名人位挑戦者決定戦 佐藤康光VS羽生善治 相掛り28飛36銀型
MashudaBBS2003.03.26-29
写真の色とブラウン管の色は随分と違う。康光のダークグレーのスーツは光の具合でダークグリーンに見えてしまう。ズボンはストライプ入りでジャケットとそろいではなかった。ちぐはぐである。初手を指す前に康光はカバンをもっていきなり退出したが扇子を手に戻ってきた様子から連盟の販売部で忘れた扇子を買ってきたのであろう。あのカバンには自前の炭酸水が3本は入っていたはずである。
さすがに彼はうなだれていた。しかし我々もショックであった。なぜ阿部も康光も必勝将棋を深浦のように指せないのであろう。棋風である。羽生に乗せられてしまうのである。風に舞う羽の誘惑に。
羽生は東大寺は「もちろん初めて行きます」と笑いながら言う。学生時代の修学旅行には参加しなかったのであろうか。屈託のない笑顔であった。NHKはいい演出である。島もわざと映さなかった。しかし名人森内の神妙な顔をクローズアップで映すのであった。最後に断言するがあの局面からなら森内、丸山が羽生に負けることはない。
加藤一二三解説が他の棋士と違う点は相停滞手の66歩を驚きと共に評価していることであった。この驚きは我々の驚きと同質である。
http://www.bekkoame.ne.jp/i/yusai/030318asahi.html
33手め66歩! 投稿者:マシュダ一家 投稿日: 3月18日(火)14時03分50秒
深浦はここに至ってついにかつての故郷へ里帰りをしたのである。深海魚が帰る故郷は海の底。
そして加藤一二三にはこの66歩は相掛り28飛と共に指せないだろうと言う。疑問手かもしれないとまで言う。我々が加藤一二三に圧倒されるのはこの精神力である。そしてその柔軟性。58飛と28歩打を素直に評価し良い手と言う。これもまた我々の見解と一致する。他の棋士であればこの28歩が理解できないのである。
羽生の33桂は我々は当然と考える。これを羽生流と言う加藤一二三の直視にむしろ新鮮な驚きを覚える。相掛りの達人はこのような手に驚くのかと。
名人位挑戦者決定戦解説 佐藤康光VS羽生善治
加藤一二三の本日の解説と我々の実況見解と違う点=我々が73手め84銀ではなく54歩で先手優勢と結論しているのに対し、加藤一二三は44歩の悪手を指すまで終始5分5分とやや控え目であるということ。しかし加藤一二三も「或いは73手め54歩が一番よかったかも知れない」と述べている。以下同金に角を出て先手優勢である。もし商業将棋でなければ先手勝勢となる。53歩と後手が受けては先手圧勝となる。
しかし73手め84銀は康光の棋風となる。そこで加藤一二三はこの手を生かす82or91角打という先手の継続手を披露した。これを加藤流「重戦車」と表現してはいけない。84銀を生かすにはそれしかない。しかし康光の棋風では終盤での角打ちは双頭手でなければならない。この単品角は彼には死んでも打てない。だからこそあの84銀そのものが逆転を誘発したと我々は断定し、54歩の地獄門定跡続行により先手優勢とした。
大地に向かった見えない矢印 G効果 投稿者:マシュダ一家 投稿日: 1月30日(木)14時14分58秒
さて本日は今年の王将戦に見る駒の新機能について総括して述べよう。
王将戦第1局と第2局に出現した28歩は、単に27地点を守るだけではなく、28地点の空間を埋めて飛車打を限定するという双頭手であることは既に実況で述べた。王将戦第3局実況では、後手の44銀が実は44地点を埋める為に打たれたものであることも克明に記した。これが諸君等の盲点となっているのである。康光王将でさえこの駒の基本的な機能を見過ごしてしまった。彼は実は昨年の王将戦第4局佐藤康光VS羽生善治戦でマシュダ一家以外誰もが意外であった28歩を49手めに打っている。あの時のプロ陣営の解説は実にお粗末であった。マシュダ一家のみ、その意味を記していた。康光自身がこのG効果を駆使して羽生を撃退しているのである。(参照 http://www.bekkoame.ne.jp/i/yusai/020221ohsho04.html)
初心者用の解説では当然のごとく駒の動かし方が矢印で説明してある。それが駒の全ての機能であるかのように錯覚してしまうものである。だが、玉以外の全ての駒は平等にその居場所に性能を発揮している。これが第三の機能なのである。玉以外の全ての駒はその地点から垂直に矢印を付けるべきだった。ところがこの性能を現す言葉が今日まで皆無であった。諸君等がいかに駒の機能を知らなかったかという証しである。そこで本日我々は、将棋史上始めてこの機能に名称を与えることにする。名付けてG効果。GはグランドのGである。ジャイアンツのGではない。
