U-kiの読書日記(00/9/26～00/10/21)

U-kiの読書日記(00/9/26～00/10/21)

『戦闘員ヴォルテ』（徳間デュアル文庫）谷甲州、再読。 - 00/10/22 00:00:00
本日の調子: ライオンに指を囓られちゃったム○○ロウさんなみ。

コメント:
＃１０月２１日
トクマ・ノベルズ・ミオ版を持っているので、見るだけ見て帰ろうと思ったのにこんな表紙見せられたんじゃそうもいかん。
「ちがーう！俺の知ってるヴォルテはこんなソ連兵に無理矢理徴用されたウクライナ人青年みたいな外見じゃなーーい！！もっと渋いおぢさんだったんだい！！」と激昂したあげくについ買ってしまった。ついでに『銀河郵便は”愛”を運ぶ』も持ってんのにな！（これはページ数２０ｐくらいしか増えてないのになんでこんな厚くなってんじゃ？紙質？）
この作品は俺の９８年度ベストＳＦ日本編に他の航空宇宙軍史をさしおいて、わざと入手が難しいのを見込んで１１位に食い込ませておいたものである。ヴォルテは一応、航空宇宙軍がバイオテクノロジーの粋を結集して開発した強化歩兵「タイプ・Ｖ戦闘員」のテストタイプであり、オリジナルだ。テレパシストの「ヴァイズ」にモニタされながら行動するんだけど、そのヴァイズが自分の「自由」を奪われた恨みから、ヴォルテに「自由」を与えるような行動に出る。ロボコップの厳守事項第４条の様な「創造主への絶対服従命令」の解除である。そして彼女はヴォルテと彼女を開発したレオノフ博士を殺すという復讐に出たあげく死んでしまう。彼女のヴォルテへの最後の言葉は「私の過去をあげるからそれを覚えておいて……」。そして訓練中のヴォルテは決意する。故郷へ帰ろう。─ライラックの香りのする小径。トーポリの舞う街角。露店で買ってもらったアイスクリームの甘さ─。そう、それはヴァイズの故郷だけれども。彼は自由を求めたのだ。脱走だ。重要な生体兵器の原型を抹殺してでも取り返そうと後藤大尉率いる追っ手が次々と迫る！対するヴォルテは……

ヒグマと仲良くなって一緒に寝るヴォルテ。

トナカイとお話ししてスナイパーに勝つヴォルテ。

エスパーを騙して勝つヴォルテ。

後家さんに振られるヴォルテ。

安物のクローンに追われるヴォルテ。

寒いのに裸足で牢屋に入れられるヴォルテ。

忍法変わり身の術をして勝つヴォルテ。

など、見所が満載なのだ。
文庫版あとがきではこの作品の出版までの経緯と大幅に加筆改訂した旨が書いてあって、興味深かった。正確に比較はしてないけど、これを読んで文庫版買って良かったと思ってしまった。新書版のあとがきでは『カムイ外伝』と『シートン動物記』を念頭に置いて本作品を描いた、というようなことが描いてあった。だからって熊や馴鹿とお友達かい！？（笑）
そういえば学生時代、「キカイダー」のオマージュとして描いていた変身戦闘サイボーグものの連載小説を書いたことがあったんだけどラストはこれにインスパイアされてたっけなぁ。懐かしい思い出だ。『ＶＯＲＧＡ（ヴォーガ）』という作品だったけど、一冊にしておけば読み返せたのになぁ。残念だ。
しかし、ヴォルテは人間ではなく亜人種（バイオニック・サイボーグ）である。なのに解説で星敬は機械サイボーグものばかり挙げていてなんかちょっとピントはずれだと思ってしまった。新書版のあとがきを見れば谷甲州が描きたかったのは「野生」や「五感」であることは明確である。うーん、なんだかなぁ、である。これと『マン・プラス』や『サイボーグ・ブルース』を比較してどうしろというのだ？ロボットとサイボーグものにはうるさい俺は最後に氏の解説に文句をたれて終わりにしたいと思う。
どうだ、ミンナ、おもしろそうだろ？必ず買って読めよ！

『成恵の世界１～２』（角川コミックス・エース）丸川トモヒロ、読む。 - 00/10/21 00:00:00
本日の調子: あー、俺も中学生の頃からこーゆーお付き合いしてりゃぁなー。

