日時：2005.05.09
棋戦：第76期棋聖戦挑戦者決定戦　持将棋指し直し局
戦形：横歩取り85飛68玉型
先手：羽生善治
後手：三浦弘行
▲７六歩 ▽３四歩 ▲２六歩 ▽８四歩 ▲２五歩 ▽８五歩
▲７八金 ▽３二金 ▲２四歩 ▽同　歩 ▲同　飛 ▽８六歩
▲同　歩 ▽同　飛 ▲３四飛 ▽３三角 ▲３六飛 ▽２二銀
▲８七歩 ▽８五飛 ▲２六飛 ▽４一玉 ▲６八玉 ▽６二銀
▲３八銀 ▽７四歩 ▲３六歩 ▽７三桂 ▲３七桂 ▽５一金
▲４六歩 ▽７五歩 ▲３三角成 ▽同　桂 ▲３五歩 ▽２五歩
▲１六飛 ▽８四飛 ▲３四歩 ▽同　飛 ▲５六角 ▽５四飛
▲３四歩 ▽２八角 ▲１八香 ▽１九角成 ▲３三歩成 ▽同　銀
▲４五角 ▽８四飛 ▲３六飛 ▽４四銀 ▲３四飛 ▽６五桂
▲６六歩 ▽８八歩 ▲同　銀 ▽３六歩 ▲同　角 ▽２三金
▲４四飛 ▽同　飛 ▲６五歩 ▽４六飛 ▲４五角 ▽２二金
▲５八桂 ▽３七馬 ▲４六桂 ▽同　馬 ▲４八飛 ▽２四馬
▲２三歩 ▽３二金 ▲３三歩 ▽同　金 ▲２二歩成 ▽４四桂
▲６七金 ▽５四歩
*64歩牽制+56桂準備だがひとめ緩手
▲６四歩
*後手の最大の急所。6筋が切れると何度でも歩が利く。
▽同　歩 ▲７八玉
*馬筋からの先逃げ
▽６五歩
*駒を渡せないので歩で圧迫。これが影の立て役者のはずであった。
▲７七銀
*壁銀解消
▽３七歩
*先程稼いだ歩で
▲同　銀
*1歩しかなかったのでラッキー
▽６六桂
*また入玉されたらタマらないので天蓋は残す
▲８八玉 ▽３六歩 ▲２八銀
*26歩はいつか見た。今度は38銀かと疑って
▽１五馬 ▲６八金
*飛車はすでにお荷物なので馬との交換大歓迎
▽７六歩
*取れと怒られてコッチを取った。そこの歩を取るとあとでマズイ
▲同　銀 ▽３七歩成
*この瞬間がチャンス
▲３四歩 ▽４八と
*差し違えで羽生と心中する覚悟
▲３三歩成
*こんどは羽生がと金二枚で三浦へ復讐
▽同　馬
*この馬が頼りの大将。43との必死逃れ
▲３二金
*冴えないがこれしかない
▽同　馬
*と金二枚に金まで始末して大活躍の戦死
▲同　と ▽同　玉 ▲６三歩
*すぐに23銀は42玉で捕まらないので事前工作
▽４九と
*三浦見切ったか？
▲６二歩成
*これは三浦に受けナシ
▽３八飛
*三浦の勝負手
▲２三銀
*取り敢えず王手
▽４二玉
*33玉は48歩+15角
▲８六角
*68金を死守しつつ王手
▽７五歩
*取れば王手だが68金補強は外せるので手番は戻る。
▲５一と
*角二枚の利きでひとめ自陣に詰みはないと即時首を出す綱渡り。ここで受けてはと金を外されどうせ負けなので開き直る。
▽４八飛打
*三浦のド迫力。羽生48飛を反転する芸道の色気優先。78金なら総清算或いは69角で下から突き上げ歩を4枚残して66金で即詰み。66金を支える65歩が主役になる寸前にブーハ演技にダマされた。
▲７五角
*羽生最後の長考？52金は33玉で負けなのでとにかく王手。
▽５一玉
*53金合いでは一旦58桂合いで金の打ち損
▲５八桂
*53銀では詰まされる
▽４五飛成
*58飛成は45角の利きがあるので負け
▲７九歩
*一昨年の名人戦でも森内を葬った79歩
▽７二金
*55角の詰めろは77桂で負けだが形作りにはなった。72金ではハッキリ負け
▲５三金 ▽６二金打 ▲６三歩
*6筋にまたも歩が利くのがこの将棋の骨格
▽同金右 ▲４二銀
*以下鮮やか
▽６一玉 ▲６三金 ▽同　金 ▲５三銀成 ▽７二玉 ▲６三成銀
▽同　玉 ▲６四金 ▽７二玉 ▲８四角
*ここで投了かと思った。
▽８一玉 ▲７三角成 ▽７一金 ▲６三金 ▽９四角 ▲８五銀
▽７二歩 ▲９四銀 ▽７三歩 ▲８三銀成 ▽６一角 ▲７三成銀
▽７二歩 ▲６二歩
*三浦、フツーここまでやるか？
*今日は男泣きしてから眠りコケテいただきたい。
▽投了

