渡辺康建築研究所
WATANABE YASUSHI architect & associates



正しいこととは

この度の震災では、これまで考えもしなかったことが色々と起きています。科学技術
とは答えはあると思いがちですが、そんなことはないようです。放射能についても、
色々な話が聞こえてきます。火力発電でも放射能は出ていて、香港は石炭火力発電所
の影響で普段から毎時0.14マイクロ・シーベルトだという話もあります。こうなると
何が正しいのか冷静に判断しなければなりません。
以前、住宅のソーラーシステムや省エネシステムを調べた時に、様々な方式があり、
それぞれの言い分を聞くと何が良いのか分からなくなりました。さらには、どこもが
自分のシステムが良いことを主張して、お互いに批判し合っているのですからなおさ
ら分かり難くなります。今でもオール電化か、燃料電池か・・等々、それぞれ利点難
点があるようで、科学技術も正解があるわけでは無いことが分かります。
これまでも、リサイクルではペットボトル再生するにはよけいにCO2が排出されると
いう話もありました。また、自動販売機は冷房と暖房と照明を1日中使っているので、
住宅1軒分の電力を消費していて、これを無くせば原発1基無くせる、とか、コンビニ
はその何倍も消費しているという話もあります。省エネはできることがたくさんあり
そうです。最近は計画停電で照明を落としている施設が増えていますが、駅前は入口
は暗く、改札部分だけ明るくなっている様はメリハリがあって、省エネの点でもです
が、景観的にも非常に良いと思います。
最近、学生には以前書いた20世紀折れ尺の話をしています。終戦はたった66年前で
す。20才前後の若者にとってもその3倍遡っただけで、遠い昔の事ではありません。
当時は日本中焼け野原の所は多く、原爆も2回落とされ、世界中で核実験も行われて
きました。それでも復興し発展してきたのだから、悲観する事は無いと伝えています。
様々なことを冷静に考え直す良い機会にしなければなりません。
2011/5/3


1945年の隅田川周辺
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