U-kiの読書日記(00/10/25～00/11/28)

U-kiの読書日記(00/10/25～00/11/28)

『ブギーポップ・デュアル全２巻』（電撃コミックス）作画：高野真之・原案：上遠野浩平、読む。 - 00/11/29 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１１月２８日
副題「～負け犬たちのサーカス～」となっている。２巻通してみてようやく副題の意味がわかってすっきりした。確かに「負け犬」たちの大サーカスでしたな。
もし、この漫画で行われた手法が小説版のブギーにも提要されるなら、つまりある程度上遠野浩平の構想がこの漫画に反映されているならば、俺が最大の問題としている点─すなわち、今出版されている＜ブギー・ポップ＞シリーズは宮下藤花がブギー・ポップである時期を今は多角的に描いているわけだが、藤花がいつかはブギー・ポップを卒業して、また別の「舞台」で＜別のブギー・ポップ＞のシリーズが展開される可能性─ソレがある、ということになる。
まぁ、今、上遠野先生は＜虚空牙＞の出てくる世界の構築にご執心らしいので＜今のブギー・ポップ＞に結末を付けてくれるのはもう少し先になりそうだけどね。
この漫画も最初読んだときは先の読めなさにゾウゾクしたもんだか、こうして２冊の本になって一望出来てしまうとうーん、ワクワクしないしちょっとお色気が多かったな、ぐらいの印象しか与えてくれないので「連載をリアルタイムで追う」意味というのは漫画でもアニメでもドラマでもあるんだなぁ、と再確認させられた。ま、簡単に漫画単行本で読んだ感想を云うと、
「バカな、簡単すぎる！あっけなさすぎる！！」
と云ったところであろうか。でも絵柄もコマ割りも構図も悪くない。漫画としての出来は悪くないけど、＜ブギー・ポップ＞のアザー・サイドとしては弱すぎる、ということだろうか。
良くも無し、悪くも無し。見落としてた人があわてて買うほどのモンじゃない、とだけ云っておきましょう。

『無限のリヴァイアス全２巻』（電撃コミックス）作画：栗橋伸祐・原案：矢立肇、読む。 - 00/11/28 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１１月２７日
いやー、この漫画読んでもリアルタイムでアニメ見てギャーギャー騒いでた人達の気持ちには半分も追いつかんでしょうな。『星界の紋章』の漫画化も電撃大王はやってて、あっちはそれなりだったけど、コイツは『ベターマン』の漫画化と同じくらいはしょりすぎて成功とはほど遠い。それでも角川から出てるフィルムブックよりはよっぽどマシで、二つ会わせてようやく作品の全容がもやもやん、とわかった感じ。うーむ、コレは確かにレンタルビデオで追いかけるほどの話じゃないなぁ。リアルタイムで話題を共有出来てた人たちだけが楽しかった作品なんじゃないだろうか。
漫画の体裁としてはあおいの視点から物語が描かれている感じ。
戦闘シーンとかはオール削られまくりで、ヴァイタルガーダーとかそこら辺のメカとかの描写が皆無に近いのも俺の興味を喚起しないのに一役買ってますな。電撃大王のアニメやゲームの漫画化は所詮サブコンテクストにしかならんからなぁ。ホンモノ知ってる人のための添え物だからコレを手がかりにホンモノの方の味を知ろうとした俺が甘かったのかもしれんな。
確かにこういう多人数の個性的なキャラを同時に動かす、ってのが最近の「売れ線」の手法なんだと思う。モー娘にしろあんだけいれば誰かどっかに引っかかるだろう的なモノを作り手側が狙ってる気はしますな。で、キャラ萌えちゃんがそれに引っかかると。
エヴァほど放映後に後を引く作品でもなさそうだし、Ｗｅｂで色んな人が色んな作品批評を垂れ流してるのを見た俺としてはビデオ借りたりしてこれ以上追いかけるつもりはないッス。結局スタッフがアニメの劇中でやりたかった「実験」見たいのが楽しかったんだと思うので、ソレをスポイルしたこの漫画を読む限り『無限のリヴァイアス』って「物語」事態はなんか無味乾燥なものだったんじゃないだろうか、と思ってしまうのだった。

