渡辺康建築研究所
WATANABE YASUSHI architect & associates



混在すること

昨今のオフィスデザインでは、新しい着想が生まれるように、あるいはそこまででな
くても慣習を見直すために様々なことが見直されているようです。それは新しい出会
いや意外な組合せが生まれたり、外部の人が訪れて様々なアクシデントが起こること
で、これまでになかったものが生まれる可能性や、自分のしていることを見直す機会
が生まれることを模索しているようです。
大きな住宅地や団地でも特定の世帯ばかりを想定していると一緒に高齢化したり問題
が片寄ることから、様々な世帯が混在している方が良いのではないかと見直されてい
ます。それは極端にいえば、進化論的に様々な特徴を持ったグループの方が、細かい
問題は起こり易いが、大きな問題が起こった時に種の保存としては強いということが
言えることと似ているように思います。
それはよく、アイデアを生み出す上で、机の回りはぐちゃぐちゃ散らかっていた方が
良いアイデアが浮かぶという話にも似ている気がします。もちろん整理できることは
した方が良く、何を整理して、何を整理しないかがポイントのように思います。
これまでの建築計画学的にも、特定のグループで分けて細かい問題が起こらないよう
にして効率を優先するように考えられてきましたが、それよりも、混在させて様々な
人が行き交い、そこで細かい問題がおこっても、それを乗り越えてより大きな問題に
対処できるようになる方が良いのでは無いかと言われはじめているようです。
それから考えると、集合住宅を考える上でも様々なことを見直すことができます。も
ちろん建築計画学的なことは知っている必要があります。それこには大小の問題が起
こらないように考えられたものですから、全て無視すればとたんに問題が無数に起り
ます。でも、明確な意図や生活からの視点があれば、幾つかのことは変えていくこと
は可能だと思います。パブリックとプライベートの区分けも色々な機器がモバイル化
していることから十分再考の余地があるし、いろいろな世帯やスペースが混在したほ
うがいいこともあるように思うのです。

2008/2/4

julian opie の作品を参考に

 20 

copyright WATANABE YASUSHI architect & associates