149手で先手の勝ち
終局=翌日午前0時38分

ここまで想定変化でチョコマカ思考されると産経には悪いが眠くなる。
71手めは角アタリを処理しないといけない。34角だとナマ角にまた当てられて今度こそ手番を失うので48飛も当時検討された手順。
44桂は中空三角理論からサザンクロスのミキシング。67金は56桂打阻止。見た目派手でも変化は狭い。

やはり羽生は58桂。次に37馬は困るのでそれしか思いつかない。これは羽生の手ではないので躊躇した模様。
三浦はすぐに37馬。同銀は49飛成で負けなので次の手も決まっている。
歩の損得だけはないが先手は銀得で手番も貰って優勢が当時の結論。
三浦にそれが覆せるのか？

指し手がハタと止まった。
羽生は67手目で長考中。次の手を忘れるはずないので確認中であろう。別な勝ち方もあるかもしれない。
残り時間は持将棋局が三浦4分、羽生1分だった模様。三浦はなんで4分も残してタコにしたのか？
指し直し局の持ち時間は双方に1時間も足したらしい。羽生1時間、三浦１時間3分となる。1時間もあれば羽生楽勝。三浦はすでに腹の下が重い。こういう時に軽いカラダはラク。

63手目はやはり65歩だった。森内は故意に負けたと羽生は思っている。現在66手目まで感想戦変化とまったく同じ。67手目は58桂が有名な手順。ここで羽生は手が止まる。

63手目で65歩と手を換えれば感想戦手順で先手優勢が当時の結論。自陣桂があるので46飛から66飛がない。

羽生演出もこの時間帯は筋金入り。昨晩渡辺明出演のトップランナーで何度もVTRを見せられた2004.12.27&28竜王戦第7局の対局を忠実に再現。もともと森内羽生の将棋なので。
森内はおろか渡辺明にも勝とうとしている。

凄まじいデッドヒートの余韻。88歩のダマシ手で一挙に立場を入れ換えた直後の33角も羽生らしい。三浦はアセリまくって何度も勝ちを逃した。
故意に弛めてからオニのようなハブ手連発をここまでリアルに実況した前例はない。産経新聞の中継は軽くて迅速。素晴らしい。
指し直しはさすがにレベルは落とせないので羽生は三浦のオハコ相横歩取りを注文。まさに千両役者。三浦は心底怯えている模様。横歩取り85飛にしてしまった。68玉型は羽生のファンサービス。最近少ないので。

