渡辺康建築研究所
WATANABE YASUSHI architect & associates



ザッケローニ

サッカー日本代表のザッケローニ監督の言葉が良いですね。今回(2011 年)アジア
カップの最初苦戦を強いられた時にメンバー全員を集めて“君達は、やるべきことを
やっていない”と言ったそうです。“なぜできない”“これではダメだ”と叱咤した
り、“もっとうまくできる”“がんばれ!”と曖昧に励ますのとは大きな違いです。
人格や能力について言うのでなく、人に具体的で能動的にやる気を出させる言葉です。
また、控えの選手にも“いつも注目している”“期待している”と声を掛けていたそ
うです。それが徐徐に花開きました。
イタリア人は本当に誉め上手だと家内が言っていました。どの娘にも、おばあさんに
も、いつでもBellissimo!( 最高に美しい!)と声をかけるのだそうです。言われ
た方は、もちろん悪い気はしませんし、明るくなるでしょう。もしかすると美しくも
なったりするかもしれません。
人は相手の話を、耳ではなく、目で聞く。何を話すかよりも、どういう人が話してい
るのかを聞いている。と山田ズーニーさんの書いたもので読みました。確かに“宇宙
人発見!”とスポーツ紙に書いてあっても“またか”と思うだけですが、新聞に書い
てあれば“本当か?”と少しは考えます。イタリア人のオーバーな表現と矛盾するよ
うに思えますが、本気で思って言っていないとだめだということでしょう。確かに、
ザッケローニ監督、公式会見しか見ていませんが、いつも真剣で冗談はあまり言いそ
うにありません。しかし、相手の可能性を昇華させて、それを阻まれそうな時にフォ
ローする、人間関係を大切にするイタリア人らしさを感じます。
今の日本にはザッケローニ的なものが必要なのかもしれません。

2011/2/22


ザッケローニ監督
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