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＃１０月２０日
健全な中学生、七瀬成恵と飯塚和人のお付き合いを描いたラヴコメ。
二人はしごく異常な出会いをし、ごく普通のお付き合いを始めたのですが、ただし彼女は宇宙人（二世）だったのです！って感じかな。
宇宙人である成恵に「ＳＦハカセ」「歩くＸファイル」の異名を持つ眼鏡でお下げのＳＦ少女、八木はじめが絡んできててんやわんやの大騒ぎになりますが、二人は次第に理解を深めて友人に成っていきます。はじめの幼なじみで和人の親友、魚屋の息子の丸刈り頭の丸尾くんもいい味出してます。
ウラシマ効果により見た目の年齢が成恵と逆転してしまった姉の香奈花とか、監察庁のロボ子・朝倉鈴が「ロボット三原則」発動させるシーンとかしっかりＳＦしております。
こちらは『ＳＦ／フェチ・スナッチャー』と違って毎回各話のタイトルはＳＦ作品のパロディになってるわけではないようで残念。無論、作品タイトル自身は『非Ａの世界』から来ているわけで。「闇の踊り手」とか「天使と宇宙戦艦」「なつへのとびら」なんてタイトルのときもあるんですけどねぇ。
特に２巻にある「なつへのとびら」はどちらかというと内容は「レベル３」に近かったりして。はじめの敢行する
＜絶版ＳＦ文庫ローラーゲット作戦＞（爆笑）に付き合わされた成恵が訪れた古本屋は元同級生、永岡四季の家だったのだ。「猫娘」の異名を取る彼女の頭に居座ってるネクタイ絞めた猫の名前は無論「ぴーと」さん（笑）。ええ話ですわ。
成恵のお父さん（銀河系連盟の地球調査員。１００％銀河系人）の母星＜惑星日本＞の銀河連盟参加への歴史も笑えるが、彼らの「星船」には漢字で船名が書いてあるのだけど、護衛艦「バチスカーフ」は「罰襟巻」でずぜ！？（笑）じゃあ「ホルニッセ」はどうなのよ？（笑）。と、ツッコミどころも満載。
しかし、作中に出てくる和人の萌えてる魔法少女アニメ『魔砲少女四号ちゃん』、これ結構マジでイケてると思うんだけどなぁ（笑）。ナデシコの時の『ゲキガンガー』みたく独立した作品になっちゃわないかなぁ～。パンテルでもティーゲルでもなく四号戦車ってところがまた燃えるよなぁ（笑）。お友達はシャーマンちゃんだし。まさに色々炸裂しまくり。
何が「恋と平和の魔砲少女！！貴方の胸に直撃よッ！！」だぁっ！！（大爆笑）
コレは確かにＳＦ者にはこたえられないファクター満載のほのぼの、ホロリ、ニッコニコな漫画と云えましょう。
激・オススメＤＥＡＴＨ！！！
読め！

『破壊魔定光１～３』（ウルトラヤングジャンプコミックス）中平正彦、読む。 - 00/10/20 00:00:00
本日の調子: 夏エヴァで叫び狂うシンジくんなみ。

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＃１０月１９日
ホントは１巻が出た２月に紹介したかったんだけど、引っ越しのゴタゴタで埋没。２巻目の出た５月にもっともエキサイトしてたんだけどなぜかこれも埋没。（たぶん仕事が忙しかったんだと思う）で、３巻目が出た今頃になってようやく紹介文を書けてる訳であります。という事情で３巻について各々解説を書くという変則形式になっておりますんでご了承のほどを。
第１巻─２月１９日─
定光くんは典型的番長キャラ。怖いけど、学園の人気者。つっぱっているけど、曲がったことは大嫌いで動物には優しいの。……って、なんてベタな設定のキャラ！なんて整理整頓された少年漫画らしい線！そしてなんと割り切って四角ばった設定のＳＦな作品世界設定！こりゃーもう、スキッと爽快。燃える少年ＳＦ漫画の登場じゃ～って感じなのだが何故に連載はウルトラジャンプ？やっぱ今の少年ジャンプ読者層にベタなヒーローＳＦは受けないので高価な懐かしヒーローガチャガチャを一生懸命回してしまう世代にターゲットを定めた作品戦略ってことなんだろうか？と邪推しまくる。
第２巻─５月２１日─
サダミツ～～ッ！！おもしろすぎっと～！！
この作品、単純明快なストーリーと登場人物達のわかりやすいキャラと個性的な宇宙人とわかりやすく綺麗なアクション重視の漫画だったので高い評価を下していたんだが、まさか、紅一点にしてなんだか「葉っぱ系」あたりのファン層の魂を引っこ抜いていきそうな謎深き美少女にして最凶の破壊兵器でもある「神代やよい」の正体がいとも簡単にあっさりあかされ、しかもそれがとんでもない意外性と共に作品自体に『順列都市』なみのＳＦギミックを仕込んでくるところにぶったまげた。俺の予想では彼女は●だったんだけど、実は×だったなんて、そんなんありかー？しかも流刑体の正体ってエヴァの△△じゃん！ってゆうか読んでて「え、そうなの？比喩じゃなしにそうなの？マジで？」とか電車の中で叫んでいた俺はさぞかし奇異な存在に見えたことだろう。うむぅ、ＳＦじゃん、ＳＦ！！
第３巻─１０月１９日─
おお、「ポンコツ」が壊れちゃって定光大ピンチじゃん！と思っていたら、＜ワイルドカード＞でマイ・フェバリットキャラである「モジュラー・マン」を彷彿とさせる助っ人ってゆうか傭兵ロボ『Ａ・Ｊ』（アメリカン・ジーザスの略だって（笑））が登場。
そして無意味にいきなりパワーアップする定光＆ポンコツ。重さ８０ｔの特殊金属製の「木刀」（それってもはや木刀じゃねぇだろ（笑））も装備され、天斬の舎弟ぶりも板についてきてなかなか良いでござるよ。アンテナ付き猫目娘というキャッチーなヒロイン（？）神代やよいとの関係は「××」から「恋愛」関係へと発展するのか？という俺個人としては非常に気になる伏線を張りつつ次へと続くのであった。うーん、最近は『ＡＲＭＳ』よりは『定光』のがイイね、やっぱ。
いやー、マジでただの不良ＳＦ漫画かと思ったら本格ＳＦ漫画に大化けに化けたので、ＳＦ格闘漫画が読みたい者は探して必ず読むべし！！