昨日の44銀のG効果は実に顕著であった。バカのひとつ覚えのごとく「桂先の銀、定跡なり」などと言ってはいけない。それでは宮田丸だしである。あれは44地点に桂馬を打たれたら負けと羽生が知っているから迷わず打てる双頭手の銀なのである。羽生はG効果の見えない矢印を見て双頭手にしただけのことである。先週竜王戦予選で中原が28地点に打った歩は丸見えのG効果であった。ただの穴埋めである。G効果の表だけをさらしたことになる。それにさえ米長は驚いて負けてしまった。穴埋めだけの歩では勝てないだろうという対局観は米長らしい。米長は大駒を切って入手した金を自陣に打つという歌舞伎の大見えが好きである。昨年秋はNHK杯戦富岡戦でもそれをみせたばかりである。康光は王将戦第2局でこの時代遅れのハッタリを真似して惨めな死にざまをさらした。米長のマネをしては将棋に勝てるはずがない。彼の泥沼は時代の産物であり、今ではヘドロである。米長が立派であるのはそれを潔く自覚したということであろう。亡霊が将棋を指すこともある。
羽生はG効果の表と裏を巧みに使い分ける。仕方なく打った銀のように見せかけて、実は一番やりたかったG効果の裏、即ち44地点を駒で埋めるということを難なく遂行したのである。諸君等はこの大地に向かった見えない矢印の機能をもっと活用しなければならない。
復習=玉以外の全ての駒はG効果をもつ。持ち駒を盤に投入するときが最もG効果が働くときである。
既に加速定跡に突入し逆行相は皆無。先手玉は広く捕まらなかった。地獄門定跡は5筋の戦いとなる為に84銀の一手は完全に一手パスとなる。
康光は故意に負けているとしか考えられない。ネットで公開された72手めまでは先手優勢。次の一手73手め84銀はひどすぎる。負ける為にあとは指している。
先手:佐藤康光
後手:羽生善治
▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金
▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2八飛 ▽9四歩
▲9六歩 ▽3四歩 ▲3八銀 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛
▲8七歩 ▽8四飛 ▲2七銀 ▽6二銀 ▲3六銀 ▽3三角
▲7六歩 ▽2二銀 ▲6六歩 ▽4一玉 ▲5六歩 ▽5二金
▲6八銀 ▽5四歩 ▲4六歩 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽同 角
▲4七銀 ▽3五歩 ▲6九玉 ▽4四角 ▲5八金 ▽5三角
▲6七金右 ▽3三桂 ▲5八飛 ▽2四飛 ▲2八歩 ▽7四歩
▲7七銀 ▽7三桂 ▲7九角 ▽6四歩 ▲4五歩 ▽6五歩
▲4六角 ▽9五歩 ▲同 歩 ▽9七歩 ▲5四歩 ▽5七歩
▲同 金 ▽5四飛 ▲5六銀 ▽9五香 ▲8六銀 ▽9八歩成
▲9五銀 ▽8九と ▲5五香 ▽1四飛 ▲5三香成 ▽同 金
▲8四銀 ▽5五歩 ▲同 角 ▽6四桂 ▲4四歩 ▽5四香
▲6四角 ▽同 金 ▲4三歩成 ▽同 金 ▲5五歩 ▽同 金
▲同 銀 ▽同 香 ▲5六歩 ▽4五桂 ▲2五角 ▽5七桂成
▲同 飛 ▽4四飛 ▲4二歩 ▽3二玉 ▲4七桂 ▽4八角
▲5五桂 ▽7九金 ▲投了
98手で後手の勝ち
毎日に速報だけがでた。98手で羽生勝利。
自ら加速定跡で立ち向かって敗れた康光。棋譜不明。
では東大寺本坊で。
大盤解説会で公開された限りこの将棋は康光が勝たなくてはおかしい。
先の朝日オープンの深浦手順であるDタイプ14-15歩の二手は康光にとっては全く棋風が違う為に受け入れられなかった。テンポ設定が最初から違うということである。そこで康光は地獄門定跡を選択し28歩のG効果で二倍のテンポとした。羽生は9筋から攻めるのが利権である。しかし角の移動による手損が大きい。そこで端の権利以外は先手が全ての主導権を把握するという康光好みの将棋となった。
54hu=Y.win
全くお恥ずかしい。リンク先の日経のコラムの森1999年欄に青野が将棋の国際化が目覚しいという報告をしている。北欧・ロシア・中国等では既に盛んで、第一回世界選手権も開かれたとか。穴があったら入りたい、そして青野の地道な取り組みに改めて敬意を表す他ない。将来的には小生も手伝えることがあったら、とお体裁を言って取り繕っておく。
日経の主催紙顔負けのレポートは、担当者が代って意欲を見せたものと評価したい。その分毎日の怠慢が目立つ訳だ。メジャーのプレーオフ=ポストシーズンを考えてみたら良いかも知れない。ファンは皆注目するのであり、TVで放映しない等あり得ない話であろう。せめて棋譜をupするくらいが何故出来ないか全く不可解である。
康光28歩=中原もやったG効果
http://www.bekkoame.ne.jp/i/yusai/030301Agoda.html
羽生が駒袋の尻を掴んでいる表情は厳しい。ところが我々はそんな顔より羽生のつむじが気になるのである。しかも鬢に白髪が目立つ。羽生が将棋で悩むことはないので、この白髪は別の理由で最近増えたものである。普通のお父さんならこの程度の白髪があって当然である。幼稚園の運動会でビデオカメラを手にするであろう羽生もいる。康光は洗ってある靴下が色違いのものしかなかったという生活なので白髪はまだない。
