U-kiの読書日記(00/1/1～00/1/22)

U-kiの読書日記(00/1/1～00/1/22)

『日本のみなさんさようなら』（センター情報出版局）リリー・フランキー、読了。 - 00/01/23 00:00:00
本日の調子: ペリーって外タレ？（当時）

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＃１月２２日
なるほどね、宮村優子（ＪＡＣ所属。現在失踪中。人妻声優）が好きな作家としてあげていたので、装丁もおしゃれなエッセイ集が多かったので本屋で『誰も知らない名言集』とかぱらぱらとめくってみたところ、「ケント・デリカット並に日本語が達者な外タレの本（しかも女性？）」とかゆー超絶的誤解をしたあげくに書いていることがとりたてておもしろくもなし、と思ってノンチェックでした。ってゆうか、この本が映画の話だとは思っていなかった。本当に日本人へ向けたエッセイか何かでリリーさんは浅丘ルリ子似のディスクジョッカーか何かだと思っていましたヨ。
バーサーカー給仕犬さンがスキャナー掲示板で映画の本であることを教えてくれたのでまぁ、退屈しのぎになればと思って買ってきたですよ。
で、目次を見た瞬間、うーん、あんまし見たことある映画ないんだけど……とか思いつつも、良く見るとちょっとアナーキーすぎるラインナップなので見たことがないのだと気がつく。うーん、映画っつーか、邦画とかＯＶＡって一番良く見たの、大学生になったばかりの一人暮らし開始直後の寂しい盛りの頃だもんなー、とか思う。それ以前は記憶力によってのみ支えられている感じだし。
というわけで偏ってはいるんだよね、屑映画ラインナップ。
で、読む。
……
ぐわははははっ！！
正しい！正しいよ、リリーさン！
いやーもう特に「お葬式」のページとかは正しすぎます。俺もこれは「山崎努と愛人とのファックシーンがすげー！」と友人が騒ぎまくっていたので大学生の時にエアチェックして見たんだがたしかにこのシーン以外記憶にございまぜん。同じように左とん平の獣姦シーンだけ見ようと思ったのに映画全体の記憶が残るほどの傑作だった「楢山節考」とは大違いである。ま、これ見なかったら「マルサの女」も「タンポポ」も見なかっただろうけどね。
日活ロマンポルノや団鬼六ビデオコレクションが近所のビデオレンタル屋にあるのを知ってエロス・エクスプローラーだった時期には色々見たもんだが「赫い髪の女」の石橋蓮司の演技についての絶叫とかも爆笑ものだった。そうだよ、昔はエロスもえらいおもしろかったんだよ、まじめでね！
全編中２分くらいのカットだけを抜き出してそれについてだけ語る、というのは俺が小説や映画の「正しいあらすじ紹介」をするときの技法そのまんまというか、拡張版といえなくもない。たしかに「評論」じゃねぇけど、「見てみたい」と思わせる書き方だ。
うーん、しかし、こーゆーの読むたび思うんだが、字数の制限と提出期限があるものの、この程度の絵と文章でいいんなら俺にも書けると思うんだけどなぁ。ま、プロとアマの間には男と女の間にあるような深ぁーい溝があるんだとは思うけど。
見たことのある映画については半分くらいが俺の正しい解釈（苦笑）と一致。見てない映画についても充分見てみたいと思わせてくれた。まぁ、５年間ぴあに連載されたものがこうしてまとまっているということで「継続は力なり」というのを強く感じた。収録されていない作品もあるのだろうか？イラストについてはま、どうでもいい感じです。勝手なタイトルとかも俺の読書日記の＜本日の調子＞風にスカしていて良い。
最後に、Ａ級娯楽になりきれないＢ級の邦画を見続ける理由として
──出稼ぎに来た外国人娼婦の苦労話を聞いて涙するセンチメンタリズムはボクにはない。そんなことしている暇があったらわかる女をもっとわかりたいという努力をした方がいい。
とある。
とても「赫い髪の女」の三輪車ダッシュ絶叫をする石橋蓮司と一体化している男のセリフとは思えん。ただのカッコツケではないか。俺はその苦労話に涙しながらもギンギンにお勃ちになっているムスコを外国人娼婦にツッコんでしまうところが人間なんだと思うし、そういったことを含めて人間というものを観察し、理解したいと思っている。でも、実際はわかんねーんだよね。そこが面白い。まぁ、帯に「これは映画評ではありません」といいつつこーゆー本を出しているんだからいいのかもしれない。ゼラズニィ先生のおっしゃる通り、人間は矛盾した生き物なのだ。

『Ｋａｎｏｎ─笑顔の向こう側に─』（パラダイムノベルス）清水マリコ、読了。 - 00/01/20 00:00:00
本日の調子: 真冬にアイスを食べてペギラごっこに興ずるトシちゃんなみ。

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＃１月１９日
しまった。実は全年齢対象版発売に伴い、自らに「Ｋａｎｏｎづくし」を仕掛けて食傷気味だったりしたのだが、やはり勢い付いているというのは恐ろしいもので積んであった本に手が伸びてしまったのだ。
１２月３１日付けで出版されるているという卑怯な本である。
ショール(shawl)とストール(stole)の違いってなんだ？ストールは男子も身につけていいものなのか？とかまたくだらないところでひっかかってしまった。うぐぅ。
舞のシナリオほどではないが、栞のシナリオもゲーム中でいくつか「そりゃ難しいだろ？」とツッコミをいれたくなるような無理があるんだけれども、ノヴェライズの方は上手くそれを吸収していてＧＯＯＤでした。しかも、全年齢対象版じゃないからＨシーンあるんだよな……なんだか話がマジメなので妙に恥ずかしかったなぁ。
というわけで、泣きはしたけど、俺的にポイントがイマイチ低かった栞のシナリオ、最近やり直したこともあって見直しまくり。ってゆうか、そうか、これって一目惚れの話だったんだね、とこのノヴェライズを読んで気が付く始末。まったくもってありがとう、としか云いようがありませんな。
しかし、今回読んでいて「トキメキが炸裂しすぎてねぇか？祐一ィ？！」とか叫んでしまったのだが、作者の清水センセのあとがきを読んで納得。栞のシナリオはラブストーリーの王道を目指したそうです。……そうか、これが王道か。読んでいて大変気持ちよかったよ(;_;)ゲームのノヴェライズは不当に高いのでキャラクターグッズだと思って料金分の中身は期待していないんだが、今回は高い金払っただけのことはあるよ！って感じ。
彼女が云うには栞だけが他の４人が持っている「あるもの」を持っていなくてむしろそれを獲得しようとするストーリーだという。なんだそりゃ？と思うも全年齢対象版を一通り終えていた俺には結構すぐにわかった。なるほど、そういうことか。しかし、そんなの云われるまで気がつかなかったぞい。野犬とか生徒会とかさりげなく次のヒロインの作品世界との接点が埋め込まれているのもやるじゃん、って感じ。絶対やり直していなかったら気が付かなかったろうなぁ。
うむ、この人なら安心して続きもまかせられそうである。２０００年、残り３冊もヨロシクお願いしますよ。