『ＳＦ／フェチ・スナッチャー』（白泉社）西川魯介、読む。 - 00/10/19 00:00:00
本日の調子: しかし、何度呼んでも飽きのこないP.N.だよな。

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＃１０月１８日
♪ロスケ～、ロスケ～、おいら男さ、名は魯介～！って違うか。
基本設定は『二十億の針』。映画で云うと「ヒドゥン」タイプですな。悪い宇宙人が逃げてきてそれを追いかけてきた正義の宇宙人が地球人に寄生して、協力して、相手も地球人に寄生しているのでそれを識別して追いつめてゆく、という話。んでもって「眼鏡漫画の星」である西川魯介センセの設定では”捕り手”が、眼鏡型。”犯人（ホシ）”は女子校に潜伏。ブルマだのスクール水着だの上履きだのといった形態をしている。彼らにとって地球人の唾液は劇薬で、その判別のために主人公の女子は色々なモノを嘗めなくてはならず上履きを嘗めてる所とかを目撃されて「フェチ野郎」の名を欲しいままにするわけですな（笑）。判別された”ホシ”は即座に眼鏡から出るビームで抹殺！である。
いやしかし、まさか主人公の名前までハル・クレメントのもじりだとは思わなかったなぁ。
初めて西川魯介の漫画を見たのは「ゆうきが好きそうな機械人間の漫画が載ってるよ」とＳＦ研の先輩に見せられた少年キャプテンの読み切りでこの本の最後に収録されている「すべて機械じかけ」。でもその時は作者の名前なんて記憶に残って無かった。日大理工ＳＦ研内で西川魯介という名前が旋風を巻き起こし始めたのはやはり初の連載作品『屈折リーベ』第１話「メガネっ娘純情」（９６年１月少年キャプテン掲載）からだろう。ここまで眼鏡に対する純粋なフェティズムだけで成り立った漫画は見たことがない！と当時一緒にセクシー・エクスプローラーをやっていた後輩２号が大騒ぎして、連載が進むにつれ誰もがそれを認めたのだった。（本人曰く「本邦初の本格眼鏡漫画」だそうな）
故に、この作品、まさに西川魯介センセにしか思いつかんっつーか、描けん作品といえましょうなぁ（笑）。
さて、収録された各話のタイトルの元ネタ解説やろうと思ったら本人が巻末でやってました（苦笑）。でも一応ここでもやって置きましょう。未読の人の購入意欲増強の意味で。いやしかし、西川センセがここまでＳＦ者だとは思わなかったなぁ……（超意外）。

