渡辺康建築研究所
WATANABE YASUSHI architect & associates



12人の怒れる男

1950年.60年代のアメリカ映画が好きですが、“12人の怒れる男”は昔、建築家とは
こういう考え方をする人なのか、と思わせてくれました。でも、ヘンリー・フォンダ
演じる主人公は、最初に職業を名乗るだけで映画の内容は建築とは関係がありません。
しかし映画の中で、先入観や固定観念に縛られずに1つ1つを改めて確かめようとする
姿勢に建築家としての態度というものを感じました。
その映画のテーマでもありますが、人の固定観念や先入観を変えるのは非常に難しい
ものです。住宅展示場に行くと、そこに立っている建物は“家とはこういうもの”と
いうイメージで全てができあがっているように思えます。家とは屋根があり、玄関が
あり、リビングがあり・・というものだ、と。何故、リビングや玄関が必要なのかを
疑いもしないというように見えます。建売住宅でも、わざわざ切妻屋根を複雑に組み
合わせています。プロポーションやディテールをデザインしない場合、多分そうでも
しないと物置きか倉庫のように見えてしまうからなのでしょう。
確かに建築デザインでも似たようなことがよくあります。危ないからカッコイイ手す
りを考えて付けてくれと言われた時にすぐに形を考えるのではなく、ここはどういう
場所であるべきか、ほんとうに手すりが相応しいだろうか、と前提条件から疑います。
すると、カッコイイ手すりを作るより目立たない手すりの方が良かったりします。さ
らには、そもそも手すりなどは無くて植え込みやベンチを造って手すりは無くした方
が良いのではないか、といったことも往々にしてあります。
それにしても、”アラバマ物語”など、このころのアメリカ映画はイイですよね。

2008/2/21

Henry Fonda

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