日時：2005.05.09
棋戦：第76期棋聖戦挑戦者決定戦　持将棋引き分け局
戦形：手損角換り早繰り銀
先手：三浦弘行
後手：羽生善治

▲７六歩 ▽３四歩 ▲２六歩 ▽３二金 ▲２五歩 ▽８八角成
▲同　銀 ▽２二銀 ▲１六歩 ▽１四歩 ▲３八銀 ▽３三銀
▲３六歩 ▽６二銀 ▲３七銀 ▽６四歩 ▲４六銀 ▽６三銀
▲３五歩 ▽同　歩 ▲同　銀 ▽５四銀 ▲３四歩 ▽４四銀
▲同　銀 ▽同　歩 ▲２四歩 ▽同　歩 ▲３五角 ▽３三歩
▲４四角 ▽４三金 ▲７七角 ▽３四金 ▲３五歩 ▽４八歩
▲同　飛 ▽４五金 ▲３四歩 ▽４四歩 ▲４六歩 ▽５五金
▲２二歩 ▽同　飛 ▲３三歩成 ▽同　桂 ▲３四歩 ▽２五桂
▲３三歩成 ▽９二飛 ▲６八玉 ▽３六歩 ▲２八飛 ▽４六金
▲７八玉 ▽６二玉 ▲５八金右 ▽３七歩成 ▲同　桂 ▽同　金
▲２六飛 ▽４七銀
*やけに性急
▲６八金寄 ▽３六銀成
*これなら35銀の方がよかった
▲同　飛
*アッサリ切られた。羽生の見落とし。
▽同　金 ▲４三歩
*好手。これはヤバイ。寄せあいは逆に先手からの追い詰め。
▽６五桂
*羽生も長考して結局こんな手しかないのでは37歩成がアホすぎた。三浦に1歩渡したツケの利息が大きい。
▲４二歩成 ▽７七桂成 ▲同　銀 ▽７四歩
*桂打ち牽制で入玉準備。
▲４三と寄 ▽６三玉
*棋王戦エスケープ再現。またかよと呆れる。
▲５二銀 ▽同　金 ▲同と上 ▽６五歩
*三浦の緩手待ち。
▲８四桂
*大爆笑。フツー62銀。三浦は市販ソフトで終盤を指していたと判明。
▽同　歩 ▲８三銀 ▽５五銀 ▲９二銀不成▽５四玉 ▲３三飛
▽４五玉
*入玉阻止できないので当家ではこのヘンで点数確認。
▲５三と
*1点ずつ補填。
▽３五飛
*羽生は点数を数えていない模様。
▲４三飛成
*34金で玉を戻して31飛の点数稼ぎは銀を取られてダメ。
▽４七金 ▲５四と ▽３九飛成
*羽生も焦っている模様。
▲５五と
*また形勢不明。貴重な1点を取られた。
▽３六玉 ▲２九歩 ▽２七銀 ▲４四龍
*この1点も大きい。
▽３七玉 ▲２四龍
*3点もタダで三浦はゲット。
▽１三桂
*ここで事態の重大さに気がついて
▲３五龍 ▽３六歩 ▲２六金 ▽２九龍 ▲２七金 ▽同　玉
*当家は同龍。
▲１八銀
*これで一挙に5-2=3点ブラスで逆転。
▽同　龍 ▲同　香 ▽同　玉 ▲８一銀成
*三浦は点数勝ちを確信して。
▽３七歩成
*羽生は点数不足。立場が逆に。
▲９一成銀 ▽２七歩
*羽生の思考法は自陣の安全第一。角二枚で大魚を釣る算段。点数は第二らしい。
▲５六と ▽２八歩成 ▲６一飛
*三浦勝勢に。点数確保と入玉準備。
▽５三香
*ハッタリ。どうせ1点。
▲５五桂
*ここで三浦は考えていた模様。羽生は時間がないはず。時間攻め+駒確保でよかった。
▽２七角
*入玉阻止
▲６五飛成
*11龍と迷うが自陣の安全優先。
▽４九角成
*コッチにくるなら11龍で駒稼ぎでよかったかもしれない。
