映画「ウッドストック」

中学生最後の夏休み。70年安保も思ったより静かに通り過ぎていきました。
高校受験を意識せざるを得ない時期になってきましたが、そんなもんどこ吹く風という感じでわたしは友人と新宿の映画館へ意気揚々と向いました。
映画「ウッドストック」の公開初日について、新聞で紹介されていました
。初回に並んだ人2-3人。
客の入り半分程度。監督のマイケルもちょっとがっかりしていた等。
学生の夏休みを狙っての公開だったのでしょうが目算が外れたようです。
帰省してしまった人も多かったでしょう。
も、一番の理由はまだ日本ではロックは定着していなかったということではないでしょうか。
さて、私達も入場券を買い映画館の中へ入りました。
午前中、第1回の上映でしたが、やはり客の入りは半分程度。さみしい限りです。
映画が始まります。CSNYの曲が流れる中、コンサートの準備の様子が映り、徐々にヒッピーがウジャウジャと集まってきます。
人、人、人の波。「リッチ−・ヘブンス!」というアナウンスから待望の演奏シーンが始まりました。
生ギタ−1本で何10万人を相手に歌うリッチ−・ヘブンスの姿に感動しました。
「フリーダム」の最後、ギターを弾きながらステージを後に去っていくかっこ良さ!
そしてみんな立ち上がりだんだん早くなるテンポに手拍子を合わせリッチ−を送るヒッピー達のかっこよさ!
そうなんです・・演奏するほうも聴くほうもかっこいいんですよ。
客がカッコ良いなんて感じたのは初めてのことでした。本当に胸が熱くなりました。
雑誌でしか見たことのないミュージシャンが続々と登場してきます。
この映画に出て爆発的に売れたミュージシャン・バンドも多かったですね。
アルビン・リ−率いるテンイヤーズ・アフター、完全にぶっ飛んでいるサンタ−ナ、歌っているのか、怒鳴っているのかよく分からないジョ−・コッカー、みんな死んじまえ!と歌ったカントリージョ−等フ−はやっぱり興奮するし、CS&Nはその姿がゆっくりとステージに浮かんで来たときヤッタ−という感じでした。
ずいぶんといいかげんなギターの弾き方をするなあと思いました。
オープンチューニングなんて知らなかったもんね。
でも、一番印象に残ったのはスライ&ファミリーストーンでした。
何ものなんだろう。この人は・・・聴衆を完全にコントロールして熱狂の渦の中でけっこう本人はクールなんですよね。おれがハイヤーと言ったらみんなはピースサインをしてハイヤーと言え・・わかったナ 関係ないなんて面するンじゃないぞそんなこと当時の日本のバンドでやってるとこはなかったですよね。
スライのライブはこのウッドストックでしか見ることは出来ないはずです。
ライブレコードも残していませんので貴重な映像ですね。
ピートがギターをほうり投げるシーンは何度みても面白い。
しかし経済観念の違いというか、ギブソンSGなんて当時の日本では渋谷のヤマハのショーウィンドウでしかお目にかかったことがない高級品ですよ。
それをぶっ壊して客にプレゼントしてしまう気前の良さ!金持ちは違うなあとつくづく感じました。
最後はジミ・ヘンドリックスが少なくなった聴衆の前でアメリカ国歌を爆撃機の音になぞえて演奏します。
疲れもあるのでしょうが、聴衆の顔には明日からの現実、泥沼化しているベトナム戦争の影が見えているようです。
混沌とした時代、3日間のフェスティバルは色々なことを問題提起して終わります。

個人的にぜひ出演してほしかったミュージシャン達


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