渡辺康建築研究所
WATANABE YASUSHI architect & associates



つながること:Human relations

人は新たな人との出会いや、ものを見つけた時、新たな関係が生まれた時にワクワク
します。一方で、守られて穏やかに安心することも求めていて、そのバランスをどう
するかが重要なのだと思います。言い換えるとコミュニティーとプライバシーのバラ
ンスです。最近、一般的には防犯等で神経質になり、守ることが最優先されているよ
うに思えます。ですから守られながらいかにつながりをもつかを考えなければなりま
せん。多くの人はもっと新鮮な体験やつながりを求めていると思います。
これまで、建築計画は効率重視と問題が起らないことに重置きをおいてきたため、区
別し、個別化し、分けてきました。そうするとまるで接触がない人同士が生まれたり、
傾向が偏ることで問題も偏り、そもそも孤立する人が増えます。自分のこと、もしく
は自分達のことに口出ししないでほっといてくれ、というわけです。ワンルームマン
ションがこれだけ増えたのですから、以前の寮や社宅の人間関係は問題もあったので
しょう。ですが、そのことでどのように隣と関係を結べば良いか、価値観の違う人と
どう関係を結べば良いのか分からなくなっているのも事実です。そこで考えなければ
ならないのは、お互いに気にならない開き方です。それは、住宅の中でも、集合住宅
の中でも、街の中でも同じことです。
また一方で、似た好み、家族構成、価値観、仕事の性質で集まって住むような、属性
がキーワードとなってくるのではないかと思っています。北欧にはある子供を持った
女性の新聞への投書でシングルペアレントのコ=ハウジングが生まれ、普及している
そうです。同じ不便や悩みを抱える人が集まればメリットも膨らみそうです。他にも、
音楽家やアーティストの集合住宅、看護婦やキャビンアテンダントなど時間の不規則
な人の集合住宅、建築学科の学生の寮(住んでいると様々な空間が体験でき勉強にな
る。これはそうとう面白いものになると思います)、などなど。
また○○に価値を見いだす人の集合住宅、例えば静かさを求める人の集合住宅、暗い
のが好きな人の集合住宅、電子機器を使わない人の集合住宅、などなど。
そもそも、新しい出会いを求める集合住宅というのも楽しそうです。ホーム・エクス
チェンジのように毎年住まいを引っ越しし合うようなことです。


2010/10/28


みなとみらい駅/駅と商空間のつながり
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