▲５八銀 ▽同　金 ▲同金寄 ▽４八と ▲同　金
*金でも歩でもすでに同価値と判断。
▽同　馬 ▲５八金打 ▽３八馬 ▲７四龍
*これで入玉完遂すれば点数勝ちだが
▽３七桂成
*龍切りを阻止しつつ点数確保+寄せる意欲だけは見せる。まだ羽生は点数負けなので寄せるしかない地点。
▲８四龍 ▽４七歩 ▲９三龍 ▽５五香 ▲同　龍 ▽４八歩成
▲６八金寄 ▽４七桂 ▲８六歩 ▽５九桂成 ▲７九金
*当家は先に87玉
▽５八と ▲８七玉 ▽６八と ▲同　銀 ▽５八成桂 ▲８五香
▽１六馬
*当家も同じ。1点確保して逆転を狙う。まだ足りない。
▲８三香成
*ビビった。
▽８八歩
*羽生も22点で諦めた。あと2点を角打ち双頭手で稼ぎたかったが
▲７七桂
*三浦のポカ。同玉で良かった。
▽８九歩成 ▲９六玉
*疑心暗鬼。
▽７九と
*99とでもまだ23点で足りない
▲同　銀
*これを忘れると持将棋指直し
▽２七馬
*なんとか拠点を暗中摸索
▲９五玉
*ミス。87角を打たれて駒を取られる。
▽７四銀
*羽生は金4枚に銀二枚。すでに1点と同じ。
*87角なら引き分けだがこれは寄せに行く手。
▲８四香
*これは引き分けになる。左下の銀香が取られるが先手は防げない。
▽３三角
*凄い。まだ勝ちに行くつもり。87角なら引き分けだがこれは危険。羽生はとっくに点数を数えていないのか？
▲４五歩
*三浦の更新時に時間がかかるということはまだ数分残していた？
*馬筋遮断。三浦はキッチリ点数だけ数えていたが羽生に寄せられると思って左下も忘れた模様。
▽５五角 ▲同　と ▽８九飛
*これは厳しい。根こそぎ取られて点数が逆転する可能性アリ。
▲７三成香
*1点が勝負。先手が逆に23点にされたらオシマイ。
▽７九飛成
▲７四成香
*これで1点取られた。以下入玉に専念。24点は安泰。持将棋引き分けとなった。羽生無念というより三浦がタコ。指し直しは羽生楽勝であろう。
▽９九龍 ▲８二香成
*羽生があとは24点確保するだけ。まだ足りないが拾えるはず。
▽９七龍 ▲８四玉
*三浦の逃げ方も情けない。最後まで脅されてビビった。
*羽生のイジメ方も凄まじい。
▽７七龍
*せっかく1点を巡るデッドヒートだったのにこれで数える必要もない。
▲５三角
*86歩を死守。こういう手をもっと早くださないといけない。88歩で三浦変調。
▽５七成桂
*羽生も大成功。一度負けたので気がラク。あとは指直しに体力温存するだけ。
*以下今見たら195手まで指している。天童人間将棋のマネをして11香を動かしたかった模様。
▲８三玉 ▽７六龍 ▲７五角成 ▽６七龍
▲９二玉 ▽２五桂 ▲８五歩 ▽１五歩 ▲８四歩 ▽１六歩
▲８三歩成 ▽１七歩成 ▲８四と ▽４七成桂左▲２三龍 ▽３七桂成
▲２一龍 ▽１六香 ▲６四馬
* 午後8時40分、195手で持将棋成立。素晴らしい産経の中継。三浦26点に羽生28点。整地されているので数にマギレがない。やはり点数合戦が一番盛り上がる。
▽持将棋

