養 育 往 来 よういくおうらい

  (小川保麿(玉水亭)作・書。天保10年(1839)序。同15年刊。[大阪]秋田屋市兵衛板)

*諸書に盛り込まれた子育て論を引きながら、子どもに子育てのポイントを教えた往来。教育する側の心得と教育される側の心得を渾然一体に記述するのが特徴。


○子どもは善悪ともにうつりやすく、育て方でどのようにでもなる。一生の賢愚得失は幼児で決まる。

○8歳から行儀作法を教える。出入・食事・就寝・来客時等のお辞儀、嘘を言わない、食べ物に卑しくないように。

○親と師匠が同じ心(厳しさ・慈愛)で教えることが大切(子を養う=教える=厳しくする=学問成就させる)。

○子を養って教えないのは「父の過ち」。教えても子どもが立派に成長しないのは父の教えが至らないから。

○親自ら衣食住の質素倹約に徹し、朝は早く起こし、神仏を拝ませ、夜は遅くまで家業を教えよ。

○子どもの横着や非行は絶対に許してはいけない。最初からの習慣で、親の厳しさにも子どもは慣れるもの。

○たとえ親の教えがなくても、子どもは孝行を尽くすべき。親が非道でも見習わずに、ひたすら孝を尽くせ。


★原本で読みたい方は → 『往来物大系』41巻、または、デジタル複写をお申し込みください。