NHK杯戦2002年1付27日放映

山崎隆之五段VS藤井猛九段

ジャニーズスペシャル藤井システム

付録 早指し戦神谷VS有森/王将戦第二局/データで読むNHK杯トーナメント

マシュダ談 2002.01.27


「今朝の早指し戦をまず一言」

「神谷相変わらず赤道直下の理想主義者。好感もてる」

「ボカボカやられてしまいました」

「たまーにあのブツブツ、良く聞くと凄い事言っとる。年中常夏じゃからみーんなすぐ忘れる」

「相手が有森先生でしたが」

「豪放なのが、なんでこーも垢抜けしたの?えー男になったねー」

「前はむさくるしかったと?」

「イモ電添いから山の手の用心棒になった風情」

「では、NHK杯を」

「どーも康光に二週もあーゆーヘンテコリンやられると回線が切れたままかもしれん」

「王将戦、ヘンテコリンですか?」

「いや。余りに合理的な戦形。66銀も実に合理的。合理的すぎて響きが掴みにくい。転換点をどこで嗅ぎ出すか。隙はあったが、それが誘いなのか難解。羽生が逃げたくなる気持ちよおーわかる。康光も自分で何やってるかわからんはず」

「まともに読んだら切れると?」

「三回目には波長が合うこと期待したいが、康光またなにやるかわからんからね」

「受けすぎ、攻めすぎの中を取るんですね」

「宙吊りから右か左か決定するのはいずれにしても羽生の方。もーつき合いきれんと思っとるんじゃない?自分の命の方が誰だって大事」

「重心の所在が不明では力関係が難解ということでしたね」

「銀の斥力を引力と勘違いした。じゃ、見よっか」


NHK杯戦2002年1付27日放映

山崎隆之五段VS藤井猛九段

山崎隆之(やまさきたかゆき)五段(棋士番号227)

■生年月日1981年2月14日 ■出身地 広島県広島市 ■師匠 森信雄六段

山崎「おねがいします!」気持ちいい挨拶。

「藤井システム家元に期待のホープ挑戦です」

4/44歩「山崎気合い負け」

「は?まだ4手めですが」

「山崎のサウスポーでビシバシ躊躇がない指し回しに対して、藤井は当然の二手にわざわざ時間かけて歩の頭をトントントン。この当たり前の手に躊躇する手付が勝負師。山崎のリズムはすでに狂わされた」

「加藤先生もビシバシ指しますけど」

「ヒフミンは空叩きをパンパンやってビシっと指す。時には指したのにまたその駒を取って同じ場所に打ちつける。駒音で威圧するならその位やらんと」

「それって二手指しになりませんか?」

「最初の一発はフェイントと解釈される。三発めで手を離す」

「それができなければ丸山名人のように音を出すなと?」

「音を出さないという指し方が最も難しい。指先の緊張は投函直前の恋文状態。闇の箱にスッと落ちる一手一手が迷いの鎖」

「一手一手に失恋の不安を感じていたらたまりませんね」

「羽生が流行らせたチョンチョンチョンは実は小人族の系譜」

「天使の囁きかと思っていました」

「巨人族と共通しているのは4拍子を体に刻み4拍目の休符の間隙をぬって指すこと」

「山崎先生は?」

「ツービート系。リズムが最も壊れやすい。しかも前拍でつんのめりやすい」

「ンっパじゃなくてパンッツーですね」

「指し手進んでおるね」

「12/33角ですが藤井システムでは珍しいですね。32銀や95歩はありますが」

「山崎の駒音が高いんで、藤井は早速Dis1。山崎がここで長考すると敏感に察した手」

「不自然ですか?」

「9筋の歩、33角の先受け、いずれも本流から離れた短二度。ここに生じる斥力を解決する為に端歩を受け、飛車先を突く。それがConsによる調和解決。ところが山崎は最初からバレンタインの闘争心剥き出し。藤井は山崎が合わせないと察知した」

「7分の長考で57銀です。山崎先生、藤井大先生にガンたれてます。藤井先生ソッポむきました」

「もう勝ちにくい」

「でもこれが最強手では?」

「33角に対して57銀で増4度が生じる。これを解決するのは山崎の方」

「15/58金でした」

「山崎たのむよほんと。早くもCons1選択かよ、おい。これで増4度無意味の解決。つまり展開がないまま7分が無駄。精神力なさすぎ」

「鈴木大介先生いろいろ丁寧に解説されていますが」

「聞かんでええ。知悉された藤井システムの表層を語るだけで勝負術とは無縁」

「23/65歩としました!」

「アホか」

「見たことないですね」

「康光でもやらんがな」

「じゃにーずスペシャルで?」

「ノリは転んだジャニーズ。中身は円楽。危険を察知した老獪な即興の勝負手」

「藤井先生、落ち着いて82玉です。横綱相撲ですね」

「時間差が10分?」

「山崎五段すでに残り10分で秒読みです。収録に編集はないようです」

「28手か。藤井は41金を動かさずに、山崎の攻めを待っていればいい。端も突ける、香車も動かせる。D1-3で必ず先手にスキがでる。古典美濃も完成し、68角の筋だけ気を付ければいい」