『トゥルーラブストーリーｆｒｏｍみさき─恋のように僕たちは─』（ファミ通文庫）玉井豪、読了。 - 00/01/18 00:00:00
本日の調子: 実は妹思いのタケシくんなみ。

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＃１月１７日
よ、よかったよ（涙）。思いのほか良いできだったよ、この小説。やりましたね、玉井センセ！これからは先生と呼ばせていただきます。
畜生！なんだよ、このサブタイは！「ＴＬＳＲ」から入ったから元祖の主題歌知らないんだよ、俺は！何が「恋のように僕たちは」だよ！ええ、そしてそれにふさわしいお話でしたよ。
みさきちゃんってさぁ、性格はいいんだけど（なんと彼女のＦａｎコールの多さにアンサーバージョンのＴＳＬＲが作られたほどなのだ）見た目がどうしてもなぁ、あのジャイ子のような口が……とか思っていたのだが、小説世界においては見事、その俺的な弱点がクリアされており、俺はみさきちゃんワールドに没入することができたのである。
くぉあっ！ある意味犯罪的にみさきちゃんが美化されています。ってゆうか切なさ炸裂してます。
「女の子の気持ちはどうなるの？」アンパン、もっとみるくにやさしくしてやれよ～的展開。（意味不明）
でもねぇ、この女子のコクハク・イベントって、「コクる」とか云っちゃってる現代クローン・バービー人形チックな女子高校生とか女子中学生でもこぉーんな気持ちでこぉーんな風になされているんだろうなぁ、とかかってな想像を膨らませて、もはやすれきったオヤジといたしましては美しい景色でも眺めるような気持ちで「いいねぇ、若いってのはいいねぇ」と思ってしまうのだった。もしくは空に上ってゆく９９９を見上げながら「テツロー、お前がここに帰ってきて土を掘り起こしたとき、俺達の赤い血が流れ出すだろぅ」ってつぶやく老兵のような、そんな気分にさせられる。
ってゆうか、本来「転校を一ヶ月後に控えて、その間にやれることはやっておこう」で女子にアタックする主人公（野郎）というテーマのゲームの付属キャラである主人公の妹でどうしてここまで話が作れマスカ？愛デスカ？
ってゆうか、なぜ主人公の家に人気キャラ勢揃いしてマスカ？女たらしって設定ですか？＞兄。
くそぅ！こうなったら俺のドリームの一部を熱く語らせてもらうけどな！女子必須のイベントは弁当イベントだよ、弁当！！俺は餌付けされるタイプだからな！手作り弁当が喰いたいんスよ！手料理も可！この場合女子の家に行っても自分の家に呼んでも可だが、それを実現するには初々しい二人にはハードルが高すぎるのでやはり弁当とかお菓子（クッキーなどがベター）だろう。で、さらに付け加えれば普段から家事手伝いもしくは働いて家事をしない母に代わってスパスパ料理を作ってしまうような人は駄目！超禁止！この小説のみさきちゃんのように普段家事率０％の女子が、そのためにだけ色々苦労して作って「見た目は悪いけど、味も悪いかも、ゴメンネぇ」な感じの餌がマイ・ハートをシェイキングするのだ。そしてそれを良く晴れたお外でいただく。ウサギさんリンゴがウサギさんになっていなかったり、タコさんウインナーがイカになってたりするのはお約束。できれば会話に詰まったときのために秘密兵器などが用意されていると、さらに彼女の気心が知れて感涙必至。これがッ、これがッ！俺の……（ＨＥＲ、ＨＥＲ、）あー、なんでもないです。というシチュエーションは読んでいて気持ちがイイねぇ、ってただそれだけです。まさか３０にもなって現実にそんな期待はこれっぽちもしてねぇでげすよ。（嘘。書いているだけでもＨＥＲ、ＨＥＲしてきちゃったモン）
というわけで嫌いだったアイツになぜかゾッコンとか、弁当イベントとか、さびしんぼもびっくり！自転車のチェーンがはまらないのぉ、イベントとか、コクハク後にサヨナラとか、とにかくお約束が収束しまくって俺の脳天直撃です。でもねぇ、一番読んでいて懐かしいな、と思ったのは「まわりにはやしたてられてその気になっちゃう」というヤツ。あー、懐かしき我が中学時代。女子と男子半々だった季節よ、フォーエバー。
というわけで、大満足の一冊でした。そーだよ、こーゆーのが味わいたくて俺はギャルゲーやってますよ。文句あっか！って感じですな。
これを読んだら玉井センセが「自ら書きながら泣いた」というＣＤドラマとかも猛烈聞きてぇ、とか思っちゃったッスよ。くそう、自ら涙する話とはどんなおセンチが潜んでいるというのだ？ときメモ２とかやってる場合じゃねぇよな。うむ。

『コールド・ゲヘナ』（電撃文庫）三雲岳斗、読了。 - 00/01/16 00:00:00
本日の調子: 「これを受けれ天位をやろう！」といわれて「くれるなら単位くれ」と答えた某Ｔくんなみ。

