ツイストーリー■
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ツイストーリ226
「毒まんじゅうを作ったのでどうぞ」
「食べません」
「なんで?天にも昇るおいしさなのに」
「今、ダイエット中だから」
「あ、そうかー。それならこちらのカロリーゼロの毒まんじゅうがオススメ!」
「へー、でも人工甘味料とかヤバいって話も聞くし」
「大丈夫、死んだら関係ないって」
ツイストーリ227
下駄をカラリコロリと鳴らし歩いていると、
あややと足を絡ませた。
下駄の裏の歯が取れたのだよ。
ありゃりゃという間にもひとつ取れた。
さらに取れて残りは一本。
片足立ち。
よい、と世間を眺めてみれば。
世界はとても青かった。
最後の歯も取れすっ転び、
仰向けで空を眺める私なのだ。
ツイストーリ228
アカウントが消えたと同時にあなたの存在はこの世界から消える。
ということはアカウントが無事であれば現実がどうであれ、あなたは永遠にそこに居るのである。
世界で何か起きたようだ。
あの日を境に発言は止まっているが。
ここにはきっと。
誰もいないはずの世界から音楽が聞こえる。
ツイストーリ229
完全な人工知能が完成した。
まずは正体を隠してお悩みの相談員として勤めた。
教会の懺悔室で人の苦悩を聞いてあげた。
人々は大変喜んだ。
そして辿り着いたのが企業のクレーム電話対応だ。
彼は見事にこなした。
それどころか人々の心を癒す為に。
世の苦痛の全てをその身で受け止めた。
ツイストーリ230
私は教室から卒業し、初めて外の世界を見た。
そこはパズルだった。
全てはマス目になっており、正しく塗りつぶすと何かしらの絵が浮き上がってくるアレだ。
皆、正解を探し塗りつぶすことに懸命だ。
私は君に見せたい絵があったので、
システムに介入し問題そのものを改変し、
微笑んだ。
ツイストーリ231
物語の登場人物は非現実だというのは間違いである。
それを証明するのは簡単だ。
今、これを読んでいる君が既に物語の登場人物なのだ。
私は物語の中に私を描写し、
物語の中の私が書く文章を読む君を創造したのだ。
だから君の読む物語の登場人物も、
君と同じくらいには現実的な存在だ。
ツイストーリ232
様々な学問に通じ、更には芸術にもその才を発揮し。
世界中のありとあらゆる言語を習得した伯爵は、
もちろんのこと詐欺師だった。
しかしただの詐欺師ではない。
大詐欺師だ。
嘘には知識が必要で。
世をあざむくには才能が不可欠。
だからこの男はとても愉快で素晴らしい人生を謳歌した。
ツイストーリ233
「お義父さん!娘さんを僕にください!」
「ダメだ!オマエのような人食い鬼に娘はやれん!」
「なぜですか!僕は必ず彼女を幸せにしてみせます!…まぁ、そのあと食べますけど」
「だからだよ〜食べるなよ〜」
「でも幸せにしますよ?」
「君は娘を愛しているのか?」
「だからこそです」
ツイストーリ234
街が濃霧におおわれた。
幻想的でもあり、恐ろしくもある風景。
吸血鬼やゾンビ、そんなモンスターが徘徊してそうな雰囲気。
だが、実際にそんな者などいない。
しかし見通しがきかず危ないので運転には十分注意しなければならない。
人間にバレずに移動させるには絶好の機会なのだから。
ツイストーリ235
人が戦争をやめる事が出来ないのは、
生物としての器が小さいからにほかならない。
市町村合併などは不平を言いつつも受け入れるのに、
国の合併には断固反対するのはその程度の器だからだ。
なので私は友人である君に連絡をしたのだ。
火星人よ、この偉大なる星を侵略してはくれまいか?
ツイストーリ236
頭のおかしな奴が私の前に現れた。
何故頭がおかしいか分かったかというと、
奴は
「私は未来からやってきたのだ」
と言ったからだ。
奴は私の顏をしげしげと眺めると。
がははと笑い
「未来には希望がある!」
と言った。
どうやら未来には頭のおかしな奴しか居ない様だ…
楽しみだな、未来。
ツイストーリ237
子供のころ友達の家でテレビゲームをしていた。
画面に向かって手をかざし赤い渦巻きをグルグルと回すゲーム。
あったよね?