ＳＦ／フェチ・スナッチャー…『ＳＦ／ボディ・スナッチャー』

ニンフェットつかい…『人形つかい』

ウェット　アフェア…『ウェットウェア』

Hair／なまごころを、君に…『Air／まごころを、君に』

ブラジャー人に花束を…『アルジャーノンに花束を』

たったひとつの冴えた張形…『たったひとつの冴えたやりかた』

９９年にヤングアニマルに掲載された＜フェチ・スナッチャー＞シリーズはここで終わり。あとは９７年以前のキャプテン時代の読み切り作品群６作。うーむ、半分以上は読んでいるな。というわけでキャプテン時代の彼を知ってる人以外には積極的にオススメ出来ないのだけど、上記のようにＳＦマインドたっぷりなので、ＳＦ者で興味の有る方は御一読を。キャプテン時代、特に『屈折リーベ』なんかは永野のりこに似たタッチだったと思ったんだけど、今はかなり違うタッチだと思うので絵柄的に合わない人はダメかもしれんですなぁ。
『初恋☆電動ファイト』も続いて刊行されるようなので買わねばなるまいて。というか、『屈折リーベ』をもう一度読んでみたい今日この頃であった。どこかで単行本化してくれないかなぁ。

『東京兵団』（アニメージュ'88/12～'89/9、未完）小林源文、再読。 - 00/10/16 00:00:00
本日の調子: スターシップ・トゥルーパーのジョニィなみ。

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＃１０月１５日
アニメージュのこの年代（俺が大学生の頃）のバックナンバーを置いてある店って結構知っているんだけど大抵、附録が付いているせいかパッキングされていて中身の確認ができないんだよね。で、この作品が連載されていた時期を特定するのは俺の脳内にある表紙絵の記憶しかないわけで、一発目は外してしまい（近かったのだが）二発目でようやく的中。開始から終了までの号を一揆に買い漁る。おお、これだよ、長年再読したかったのは！！
アニメージュという似非エコロジストや似非平和主義者が多いところにモロ右翼の漫画を載せたもんだから当時はさぁ大変！だったらしい。この作品の感想をお送りくださいなんて下の方に書いてあるけど、そんなの無くても沢山カミソリ・レターや抗議文が送られてきたらしい（笑）。
俺としてはコレが広井王子の大ヒット作『サクラ大戦』にアイディアを与えていると思うので再読したかったのだ。
お話は簡単に云うとこうだ。

１９９０年代末期。ＳＤＩ計画に危機を感じた東側の先制攻撃で始まった核戦争後、奇跡的に残った西日本の工業力を手にすべく、日本の分割統治権を巡って東西勢力が再び戦闘を開始。日本政府は国連に調停を求め、その結果東京を舞台にした陣取りゲームが可決された。要するに東京２３区の陣取り合戦を展開し、２００２年までに大量破壊兵器を用いずにより多くの領地を占領した方が日本の工業力を独占できるということになったのだ。そして両陣営の正規軍の減少から「傭兵法」を可決。ここに傭兵集団「東京兵団」が結成されることになったのだ。
主人公・矢野大作はヴァーチャル・ゲームで好成績を収め、景品をもらいにメーカーを訪れたところ、エリア８８なみの騙され方で契約書にサインさせられ東京兵団へ入隊させられる。２４週間の訓練の後、矢野は実戦に出る。ＰＯＴＳと呼ばれる無骨なパワードスーツを固定した弾丸列車が地下鉄を駆け抜けて戦場へ投入されるのだ。

……というお話。この地下鉄で戦場へパワードスーツを移送するシーンがどうしても『サクラ大戦』とだぶってしょうがねぇのだ。ＰＯＴＳの無骨なデザインも光武に似てるしさ。ま、ささいなことではあるよな。
十二年前、俺は確かに近未来＝今って、第三次世界大戦＆恐怖の大王降臨で平和ボケしてた日本がめちゃくちゃになっちゃってるイメージからどうしても逃れられなかったんだよね。俺の思春期には今のような「未来」がやってくるのはごくごく低い確率の選択肢だったのだ。『ＡＫＩＲＡ』のように、いっそその年から＜歴史改変＞をしてくれた物語の方がまだ精神衛生上、健康的だったのだ。そういう意味で『東京兵団』はとても「リアル」な話に感じられたものだ。いや、今の生活だって夢みたいに俺は思っている。
東側の新型兵器がロボット兵器で西側の兵器がパワードスーツってのは『ゲイツ』と同じ設定で当時は「工夫がねぇなぁ」とか思ったもんです。でもこの『東京兵団』の東側のロボット兵器の登場は時期的にあの日本が誇る糞メカ映画『ガンヘッド』と同時期でガンヘッドをパクっているのでなかなか大笑いです。スタンディングモードが標準なんだけど、立体交差越えるのに低姿勢モードになるというガンヘッドの逆をやるのですよ（笑）。当時このシーンだけでどれだけ笑ったことか。それを思い出したくて後ろの方から集めたのだった。
うーむ、まだ劇中に中村くんも佐藤大輔も出てこないってことは結構貴重なのかもね。でもこれ、作・構成が佐藤大輔だよ（笑）。知らなかった。これを機に彼が作中に登場するようになったのかもしれないな。今までこの二人接点が見えなかったんだけど。
『東京兵団』は数年後、コンバット・コミックで再掲載されたんだが、加筆されたりしたのかは不明。ただコミックスが出ていないのでやっぱり完結はしていないんだろうなぁ。(;_;)是非単行本化希望！インターネットならどこかに小林源文全作品リストの掲載されてるページとかありそうなんだけどなぁ。
他にパワードスーツが出てくるような小林源文のＳＦ漫画は『ONEMAN ARMY ゲイツ』『士官候補生ハイト』『タイム・トルーパー』『日米決戦２０２５』等があるのでミンナ、探して読んでみてくれ。