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＃１月１５日
日本ロボジョックス連盟、代表のu-kiデス。
電撃ｈｐを見てたら噂の三雲先生のデビュー作はロボットモノだということなので、最新３巻は売ってるだろうけど１巻はあるかなー？と思ったら売っていて良かった。
これって、俺が学生時代に書きたかった形式のお話なのでスゲーショック大。荒廃した未来の地球で遺跡の様に埋もれている巨大ロボットを使ってミュータント化した巨大生物とかを相手にする話。無論、人間同士の戦争もあって、巨大ロボット同士も戦う。まぁ、ＦＳＳのパロディというか俺の気に入らないところを直した感じーのものだったんだけど、語のセンスといい、世界の設定といい、似ている（笑）。秋山瑞人の＜ＥＧコンバット＞の語のセンスにもかなり痺れたが、ギブスン＝黒丸尚の残したサイバーパンク風ルビ文章の遺志はこういうところに生き残っているんだなぁ、と感心する。そう、漢字にカタカナルビ、これこそ日本人にしかできないサイバーな表現（情報多重表現）なのだからＳＦ者はもっともっとこれを使っていかなぁ、あかん。絵でも会話でも使えない表現なんだからね。しかしアーヴ語とか造語でやられちゃうと俺もついていけなかったりするけど（苦笑）
うーん、ひとまずお話の方はおいておくとして、戦闘ロボット・サイボーグ・パワードスーツを研究して１６年の俺に云わせれば電磁石を使った人工筋肉に夢を馳せているようじゃ、まだまだですな。こぉーんな砂漠の惑星でそんな大出力の電磁石使ったら砂場で「鋼鉄ジーグのマグネモ人形」で遊んでいるような状態になることは必至。電気は制御しやすいけど、磁力のシールディングは難しいのだ。ロボットの頭脳・神経系には電気で動くモノ使ってるわけでしょ？完全自律系が難しいからウォルドー型を採用する（これはハインラインの造語であまり一般的でない、俺用語かもしれないので、わかりにくければマリオネット型とかマスタースレイヴ系という語に置換しても良いです）ってのは６０年代にＧＥが作った四つ足歩行メカでもやってることだし、フィクションではジャンボーグＡとかでも採用されているし、無論、映画「ロボジョックス」（サイエンスアドバイザー：ジョー・ホールドマン）でも採用されているので充分説得力あるんだけどね、アクチュエータにモータを使っているようじゃ全然駄目ッスよ。ボトムズのマッスルシリンダーってのが一番現実味がある。まぁ、あれの様に油圧シリンダーみたいな形状にしてしまったんじゃまた意味がないというかもったいないんだけれども、それ自体をメンテナンスフリーで交換可能にするためにはああいう形状にでも現実味がある。（設定ではポリマーリンゲル液は非常に爆発しやすいというのがあって、そんなんじゃ戦闘ロボには使えねぇじゃん、とも思ったが）一時期は電気で制御できる形状記憶合金とかに夢を馳せていたんだけどもね。分子単位の変形の力ってスゴイような気もしてね。
電源というか、古い言葉で「エネルギー源」も実は問題。トゥハートのマルチがバッテリと燃料電池併用というのをゲーム中で見たとき「やるじゃん！」と思ったものだ。ホンダＰ２、Ｐ３がここまで現実にでばってくるというのも予想外だったけれども、そう、エヴァのアンビリカルケーブルとか内蔵電池で３分というのはかなり良い線行っていたのだ。（まぁ、あれはウルトラマンのオマージュだから、だけどね）常温核融合（別名、試験管核融合）が話題になったときはようやく自律ロボットに搭載可能なエネルギー源が！とか思ったけどね。実際はダグラムのターボザックのように巨大なバッテリか電源を背負うようなことになるのかな、と思う。（実際のダグラムの設定はめちゃくちゃでターボザックは電池ではない）
電磁石の人工筋肉ということは直立させているだけでも電力を消費するわけで、「降着ポーズ」みたいのがないといけなくなっちゃう。（ま、それでもいいのかも）
色々書いたけど、なんといってもロボの通称が「デッドリードライブ」というのはなんとかならんのか？かなりどうでもいいことなのかもしれないが俺はひっかかりまくりだったぞ。なんだか＜ヘビーメタル＞以来の違和感だ。なんだかコスモが「デスドライブ・ブレーキ！」とか叫んでる映像がいちいち頭をよぎってしまうし、何か航法か駆動装置のようでたいへんイヤだ。これとドラゴン（巨大爬虫類）を戦わせる、というのはなかなかよいんだけどもね。
あ、あと日本ロボジョックス連盟代表としてはパイロットを「ジョッキー」と呼んでいるところは超合格。『ハード・ワイヤード』以来か。
と、結局作品の話なんか一行もしちゃいねぇ（苦笑）。ま、喜多さんやかつきさんのレビューをみるとこの手のロボット小説は今はたくさん出ているらしい。昔はソノラマでも見かけ倒しの作品が多くて困ったものだが、今はこのレベルの話はごろごろしているらしい。帯にあるような賞賛を受けるほど飛び抜けた出来だとは思えないが文字で表現するサンライズ調ロボット大河ドラマ風小説ってゆうとこれが限界なのかもー、と思う。
実は独立して読める作品でありながら、続刊が存在し、しかも最新３巻で一応完結しているらしいので３冊まとめて読んでから作品内容については語りたいと思う。

『猫の地球儀　焔の章』（電撃文庫）秋山瑞人、読了。 - 00/01/13 00:00:00
本日の調子: ボルジャーノンに花束を。

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＃１月１２日
スミマセン。俺、スパイラルダイバーとして生きていいＤＥＡＴＨカ？
というか、猫版ロボジョックスですか？
ってゆうか、これも表紙から内容が想像できなすぎる。＜Ｅ．Ｇ．コンバット＞シリーズといい、秋山さんはこれで納得しているのか？！あと椎名優さんのイラストはギャル！ギャルじゃなくっちゃよ！わかってんのか、担当？！
これは地球人類の去ったコロニーに生きる未来の猫たちのお話である。
地球人類の忠実な下僕として作られながらもその主人は遠くへ去ってしまい残され島で主人の帰りを待ち続けるという設定ならば犬とロボットでしょ！シマックの『都市』でしょ！と思うのだが、「キャラ萌え」属性の若者を狙うのならやはり犬よりは猫なわけで、戦略的には正解なのだが、ここは一つＫ９部隊ネオドッグの子孫たち、とかの方が設定として無難だとおれは思うぞ。なぜ猫なんだ？しかも何故＜電波猫＞？理由は次の巻で説明されるのか？宇宙では猫の空間把握能力の方が優れていたので、とかもっともらしい理屈が一個でもついてくれば俺は即納得するけどね。最近『幻想の犬たち』の「悪魔の恋人」に出てくる人間によって知性を与えられた＜家畜使い＞とかを見ているだけに＜猫＞は納得がいかなかったりする。
時々俺は思う。人間は神によって知性を与えられた（作られた）神の下僕で、神はなんらかの理由で我々を置いて滅びたかどこか遠いところへいってしまったのだ。この物語に出てくる猫たちと同じなのだ、と。この考えは『アップルシード』中で士郎正宗もつぶやいているので珍しい考えじゃないんだろうけどね。我々は猫ではなくてどう考えても神の犬だと思うのだが。
というわけで、普段ＹＡ文庫読まないや、電撃文庫なんて読まないよ、というＳＦ者の方もチェックしておいた方がいいかもしれない一冊。
うーん、待て。やっぱ、続編が出てどうまとまるかを待った方がいいかも、という気はするね。電波猫の操るロボットによる対戦格闘と知性化された宇宙猫の作る世界観という二本柱の組み合わせはちょっと読み手を選びすぎるかもしれない。作者の筆力は充分なんだけれども、これは食い物の食い合わせみたいなもんだからね。世の中、和食にコーヒーＯＫっていう人ばっかじゃないでしょ？
というわけで、続編読後に詳しくは書きたいと思う。

