第2002.8.1　第73期棋聖位決定五番勝負 第五局　角換り腰掛け銀

対局者：郷田真隆棋聖（後手）　佐藤康光王将（先手）
対局会場：新潟・岩室温泉「高島屋」
持ち時間は各４時間の一日指し切り制
立会人：原田泰夫九段（正）、富岡英作七段（副）

手番強迫神経症

実況 マシュダ一家

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/02 Fri 05:35:29

「では総評を」
「郷田が哀れで気がすすまん。最終盤は目もあてられん」
「冷酷にアナリーゼを。佐藤さんのあの47手目の45歩は無理だったんですね?」
「康光は無理でも行くっきゃなかった。25桂跳ねたら質駒を渡すのと同じ。そして25桂跳ねたからには28角打は必然の流れ。しかも35歩とは先手から突けんから、28角の55からの転回活用以外、桂を生かす順がなかった。
そこで47手目の局面で進展がある攻め手はふたつのみ。
1=65歩。以下同銀で銀交換なら69銀、同歩なら25銀と桂馬を取り66桂打でいずれも後手8筋の特権的居飛車の権利が強大で先手崩壊。郷田は84飛の攻防手であくまでも玉頭に固執する正攻法を選択したからね。25桂の質駒の価値は28角の活用期待値より大きい。
2=45歩。康光決断の一手。25桂馬を跳ねた為に28角を打たざるを得なくなった先手はこの角の活用が急務。この展開では後手に最後に手番を渡すことになる」
「実況済みですので反復は結構です」
「そこで後手が変化の最後に最善手を指せば先手負けの変化に転落する。康光は69分を費やしたが、自分でも後手の最後の最善手が不明だったはず。一日制の棋聖戦の特徴じゃね。そしてこの無理攻めを決行。康光が終始苦しかったと告白したのは25桂馬から攻めの連鎖をあえて自分に強いたため」
「自分で自分をむち打つような?」
「凄まじい個性。茨の冠を被る聖者。そしてあの45歩決行。あとは郷田次第。棋聖位を賭けた手渡しがあそこで行なわれた」
「決行をさけて先手が一回待つ順はなかったと?」
「47手目の時点では停滞手がすでに皆無。45歩を決行し棋聖に運命を託す以外ない」
「そこで問題の58手目。やはり54角打は疑問手でした」
「涙がでる敗着。飛車を狙ったのが間違い」
「あの局面での最善手は?」
「54歩。まず角を追う。とにかくあの角を隠居させんとわざわざ１歩捨てて84飛と上がって64地点を死守した効果がない。郷田は64歩を飛車で死守し、康光は46飛で36歩を死守するという将棋になるとは」
「人間はわかりませんか?」
「それを運命の二文字で済ます安直さには反吐がでる」
「続きを。54歩に33角成と切ってきたら?」
「同桂で飛車あたり。44歩を垂らす暇ない。角は従って一旦37と逃げる。それから53桂打で飛車を追ってから待望の86歩。以下同歩同飛で素直に１歩入手すべき。問題は飛車を一旦引いたときに手番を先手に渡すこと。角は追われたので先手は飛車の直通だけが頼り。持ち駒は銀歩二枚づつというのが66手目の想定局面」
「今度は先手が44歩と垂らせませんか?」
「入手したばかりの命の歩を45に打つ。銀打でも同じ」
「53桂打ちで飛車を追いつつこの地点に歩が効くようにしたと!」
「やはり居飛車の最大利権を最後に生かせる展開。郷田はとにかく歩が必要。それを目先の大きな宝箱に目がくらんであの54角とは」
「目もあてられませんか」
「第4局のあの89角も同じ理由で郷田は打ってしもーた。今回もいやな予感がしたんじゃけど」
「同じ理由?　それで風呂に?」
「人間の病を楽しむようでは人間でなくなる」
「その病とは?」
「手番強迫神経症。第4局では香取りに歩をまず打つべきところで角を打ったのはなぜ?」
「決戦後に相手に手番を渡すのを嫌ったからでしたね」
「今度も同じ。歩を入手して84に飛車が下がった時に手番を渡すことを郷田は第一に恐れた。そしてその第一思考だけが郷田の総てになってしもーた」
「なぜ?」
「康光の常道を逸した45歩はゴーダ病を誘発しただけ。康光は郷田のこの慢性病を知っとるのよ」
「手番強迫神経症の原因は?」
「今言う気がせんね。だから炭酸飲めと勧めたのに」
「郷田さんはパソコン持っていないそうですので通じませんでした」
「胃が膨らむ虚しさを感じる」
「60手目に63桂馬と打ったときにはすでに処置なしの結論でしたので私たちもひきあげました。61手目の56歩は驚天動地の手と控え室では大騒ぎでしたが?」
「勝利確信後の康光の遊び。歌舞伎の大見得。あとは郷田の手番強迫神経症が悪化し、飛車切りから金の両取りというタイトル戦とは思えん縁台将棋」
「郷田さんは98手目の53馬が敗着と言っていますが」
「痛々しい。そこまで主催紙の顔を立てるとは。63桂打以後は康光がショーにしているだけ。郷田はここまで見せ物にされたんではしばらく立ち直れんかもしれんが、藤井同様また来る」
「控え室では63桂以後、後手が優勢と結論していますが」
「二人がショーを始めたらそれくらいギャラリー煽っても和尚ならえーがな。棋聖と主催紙に同情したんじゃろ。和尚のマシンガントークはワシも聞きたかった。富岡が真顔で言ったんならノーパン喫茶」
「では最後に一言」
「ゴーダ!　強迫神経症を直せ!」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 17:17:52