『迷彩君１』（ヤングキングコミックス）竿尾悟、読む。 - 00/10/14 00:00:00
本日の調子: 源文漫画の中村くんなみ。

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＃１０月１３日
最初は絶対穴埋め漫画か、完全な読み切りだったハズだ。それが証拠に迷彩君＝野本くんはラストでどこかの国の外人部隊に入隊して第一話は終わっている。
この最初の話を読んだとき、まだキャラ立ちしてないし、確かに本人が巻末で自覚している通り画力はまだまだ未熟なところがあるが、各コマに牽引力がある。読者を引っ張っていく力がある。「この漫画イケルんじゃない？」そう思ってたら案の定、数ヶ月後次が出た。俺の選択眼というのもやはり捨てたモンじゃないと思ったね。
で、後は野本と意味不明な外人の傭兵部隊のようなおっさんたちの奇妙な本気のサバイバルゲームのような展開、鋼の純情さを持つ野本くんと次第に乳がでかくなって行くトモさんのラヴコメ要素を軸に、「女ノモト」の異名を持つライバル・シャーリーの登場、トモさん含む女性陣のキャラを立て始めるなど、連載が進むに従ってだんだん「漫画らしい漫画」へと成長してゆく過程が見て取れる。これはいつのまにかスバラシイ本邦初の「本格・軍隊ごっこ漫画」になっていたのである。
流星のように一本読み切りを描いて消えていくもの多数。一本掲載されてから次が載るまで幾星霜、というのもまさに星の数ほど居る中で作者・竿尾悟はこの漫画の１巻目を出してきたわけである。この漫画今後というよりはこの漫画家の今後に期待したい、そんな一冊だ。
「男の任務は愛する人を守るコトだ！」
とかゆー、恥ずかしいノモト流恋愛論もビシバシ垂れ流すのだ！

『敵対水域』（文春文庫）ピーター・ハクソーゼン他、再読。 - 00/10/10 00:00:00
本日の調子: 海江田さぁ～ん！！というのも既に懐かしい響きだよな。

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＃１０月９日
ジーターの『ブレードランナー２、３』や『敵対水域』のように既読でどうしても突発的に強力にオススメしたくなってしまう書籍はどうすればいいのか？
何か特集を組んで紹介記事を書けばいいのか？林さんの９月２日の＜潜水艦フェア＞というか潜水艦ＳＦを考えるとかいう記述に刺激された時も勝手にフェアを催して紹介文を書こうと思ったのだがやはり思っただけだった。（ちなみに潜水艦ＳＦと云われて思い浮かんだのは、『海魔の深淵』『２１世紀潜水艦』『海底二万哩』『わが赴くは蒼き大地』『日本沈没』＜シービュー号＞２冊、とか。海洋ＳＦで基地じゃなくて潜水艦がメインならいいんだろ、とか云うともっともっとありそうだ）
いや、実はもっと簡単な方法があったのだ。再読して読書日記に書いてしまえばいいのだ。記憶がわりとはっきりしてる場合は再読したフリをして書くというズルをしてしまえばいいいのだ。マイベストとか特集組んで紹介書くときは再読しないから、まぁ、あんまり内容に差はでないだろう（苦笑）。
んで、今回の文庫化。もしや、と思ったが帯にもでかでかとこの前起こったロシア原潜＜クルスク＞の事故があったから急遽文庫化したということが描いてある。まぁ、この本のファンにとっては読んでくれる人が増えるということで嬉しいコトではあるけれども、商売ってこーゆーふうにやるんだなぁ、と思わされた。
ノンフィクションといっている割には嘘臭い内容なので、ＳＦとか軍事小説好きな人には猛烈にオススメしたかった一冊なのよね、コレ。最初、ハードカヴァ版を本屋で見たらトム・クランシーが書いてるのかと思うような帯だったしー（苦笑）。
だが、これはノンフィクションなんである！！マジで１９８６年に起きたソ連原潜の事故の記録なんである。