『僕にお月様を見せないで１─月見うどんのバッキャロー─』（電撃文庫）阿智太郎、読了。 - 00/11/26 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１１月２５日
早く読まないと来月２巻目が出ちゃうと知ってあわてて読んだ。
いやー、後輩で阿智太郎読んでるヤツがいることがあとがきにある「レイク・エンジェル」がらみの発言で判明して「なんでもっと早くカミング・アウトしねぇんだよ！」と叫びまくる。いや、欲しかったんよ、阿智太郎読んでる仲間。
ま、それはそれでおいといて、阿智太郎のデビュー作シリーズ、吸血鬼の少女ジルと森写歩朗（しんじゃぶろう。人の名である。森さんではない（苦笑））のドタバタ劇＜僕の血を吸わないで＞と同じ舞台設定で数年後、今度は狼男とうどん屋の娘の新シリーズが同じイラストの宮須弥さんとのコンビで始まった。それがこの＜僕にお月様を見せないで＞だ。
あの気性激しい倉地さんは千葉の大学に進学後、教師となって長野の母校に帰ってきて相変わらずのセクシーでダイナマイツなバディで男子生徒を翻弄しながら美術教師に。三石ちゃんの末妹（＜僕血＞でも三石ちゃんの容姿は本来メガネっ娘なのだが、今回は性格的にも忠実に再現されている）が高校生一年生に、そんな状況のトコロに主人公の狼男っつーか、ワイルド・ウルフ少年、駒犬銀之助は転校してきた。どうせ黄色くて丸いモノとか満月とかで狼になっちゃうんだろー、と思ってたらなんとか「黄色くて丸いモノ」を色々克服して「町デビュー」して「あるモノ」以外は大丈夫になったらしい。んでそのあるもの＝卵の黄身。それでうどん屋の娘と仲良くなって、月見うどんで変身しちゃって、サブタイにあるような「バッキャロー」な状態に何度か陥る、という展開なんですな。
変身後、元に戻る方法がこれまた数種類あって、一つはまぁ、男女が出てくるのでお約束。で、一つが丸くないモノをいじって気を紛らわす、という方法なんだけどコレが銀之助の場合、子供の頃よく遊んだ積み木がそのアイテムになっていて狼男が必死の形相で積み木遊びをする後ろ姿を想像するだけで笑っちゃう、というものである。でも今回は「死ぬほど笑う」シーンは無かったような気がするな。ふむん、ちょっち残念。
狼男の話といえば『月と貴女に花束を』がシリーズになっちゃってからは読んでないんだよね。絵も話も好きだったんだけどもう卒業っつーか、それだけじゃ「引き」が弱くてねぇ。「お馬鹿」「笑わせます」で売ってる阿智太郎だけど、それほど馬鹿やってないし、笑いもそれほどでもないんだけど、うーん、読んでて心地よいというかスッキリするというか、なんか得体の知れない清涼感があるので読んじゃうんだよな。うむむ。これが阿智太郎マジック？！というわけで、これも４、５巻で終わってくれること希望。隔月で出てくれるとなんか嬉しいものがあるんだよね、うん。（定期購読物があることの嬉しさよ）

『サムライガール２１第１巻』（ニチブンコミックス）作：桜小路むつみ・画：金井たつお、読む。 - 00/11/25 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１１月２４日
昔、『ザ・サムライ』なんてのもありましたが、所詮アレは偽高橋留美子漫画。この『サムライガール２１』こそ、正しい現代に生きる時代錯誤のサムライの悲哀を描いた物語といえましょう。しかも主人公は女子で、ＯＬ生活に憧れる就職浪人という設定。いや、これがなかなか面白い設定になってるんですな。
父親の赴任先が海外の危険な地域が多かったために、葉隠真琴は葉隠流武真館道場の主である祖父・鉄造に育てられたため、骨の髄まで古風なサムライ魂を叩き込まれてしまっていた。一貫教育のお嬢様短大卒業を目前に控え、「おーえる」めざして就職活動に東奔西走するの毎日だが、浮き世にはびこる不実や不正を前に正義のサムライ魂が黙っているわけはないのでございました。
というわけで、内定をもらったとたん正座をして礼を述べてしまう真琴。でも、その直後に実は騙されていたりとか、リストラ・カッターで切られたり、会社が倒産してしまったり、挙げ句の果てには水商売を紹介されて、「時給３千円で酒までご馳走になれるとはなんとスバラシイ職場！」とかのたまわって胸出しサービスしてしまったりするわけですな。んで、就職がパーになったあとには大抵パーにした元凶に「正義のサムライ・ソード」で一撃を食らわせに出陣するわけであります。
いやー、爺ィものも好きだけど、こーゆー時代錯誤モノでかつ時事ネタものでかつ勧善懲悪モノって好きだなぁ。やってることは『マーダーライセンス牙ｖｓブラックエンジェルズ』の平松伸二と一緒なんだけどね、こちらは少し色気がありますから（笑）
出版元は「犬ロマン」の『ウィード』と同じ日本文芸社。コンビニで偶然見つけて買ってしまったのだ。うーむ、あなどりがたし、コンビニ！！