『バトルシップガール』（電撃文庫）橋本紡、読了。 - 00/01/12 00:00:00
本日の調子: ドグマに降りて槍を使ったヤマダなみ。

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＃１月１１日
俺、「ナデシコ」って後輩にルリルリマニアが居ることと麻宮騎亜の漫画は読んでいるので知ってはいるんだけどね、アニメは見てないのよ。でもね、この小説ってナデシコまんまじゃないのー？「歌う船ＹＡ版」を期待して見たんだけど……ナデシコ(;_;)。
エステバリスは出てこないけど、戦闘機乗りのカワイイお姉さんとかは出てきます。しかも関西人。狙ってんのか？（狙ってんだろうね、笑）。
「カワイイ娘満載のＳＦラブ・コメ」とか帯に書いてあるが……うーむ、これはちょっと売れないだろ。いや、ナデシコが受けているんだから受けるんだろうか？俺がナデシコ嫌いなだけなのか？
お話も設定も陳腐ですな。キャラで売るつもりならイラストレータをもっと売れ線のアニメ絵の方をつれてこなきゃ駄目でしょ。ってまぁ、美少女ゲーム世界とか見る限りは絵のタッチとかはあんまり関係ないみたいだけど、うむむ。ま、あくまで俺的視点ではってことですな。
バトルシップ・ナツミの人格（キャラ）も恋敵のアキのキャラもイマイチ萌える要素がないのが致命的。別段モテる要素がないのに女の子にモテモテの主人公はラブコメにおいては常套的なのかもしれないけれど、やはりそれはそれでキャラ立ってなきゃ駄目でしょ。上手く書けなくてもどかしいが、ギャルたくさんのラブコメやるならもてあそばれる野郎もそれなりに描いて欲しいってことです。ラブコメの男子なんてただいりゃいいだけに見えるのかもしれないけど、『ラブひな』のけーたろーにしろ、「トゥハート」の浩之にしろ、それなりのキャラなんですぜ。『うる星やつら』のあたるほど立てなくてもいいけどさ。（と思うのは俺だけなのかな？）
俺からしたら士官学校に入って戦艦に乗っているアキと主人公・祐太郎（うう、この祐の字は…）の関係をちょっと『宇宙の戦士』（別名：スターシップ・トゥルーパーズ）のカルメンとジョニィの関係とかになぞらえるとか、色々遊び方はあると思うのだがね。駄目ッスか？どうせ基本が『歌う船』でナデシコなんですからやるとこまでやって欲しかったと思うのは俺だけッスか？
ま、ヒロイン級の女子二人が精神的に弱まってるところを救済されたって理由で祐太郎にほれる部分については納得なんだけどねぇ、恋愛のきっかけって部分に整合性を求めてるわけじゃないのでね。
で、実はネタバレだけどあんまり他で紹介されていないんで書いてしまうが、人格付与戦艦ナツミってことで人工知能ＡＩ小説かなぁと思ったら「シェルパーソン、FIGHTS FOR HERSELF」って感じでサイボーグ戦艦の話だったというミもフタもない展開に唖然。
人格付与艦として再生してしまったただの女子高生ナツミの心理描写とかももう少しやってくんないとなぁ、ウリがなくなっちゃうよ、ってゆうかあまりにも重みのない話になってしまう。ロボコップですら２カット分くらいはサイボーグの悲哀みたいなものが描かれているわけで。お気楽路線なら死者ゼロとかのすちゃらか路線をいってもらわないと何もかもが中途半端でイヤンな感じになってしまう。
ま、ラスト付近の「死ぬのはいやーっ！」で性能マキシマムは基本ですね、基本。バーチャロンで勝つためにも必要な叫びです。が、安直すぎるといえなくもなし。
橋本さんは本当にこういう話が書きたくて書いたのかな？イマイチ本音のようなものが見えなくて嫌です。デビュー作の『猫目狩り』は俺の相方の先輩が書きたがっていたＹＡ文庫の話の典型で、うなずくところも多かったのだけど。（実はざっと読んだだけなのであまり言及しないッス）「こうすればウケるだろう」という作為的なものしか見えない気がするのは俺だけですかね？売れるモノを作るっていうのも大切だけど、やはり小説って作家の本音が入っていないと死んでしまうものだと思うけどなぁ。

『カバチタレ！１』（モーニングＫＣ）漫画：東風孝広・原作：田島隆・監修：青木雄二、読む。 - 00/01/11 00:00:00
本日の調子: ピンサロで自分が回転してしまった某Ｏくんなみ。