ソ連のヤンキー級旧式ミサイル原潜「Ｋ－２１９」が、アメリカ領海内においてICBM推進剤の爆発事故を起こす。辛うじて緊急浮上に成功するも火災は収まらない。やがて冷却水流量が低下、原子炉の過熱が始まる。
機関長は両舷ディーゼルに切り替え、原子炉を停止しようとするが、制御棒が挿入不能。高熱により炉のケーシングが変形したのだ。このままではメルトダウンの発生だ！
地球が地球が大ピンチ！
そのとき、謎の原子炉内に×○△が出現！制御棒を手動で押し込み、＜神の火＞を封じ込める事に成功するというお話。
結構売れているノンフィクションだ。おすすめである。

という軍事関係に強い先輩のオススメを受けてハードカヴァで初めて読んだのが９８年の２月１８日。読書日記を始める寸前である。
この超燃えるシチュエーションを前に、もう会社から帰って一揆読み。
もー、感動の嵐です。『１９８Ｘ年』とかこーゆー「いまその危機を救えるのは君しかいないんだ」的シチュエーションの話にヨワヨワなんスよ。一兵士が命をその命を犠牲にして原子炉を手動で停止させるくだりではマジで泣けました。
しかもカッコイイシーンもあるあげくに、笑えるシーンもある（ソ連軍のマヌケさにね）。しかも問題発生源、第６サイロだし～（笑）。
俺の脳内ではどう考えても艦長の顔はユルゲン・プロホノフ。
そして悪いアメリカの潜水艦の艦長の顔はジーン・ハックマン。
これ以外思いつかねーよ！！
しかし、マジで俺が昔書いた話を実話でロシア人がやっていたなんて……スポックよりもスゲー！！って感じじゃん。
Ｕボートとクリムゾンタイドと神の火とファイヤーフォックスまとめてやってんだからもーそりゃ俺は大喜びさ！
全地球人類に推奨すべき一冊。潜水艦の好きでない貴方も楽しめるはずなので是非手にとってみてほしい。

『おもいでエマノン』（徳間デュアル文庫）梶尾慎治、読了。 - 00/10/07 00:00:00
本日の調子: 有る意味、ネモ船長と同じネーミングだよね。

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＃１０月６日
♪タマゴ食べたらエマノン、怪獣生んじゃうエマノン、なんでも解決エマノン！
……何か違う。（ってゆうか「ン」しか合ってない）
「布川輝良隊員、クロノス・ジョウンター発射命令が出ています！」
「何ィ！ファイタス・ボンバー、セット！」
……何か違う。
というわけであのカジシンの名作、＜エマノン＞シリーズがデュアル文庫で復活！である。俺としては結構長いこと古本屋で探していたのでまったく嬉しい限りである。
「きみを忘れない。きみは忘れない」と帯にある言葉通りの話である。自身の記憶力の良さを自負する俺はこういう記憶に関するＳＦってどうしても普通より興味が湧いてしまうのだった。NO NAMEの逆さ読み。それがエマノン。彼女は地球に生命が誕生してからの記憶をずっと受け継いでいる少女。記憶は親から子へ代々受け継がれ、その記憶の重さ故、彼女らはひとところに留まらず、さすらい続けているのだ。そのさすらいの中で起きるささいな出来事の数々を描いたのがこのシリーズである。
表紙・イラストに鶴田謙二を使ったのはかなり卑怯でしょう。ってゆうか勝利でしょう。俺的にはこれだけで購入意欲６０％増大、って感じですな。いや、本当は俺みたいな年寄りが手に取るタメの餌じゃなく、もっと若いＹＡ作品読者にカジシンを手に取らせるための撒き餌のはずなんだけどね（苦笑）。
カジシンといえばオセンチ路線まっしぐら、という向きもあろうが、『クロノス・ジョウンターの伝説』の時にも感じた恥じらいも臆面もなく繰り出してくる他のＳＦ作品のことがひっかかってくる。別にオマージュにしているってわけでもなくポンポンと他のＳＦ作品が出てくるというのは俺は個人的に良い傾向だと思っている。そしてそれがどんなモンなのか「たぐる」能力を持ったＹＡ作品読者が出てくればもっとイイ、と俺は思っている。
今回も先日亡くなったカート・シオドマク『ハウザーの記憶』だの、『バトルフィールド・アース』の今更の映画化で話題のＬ・ロン・ハバートの超似非科学「ダイアネティックス」とかが無意味に出てきていて良し。（ダイアネティックスは良くないかも知れないが(^^; ）
収録作品は以下の通り。（簡単な感想付き）