＜仮想愛玩用人造美人専門誌アイドロイド(i-doloid)Vol.１＞、読む。 - 00/11/21 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１１月２０日
入手するのにエライ苦労した一冊。（その経緯はメモ帳参照のこと）
３Ｄポリゴンモデリングによる画像が８割、ドール系が１割、残り１割が文字、という構成で、カラーページにはほとんど興味なし。もっと等身大ドールとか、オナマシンの記事の割合を増やしてくれ！って感じですな。実際、ヒロスエ似のラブドール、マユちゃんとかには吃驚仰天之助。
レゴのマインド・ストームで作るオナマシーンには爆笑。あと塩化ビニール製のホールの危険性を謳って、色んな製品の材質を「燃やして」調べたりする企画はなんか昔の『ＥＹＥＣＯＭ』のアホな実験企画みたいで楽しかった。
文字の方は「人形」では有名な荒木元太郎の魂の叫びと「影」シリーズで有名なオリエント工業の土屋社長と最高のセクサロイド小説『プロジェクト・ゼロ』の著者である石川英輔氏の対談、携帯電話に関するエッセイ一篇、イアンワトスンの短編で構成されている。どれも面白いがまぁ、これのために１８００円払うのはアホかもしれん、とだけは云っておきましょう。Vol.２、果たして俺は買うだろうかね？

「カスタム・メイド・ガール」（『アイドロイドVol.１』収録）イアン・ワトスン
なんでも解説によると幻の長編『Woman Plant』のダイジェスト版で『Cyber Sex』というアンソロジーに収録されたものらしい。なんで「幻の長編」なのか知りたいし、『Cyber Sex』が邦訳されないかなぁ、などと思いながらとりあえずこの短編の感想を。

日本のアニメ少女そのままのような巨大な瞳を持つ人造少女のジェイドはプラントで仲間達に別れを告げ、雇い主のもとへ運ばれ奇妙な５０日間を過ごす。彼女が運び込まれた部屋には５０着の「人肌」がクローゼットにかけられていた。表はホンモノの人の肌。人種も体系も様々である。背中にはジッパーと空気穴が開けられ、口は縫いつけられている。その内側にはジェイドの体にぴったり合うようにパッドが張り付けられている。彼女はその５０の人肌をまとって、同じように人肌をまとった得体の知れない男達（あるいは同一人物なのかもしれない）と交合を重ねてゆく。そして５０全ての肌をまとった後、彼女自身が５１体目の人肌となるのではないか、という恐怖に駆られる５０日目、行為の最中に突然建物が崩壊を始め、奇妙な男達が人肌を持ち去り始める。（ここらへんの展開が急すぎるのだ）ドタバタの最中、彼女の注文主は彼女を「最高の景品」として作らせた、と謎の男達はつげ、彼女はヴァーチャル・セックス・ＴＶショーの最高の景品として移送される。そこで巨頭症のような醜い男が彼女の伴侶であると知らされ、ショーは展開されてゆく。野球拳で全裸になった後は、狂った様なＳＥＸ。輪姦フィードバックの異常でショーはパンクしてしまう。

……という内容である。ちっちゃい文字で３段組とはいえ、詰め込みすぎな内容である。
うーん、ちょっとグロテクスな感じかなぁ。サイケデリックな色彩の円形の人工島は顧客の注文通りの人造美女を作る文字通りの「ウーマン・プラント」で、そこで作られる「カスタム・メイド・ガール」達は滑稽なほどに特価され、その白紙の頭脳にはしっかり人間としての情緒や思考力が書き込まれているだけに、その存在自身は悲劇的である。
なんか漫画で云うと、水野純子の『ドリーム★タワー』とかを連想してしまう。
本来長編だったモノのダイジェスト版というだけあって濃縮され、切り貼りされたイメージがあって少々とまどう。なんか『重力の虹』とかのぶっ飛び方に似ているかもしれない。（的はずれな意見だったらスマン）