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＃１月１０日
『ナニワ金融道』を真剣に読んだことはない。で、同じ作家だとばかり思っていたら違ったりするのでビックリしている。漫画描いている人は青山雄二のアシやってたみたいなので絵が似てるのはうなずける。＜ピンホール応援団＞がすっかり車田正美調なのと一緒だね。
法律がどうとか、社会の仕組みがどうとか意識しなければいけない年齢だし、ちょっとした野望もあったので電車の釣り広告で見て前々から読んでみたいと思っていたのを今回本屋に平積みしてあったので購入。しかし、結局のトコロ、俺がこの作品に惹かれたのは「幸せに生きている分にはかかわりのない世界」の描写である。
読書系の人はフィクションとして、そういう裏社会というか、風俗というか、現代に潜んでいる暗い世界というのに接していると思うが、実際に自分が肌で触れなければそれはフィクショナルな世界としてしか感じられないのでは、というのがある。悪質な詐欺商法なども自分がそれにひっかかってしまったのでなければ、知識として知っていて隣人がそれにひっかかったとしても「へぇ、えらい災難でしたね」以上のことを感じられないのではないか、ということだ。だがしかし、それはそれでどうしようもないことだとも云える。やくざや風俗嬢の友人を作ってみろ、というわけにもいかないし、できればそういったことには関わり合いのない「幸せな生活」を送りたいとみんなが心がけていくことで世の中の大半の人は平和に暮らしていけているのかもしれないし。
今の日本は戦後とかに比べたら平和でキレイな世界なのかもしれないけれど、光のあるところには影があるわけで、そういうのを描いた小説（『不夜城』とか）もあるわけだけど、なんか正直じゃないような、そんな気がする。うさんくさい、偽善的な、カッコイイ背徳しか描かれていないような、そんな気がする。本当のトコロはこの漫画で起きるようなちっぽけで地味で陰鬱な、だけどホンモノの嫌なコトなんじゃないかと思うのだ。
商工ローン問題で急に「悪質な取り立て」が表面化したわけだが、金貸しがどんなふうに金を貸してどんなふうに取り立てるかなぞ、それ以前から知っている人は知っていることだった。宮代某なんかのおかげで現代の若者の暗部は広く知られることとなったが、大半は興味本位の情報知識としてしか認識されているのであろう。４月に風営法が変わって風俗情報誌やムックなど表に見える風俗もガラリと様子を変えたが、目に見えてこない部分は今までとなんら変わることがないのだと思う。裏の世界があり、裏の世界と接している人間も変わることはない。ただ、表の世界に飛び込んでくる情報が変わっている、ただそれだけなのだ。
トレヴィニアンの『夢果つる街』は古いカナダのある街の警官が見てきた街の汚れた部分を描いている。あれも派手じゃないけど、飲み屋のカウンターに付いた手垢が見えるような、そんなディティールがあって良かった。そうだ、もっと汗の匂いとか手垢とか、そんなものに俺たちはまみれているんだということを忘れてはいけないのだ。
ここで描かれる事件はその筋ではわりとありふれたことなんだと思う。他人事であった不幸がいつ何時自分にふりかかってくるかなぞ、わかるはずもなし。けして自分のだけは、などと思うことなく備えよ、と俺は云いたい。知っているだけで違うこともあるものだ。そのためにはこういった本を読んでおくのも悪くないんじゃないかと思う。ま、備えてるダケって守りの人生も駄目は駄目なんだけどね。

『キャメロット最後の守護者』（ハヤカワＳＦ文庫）ロジャー・ゼラズニイ、再読。 - 00/01/09 00:00:00
本日の調子: モロボシダンのステッキにうちのめされるオオトリゲンなみ。

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＃１月８日
某ＭＬで錯乱したようなゼラズニィオススメ投稿をしたのはいいけれど、実は二つある短編集の中身、どっちに何が入っていてそれぞれどんなお話だったかの記憶が怪しくなってきたので本棚から引き抜いてくる。
「心はつめたい墓場」を読んでいて宇宙ステーションで行われる２０００年記念カウントダウンパーティーシーンに遭遇し、現実に追い越されてしまった虚構の世界に涙する。今も買えるゼラズニィの短編集『伝道の書に捧げる薔薇』も秀逸な出来で、全地球人類の義務図書にしたいくらいなのだが、こちらの短編集の方が個人的には濃度が濃いかな、と思っている。何しろ各作品の冒頭に作者自身のコメントがあり、さらにこの本は日本の読者向けに『伝道の…』とだぶっている話を単行本未収録作品と差し替えてたあげくに作者独自コメントもついているのだ。ゼラズニィＦａｎとしてはうれし泣きもんである。
個人的にはアーサー王モノが大好きなので現代に生き続け聖杯探求を続けるランスロットの数奇な運命を描く「キャメロット最後の守護者」がベストなのだが、無論、心臓のない反逆者を３人の超能力が追いつめる「復讐の女神」も捨てがたい。正義とは何か？と問いかけてくるこの物語は是非、誰にでも読める環境に置いといてほしいのだが。
その他、当方調査によりゼラズニィの短編の中で最も人気があるという人工知能ＡＩのまぬけさとおセンチさを描く「フロストとベータ」、＜地球最後の男＞ならぬ地球最後の吸血鬼と怪物に生まれついたロボットとの人外ながらもおかしく悲しい物語「吸血機伝説」、神の視点で繰り返される歴史改変のチェスゲーム「血と塵のゲーム」、サイボーグに生き甲斐はねぇ！な感じの「ハーフジャック」、ゼラズニィのデビュー作品「受難劇」が読めるというのかなりイイトコ取りの一冊だ。
いや、疲れているときは既読の好きな本を読み返すに限りますな。
そういえば、俺の用いている「ゼラズニィ」という記述方は正しくない。出版社の表記を正とするなら、正解は「ゼラズニイ」であるが、俺的には最後ｙで終わる作家の表記はィという習慣が付いてしまっているのでしょうがない。でもサイバースペースに生きてる以上、検索エンジンの事なども考えるとやはり俺表記というのは良くないのでは、と最近では思っている。従ってタイトルなどの部分は正しくその出版社の表記にしよう、と思ったのであった。（そうするとディレーニィなんかは毎回違っちゃって気持ち悪いのだけれど）
……去年の１月８日にも同じこと書いているのを発見。……輪廻？（謎）