「どの変化もだめ。新棋聖誕生」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 17:12:48

「54に角を打ったからにはすでに桂打以外はじり貧」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 17:05:37

「角切られてだめ。54角は疑問。歩切れ補填は飛車先が順当。先手46飛車で一歩を死守する捨て身の防戦成功」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 � ﾊ02/08/01 Thu 16:56:20

「後手は桂馬打って角を取っても歩切れが弱点。いよいよ最終盤」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 16:51:24

「63桂で角とれるね」
「先手大丈夫ですか?」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 16:32:41

「33同桂成ー同銀にやはり78銀と手を戻しました」
「それで風呂屋か」
「待望の後手の手番ですが」
「まず歩切れ解消しないと」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 16:17:40

「やはり桂では受けません」
「それだとさっきの新棋聖誕生の角切り飛車成りコース」
「やはり俺はゴーダと。この33銀は?」
「ペチョ」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 16:12:33

「棋聖が受け損なうと角切りから銀で畳み込んで飛車成り」
「いけそうですね」
「それなら新棋聖誕生」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 16:03:46

「13分で55角やっちゃいましたー」
「やはり銀をここで下がってはじり貧」
「でも最後は逃げますね」
「飛車切るけど」
「じっちゃん風呂に行く準備してます」
「止めなくていい」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 15:57:38

「50分考えて棋聖は76歩とようやく打ち降ろしました!」
「音聞いてみたかった」
「パチンってカンジ?」
「プチッ」
「コツン」
「トン」
「俺はゴーダだ」
「打つしかないがな。なんで50分も考えるかね」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 15:44:17

「棋聖も人生最高度の緊張の時間」
「わしモーついていけん。ウチワも壊れたし」
「先手行けそうですか?」
「これでゴーダを踏み倒せるなら最強棋聖の誕生じゃね」
「そこまで調子悪いはずないと?」
「お茶飲みながらじっと歩を横目で見とるじゃろ」 郷田棋聖は抹茶のティータイム

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 15:34:49

「76歩の叩きに銀が逃げると?」
「後手の反撃が厳しい。25桂は質駒。飛車を追われ銀桂と馬で苛められる。76歩を叩けば瞬間後手の歩切れだけが先手の救い」
「よくも踏み切ったものですね」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 15:26:52

「先手が一挙に攻め倒すのは無理。65手めに67銀と下がってやはり棋聖に手を渡す。そこで棋聖には歩がないため角筋が止めにくいが」
「反撃は?」
「後手は飛車に桂馬二枚。86歩や76桂からの飛車の王手まで先手玉に響く手がすぐに成立」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 15:13:13