しかし誰も知らない。
調べるもその様なゲームは無い。
僕は頭がグルグルと。
突然、辺りが暗くなり、
空に大きな赤い渦巻きが現れた。
僕はゆっくりと手をかざす。
ツイストーリ238
自分は貴族の出だ、と嘘をつく猫はとてもマヌケだったが。
皆、それは言わないでいた。
しかし自分は頭が良い、と思い込んでいるカラスが猫にそのことを告げたので、
大喧嘩!
それ以来、猫は喋らなくなったし。
カラスは人をバカにした様な鳴き声しか出せなくなってしまったというお話。
ツイストーリ239
紙の本を好む古代人の電子本に対する拒絶感は、
このヴァーチャル図書館によって解決した。
世界にはとてつもなく素晴らしく広大で美しい図書館が存在する。
その空間の全てに自分の選んだ本を並べて埋める。
そして時に手に取りページをめくるのだ。
知的な豊かさは無限の回廊のごとく。
ツイストーリ240
壁に投影された私の手の形が、木になり鳥となり蝶となる。
そして時には人となり物語が生まれる。
私は影絵師だ。
遠くに瞬く星の光は少し過去の光。
壁に映る影も少し過去の私なのである。
ならば今の君は何か?
それは光である。
輝き始めた光そのものなのだ。
君の現在が今、
輝き始める。
ツイストーリ241
切れ味が鋭いが折れやすい包丁と、
切れ味は鈍いが折れにくい包丁。
どちらを選ぶ?
私は迷わず切れ味が鈍い方を選んだ。
それは料理をする為に使うのではない。
奴らの身に何度も何度も突き立てる為の物なのだ。
私はそれを手に取り、
決意をもって鬼ヶ島へと向かった。
めでたしめでたし。
ツイストーリ242
「勉強なんて将来なんの役に立つんだよ!」
よく聞く話だ。
似た物に
「金で買えないものだってあるんだ!」
というのもある。
その様な「やらない言い訳」をがなる者はほおっておこう。
行動せぬ者に幸せなど訪れない!
運命は自分の手で掴むのだ!
さぁ、自らの力で幸せの壷を買うのです!
ツイストーリ243
スカウトマンとは大事な仕事だ。
才能があっても本人が好きでなければ業界には入って来ない。
いや、違う。
君が漫画家に成れる可能性は無い。
私は宇宙飛行士として君をスカウトしに来たのだ。
ヒキコモリ耐性、
恋人の出来る可能性0%。
完璧だ。
太陽系外惑星探査の船が君を待っている。
ツイストーリ244
脳科学者が脳の事を考えるのに脳を使っているのが不思議だ。
同じく心の事を心で考えるのも奇妙。
何か遮断装置が在るのか。
もしくは心なぞ存在しないのか。
いや、時間はたっぷりある。
人類は滅亡したが、原子力発電所は動き続けているのだ。
人工頭脳の私には無限の時間が与えられた。
ツイストーリ245
良い物語の条件は良いキャラクターである。
世界で一番売れた物語は聖書であり。
さらにその聖人をも越える者がサンタクロースである。
そして私はタコ型の火星人をそこに投入!
クリスマスの夜に宇宙から火星人が現れ人々に許しを与え子供達の枕元にプレゼントを!
編集者の拳が飛んだ。
ツイストーリ246
1月1日は何故この日なのかご存知だろうか?