『泣くようぐいす全７巻』（マガジンＫＣ）木多康昭、読む。 - 00/11/18 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１１月１７日
ああぁ、ついに終わってしまったのね、『幕張２』。野球漫画でナインの紹介を背表紙でやってたのに『幕張全９巻』に追いつかずに打ち切り。９人も紹介できなかったね。全然しらねー人が背表紙だったりして哀愁を誘いますな。
いや、マジな話、木多センセがどんだけマジメに野球漫画描けるか期待してて、平野耕太が息抜きに突然落書きみたいなページを発生させるように、あるいは『はじめの一歩』の試合と試合の間だのインターミッションのギャグっぽい話みたいに、マジメな野球の間に『幕張』的な不条理ギャグの世界を突っ込んでくれる分には大いに結構、とか当初思っていたのだが、コミックスで３巻目まで来て野球が始まっちゃうとマジでギャグらしいギャグが出てこなくなっちゃうのでこの人、マジ・ギャグの配分が出来ねー、云うなればゴルフでフルパワースイングしかできないオヤジと同じと見たぜ！というわけで見限ってコミックス買うのもマガジン読むのも止めるぜ！とか云ってたら４巻以降の大暴走開始、である。これを後輩に聞かされてからは毎週マガジンチェックしておおいに笑わせてもらったもんだが、んー、あまりにもこの暴走が長い。コミックス２巻と半くらいやってる……。
このまま『幕張２』（主人公が所属してるのが野球部、というだけ）でアホ話を延々展開するというのなら、俺も漢。最後まで付き合おうではないか！とか云ってたら６巻の終わりあたりからまたマジメ野球路線へ戻ろうとする気配が。んじゃーしばらくマガジン読むの止めよう、とか云ってたら打ち切り前の大暴走、「タッチ、タッチ、ココにタッチ」である。でも本当に最終回まではそれすらもなんとかマジメ野球篇への布石に見えたのだが……主人公・逮捕されて、完！という前代未聞の夢落ち＋現実奈落落ちには流石に読んでてぶっ飛んだ。
我々ＳＦ研の総合的な見解としては「たまにマジメに野球やってもいいから、幕張２を続けて欲しかった」であった。
あの「冷やし中華始めました」の鮮やかさ、「耳を引っ張ってくれ」というラストの往生際の悪さ、どれも鮮烈に記憶に残っている。モー娘の『恋のダンスサイト』もこの漫画読んでおもろかったから借りてきた。走馬灯の様にアホな思い出が駆けめぐる。ありがとう、『泣くようぐいす』。君のことは幕張の次くらいに忘れない。（でもな、実際この漫画が十数巻も続いて部屋にあったらそれはそれでうざいかもな……）

『ダックスフントのワープ』（文春文庫）藤原伊織、読了。 - 00/11/14 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１１月１３日
ああ、安田ママさんの感想を読んで以来、長いこと探しまくって、ようやく見つけて読んで感想書いたら、別の出版社から復活して収録作品も増えてるんだもんな、参っちゃうよなぁ。というわけで、本来なら１０月２４日分だったやつを加筆して掲載。
全体的に「まるで村上春樹の様な純文学。とても『テロリストのパラソル』と同一の作者とは思えない」という安田ママさんの言葉通りであった。
解説で藤沢周が「徹底したニヒリズム」「冷酷な真理」という言葉を用いているが、俺はニヒリズムという言葉でかたづけてしまいたくはない、と思ったが上手い言葉が見つからない。２１世紀を前にしてニヒルもへったくれもねぇだろ、というのが俺の意見。
ただ、「冷徹に現実を読者に突きつけて置き去りにする」というのは正しいかもしれない。そして、置き去りにされたあと、読者である俺がどんな気持ちになるかは俺次第であり俺の勝手であり、読後に「現実を生きてる」ってことの意味を考えさせられて、そういう気分にさせてくれる小説を俺は好きだ、と思うのだった。