『ＡＩＪＡＰＡＮ vol.１』（白夜書房）、読む。 - 00/01/05 00:00:00
本日の調子: ジャンパーソンに入れ込んでた薫さんなみ。

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＃１月４日
なんか値段の割にはあわない雑な作りだが、同人誌というかゲリラ本としてはこの作りで正解。合格。唯一許せない点は俺の許可を得ていない、ということぐらいか。
黒川伊保子氏の手による「情動を呼び起こすコア・エンジンのゆくえ」が秀逸。こういった視点のもてる女性は素敵です。正直驚いてます。ってゆうか、つきあってください（嘘）。
永川成基氏による「ギャルゲーにみるＡＩフレーム問題」もかなり面白い。本当は俺あたりがこういった文章をかかねばいかんのだろう。ってゆうか、この程度の文章はＷＥＢにもう少しあがってきてもイイと思うのだが。俺も初心を忘れかけてきてるよな。
ゲームとしてポリゴンキャラでのハードエロにスタッフ一同入れ込んでいるイリュージョンの「DES BLOOD３」と店頭で見つけて飛びついたが「狙いすぎ」といって敬遠した「マリオネットカンパニー」。…そうですか、アンドロイドの胸パーツは交換可能ですか（滂沱）。「シーマン」の記述もある。やっぱ人工知能ＡＩ系ゲームとしてはやらねば駄目か。
ポリゴンによる「乳ゆれ」表現や３Ｄ美少女の「いじりかた」、「ポリゴンアイドル」という古傷を思い出させる記事も展開されている。君らは遅いよ！俺の２年も３年も後ろにいるという事実を反省しろ！ってゆうか、俺も本家を２年も全然更新してないことを反省しろ！
まじめな記事としては機械翻訳と音声認識の話がある。ま、標準的。
オススメ本もキチンとしており俺の人工知能ＡＩを知るためのガイドライン’９９にかなり沿った内容になっている。永瀬唯の『肉体のヌートピア』、黒崎政男『となりのアンドロイド』、西垣通『ペシミスティック・サイボーグ』は必須だろう。フィクションとしてギブスンの『あいどる』、コールダー『アルーア』を挙げているのも良し。洋書は残念ながら読んだことがないのでくきーっと歯噛みするのみ。
ジョージ・ゼブロウスキー（偽Ｚの人その２）の短編で占めているところもＧＯＯＤ。しかも冒頭の引用文が「６４０キロバイトのメモリがあれば、誰でも事は足りるだろう」という有名なビル・ゲイツのお言葉（失言とも云う）なのは良いですね。これもＷｉｎ９５が出るまでは「絶対だな、お前は絶対メモリ増やすなよ、ＥＭＳとか禁止な」と云っていたものですが。彼の腐れでへタレなＯＳのおかげでこのただれたインターネットエイジを生きてるわけなので、ヒトラーに頭の上がらないドイツ人と一緒の気分ですな。
ホンダＰ３がＣＭデビューして、ＡＩＢＯがボーナスで買える値段で生産されるようになった今、俺が叫んでいた時代がやってきたのかもしれない。でもソレってＩＳＤＮの普及を叫んでいたときと同じで現実が追いついてくると俺の熱は冷めちゃたりするんだよね。マジでメイドロボとかロボダッチとかでないと駄目かも。あとサイボーグ技術とクローン技術ですな。頭蓋ジャック埋め込みとか、俺は日本が禁止しても海外に手術してもらいにいく覚悟だぜ～（マジ）。
次は４月だそうで。次は内容を見て購入を検討予定。このままでもいい気はするが、このままじゃちょっと、ね。

『月と貴女に花束を２─妖龍の少女─』（電撃文庫）志村一矢、読了。 - 00/01/04 00:00:00
本日の調子: 平井和正に正体を知られた実在犬神くんなみ。

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＃１月３日
さて、ちょっと力量的には心配だったけど、電撃ｈｐなどでの売り方がうまかったのか、見事にシリーズ化され続編の登場となった志村氏のデビュー作。年末に軽く読めるモノが欲しくて買ってみたのだが、結局年が明けてから読むことになってしまった。
電撃イラスト大賞金賞受賞の椎名優のイラストはカラーでは超美麗、モノクロではキュートで良し良し。小説本体は選考委員特別賞なんだよね。大賞受賞作家がバシバシ売れたり続刊をホイホイ出したりするのではないところが面白い。（＜ブギー＞は大賞だったけどね。＜僕の血を＞は銀賞）やはり小説としては駄目だけど、キラリと光るモノ（ウケる、売れる要素）があったということでしょう。まぁ、なんにせよ目をかけた作家・作品が生き延びてくれるというのは嬉しいことだ。
げっ、でも聞いてないよ！コレって第二部の第一巻で全五巻の予定だってー？ってことはつまり、全五巻の刊行予定を出版社サイドが許したってことであり、応援してる身としては喜ぶべきかな。個人的には３巻以上続く話は読みたくないんだけど…。
なーんか、話としては昔読んだ竹河聖＜妖麗伝シリーズ＞に似てきた感じ…。好きだからいいんだけどね。でも一回卒業したジャンルだよな。
スタンド能力がある人狼族が組織だって現代に生息したうえでいろんなモノと戦っている、という前提を受け入れられるなんとかぎりぎりのラインに俺は立っている。いまだにジョジョとか読んでいるおかげだけどね、やっぱりそれって危ういラインだ。
お話の内容については、もー、悪党がコレでもか、コレでもか！といわんばかりに悪者で、久々に感情移入しすぎて気分が悪くなりました。うーん、コレってうまいのか？で、悪党にいじめられる女の子がこれでもか、これでもか、といわんばかりにいじめられてかわいそすぎ。で、しかも９歳なのしっかり乙女していてなんだかおじさん、泣けてきちゃいました。うぐぅ。完全に今回冬馬と美雪の二人は脇役～って感じ。お前ら主役だろ、もっと主張せんかい！って感じですな。しかしね、今回の話でなんとも許せんのはなんといっても俺が猛烈に嫁にしたいキャラナンバーワンの美雪さんをキズモノにしちゃったこと。ひ、ヒドイよ～！（＞作者！！）冬馬も悪くないし、美雪さんは誤っちゃうし、傷つけた張本人も実はあんまり悪くなさげな伏線がバリバリなのでこの怒りはもー、作者に向けるしかないではないかっ！って感じですな。せめて決着がついてくれればこの胸のもやもやもなかっただろうにねぇ。今回は「戦いの序章」なので、みんなが傷つくだけ傷ついてなんにも決着してないんだもんね。うぐぐ、消化不良。だから続きモノは嫌いなんじゃ。
で、ホントの脇役の姉兄・オヤジ・その他もろもろはしっかりキャラ立ってて再登場が楽しみな感じ。うーむ、成長してるかな、志村さン？！
でもね、おばちゃまね、いくらなんでも９歳の女の子が主人公の前に空間転移させられてくるシーンで「９歳くらいの少女だ」って表現はないと思うのよね。この苦労続きの少女が年相応の容貌かどうかもわからないわけだしね。人間の年齢って意外とわかりにくいよ。特に女性と子供は。ってゆう文章の添削は喜多さんがやってくれるはずなので俺はやらないケド。ま、ただ上記のシーンは素人目にもいくらなんでも、と思ったし、人に薦める上である程度の「出来」ってのはあるわけで。（従って阿智太郎はなかなか薦めづらいのよ）
＜僕の血を…＞の阿智太郎は１９歳（二十歳になったのか？）、この作者は２２歳。おお、いくら大学サークル誌の小説みたい、とはいえ学生の頃の俺や先輩の小説はこのレベルじゃなかったもんなぁ。（遠い目）で、上遠野浩平は俺の一つ年上。（うーむ、何かせねば、と少し焦った方がいいのか＞俺）
とにかくソノラマ系の話ばかり書いてプロになりたがっていた相方の先輩の作品を思い出すよなぁ、この作品。俺はその路線否定してたんだけどね。ＹＡ文庫とはこーゆーものだ、と俺が思い込んでるエッセンスを凝縮した感じ、なのかな？
特にオススメはしませんが、応援は続けるつもり。…続刊購入はその時の気分でって感じかな。