「54角の飛車銀取りには逃げずにいきなり55角」
「飛車を逃げないと!」
「42飛車成で一挙の寄せ狙い」
「まさか!」
「天然ガスは恐い。ここまで脳を刺激されるとやりかねん」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 15:01:10

「45歩やりました!　しかも同歩に同銀と取ってます!」
「まさか!」
「一挙に進行しています!　45歩-同歩-同銀-同銀-同飛」
「76歩叩きには銀を引いて55角狙い」
「大丈夫なんですか?」
「殺気だっておる。敵の歩切れと飛車の横効きが遮断された瞬間の一大勝負。最後の手番を棋聖に渡すとは」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 14:45:38

「84飛から局面が動きません。ここで45歩とは突けませんか」
「順番の問題。45同歩には同銀とはすぐにいけんからね。同銀だと先手負け。そこをいじるなら先に65歩があるかの読み。ところがこれは危険手。放置されても取られても後手からの35歩や76歩叩きから66桂打など。コンビネーションの順番間違うと地獄行き」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 13:44:09

「ノータイムの同歩ですが」
「躊躇ないね。一旦はただの歩。銀を引いて盛り上げる手もある」
「84飛には29分の長考です」
「やや変調。角筋を一旦受けて35歩と後手から突いて76歩打狙い。3筋の攻防で27地点での両取りを楽しみに」
「一旦引いて襲いかかる獅子?」
「ゴーダに躊躇を感じる」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 12:32:07

「この幼児プールの打ち水効いとるの?」
「水蒸気が熱を奪っているはずなんですが」
「ウチワの方がえーな」
「いっそのことプールで水垢離やりますか」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 12:25:59

「棋聖も動きます!」
「横効きの受け狙い。遠大な構想と取るなら先手2筋が薄いんで銀を切って飛車の大回転」
「大技ですね」
「決まるとは思えんが、後手はじっとしているわけにいかん局面」
「仕方なく動いたと?」
「指し手の流れからしたら１歩損は後手期待外の展開。康光の気迫を正面から受けたね」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 12:15:10

「先手すぐに指しました」
「さっき沢山考えたからね。45歩突いて64歩パックンから飛車筋狙い」
「37角ではいけないのですか?」
「それだと27角-47金-35歩の反撃を後手に与える。ただし28だと35歩の方は突けん。銀で24桂食われて36桂の飛角取り」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 12:03:52

「後手は当然の銀逃げになぜこんなに長考を?」
「康光が露骨に角打ちから45歩の攻めを見せつけるんでまず心を落ち着ける。それから24銀-28角打後の対策を考える。むしろ25分は決断がえーね。棋聖位を賭けた最初の勝負どころ」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 11:36:04

「佐藤王将56分の長考で25桂といきなり跳ねました!」
「叫ぶな。暑苦しい。ゴーダが4手目から躊躇なく先日手考えておる素振りなんで、その位やってもらわんと」
「24銀のあと角打ちをどうやってふせぐんですか?　47金とか?」
「そりゃもっと暑苦しい。康光は自陣に角打つ」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 10:55:12

「確かに棋王戦とは違う展開になりました」
「そりゃそう。棋王戦では康光が33銀やる前に羽生が25歩突いたからね。康光は25歩突いておらんのに棋聖は36手目で33銀やりおったから」
「それで佐藤王将48飛と?」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 10:43:28

「控え室中継では36手目の▽３三銀までの局面は３月８日の棋王戦第４局（羽生善治四冠ー佐藤康光王将戦）と同型とのことですが」
「なんかの間違いじゃろ。羽生は25歩突いておったよ。34手目で偶然同じになっとるが、それも手順が全く違っとる」

http://www.bekkoame.ne.jp/i/yusai/0308kiou4.html

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 10:37:08

「なんじゃ、エアコン直っておらんの?」
「昨日の今日では無理です。サービスセンターがお盆休みとかで」
「なんとかならんかね」
「子供用のビニールプールでも部屋に置きますか」

ﾊ投稿者：マシュダ一家 ﾊ02/08/01 Thu 10:17:41

対局者：郷田真隆棋聖（後手）　佐藤康光王将（先手）
対局会場：新潟・岩室温泉「高島屋」
持ち時間は各４時間の一日指し切り制
立会人：原田泰夫九段（正）、富岡英作七段（副）