渡辺康建築研究所
WATANABE YASUSHI architect & associates



気付くこと

What makes the telling fresh each time is a bias we put on the observed facts.
(視点のもちようで物語は常に生まれる.)セシル・バルモンド(建築構造デザイナー)
の言葉です。
serendipityセレンディピティ(思わぬものを偶然に発見する才能[能力])という言葉
もあるそうです。The Three Princes of Serendip という主人公が捜してもいない珍
宝を偶然に発見するおとぎ話から来ているらしい。 偶然の出来事から何かを発見をす
る「能力」のことで、ひらめきやアイデアを気付いてつかみ取る力のことだそうです。
通常の洞察力とは若干違うのは、セレンディピティは、例えば金を探しているときに
ダイヤモンドを見つけてしまったり、石油を掘っていたら温泉が出た、というように、
もともと欲しかったものとは異なる新たな可能性を見つけ、かつそれをモノにする力
のことです。こういうことは気付かないことが多いだけで、以外とあるのではないか
と思います。以前模型を作っていて、部品を適当に置いたところ、この方が良いので
はないか!と気付いたことがあります。それに気付かないとスルーしてしまっていた
ことになり、何も生まれないし何事も起りません。
だいたい私たちは最初に思いついたことに固執しがちですが、やはり柔軟な姿勢と作
り上げたものも壊せる思い切りと、冷静に判断できるアタマの柔らかさが必要です。
日常の中の、例えば通勤の電車から見える風景からも、こういう関係は良いとか、反
対にこれは良くないという反面教師の気付きもあります。きっと目の前の日常に触れ
ている世界も宝の山だということでしょう。


2010/11/2


並河記念館/京都
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