ダックスフントのワープ…切なさ大炸裂！！オチが、オチが、悲しすぎる。おかしいニャ、涙が止まらないのニャ……。
この作品感覚は引間徹『１９分２５秒』の主人公が泣きながら義足を動かす訓練をするあのシーンにかぶるんだけどなぁ。
８９年にＮＨＫでドラマ化されたみたいなんだけど、どんな内容だったんだろう。是非見たいもんである。
ネズミ焼きの贈りもの…一体、こういう作品を書く人というのはどこまでが創作でどこまでが実体験に基づいて描写しているのか時々子細に訊ねてみたくなる。キャバクラ嬢と長いつきあいのあった俺としては読んでいてそのリアリティになかなか辛いモノを感じましたな。
ノエル…同名のギャルゲーとは関係ありません（笑）。解説には少年が大人になるための儀式を描いた作品、と解説されていたけれど、そうではなくて、少女が少女であることをやめようと必死に努力するけれども報われない話、と読めたけどなぁ。
ユーレイ…叔父から骨董屋をまかされているさえない青年と１５年前から幽霊をやってる女性とのちょっと切ない逢瀬の物語。こちらは某葉っぱ系の骨董屋をやるギャルゲーをやっていると骨董屋の青年と不思議な美女という関係がピッタリシンクロしてとてもイイ気分にひたれることうけあいdeath（苦笑）。

救いだとか、カタルシスだとか、そういったものが一切排除された４篇なので、切なさの壁を超越して寂寥感ゴーゴーです。ひっくえぐえぐ。

『電人ファウスト』（てんとう虫コミックススペシャル）上山徹郎、読む。 - 00/11/13 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１１月１２日
おおぉ、装丁が格好良くなってる！しかも１冊になってる！というわけで買ってしまいました。Hasterさんが紹介してるの読んでBook-offで見つけた時は「お子様漫画」な感じがして全く買う気が起きなかったのにねぇ。
じっくり読んでみると、これがコロコロコミックに載っていたってのは結構スゴイことかも。整理された線は確かに少年誌向けかも、と思うが別にコロコロコミックじゃなくて月刊少年ジャンプあたりに載ってもおかしくないハードな設定とタッチではある。んで、ジャンプ・スーパー・コミックスに全２巻あたりで落ちるという感じかな（苦笑）。構図やカット割りは文句なしなんだけど、ストーリーの「引き」が弱いのよね。特に子供はこーゆー（良くわからないけど襲ってくる敵から身を守るといった）ネガティヴな設定の上をキャラが走る設定は駄目でしょ。たとえばエヴァとかさ。何かを手に入れるとか、レベルがアップするとかそーゆーポジティヴでわかりやすいもので伏線も軽めにしないとついてこないのよね（苦笑）。で、思ったのが『破壊魔定光』と似てるなってこと。掲載誌と作風の関係で思ったことはまったく正反対だったけど、『定光』は掲載誌が大人向けだったからネガティブな設定で引っ張ってＳＦチックな伏線バリバリでも万事ＯＫ、アニメにもなっちゃうよ、って感じなわけである。

ある日、秘密裏に軍事ロボットの研究をしていたロボット製造企業の工場で爆発事故が怒る。その翌日、小学生の女の子、暁光寺留詩葉は突然、戦闘用ロボットに襲われるが、バイクに乗って拳銃を持つ謎の怪人によって助けられる。怪人は実は留詩葉の父が彼女を守護するために急遽派遣した戦闘用ロボットだったのだ。名はファウスト。実は彼女の父親は人工知能の権威で、人間に近すぎる人工知能を持つロボット・エンジェルを開発したために、彼女の虜になっていたのだ。彼女は人間の５感を欲し、また博士の「真の娘」になることを欲して軍事ロボットをハッキングし、僕として「留詩葉の肉体」を傷つけずに奪うことを命じたのだ。だが１０体の戦闘ロボットのうち一体だけ＝ファウストだけは留詩葉の父親が先んじて娘の守護命令を下していたのである。かくして留詩葉をめぐる争奪戦が９対１で開始された。そしてファウストにはさらに重大な秘密が隠されていた……。