おもいでエマノン…俺もフェリーの二等船室での雑魚寝を大学生の頃経験したことがある。とても懐かしい記憶だ。で、そのとなりにカワイイ、ちょっと不思議な女の子がやってきたら。そして数年後、彼女と東京で偶然再会したら。うーむ、『海がきこえる』なみにおセンチ極まってますな。
さかしまエングラム…出ました、驚異の成功術「ダイアネティックス」。俺もどんなもんか知りたくて本買おうと思ったこともあったけどね。「星になった少年」というとロマンチックだけど、一番ホラーっぽいテイストの作品な気がしますな。
ゆきずりアムネジア…記憶喪失状態になった永遠の生命の記憶を受け継ぐ少女、という設定は面白いかもしれない。初回に通じるおセンチさがありますな。
とまどいマクトゥーヴ…とっても虚しい、自信家の男子のお話。俺も一時期は「世界に何かを成すために神は俺を生かしてきた」と信じて生きていたっけ。
うらぎりガリオン…なんかゼラズニイが描きそうなお間抜けな機械知能のお話。
たそがれコンタクト…エマノンと反対に永遠の未来を持ちのぞき見ることができる青年が登場する話。変えられない過去と未来が交錯する。「変えられない未来」というのも、ある意味とても切ない。エマノンよりは二人の青年の心の交流に切なさを感じる話。
しおかぜエヴォリューション…読んでいて「えー、じゃあこうすりゃイイじゃん！」と思っていたら本当にそういうオチになったので「なんでぇ」と思ってしまった。石油関係の話はさすが本業なのでイイな、と思ってしまった。地方の放送局の苦労話というのも富山の放送局で聞かされていたので個人的にはそこもイイな、と思ってしまった。
あしびきデイドリーム…おセンチ度マキシマム・オーバー・キル！！！

最後の「あしびきデイドリーム」はＳＦＪａｐａｎ:00号に掲載されたもので、これだけがオマケになってますな。「布川輝良」って名前が出てきたときはクロノス・ジョウンターとの融合現象なのか？！と一瞬期待しましたが全然違いましたな。で、全体通して見て、この作品の出来が突出して良い様にも思えます…。やはり後年になって描いた作品の方が出来が良い、ということなんでしょうか。
なんというか、この本としては、最初と最後だけ読めば良し、って感じでした。この２作品に漂うオセンチズムだけ味わっていれば俺は満足。もっとオセンチを味わいたければ『クロノス・ジョウンターの伝説』の方をオススメしますな。
＜エマノン＞シリーズ、全体的に良いと思います。結構有名ドコロなんで未読の方は是非御一読を。

『おじゃまユーレイくん』（笠倉出版社）よしかわ進、読む。 - 00/10/04 00:00:00
本日の調子: トリツキくん、ってのもあったよな。

コメント:
＃１０月３日
JBOOKで配送先を病院にして頼んでしまった。だって、この本絶対入手難しそうだったんだもん。ｂｋ１は漫画弱いんでリストにも出てこないし、eS!Booksには取り寄せ不可能と云われてしまったし。
３ヶ月くらい前に「お宝オークション」で全３巻を３万５千円で落札していた人は今どんな気持ちなんだろう？オリジナルじゃなきゃイヤだ、って人だったらいいんだけどね、俺にみたいに「読めればなんでもいい」って人だったらあまりにも悲しすぎるよなぁ～。
で、読んでみたんだけどやっぱ小学生当時、正視出来ないくらいエッチな漫画に思えたんだけど、やっぱ今見るとなんだかなぁ、な漫画ですな。ほんと、無意味に裸や着替えのシーンが連発してて（笑）。いや、良い意味でコロコロイズムあふれてます。
俺が強烈にエッチだと思って覚えていたのは「犬になりたい」の話で霊くんが犬に憑依して飼い主の女の子とお風呂に入ってぺろぺろするシーン。うーむ、こりゃ今の俺だったらやっぱ「お父さん許しませんよッ！！」って感じだな。（ま、今はもっと過激な漫画がウヨウヨしてるけど当時だったら、ね）
眼鏡の秀才の転校生くんは覚えてたけど、死神のアルバイトをやってる悪魔ちゃんの存在なんかはすっかり忘れてたなぁ。
ちょっと前にmutさんとこの作品についての思い出を語っていたとき、「実はオチがコレコレで、ほぉーら、ちょっとＳＦチックでしょ？」と教えられて知らなかった（忘れてた？）もんだから猛烈に読み返してみたくなってBook-offとかで漁ってた時に発売前！新刊情報で名前を見つけてビックリしたのだった。
もっと長く連載してたような気がしたのにコミックスで３巻分くらいだったのね。しかし子供の頃の記憶力というのもあなどれんですなぁ、読んだことある話とそうでない話の差がくっきりしてるもんね。ま、『ゲームセンター・あらし』は目をつぶっても思い出せるので入れ込み様は相当違ってたんだろうけどね。
とにかく俺と同世代のコロコロ者には懐かしさ炸裂の一冊。コミックスの表紙がカラーで間に挟まっていて、作者インタビュー付き。まさに完全復刻という感じになってますよン。