『幻想の犬たち』（扶桑社ミステリー文庫）ダン＆ドゾワ編 - 00/01/03 00:00:00
本日の調子: バスカヴィルの犬に尻を噛まれたホームズなみ。

コメント:
＃１月２日
あーもう、ずっと前から通勤読書用に持ち歩いているのだが、なかなか読み進まなかった一冊。というのもこの本が悪いわけではなくてコミケと仕事、両方とも「アイディア・ソースをひねりだす」作業がずっと続いていてとても読書＝インプット作業ができる脳の状態ではないことにすべて起因するんだけどね。というわけでＹ２Ｋの嵐も治まった正月待機中に読了。
夏ぐらいに「猫のＳＦは多いけど、犬は少ないよね」「猫のアンソロジーは出ても犬のはでない」とか云っていたんだが、外国では既に猫アンソロジストの手によって犬アンソロジーも出てたのね、という感じ。
トリにハーラン・エリスン「少年と犬」をもってこられるのは、猫アンソロジーにク・メルとか出されるのと同じくらい卑怯だと思うが、まぁ、いたしかたないですね。
しっかし、集めたね、１６篇。さすがに最後の方飽きたよ！
「犬」と「鰻」は俺の学生時代のキーワードだった。ウナギイヌというのが居るのは単なる偶然で二者に接点はない。というわけで個人的には犬関係で思い当たるところは色々あって、ＳＦっつーと難しいけど、映像作品でいえば「キャシャーン」のフレンダーとかヤッターワンとか映画版ストーカーとか押井守の「ケルベロス」とか。個人的に犬は猫よりも身近に感じられるんだけどねぇ。幻想小説とかだと猫は「ちょっとした魔物」とかで使われやすいのに対して、犬はギリシャ神話のケルベロスの様に「番犬」のイメージが強いんで応用が難しいのでは？とかね。「番犬」の次は「猟犬」かな。どっちにしろポンと話が出てこないモチーフではある。
「紅い眼鏡」や『ジオブリーダーズ』の様に犬と猫を対立させてる話も結構好きだね。
猫耳・犬耳萌えの人というのを結構時代的に早い時期から知っているが、俺はウサギちゃんやナースのほうがイイですね。（って関係ねーか）ま、俺は「耳萌え」しないです。
中村融氏の簡単な作家と作品の紹介は秀逸。この人の様な文章を書いてみたいなぁ、と思うがソレは無理な話だよね。ちょほほ。ま、それは置いといて、１６篇の短編、なかなかおいしゅうございました。犬の話はやっぱ猫の話に比べてキレが悪いかな、と思ってたのだが全然そんなことはなかった。犬好きであれそうでなかれ、是非皆さん御一読あれ。
「死刑宣告」デーモン・ナイト
実はこの作品集の中で一番「犬ＳＦ」らしい作品ではなかろうか？ま、地球最後の人類と犬、という設定がいささかおセンチすぎるきらいがないでもないが。ＳＦってこーゆー演繹をいとも簡単に許してくれるところに醍醐味があると思うんだが。
「ルーグ」フィリップ・Ｋ・ディック
ディックよ、小説はシャブ打ってない時に書け。
「ニューヨーク、犬残酷物語」ジェロルド・Ｊ・マンディス
これは『ハイ・ライズ』的な人間の集団ヒステリー現象を見事に描ききった傑作。人間はどーして派閥を作って対立したがるのかねぇ。いいじゃん、ノンセクト・ラジカルで。
「銀の犬」ケルト・ウィルヘルム
なかなか緊張感があって良い話。モチーフの犬が視覚的に一番綺麗だったのが印象的。でもねぇ、主婦の心に去来する漠然とした不安というモチーフがフェミニズム臭いよなぁ、という気もした。俺が彼女の作品で評価してるのは『鳥の歌いまは絶え』だけなのだ。
「泣き叫ぶ塔」フリッツ・ライバー
うーむ、これが「剣と魔法もの」の元祖なんだよねぇ。どうしても俺にはつまらねぇ話にしか見えん。これならヒゲのハーフエルフがドラゴンランスでシラクー！（ピカ！）とかの話を一つ読んでおけば充分な気がした。犬もあんまでてこねぇし。
「悪魔の恋人」Ｍ・サージェント・マッケイ
実はこのアンソロジーの中でマイベストはコレ。最高ッス。もー、俺は卑しい雄犬なのか！って思うくらい盛りのついた雌犬のエロティックな描写に興奮しまくり。そして群れて生きることに違和感を感じる一匹狼の生き方に共感。一匹狼という生き方はそりゃー寂しいけれども、孤独であるということは高潔であるということでもあるのだ。ラストのセリフ、「みんなだいじょうぶだよ」は英語で読みたかったなぁ。
「同類たち」ジョン・クリストファー
お洒落で愉快な一編。こーゆー作風ってわりと好きです。でも、ホモはイヤァ！
「ぼくと犬の物語」マイクル・ビショップ
ああ、やっぱりこーゆー自叙伝風メタフィクションって良いですな。ある意味デーモン・ナイトの作品と俺的にはかち合う内容。実はややこっち好み。
「おいで、パッツィ！」フレッチャー・プラット＆Ｌ・スプレイグ・ディ・キャンプ
ま、切れ味鋭いショート・ショート
「逃亡者」クリフォード・Ｄ・シマック
犬ＳＦというとやっぱシマックの『都市』だよね。もう読めないんだよね。シクシク。
「わたしは愛するものをスペースシャトル・コロンビアに奪われた」ダミアン・ブロデリック
この犬はこの本の中で一番面白い登場犬だったかも。そこはかとなく悲恋の匂い。
「猛犬の支配者」アルジス・バドリス
愉快、愉快。こーゆー愉快な話が大好き。荒木飛呂彦あたりに漫画化して欲しいね。「キス！」は死の匂い（笑）
「一芸の犬」ブルース・ボストン
ときどき、マイン・サイバードッグ（禁じ手側）にこーゆー「芸」をさせたくなるときがありますね。「ジョン、お前のハッキング能力を見せてやれ！」って思う時がままあります。
「最良の友」ジョナサン・キャロル
これはなんか作家勝ちって感じ。ジョナサン・キャロルは他もこんな怖げな話書いているんでしょうか。
「守護犬」パット・マーフィー
良くもなく、悪くもなく。うーん、この位置にこの程度の出来の作品だと、やっぱ集中力下がるねぇ。
「少年と犬」ハーラン・エリスン
反則だが、買ってきて最初に再読した。伊藤典夫先生の訳が今読んでも古びていないというのはなかなか驚きと感嘆があった。そしてどうしても学生時代に見てしまったあのしょぼい映画の画像がだぶってしまって、しょぼいながらもかっこよかったぞ、バウワウ。地下に潜って血を濁らしてる人々はまるで古い考えしか持ってない（ピー）どものようだ。ラジカル魂を見せてやろうぜ、バウワウ。
中村氏の云う通り、「死の鳥」のアーブーのパートこそ、犬野郎必見なんだけどねぇ。