という感じ。ほぉーら、ちょっとコロコロ読者向けじゃないでしょ？（苦笑）
業火弾丸とか、アシエル高速形態チェンジとかファウストまわりのメカ設定もカッコイイし、酔っぱらいのおやじがメタルダーの主題歌歌ったり、ファウストは家事モードでドラえもんエプロンしたりいいとこついてるんだけどねー。これが全８話ですげーイイトコロで終わっている（打ち切り？）。
まぁ、この時点の作者のプロットの引き方じゃこれ以上続けるのもどうかと思うけど。
とにかく新装版は表紙も格好良く、同じ作者の『ＬＡＭＰＯ』（ランポ）全４巻も読んでみたいと思わせる。そう、そんなキラリと光るものをもった作品なのであった。

『昇天コマンド』（ワニマガジンコミックス）西川魯介、読む。 - 00/11/03 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１１月２日
まさに西川魯介のコミックスを遡って読んでますな、俺。
でもこの本、一応去年の１１月に出て今手元にあるのは２刷ですぜ。やるじゃん、魯介。
『コミックドラゴン』とか『コミックビーム』に載ってた分は押さえてたけど、このメインの連載をやってた『Ｃｈｕッ』って雑誌の正体が不明だったんだが、魯介ハンターをやってる友人を持つ後輩からの情報によるとなんかエロ漫画雑誌じゃなくって、なんかこう普通のエロ写真雑誌らしくて、そこにコイツが連載されてたらしいですな。ってゆうかよくソコまで追跡してたよ、とそいつを誉めてやりたくなりました（笑）。
とにかく部屋の片隅には＜ＳＦ３Ｄ＞もとい、＜マシーネン・クリーガー＞プラモが必ず並んでいるのでよほど好きなんだなぁ、と感心しまくり。
あと超マイナーな作品なんだけど俺の大好きな作品でもある、ホビージャパンに昔連載されてた、小林源文の「ソルジャー★ブルース」という、『オメガ・コマンド』の国際版みたいな話に妙な思い入れがあるとみた。だってセリフの引用があるし（俺も良くやってた）『初恋★電動ファイト』に登場する黒服面のコーチはどう考えてもそれに登場する謎のコマンド・リーダーなのだ。ま、これもどうでもいいことだけどね。
あと、どうも彼は＜クトゥルー＞とか＜クトゥルフ＞じゃなくて＜ク・リトル・リトル＞という表現を多用しているのでかなりオカルト方面でもマニアックなのではないかと。
この一冊はサバイバルゲーム・チーム「カンプグルッペ・たちくらみ」のみなさんと眼鏡でも三つ編みでもない紅一点の凶天使・唐臼毬夏ちゃんとと従兄弟の織座宏一くん（眼鏡男子）の愛と闘争の物語でキレイにまとまっているんだけどね、なぜか途中でクトゥルーの魔物とかがサバゲチームの皆さんをとりこんで、それをそっちのけで二人はＨしまくってるだけ、という不思議なお話が延々と続きます。すげー漫画だ（笑）。
こっちの方が『初恋★電動ファイト』よりは意味ナシでエロ度高いですな。
今回主人公の女子が眼鏡っ娘ではないのだが、サバイバルゲーマーなのでゴーグルは付いている。なんか『屈折リーベ』の海に行ったとき、ゴーグルにこだわってた主人公の話を思い出してしまった（苦笑）。あー、あの思い出の『屈折リーベ』、もう一度読みたいよ！

P.S.なんと単行本化希望！とか云ってたら『屈折リーベ』、１月に白泉社から単行本が出ますな。なんとも楽しみであります。『ＳＦ／フェチ・スナッチャー』の売れ行きが良かったんだろうか。なぜ、今頃になって西川魯介の本がこんなに出るのかちょっち不思議～。

『初恋★電動ファイト』（ワニマガジンコミックス）西川魯介、読む。 - 00/11/02 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１１月１日
まさか、西川センセが＜マシーネン・クリーガー＞のファンで特撮ファンだったとは！？（まぁ、デビュー作のサイボーグの話見りゃ俺と好みが同じだってのはわかるか、）
この漫画の元の掲載誌、どんなモンか知らないんだけど、コミックスのレーベルが間違いなくエロ漫画系だったので中身は…と思ったらやっぱ射精シーン満載って感じでしたな。（ちょっとがっかり）
今回の一冊は、ショタ＆メカに走ってみましたー、という感じの表題作の連載分と、影の番長（いや闇の帝王というべきか？）立烏帽子の登場する一連のオカルト学園モノで構成されている。

