全景 週末に千葉に行って(帰って)きました。その際に館山道市原ICを利用することが多いのですが、その市原ICと市原SAの真ん中辺りにある紅白の鉄塔です。館山道のすぐ脇にあり、また周囲には何もないので結構目立ちます。遠目では塔頂にあるパラボラアンテナが印象的ですが、近くに寄るとPHSや携帯電話の基地局アンテナやバイコニカルアンテナとかが併設されています。パラボラにはDDIとマーキングされてますので第2電電の中継局でした。

 この構図は海保霊園に行く道路のわきから見たもので、林の後ろ側が館山道になります。画面左側が市街地方面、館山道との位置から線を引くと千葉の方だと。右側は内陸の方(←おおざっぱ?)です。比較的近い場所に立野無線中継所(これはNTT)があります。両局とも結構…というかかなり長閑な場所に設置されています。

塔頂部拡大 塔頂部を拡大してみました。パラボラ…カセグレンアンテナの反射面の上の方にDDIのロゴがあります。その上に電波暗室とかで良く見るバイコニカルアンテナ、そのまた上に線状のものが(なんとか)見えます。PHSのアンテナは画面右下側に、4本組のコリニアアレーアンテナの先端がちょろっと見えます(かなり高い位置に設置されています)。



市原のパラボラ拡大 しつこくアンテナ部を拡大してみました。上のものと撮影した場所をずらして、給電部(放射器)の様子が良く見えるものとしました。ものの本(参考図書)によるとこのカセグレンアンテナは主に衛星通信の地球局用のアンテナとして用いられる様です。下のものはページ的にはここに入れるべきものではないと思うのですが比較のため入れてみました。望遠で撮影してむりくり拡大した、君津衛星管制センターにあったアンテナです。白っぽくて見難いのですが中央にある副反射鏡が左図と同じ主反射鏡から見て凸面になっています。

 地上マイクロ波中継回線用としては、副反射鏡からの漏洩放射があるため分岐角度の浅い(20°〜40°)ところでは不向きですが、給電損の減少、インピーダンス整合の広帯域化、偏波面調整の容易さから10GHz帯以上の高い周波数域では有利になるともあります。分岐角度という点では2つのアンテナはお互いに120°以上開いているので漏洩放射の影響はないと考えられます。

 あと、鉄塔の構造を見るとこの構造をしたアンテナが取り付け易い気もします。NTTの中継局だとステージの上に載せているのが多いのですが、こことか変電所で見る鉄塔では取り付けているのが多いです…今まで見てると。

君津のパラボラ拡大 地べたに設置されている、カセグレンアンテナです。開口面の直径とかイマイチ不詳ですが、手前の水銀灯とか左隣の建物(平屋建てくらい)と比べるとだいぶでかいです。これも上と同じく中央に放射器とその先端の延長線上に主反射鏡から見て凸面の副反射鏡となっているのが観察されました。副反射鏡を支えるステーが3本になっているのは開口面の障害物(ステー)を極力避けるためでしょうか?

 地球局にこの型式のアンテナが使用されるのは、放射器と送受信機が直結できることにより給電系の損失を少なくすることができる(受信系に限って考えれば低雑音受信増幅器をアンテナ直下に設置できることで受信雑音温度を下げることができる様です)、主副反射板の鏡面を調整することで高能率低雑音特性が得られる、反射鏡系によって生じる交差偏波成分が小さい、開口の大きな1次放射器が使えその結果広帯域である…などの理由からとありました。

 副放射鏡は1次放射器と主反射鏡とに対する球面波の変換器であり、主反射鏡は球面波と平面波との変換器になるともありました。偏波とか交差偏波とかその補償とかはマイクロ回線とか無線工学とかの本を見ると結構頻繁に見かけるので更に突き詰めていかないといけないな…と思い知らされました。…  f(^^);


撮影 2003.02.02 13時すぎ(一番下のだけは10時頃) フィルムスキャンです

参考図書
・アンテナ工学(遠藤敬二・佐藤源貞・永井淳 共著、総合電子出版社 1997年7月 第7版)
・アンテナ工学ハンドブック(電子情報通信学会;1992年12月30日 第1版第7刷)



■ その後のこの局…
パラボラ撤去後の全景 週末に千葉に行ってみました。ここのページでこの対向局であった市原SA付近の鉄塔からもパラボラが撤去されていました、と書いていましたのでちょっと寄り道してみました。

 塔頂にあったパラボラアンテナが撤去されていましたが鉄塔の形状はそのままでした。パラボラ以外のアンテナは健在の様子で、自動車電話用の基地局アンテナやらPHSのアンテナやらが設置されていました。

撮影 2004.05.09 お昼ちょっと前


2003.02.06 初掲
2004.05.10 追記・表現修正等


ひとつもどります