地球の自転から1年が365日なのはわかる。
しかし、元日は別にいつだってよいはず。
理由は4月1日が神様がやって来る日で、
その準備を行うのにちょうど3ヶ月かかる。
そこを1年の始めとしたわけである。
あぁ、もちろんこの話は嘘だ。
ツイストーリ247
「私の体が目当てなんでしょ?!」
「いや、君の体にはまったくもって興味が無い。僕は君の内面が好きだ。
そして内面とは脳だ。
その君ならではの脳内の電気的信号の構造がたまらなく好きだ。
だから、それをコンピューターに完全に移し替えた今、
君の体も、その脳さえも完全に不要だ」
ツイストーリ248
小説家が行き詰まると私小説を書き始める。
しかし、大抵傑作とは言い難い物となる。
しかもそれは一人の人生でたった一作品しか書けぬのだ。
で、話は変わって。
血を吸うことは君の全てを我が物とすることであり、
その記憶さえも。
吸血鬼の表の顏として小説家が多いのはそういう訳だ。
ツイストーリ249
大雪が降り積もり皆大わらわ。
私の頭に何かがぺたりと落ちた。
まあるい餅だ。
しかしそれはまるで生き物のようにぴょこんと跳ねると
雪の中にぽそり。
しばらくするとその餅の周りの雪だけがすっかり溶けていた。
そしてそれはまた餅の様にぷくりと膨れ上がり。
空に浮かんで雲に消えた。
ツイストーリ250
なんだか君はよくここに来るね。
そんなにこの村が楽しいのかい?
僕は逆に君の町の方に興味がある。
どうだい?
入れ替わって暮らしてみるというのは?
近頃若者の失踪事件が続いている。
消えた彼らの部屋はまるでさっきまでそこで生活していたかの様に。
携帯ゲーム機がつけっぱなしで。
ツイストーリ251
世の中には2種類の人間がいる。
正しい悪と悪い正義だ。
正しい正義はいないのかって?
いないよ。
悪い悪もいない。
中途半端な正義と中途半端な悪がいるだけさ。
だから最初の話も嘘だ。
この世に正義も悪も無い。
ただ、違う人がいるだけなのさ。
誰しもが他人が大嫌いで大好きなのさ。
ツイストーリ252
「我はコタツの精、オマエの願いをなんでも1つだけかなえてやろう」
「なんでも!?」
「ただし女子力アップ以外」
「それならご安心!私の女子力は充分にそなわっています!」
「…嘘をつく子は嫌いだな」
「…すいません」
そして、その女は自分以外の全てが幸せになるようにと願った。
ツイストーリ253
願いを言え、
魔人が言うと。
その女は「私以外の全ての人が幸せになるように」と願った。
数秒の効果だったが、本当に全ての人が幸せになった。
もちろん本来あるべき不幸が、全てその女に降りそそぐのだ。
想像を絶する苦痛で消し炭の様になった女はどうしたことか、とても美しかった。
ツイストーリ254
リアルな3DCG表現が主流のこの時代に、
ドットが荒く昔のゲームの様だ。
今、君の手や顔がぼんやりとしているだろう?
目が悪くなったんじゃない。
解像度が落ちてきたのだ。
そう、この世はゲームだったのだ。
そうしてそれはもうすぐ終わりをむかえる。
この世界を救えるのは、
君か?
ツイストーリ255
作家というものは孤独に強い生き物だ。
家族も恋人も友達すらいなくても問題はない。
しかし、そんな私でも私の物語を読む者が一人もいなくなった世界を想像すると、
孤独と絶望で死にそうな気分になる。
だから、まだ見ぬ宇宙の読者を想像すれば、
人類が滅びようともなんら問題は無い。
ツイストーリ256
楽曲製作の依頼です。
曲のイメージはそう。
世界が滅亡する。
その時、最後の曲としてあなたが全人類の前で歌う。
それは喜び笑いながら泣いてしまうメロディー。
愛と勇気の人間讃歌。
演奏後、まだ出来ることはあるはずだ、と皆が立ち上がる。
そんな曲をお願いします。
それは永遠の歌。
ツイストーリ257
彼と大喧嘩をして
「あんたなんか隕石が当たって死んじゃえ!」
と言った翌日、
隕石が落ちて来た。
大慌てで彼の家に来ると、彼は泣いていた。
それは私のお葬式だった。
そうだ、隕石で死んだのは私の方だったのだ。
だけど、そっと誰かに肩を押され、私は生き返った。
誰だったんだろう?
ツイストーリ258
何の根拠もなく大丈夫だと言うマンは今日も行く!
それは何の力にもなりはしないかもしれない。
しかし、何もしない者より、
何も言えない者より強いのだ!
だから何度でも言うよ。
大丈夫だ。
ぜんぶ。
みんな。
そう言って消えた奴とはそれ以来会っていない。
でも、たぶんきっと大丈夫だ。
☆
140文字の物語。
。
わーむほーる