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アラスカ オーロラ便り1994
by 日蝕貧乏知恵者猫/福島 円
茫然
 やっとのことで落ち着く先が決まったとなれば、あとは一目散に目指すことになります。
 けれども、そうこうしている間に空には素晴らしいオーロラ。
 2回目の舞いが始まってしまいました。
 こうなると居ても立ってもいられず、私は思わず「止めてっ!」と叫び、みんな先を争うように車外に飛び出しました。

オーロラの写真
 目の前には今まで見た中でも最高の部類に入る、とてもカラフルで明るい光の矢が頭上で扇を広げるように次々と花を開いて行きます。
(写真を撮れなかったのがとても残念!)
 白・緑・赤・紫……色とりどりの光の矢が自分めがけて射られていて、それらは本当に明るくて、普通のビデオカメラのファインダー内にその姿が捕らえられた程でした。
 不思議なことに、余りにも見事過ぎるせいなのか、現実か夢かという気持ちで、まるで巨大なオムニマックス・シアターでの出来事のような感覚さえします。


 と・こ・ろ・が……。
 皆、ため息やら歓声やらを挙げながら一心不乱に見上げていたので、誰も自分達の取った行動が、他人から見ればどのように写っているかを考える余裕がなかったのです。


 ほどなくすると後ろからやってきた車がスーッと脇で止まりました。
 エンジントラブルかガス欠で困っていると思われたようで(アラスカの冬の夜の原野でそんな目に遭ったら、最悪は死を意味しかねませんよね)、空を仰いでいる我々の姿を見て、一瞬ホッとしたような顔を見せ、次の瞬間には「何でそんな物を見ているんだ?全く人騒がせなヤツラだ!」とでも言いたげに走り去りました。(現地の人は、オーロラにはほとんど無関心です)

 ああ、本当に申し訳ないことをしてしまいました。
 ごめんなさい。m(__)m

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