「電動ファイト」！それは、電動四脚メカ”マシネット”（タミヤのミニ四駆のパロね）によって闘いあう最も孤独なスポーツ！敵を押さえ込み機体後端のプラグを相手に差し込めば勝ち、というちょっぴりＨで愉快な競技だ！

という設定からメカと少年の中身が入れ替わってあららー、とかエロ漫画にありがちなお約束展開なんかが待っているわけですな。
＜立烏帽子＞シリーズの方は一般紙分もあるのでエロ度抑えめ。ク・リトル・リトルの話でもなくちょっと中途半端な感じー。
それにしても、タミヤのミニ四駆のようなパッケージはＧＯＯＤ。（『昇天コマンド』も似た装丁）
＜ミニ四脚＞＝マシネットはかなりＧＯＯＤですな。まさに８ビットパソコン時代に横山宏がメカデザイン・監修したロボット対戦ゲームの実物版みたいで。（あー、今もＰＳとかで『カルネージハート』とかあるよな。あれよ、アレ）
しっかし、どんな時期に描いたどんな種類の漫画でも眼鏡の出現率は変わりませんな。今回はお姉さんが眼鏡で少年はゴーグルです（苦笑）。某エロゲーの登場人物が「全員メガネ」と聞いたとき、真っ先に西川魯介の名を思い浮かべましたからな。
西川魯介、眼鏡へのフェティシズムだけで着目していた作家だが、案外、平野耕太のようにのびるかもしれんなぁ、と思って注目しておるわけです。はい。

『演撃少女命』（電撃コミックス）林家志弦、読む。 - 00/10/30 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１０月２９日
電撃大王を購読してる頃、『ひまわり地獄』がわりと好きだったので（同じ４コマなのに『あずまんが大王』とはえらい売れ行きの違いや）こいつも買ってしまった。ってゆうか、個人的に『エースをねらえ！』のパロは無条件ＯＫなのと、「アフロ夫人」がちょっとツボだったので、っていうのが正直なトコロかな。
うーむ、一冊にまとまったところで改めて読んだ感想は、＜林家志弦版『火星人刑事』＞みたいな感じだということ。やってることの意味不明さとか全体的なキャラの配置とか雰囲気が。例えば、なんかルーム・メイトのリトルフィールドさんは柔道着娘と同じポジションだし、コーチはまぁ上司だと思えば。生き別れの某が出てきたり戦う母と娘が出てきたりといったところである。
あと演劇っつーことでなんとなく某＜紅天○＞の座を巡って演劇対決の漫画の雰囲気が、というか母ちゃんの雰囲気が月影センセのソレそのままだったりとかするんだけどね。
んー、でもやってることは演劇でもなんでもなくて、ただの演劇的「対決」なんだよなぁ。帯に有るとおり「演劇ｖｓコスプレ」とかゆー、意味不明な対決もあったりする。
まぁ、そんなわけで色々書いたけど、特に強くプッシュする作品ではなく、連載を最初から最後まで読んでしまって、「アフロ夫人」とかに個人的に入れ込んでしまっただけな作品である。
うーん、でもなー、無意味に熱血なところとアフロ夫人の変形だけは見て欲しかったりする。そんな漫画だ。

『ナチ・ドイツの特殊兵器・陸軍編』（銀河出版）小橋良夫、読む。 - 00/10/29 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１０月２８日
ゾッキ本屋で買った。写真がいっぱいで楽しい本だったが、誤植が目立つなぁ。
ローマ数字の４（IV）と６（VI）が間違ってる個所があるんだよね、数箇所。これって大違いじゃん（涙）。
しかし！小林源文や上田信のイラストで腐るほど見ているパンツァー・ファウストやパンツァー・シュレック、およびカンプ・ピストル及びシュツルム・ピストルがどういった経緯で対装甲拳銃として使用されるに至ったかという個人的な趣味としては非常に楽しめる記事が満載で百円くらいで買えたのは本当にうれしい一冊だった。戦車の写真は結構あるんだけど、戦車猟兵の武器の写真はなかなか見る機会がないからねぇ。（それ専門の本を買えば載ってるけど大抵高いのだよ）
あとは『銃夢』にも出てくる列車砲も満載で楽しめる。
まぁ、怪しい出版社の怪しい本であり、俺が個人的に買ってうれしかったってだけですな。ふむん。