「でも山崎先生、穴熊に組めませんか?」

「やらん。したくてもモーできん。65歩とした罰は回避できん」

「30/14歩です」

「うまいね。こういうとこ藤井は絶妙。金は41で不動。これがミソ。王将戦の康光も同じ発想」

「31/なんと68銀です!」

「これでD1がプラスに転化。負け確定。山崎自滅じゃね。これで角も下がれず三筋から逆襲される」

「藤井先生いきなり35歩と突きましたね」

「藤井がこの絶好のチャンスを逃すはずない。谷川も粉砕された」

「山崎先生残り二分です。鈴木先生取る一手と言っていますが」

「それでは角が動いて藤井の思うどツボ。5箇所も動くとこある自在の角。山崎、飛車先も端歩も放置したからね、いいとこなく終わる。もー藤井ワールド」

「55銀とぶつけました!」

「普通に指すとハマルからね。勝負するしかない」

「36/24角で山崎先生秒読み突入です!」

「39/75歩?勝負勘はいいけど」

「玉筋狙一本ですね」

「一手遅い。角追われてもう先手が取れん。粘る気あってもムリ」

「54/76金!藤井先生打ちつけましたよ。凄い音です。藤井先生怒った?」

「藤井はこんなんで怒らんよ。ジョーク。山崎の駒音が余りうるさいんで真似しただけ」

「これで山崎先生54手で無念の投了です。藤井先生4分残してます」

「ちゅーか、放送時間は?」

「感想戦たっぷりあります」

「山崎も藤井も正直に読み手しゃべるからねー。楽しみ」


「なんか勝負所話しませんね」

「大介がべらべらしゃべりすぎ。藤井も聞かれなかったからしめしめと思ってパスしたんじゃろ。また使えるからね」

「46手めでいい勝負とのことですが?鈴木先生は49/66馬引き推奨、藤井先生は49/58銀と打たれるのが嫌だったと」

「勉強会のお世辞。山崎はあそこまで突っ張ってから先手が取れんようなクソ粘りはせん。58銀見えても絶対に指せん。山崎の勝負勘の矜恃。負けっぷりがいい者は大成する」

「山崎先生も時間がないからと認めてますが」

「ん?素直じゃねー。もっと突っ張らんとね。65歩は予定でしたとか言ってもらいたい」

「穴熊には最初からしたくなかったそうですが」

「藤井相手に穴熊できるもんならやってみろと言ーたい」

「55同銀は取らずに夢の手順を考えたそうです。ジャニーズからドリカム?」

「この銀取れんと?閃きは光るがそれではジュニア」

「問題の49手めの局面延々と検討されていますが。香車を取った天馬候補と龍の戦いです」

「山崎の飛車が窒息しているからだめ。桂馬取ったら天馬にならん」

「31金で桂馬を守る鈴木流でもだめだそうです」

「13角の睨みが強すぎてなにやってもだーめ。D1の14歩が相転化しておるからね。こーゆー端歩見逃すと、藤井は絶対に逃さない。山崎気合い負け。41金の怖さ知っとるくせに。それでよくも藤井相手なら竜王とれるカモもなんてテレビで言えるよ。技術より精神力の問題」

「今度は藤井木村戦ですね」

「それ竜王戦でみたかった」

「嘘っぽい感想戦終わりました。残り時間10分。データで読むNHK杯トーナメントが始まりました」

「なんじゃこりゃ?」

「立ち稽古でしょうか。いきなり台本の棒読みです」

「撮り直しもできんのか。ひ孫の学芸会の方がまだ演技力ある」

「200局のデータ分析のようです」

「週間将棋で一番読みたくないヤツテレビでまでやられてはかなわんな。このデータの集計法、根本的に間違ってる」

「といいますと?」

「ごたまぜプロ棋士のアベレージを羽生や康光が利用するか?郷田ならこんなん見て顔そむけるよ」

「郷田先生はパソコンもっていません。でもそんなにデータで読む、だめですかあ?」

「ミソも糞もないアベレージはニールセン調査と同じ。一般は騙せてもプロの勝負には意味ない。しかも200で分析とは恐れ入る。最低1000ないとどの分野でも蓋然性が認められん。まあ1000やってもこんなんでオッズ付けられんけど」

じゃらじゃらの形骸はこちら

「最後の持ち時間が30秒&1分になった状態を比較分析です」

「なんじゃ、郷田堀口の大逆転将棋がサンプル?」

「しかも先崎先生解説のNHK杯の収録です」

「銭取ってる公共電波使ってこーゆーアテツケが許されると思っとるわけね。担当者首にしろ!」

「将棋は逆転もあるから最後まで見ましょうという数字付のお説教でしょうか?」

「この分析モドキが言いたいことはふたつだけ。

1=羽生のように最終盤では2分残せ。

2=逆転するのも将棋の魅力」

「いい分析結果ですね」

「モーアホかと。数字なくてもみーんな知ってるがな」

「王将戦第二局は当の羽生さんが1も2も否定するような指し方でした」

「羽生の方が未来の将棋を知っとるからね。島は頭古すぎ。こんなんA級プロ棋士がふつーやるか?6段なら冗談で済むが」

「今の将棋を面白く鑑賞するように分析されたのでは?」

「逆。これ見て将棋が面白くなるワケない。村長が説教垂れる時代か?バカタレ!こんなんつくってる暇あったら戦法研究しろ!A級棋士が泣く!」

「そんなに怒らないで」

「もーだめ。康光に狂わされた」

「島先生、ひとつだけいいこと調べましたけど」

「ん?」

「大逆転する確率です。これ調べたということは、プロが見てどこで勝負があったか明確にわかるということですよね。これを信用するならプロ棋士の勝率は一割以上変わりますが」

「それをレーティングに反映しろともう2カ月前から言っておるわけ。島がそれを感知してさりげなく調査したなら役者。しかしそれを島ほどの者が自らやらなければならんほど人材がないと?」

「カースト制ですから」

「長老は何やっとるの?」