CHAPTER-2 名人を取る暇ない 2002.01.09 05:00
「スレッドに色がないぞ」
「じっちゃんが目に悪いからと」
「で、森下八段は何と?」
「一昨日羽生竜王に勝ってご機嫌です。水ごりの模範演技、やっていただけそうです。三途の川の水は少し温めておきますか?」
「それは邪道。今は寒の内。水ごりならじっちゃんもやってるだろ?」
「鍛えています。明日の棋王戦挑戦者決定戦に乗り込むと息巻いていました」
「ボケ防止か。おかげでいい迷惑だ。水では手ぬるい。三途の川には氷を浮かべろ」
「米長先生は?」
「赤いネクタイと海パンでご登場願う。右手に棍棒、その先にはでかいコンドーム。大山先生の似顔絵を刷りこんどけ。ご本人のアイデアだ」
「意匠権は?」
「ご本人に還付。登場のセリフはこうだ。絶壁は鉄壁。大山印のコンちゃんで王手金取り。しかしコンドームつけてもスポンサーはつかんな」
「上から巨大なモアイ像落としますか?JAL向けに」
「無駄。JALはとっくにおりた。ジャンボとあれを混同したの見られて不快の意を示している。今度はジャンボに混同無つける気かと」
「真田さんの仁王立ちのあとは?」
「真田ムッチーは控え室に検討に行く。セリフはイッテキマース。すかさず、大山印のコンちゃん頭にかぶってネと永世棋聖」
「そこで真田さん、すべって転ぶんでしたね」
台本-森下卓八段登場。真田元竜王挑戦者につまずいて三途の川に落ちそうになる。永世棋聖が棍棒でチョントつついて本当に落ちる。ぼちゃーんというテロップ。
「そこで何事もなかったかのように、森下先生に三途の川で水ごりの模範演技をやっていただこう」
台本-三浦八段、それを見て河に入り森下八段と共に水ごりを始める。
「三浦が横では目障りだ。永世棋聖に棍棒でどついてもらおう。棋聖をまたとるなら大山印のコンちゃん頭にかぶってネと」
台本-そこへ先崎八段が乱入。真田元竜王挑戦者につまずく。
「局中の灰皿全部かき集めますか?」
「一枚でいい」
「行方先生に投げつけるんですか?」
「それではマンマだ。まず師匠とじっとみつめあう。おもむろに灰皿を師匠に投げるふりして、三途の川でどじょう掬いやってもらおう」
「灰皿で?絶対やらないと思いますが」
「100万円かけるか?」
「郷田棋聖みたいなこといわないでください」
「そういうこと書くから先崎は名人になれないんだ。そのネタのために深夜に羽生をたたきおこしたらしい」
「脅しても先崎先生は受けませんよ」
「100万円のギャラでお願いしてこい」
「そんな予算どっからでるんですか?」
「名人になったあかつきに副賞で出すと契約しよう」
「無理そうですが。飲み屋のツケじゃないんですから」
「名人を諦めたらA級にいる意味がない」
「ならば羽生さんは?」
「これからひとつひとつタイトルを譲るのに一年はかかる。名人を取る暇ないだろう」
「真田先生、まだ寝たままでいいんですか」
「コマーシャル10秒前。そこで真田アップ。セリフは?」
炬燵でヒーコ
中倉彰子さんが煙草を渡し、火をつける。背後で永世棋聖、棍棒で先崎八段を促す。先崎八段が灰皿を真田元竜王挑戦者に差し出し>コマーシャル
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