『あずまんが大王１～２』（電撃コミックス）あずまきよひこ、読む。 - 00/10/27 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１０月２６日
あずまきよひこって、俺的には『ToHeart』のトレーディング・カードゲームのイラストでブレイクした人、という印象があるんだけどそうじゃないのかもしれない。
変なバスを走らせるばかりか、アニメ作ってネットでストリーム配信しちゃうまでになるとは、電撃大王読んでる当時は思わなかったなぁ。喜んでるの俺くらいかと思ってたし。
水原暦なんて２巻の中盤まで（連載で云ったら１年以上も）本名があかされず、連載当初は柱の登場人物紹介に「保科智子」（ToHeartの委員長。容姿が似ている）と書いてあったぐらいインチキな漫画だったというか、東鳩漫画目当てで電撃大王買ってた俺には定食に付いてくる漬け物くらいのものでしかなかったはずなんだが、うーん、やはりちよちゃんの威力なんでしょうかね、ここまで人気が出たのは。あと榊さんの胸の力でしょうかね。
１巻のポイントはゆかりカーによるちよちゃんトラウマと木村先生登場あたりかな？
２巻のポイントは暦の名前発覚と初夢、そしてにゃも先生の「大人のつきあいといえば、えろえろよーっ！！」でしょう。ふむん、これしきのポイントで我がＳＦ研の後輩を虜にするとは……。（連載時は誰も話相手になってくれなかったというのに……）
というわけで、そこそこキャラ立ってて愉快愉快。共学なのに女子校みたいに見えるのも愉快愉快なので、そこらへんの女子キャラ萌えしやすい諸君は買って一読しとくよーに。（ってそーゆー輩は俺にいわれずともすでに買って、バスを走らせる原動力とかになってんだよなぁ）
ちなみに、俺は『日めくりあずまんが』は買わないぞ。絶対めくらないもン。有名イラストレータのカレンダーとかもめくっても捨てないでしょ？来年過ぎればただのコレクターズアイテムになっちゃうからねぇ。

『どす恋ジゴロ１～３』（ヤングジャンプコミックス）平松伸二、読む。 - 00/10/26 00:00:00
本日の調子: なみ。

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＃１０月２５日
あれ、過去の読書日記に書いたと思ったら書いていなかったので、３巻を買ったついでに改めて紹介。
なんかもー、平松伸二の不条理ワールドが炸裂！！って感じ。
『マーダーライセンス牙＆ブラックエンジェルズ』とはまったく別の方向に突っ走ってマス。
男芸者を自称する関脇、恋吹雪。御祝儀を払って彼と一夜をともにした女性に「艶」と「運」をもたらす＝必ず幸せになれるという「あげまん」ならぬ「あげちん」の伝説を持っていて下がり調子の様々な悩みを持つ美女が彼のもとを訪れる。そして恋関との夜の一番の後、彼の昼の一番を見て一花咲かせる、というのが話の定番だ。そしてラストは毎回「ア～～、どす恋、どす恋」のオリジナル相撲甚句で終わる（笑）。
若・貴ブームへのアンチテーゼって感じ。俺には登場する横綱は「千代の富士」に見えるし＜角界のジゴロ＞を自称する恋吹雪は強すぎず「魅せる」一番を取る「寺尾」に見える。
主人公・恋吹雪は強い。だが「大関狙いで気負いすぎるな」という親方に彼は「大関って地位に興味がないんですよ。＜守り＞に入る１番や２番じゃない。４番手あたりで勝っても負けても客をわかせる……芸で魅せれる関脇が好きなんですよぉ～」と切り返す。何度読んでも痺れるセリフである。寺尾もあのトシで毎場所、勝ち越せるか否か、はらはらしながら取り組みを見守っているが、時には「お見事！」としか云いようのない一番を見せてくれたりするから好きなのである。（一時の若乃花の相撲もそういった部分があって大学在学中は随分夢中になったものだ）
うーん、なんか２巻はフツーだけど、３巻目に入って恋吹雪誕生篇に突入しちゃってますな。
今、ホンモノの方のお相撲がイマイチなのでこの漫画の方のお相撲に頑張って欲しいのだけれど……。さっさと１巻目のような１話完結式のお相撲漫画に戻ることを期待しております。

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