羽生は一番簡単な追い詰め選択。三浦相手だと芸も枯れたというより鈍器で殴る展開。

48飛以後は57手目まで鑑賞対象外。44歩は先手がすでに角を打っているので名人戦31歩を披露した羽生なら迷わず打つ。
34歩に25桂変化は先手勝てないので当家では昼にとっくにボツ。
羽生の逃げ場92飛も徹底的。48歩同様三浦研究会では出てこない。48歩とは44角と歩を取った手を逆用。歩損解消手を返しただけだった。後手唯一の勝負手に主砲が動くようでは後は腰砕け。68玉は指す手がなくなった証拠。36歩も昼の変化。46金は勝ちに来た手。78玉はカウンタ狙い。62玉はタダでは殺さないと言う恫喝。58金は好きにしてくれ。
以下羽生は寄せを披露するだけ。37歩成ではすぐに終わって芸がない。
ここまでタコ将棋に付き合ったので今度こそ羽生の寄せ芸の見せ所。

三浦ビビった。これで懐かしの棋聖はかなり遠のいた。近くて遠い故郷。
羽生に逆転のチャンス発生。

昼食後羽生はカルーク粘る順選択。現在36手目48歩。放置して攻めあいは歩を二枚残して先手の一手勝ち。42飛の王手飛車成り阻止には77角活用のナナメ理論。47飛成には48金打で手番が戻る。31飛が王手桂取り。先手玉は28飛の利きで詰まないが26角の王手で53を抜くと63で縛られて負け。先に28飛は銀合いに26角には銀重ねで詰めろ飛車取り。手番を渡しては粘りにくい。53を攻略されて桂を持たれると逆転は困難。
48歩に逃げれば歩を三枚残してやはり先手勝ち。三浦がビビれば即逆転という羽生の最初で最後の勝負手。

三浦相手に午前中でコレだと投げたい気分かもしれない。序盤の16歩が24飛となった時の15角王手飛車阻止の双頭手なので先手は居玉でこんな順を成立させてしまった。朝ボケの羽生の習性を襲撃した三浦1本勝ち。54銀の顔立てるなら最近主題のナナメの中空三角理論55角で飛車角取りだがアッサリ同角同銀では腰掛け銀が夢遊病患者にされる。42飛+46歩狙いの銀にしては余りに浮いている。手番を渡すので24飛23歩には25飛が銀アタリ。22歩同金31角も厳しいので22歩は手抜きで42飛としたいが47飛成がなんでもないので桂香を取られる。角銀桂香持てば三浦は飛車などいらない。58香や48香で迎撃し放題。
最近の三浦ならそんなまどろっこしいことなどしないで55角にはナナメ理論でいきなり33歩成かもしれない。44角と角を取れば32と。同飛なら24飛の十字飛車。どうせ三浦は全部想定完了している変化なのであとは羽生次第。いかに粘って逆転のキッカケをつくるか。
中空三角理論なら42飛だが47飛成でもやはり手番を渡してしまう。
持ち角があるので羽生の最も得意な分野に突入していると前向きに思考していただきたい。康光棋聖もこんなんで挑戦者決めていいのかと呆れている頃。

次に24角が王手なのでナニで受けても角を切られて21飛成がある。そこで24角の王手を阻止しないといけない。24角だけを受けると反対側の44角で53角成と11角成の両取りが受からない。そこでここは受けるなら42飛とするか33歩。55角の攻めあいは46銀で即負け。64歩と54銀が空間閉塞手としてすでに悪手に逆行相転化。
42飛は24角から角飛交換で42同玉で手番を渡す。33に銀をぶち込まれて清算後に右から飛車打では朝から寄せ合い変化オンリーでやってらんない。55角には今度は清算で入手した45桂が銀アタリ王手。28角成のヒマさえない。同角としたいが角まで渡しては凌げない。そこで羽生は泣く泣く33歩。

