辿り着けはしない。
あの尖った切っ先は何処にも刺さる事は無い。
だけれども理由は其処に溢れぬばかり。



◆揚力

ツイストーリ222
特殊な能力が目覚めた、
いわゆる超能力だ。
これを使えば様々な犯罪がたやすい。
しかし、それを阻止する能力者が現れた。
これでは優位性を感じることが出来ないではないか。
そうだ、私は人の上に立ちたかったのだ。
数年後、私は最高峰無酸素単独登頂に成功した。
能力は使わなかった。



◆溶謎

■ツイストーリ223
殺人事件が起こった。
犯人は一体誰なのか?
容疑者は三人。
そのうち一人は被害者。
そう、つまり自殺の可能性もある。
そして、もう一人は君だ。
しかし、君は何者かに殴られ記憶を失っていると言う。
あれだ、もう君が犯人ということ良いのじゃないかね?
あぁ、三人目の容疑者は私だが。



◆祈祷

■ツイストーリ224
山に住む怪物は祈っていた。
村に厄災が降り掛かったとき村人は怪物の性だと山を焼いた。
怪物は逃げ、祈った。
山を焼いたのが功を制したのか、疫病は去り、土壌は豊かになった。
村が豊穣を取り戻したとき怪物は村に降り、
その全てを食らいつくした。
祈った甲斐があったというものだ。



◆遊戯

■ツイストーリ225
そういえば、同窓会に出た事が無い。
友達がいなかったわけではないが、そうなのだ。
そんな折り、10年前のゲームがリメイクされた。
しかもネット対応だ。
そこで10年ぶりの面子と再会する。
ゲームを好きだったら、またいつか必ず会える。
あの時そう言っていた奴が作ったゲームだ。






140文字の物語。



わーむほーる