おめでとう！ときめきミレニアム！ - 00/01/02 00:00:00
本日の調子: トランスルーセント２千円札発行に燃えるニセ首相なみ。

コメント:
＃１月１日
一部の人には御理解済みだと思うが、俺はかつてトンデモ系真っ盛りの悩み無き無敵男子中学生だった。その頃から「１９９９年の自分の誕生日を生きて迎えることはないだろう症候群」に冒されていた。従って、「３０才の自分」というのは歴史改変モノの中の「第二次世界大戦で勝利したドイツと日本」のようにあり得ないフィクショナルなモノだと感じていたりする。もっと簡単に云うと２０００年問題などというのは超巨大コンピュータ「マトリックス」内部に仮想的にシミュレートされた世界に用意された単なる仮想の一イベントに過ぎないのではないか…そんな気さえしてくる。
俺を支えている現実感ってなんて希薄なんだろう、ということに気が付く。
コンビニでは「ぼっくらが生まれてくるずっとずっと前にはもう、アポロ１１号は月にいったっていうのにぃ～（俺たちは地面にはいつくばってコンピュータのバグ取りをしている。輝かしい未来都市も、エアカーもなく、人型のメイドロボも普及していなく、世界人口は増加の一方をたどりながらも飽食の時代で、死の病も怖れずに人々は子供を作らないように繁殖行為を繰り返し、電子空間で距離のないおめでとうの挨拶をしている…）」という歌声を聞いて、おせちもいいけど牛丼屋だよね、という感じになる。
部屋に帰って郵便受けから取り出した年賀状の束。昨年結婚した妹の写真が母親の顔に似ていて少し焦る。ふん、自分の母親の若い頃の顔って忘れているようでも覚えているんだ、不思議。会社の先輩も後輩も同期も着実に家族を増やして繁殖している様子がうかがえてちょっと怖くなる。うーむ、なんかやっぱ平和過ぎるよな。改変されたシミュレート世界に生きているんじゃないのか、俺は？！
そういえば、父親の実家と疎遠になってからというもの、腹一杯餅を喰ってないよな。餅喰いてぇ。スーパーで袋に入ってる石鹸みたいな奴は禁止。あれならカップ汁粉に入ってる奴の方がイイ。そうだ、秋葉で餅つきマシーンでも買ってくればいいんだろうか。でもそれってスイカやメロンを一人で丸ごと喰ったときと同じ虚しさに襲われそうだな。ま、己の欲望と相談だな。
今年は泣いても笑ってもＢＳデジタル放送を実施するためだけに生きる事になりそう。それが終わったら少しこの神様がくれたおまけの人生をどうやって生きるか考え直す時間とかもできるかもしれんなぁ。
俺の場合、人生に対するスケールっつーか視点が３日単位とかゆーすげーミクロな感じだから、やりたいことってなんでもやっちゃってる気がして駄目なんだよね。こー、何年もかけて実行する人生の大目標みたいな「やってみたいこと」とかが思いつかない。何かやりたいことってあるはずなんだけどね。仕事とかダサコンとかは他の人がいるから長期スケジューリングできるんであって一人だとなかなか計画的に行動できないんだよね。コミケももう少し優秀な相棒がいないとちょっとキツイ感じだよな。（もっとガンバってくれ、Ｋよ！）ま、いいっか。俺は炎のパッション・ライフ、瞬時値インパルス・マキシマム野郎ということで。
なんか年明け早々暗い思考に支配されているが、２１世紀を生きることをマジで１５年間考えていなかったのでちょっと人生計画見直ししたいっつー気分なわけですな。
そう、ミレニアムって日本じゃあんまり盛り上がらなかったけど、２１世紀はもう少し盛り上がるんだろうか？って、「２０００年が２１世紀の開始じゃないんですかー？」って人もいるくらいだから難しいっか。
マジで死ぬ前に人型ロボットを一台購入してシモの世話とかをさせ、無重力老人ホームに入居したいもんだね。ってゆうか、ホント、月にくらいつれて行って欲しいもんだよ。
夢のある未来を生きてみたい、とか思う。ゲホン。
あー、近接した現実の課題としてとりあえずサイトの再構築とかやりたいッスね。

過去の日記(99/12/23～99/12/31)を見る

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