＜ＳＦマガジン１１月号＞人気作家４６人が選ぶハヤカワ文庫ＳＦベスト５、読む。 - 00/09/28 00:00:00
本日の調子: 病院でＨＥＲ、ＨＥＲしてるコードウェイナー・スミスなみ。

コメント:
＃９月２７日
「秋のファンタジイ特集」らしいが俺にはそんなもん関係ない。興味があるのは「人気作家４６人が選ぶハヤカワ文庫ＳＦベスト５」と「文庫ＳＦ既刊リスト」だけである。
『ＳＦハンドブック』とかの時もそうだったが、こういうミンナのベスト５とかは何度読んでも興奮する。「へぇ。この人はこーゆー趣味なんだ、意外～」「うわっ、スペオペばっかやん。野田大元帥の仲間じゃな…」とかね。
で、病院に居るとき暇だったので作品の集計（後に林さんもやっているが）、やってしまいました。うーん、『バベル－１７』と『竜の卵』が共に５票で同点一位。ハードＳＦファンが『竜の卵』に入れるのはわかるけど『バベル－１７』が来るとはねぇ、意外。おそるべし、ディレーニィ。いや、流石、というべきなんだろうか。
ホラー系として『異次元を覗く家』、ワイドスクリーン・バロックというかバカＳＦ代表としてベイリー『カエアンの聖衣』が４票集めている。ここら辺は復刊してもいいんじゃないかなぁ。あと３票とか２票集めてる作品はさすがに今も買える作品が多い。俺が思うに、ここに一票でも入ってる作品はそのタイトルを見る限り一度読んでおいて損はないと思えるものばかりなので、極力フェアなんかでたまに復刊して欲しいなぁ、なんて思うわけですよ、ええ。（例えばシマックであれば『都市』と『中継ステーション』とかね）
『ＳＦハンドブック』の巻末にあって所有本チェックに使っていたというハヤカワ文庫ＳＦ既刊リスト[875-1324]はリストマニアでない俺にとっても嬉しい。特に９００番台以降は社会人になってＳＦから一番離れていた時期のモノなので愛・蔵太さんの１２００番台までのリストで補完していたのだがようやく正式版が公開されたってわけである。いやー、結構知らない本、あるなぁ。ちなみにＳＦハンドブックのリストには所有してる本にはマーキングがしてある。一生懸命ＳＦ者の頂点を目指していた証ですなぁ。（しみじみ）
というわけで３０周年記念号、なかなか楽しめましたよ。

『メイドロイド・雪之丞』（マンサンコミックス）井荻寿一、読む。 - 00/09/27 00:00:00
本日の調子: ど、ドラミ～、お兄ちゃんはなぁ、ＨＥＲ、ＨＥＲ…。（下半身暴走中）

コメント:
＃９月２６日
入院３週間目にしてようやく外出許可が出たので寄ったコンビニで発見。＜メイドロイド＞っつーくりだから下半身のエネルギー源になるかと思って衝動買い。
で、買ってからあー、この人『霊能探偵ミコ』描いてる人じゃん、じゃ、エロ漫画？とか思ったらその通りでした（苦笑）。
メイドロイド・雪之丞、それは藤枝春之介の７代後の子孫から送られてきた猫耳で手首に鈴が付いててメイド服を着たアンドロイド＝メイドロボである。マルチやデ・ジ・キャラットとの相関関係は……平成１０年１月１日号の漫画サンデー増刊に掲載されたのが最初らしいので、関係はかなりあいまいかも。マルチはともかく存在はしてただろうけどまだ今ほどブレイクしてなかっただろうからなぁ。あ、どっちかっつーと設定からしてただの「ドラえもん」のパロって感じだね。あれ猫型ロボットだもんね。鈴もついてるし。それが正解か。深読みしすぎ。でも充電シーンとかはマルチを彷彿とさせるけどね。
所詮、漫画サンデー増刊コミックテキーラに載ってたようなライトなエロ漫画ですんでストーリーとかエロシーンとかそういうのに期待してはいけません。著者の絵柄とメイドさんが好きな人だけ読みましょう（笑）。
そういえば同じメイドロボものでも『まほろまてぃっく』は見捨てて売り払ってしまいました。うわははは。（だって萌えないんだもん）

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