顔の緊張度は羽生により緊迫があるが、指の緊迫度は康光が勝っている。
それにしても島のネクタイは長い。
http://hobby.nikkei.co.jp/shogi/news/index.cfm?i=20030326s1002s1
加藤一二三のマネをしてはいけない。島のネクタイは股の下まで伸びている。加藤一二三の場合は金かくしであるが、背の低い島がやるとネクタイがフンドシになってしまう。羽生をそれをチラと見て微笑んでいる。康光がなかなか来ないので真剣な姿を晒すのも疲れるであろう。腕を組み、背を丸め、徐々に形は崩れるのであるが、思い出したように背を伸ばし振り駒で先手が欲しいと「念念念」と念じるのである。羽生はこの念力を羽生応援HPから学んだそうである。
で康光が入室する。毎日の山村は頭を下げないで振り向く。「遅いよオマエ」という表情である。
康光はホイホイと自分の席に着座。飄々としている。ダークグレーのスーツにスカイブルーの靴下という無神経さである。この靴下のスカイブルーは羽生のマリンブルーのスーツに無意識のうちに合致してしまったものである。自分のスーツの色とまるであっていなくとも、これがロマコンの阿吽の呼吸となる。
日経は鮮明な写真を何枚もサイトに掲載している。興味深い。
羽生入室と同時に毎日担当記者の山村が頭を下げている。加古でなくてよかった。そして笑える。羽生は山村の後ろを歩いているのに、山村は誰もいない盤の方に向かって頭を下げているのである。
羽生の顔は厳しい。顔色についてよく言われるがアレは信用してはいけない。先週も羽生の顔が青白いなどと記者に書かれたが後でテレビや写真をみると大げさな表現である。我々は羽生のつむじの方が気になる。毛が数十本ぬけたようなつむじである。
対局室の見学者三人の中に島研ギルドの総帥もなぜか居る。入場料を払って見にきたのであろうか。島が今日の対局室に居ると博打の胴元締めにしか見えない。島研のことをロマコンと我々は呼ぶ。ロマネ・コンティではない。ローマのコインである。表が島で裏は羽生の顔が刻印されている。そしてロマコンの立て役者、佐藤康光はまだ来ないので羽生はつむじを見せながら日経記者用に正座でゴメンナサイのポーズをとることになる。
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ふたつの相掛り 投稿者:マシュダ一家 投稿日: 3月22日(土)01時37分05秒
なぜ我々が羽生を米国と何度も比較してきたか諸君等にも少しはわかったであろう。日本人がスターにおんぶにだっこという構図は日本の米国奉公政策と瓜二つなのである。羽生の七冠達成など奇跡でなく狭い村で生きて行くための演出なのであった。そんなことはプロ棋士が一番よく知っている。だから一匹狼の三浦が最初に羽生七冠から棋聖を奪取できたのである。羽生がひとりで頑張っていればあとは遊んでいても暮らして行けた。島研ギルドは羽生以上の努力を途中で放棄したということである。昨日の対丸山戦での羽生の惨敗ぶりには諸君等も呆れたことであろう。しかしあれがプロの本当の厳しい世界なのである。いまだに羽生が名人を奪取するためにわざと手抜きしたと思っている諸君は、次の棋譜を比較してみたらよい。三日前の深浦は朝日オープン挑戦者決定戦で羽生相手に圧勝であった。羽生がわざと手を抜くならすでに山崎相手の時に行なっていた。あれが羽生の今の実力なのである。深浦はまったく同じ相掛りの28飛-36銀型で今月青野相手に苦戦している。青野がいかに序盤を研究しているかというだけでなくプロ棋士の真髄を深浦相手に最後まで披露している。羽生は青野の気迫にさえ太刀打ちできなくなっているということである。棋譜はごまかせない。このようなコンディションの羽生に名人位など有り得ない。それを期待する諸君等は棋譜も読まずに、闇雲にスター万歳と米国万歳を叫んでいるオマヌケさんということになる。
http://www.bekkoame.ne.jp/i/yusai/030318kifu.html
http://www.bekkoame.ne.jp/i/yusai/030306aono.html
日経がなぜか毎日を出し抜いて本日の決定戦の写真を掲載している。
http://hobby.nikkei.co.jp/shogi/news/
いい写真である。羽生が先に入室し正座で待つ。あの黒いカバンにはパソコンではなく飲み物が入っている。しかし黒いカバンはずっと羽生の横にあるのである。
10時5分前に康光入室。コートを来ていない。丸山と同じになってしまった。
振り駒で康光先手。パラマス方式なら順位が上の者を先手とすればよいのにわざわざ振り駒とするのである。
初手26歩。康光は相掛り28飛型でやろうということ。そして羽生も84歩でそれを受ける。