慶悟沙彌の「今月の言いたい法話」

1998年7月の法話

 猛暑の続く毎日ですが、7月は二つの音楽祭のお話をします。

 一つは7/18日に加古川市のカトリック教会を会場に「加古川平和音楽祭」(世界連邦建設同盟加古川支部主催)で、漆原啓子のヴァイオリン、秋津智承のチェロ、私のコントラバスで弦楽二重奏と三重奏のプログラムで演奏しました。主催者が宗教の宗旨を超えての集まりですから、教会に衣姿の住職の姿も見受けられ全人類が平和を祈るにふさわしい光景でした。やはり音楽の役割はこんな主旨の中では他に見あたらない程重大でした。

 もう一つは7/23〜7/26日まで「第6回やまなみ国際音楽祭」に出演させて頂き、お陰様で、本当に清々しい楽しい一時を過ごさせていただきました。

 場所は京都府、奈良県、三重県の県境で、宇治茶の名産地でもあり、南山城村にある黒川紀章設計による音響の良いホール「やまなみホール」で国内外の新星トップアーチストから、京阪奈の音楽家が集い、様々な室内楽コンサートが3日間開かれました。

 素晴らしい音楽家との共演は勿論の事ですが、清流木津川のせせらぎ、村を囲む山並みの森、小鳥のさえずり、蝉時雨など、自然界のハーモニーとも共演させて頂いたような、そんな思いをさせて頂きました。

 また、主催者・スタッフ・町内のお手伝いの皆様より、心温まるアットホームなおもてなしや、毎食の美味しい手料理を頂き、感激いたしました。

 昨年、旧東ドイツの田舎の音楽祭に招かれて2週間滞在したときも感じましたが、ご先祖から受け継ぎ暮らしている町を誇りい思い、美しい自然環境を全住民で守り、何よりも文化・芸術を通じて行政と市民が一つになって音楽祭を盛り立てている素晴らしさは、決して大都会では味わえない尊いものだと、この度南山城村を訪れて再び感銘致した次第です。

 いつまでも、やまなみ国際音楽祭に出演された方や、聴きに来られた方に、さわやかな心のオアシスで有り続けて頂けますことをお願い申しあげ、また、益々音楽祭のご発展と、美しい自然とのハーモニーがコダマしますこと心よりお祈り申し上げます。しかし、これだけ多くの方に安らぎを提供される主催者・スタッフ・関係ご一同様には、お気遣いにお疲れになった事とご推察申し上げます、何卒ご自愛の程お過ごし下さい。私は何よりも村民の皆様のお心使いに、感動しました。素敵な4日間有り難うございました。心より感謝申し上げます。

 最後に村長がこの様にお話しされました「近年アウトドア志向が広まり、都会から多くの方が休日に訪れるようになったのは有り難いことですが、村中にゴミを放置して困っています。村民総出で山中や川岸でのゴミ拾いに労力を使う日が増えてきました。しかし、都会からゴミばかり持ってこられる中、今回国内外から出演していただいた演奏者の皆さんは、私達の村に、美しい音楽を運んで下さり、村民に芸術の素晴らしさを伝えて下さいました。本当に有り難うございます。」

 この村長さんの言葉を参加した音楽家全員が素直に受けとめ、素敵なホールを建設して迎えて下さった全村民4200人の皆さんに心より改めて感謝した次第でした。クラシック音楽を通じての宗旨宗派を超えた素直な心のふれあいが、名演奏の余韻の中に残る至福の一時でした。

                          乱文御免 合掌

発信者*教信寺塔頭法泉院法嗣*慶悟沙彌

ご意見・ご感想・その他メッセージは、
以下のE-Mailアドレスに
ご自由にお書き込み下さい。
質問メール

to page 「慶悟沙彌の今月の言いたい法話」

to page「教信寺」

to home page「音楽の館」