渡辺康建築研究所
WATANABE YASUSHI architect & associates



人との関係

映画”ベルリン天使の歌”を久しぶりに見ました。今見ると、映像や音楽の素晴らし
さもですが、子供のように世の中のものごとや人と接し関係をもつことに、新鮮な驚
きの感覚を持って接すると素晴らしいことが起こりそうに感じられました。そして、
ピーター=フォークが元天使だという設定が最高ではありませんか。
また、”日本の安心はなぜ消えたのか/山岸俊男著”という面白い本を読んで他人と
関係することについて考えさせられました。社会学の実験では、西欧人は他人でもま
ず受け入れて接し、それから相手が信用できるかを判断するので、他人とも積極的に
協力し合う意識が生まれ易いのだそうです。それは相手が信頼できるかどうかの判断
力も育て、知人が増えることで世界が広がって行きやすく、商売や貿易をする場合に
は利益が多いようです。反対に日本人は個人の能力は高く1人でできることでは優秀
でも、他人と協力しあってチームを作るのが苦手なのだそうです。それは他人と出会
った時、相手が信頼できるかどうかを考える前に所属する肩書きや出身で判断する傾
向があり、それはかつての村社会の限られた社会や集団では、相手を個人として信頼
する必要がそもそもなかったのではないか、というものです。
最近日本でもシェアハウスが増えてきているようですが、上記のことを考えるととて
も素晴らしいことだと思います。ですが、海外と比べるとまだまだ少ないようで、資
産が裕福な人でも他人との接触を求めてシェアハウスで住んでいる人もいると聞くと、
文化の違いを感じます。シェアハウスは賃貸の集合住宅の居住環境としては共用でも
使える面積も広くなるのでとても有利なことが多いのですが、人との関係を楽しめる
かが分かれ目のようです。所有することよりも使用することを重視することも関係し
てきそうです。以前は学生寮や会社の寮も沢山ありましたが、昨今めっきり減ってい
るようです.今考えると、他人との関係を学ぶ上ではとても良い経験だったのではな
いかと思います。”混在”でも書きましたが、現代は小さな問題を避けようとするあ
まり、大きな問題が生じている気がします。”イタリア的生活”のようにもっと他人
と触れ合うことを楽しむ心のゆとりが必要だと感じます。

2009/7/31


二子玉川駅ホーム - この開放感は手すりが無いのが大きいですね。

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