20=羽生は素直に同歩で即時駒アタリ奇数番1解消。
22=腰掛け銀は緩手かもしれない。64歩からの連動手だが64歩そのものが角打ち迎撃の空間を狭めている悪手への逆行相を持つ。64角がない。55角では合わせで連動手を取られる。互いに居玉で歩交換をしたために2-2でこの腰掛け銀は用途先が不明解。
23=出ろと催促。
24=普通はこれで後手が逆に連動手獲得のはずだが
28=24同歩。腰掛け銀のおかげで今度は54角迎撃もない。
29=35角！

三浦先手で5手目は25歩。三浦が後手なら対羽生の相横歩取りも見たいが羽生が受けない。25歩は好調の証し。84歩保留型には早繰り銀の新型で。84歩型の手損角換り早繰り銀は随分分析されたが三浦は羽生が14歩と受けたので最短の3rdアタック選択。84歩の1手分の選択さえ後手にはない。手損角換り後に14歩を受けるかどうかと言う選択はあった。
84歩型早繰り銀では歩の交換後後手は85歩を目指す場合が多い。三浦はその形へ誘導したい。すると後手は84歩を突かざるを得ない局面で手損が浮き彫りにされる。飛車を振る1手を強いられると後手難しい。

4月18日の準決勝で森内を破って決勝に来た三浦は今期負けナシの絶好調。今日のハブはアブナイ。3月10日の下記慶太戦ではナナメの芸当披露。77手目73銀が見事。73角と75角の構図が面白い。これはすでにあの三浦ではない。三浦先手なら勝機アリ。

日時：2005.03.10
棋戦：第76期棋聖戦本戦1回戦
戦形：矢倉
先手：三浦弘行
後手：井上慶太
▲７六歩 ▽８四歩 ▲６八銀 ▽３四歩 ▲６六歩 ▽６二銀
▲５六歩 ▽５四歩 ▲４八銀 ▽４二銀 ▲５八金右 ▽３二金
▲７八金 ▽４一玉 ▲６九玉 ▽７四歩 ▲２六歩 ▽５三銀右
▲２五歩 ▽３三銀 ▲６七金右 ▽３一角 ▲７七銀 ▽５二金
▲７九角 ▽４四歩 ▲３六歩 ▽４三金右 ▲３七銀 ▽４二角
▲２六銀 ▽３一玉 ▲３五歩 ▽同　歩 ▲同　銀 ▽４五歩
▲４六歩 ▽４四銀右 ▲同　銀 ▽同　銀 ▲６五歩 ▽３六歩
▲１六歩 ▽６四歩 ▲４五歩 ▽同　銀 ▲２四歩 ▽同　歩
▲４四歩 ▽同　金 ▲３五銀 ▽４三歩 ▲２三歩 ▽３四銀打
▲４四銀 ▽同　歩 ▲５五歩 ▽２三銀 ▲６四歩 ▽同　角
▲６五金 ▽４二角 ▲５四歩 ▽６四銀 ▲６六銀 ▽５七歩
▲同　角 ▽６五銀 ▲同　銀 ▽７三桂 ▲３三歩 ▽同　桂
▲４三歩 ▽同　金 ▲７四銀 ▽６四角 ▲７三銀不成▽同　角
▲７五角 ▽６四銀 ▲６五桂 ▽７五銀 ▲７三桂成 ▽３二飛
▲５三角 ▽同　金 ▲同歩成 ▽６四角 ▲４二銀 ▽同　飛
▲同　と ▽同　玉 ▲１八飛 ▽４七角 ▲７九玉 ▽２九角成
▲６三成桂 ▽４六角 ▲８八玉 ▽６六歩 ▲５七金 ▽３五角
▲２二金 ▽４三玉 ▲２三金 ▽３四玉 ▲３三金 ▽同　玉
▲２七桂 ▽６九銀 ▲３五桂 ▽１八馬 ▲３一飛 ▽３二桂
▲同飛成 ▽同　玉 ▲２三銀 ▽４一玉 ▲３三桂 ▽５一玉
▲５二歩 ▽投了
121手で先手の勝ち