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NEW326 〈増字改正〉大全消息往来 (たいぜんしょうそくおうらい)
【作者】成章堂書。【年代】江戸後期刊。[江戸]積玉堂板。【分類】消息科・語彙科。【概要】中本一冊。前半に「消息往来」、後半に「四民要用熟字尽講釈」を収録した往来。「消息往来」は流布本と同様で本文を大字・三行・付訓で記す。続く「四民要用熟字尽講釈」は表紙に「難字尽」を掲げ、本文には「消息、音信、啓上、尊翰…」など「消息往来」に出てくる単語の読みや略注を施したもので、頭書には「続消息往来」と「篇冠構字尽」を載せる。なお巻頭に「小笠原流書礼躾方集」三丁を付す。
★「消息往来」「続消息往来」「消息往来講釈」を合本した似たような書名の往来物が多数あるが、本書は収録内容が全く異なるもの。



NEW327 〈嘉永新刻〉世の中百首 (よのなかひゃくしゅ)
【作者】玄魚(おたまじゃくし)序。【年代】嘉永(一八四八〜五四)頃刊。[江戸]山口屋藤兵衛板。【分類】教訓科。【概要】異称『〈一休禅師〉世の中百首』。中本一冊。一休禅師が晩年に戯れに作った道歌百首に挿絵を添えた往来物。半丁を上下左右に分けて四首ずつ掲げる体裁で、「穴かしこ穴よりいでて穴にまよひ 又もや穴へはいる世の中」から「わざわひのいでくることは世の中に ことばひとつのいはれなりけり」までの一〇〇首を、当時の人々を生き生きと描いた挿絵とともに載せる。東里山人作の類書『〈一休禅師〉世の中百首』とは全くの異板で、内容も異なる。
★冒頭の「穴かしこ…」の教訓歌は意味深な歌である。



NEW328 〈鈴木真年編輯〉苗字尽略解 (みょうじづくしりゃっかい)
【作者】鈴木真年(皇民甫)編。鈴木重峯校。【年代】明治一一年(一八七八)刊。[東京]若林喜兵衛(玉養堂)板。【分類】語彙科。【概要】中本二巻二冊。皇統の歴史に即して各時代に皇統より派生した苗字のあらましを述べたもの。現存本は上巻一冊のみで、上巻には神武天皇から第一一四代東山院天皇までを収録する。まず、孝徳の大いなることや、後裔として先祖のことを知るべきことを述べ、本朝では人種を皇別・神別・諸蕃の三つに分けること、また、天武天皇の御宇に八姓(真人(まひと)・朝臣(あそん)・宿禰(すくね)・忌寸(いみき)・道師(みちのし)・臣(おみ)・連(むらじ)・稲置(いなき))を定めたこと、さらに、氏・百姓・苗字の意味などを説く。続いて、「神武天皇ノ末流ヨリ出ル苗字ニハ多(おお)・中田・諏訪・手塚・茅野・藤沢・上泉・阿蘇・篠倉(ささくら)・永野・高森・茨田(まんだ)・田所・鷲津・嶋田等アリ…」と起筆して、各時代に誕生した苗字を列記し、国名・地域などの割注も施す。本文を楷書・小字・八行・所々付訓で記す。また上巻巻頭にイロハ引きの「探引(索引)」を掲げて検索の便を図る。
★残念ながら下巻を欠くが、目次からおおよその内容が分かる。本書は「苗字尽」の中でも天皇家から別れた家系を詳しく解説する点が独特である。



NEW329 証文手形鑑 (しょうもんてがたかがみ)
【作者】不明。【年代】文政一〇年(一八二七)刊。[江戸]和泉屋庄次郎ほか板。【分類】消息科。【概要】小本一冊。「証文手形鑑」と続編の「増続証文手形鑑」を主内容とする往来。「証文手形鑑」は「年季奉公人請状」から「養育証文」までの一四通、「増続証文手形鑑」は「家守請状」から「誓詞奥書」までの一四通で、いずれも本文を五行・所々付訓で記す。巻末には八宗や仏教各宗の名刹を略記した「諸宗門名目尽」や、畿内七道別の国名・郡名集である「〈大日本御関所入〉国郡鑑(くにこおりかがみ。一名「本朝国尽」)」を収録する。
★基本的に証文類のみの往来物で、今回初めて見つかったもの。



NEW330 〈生徒必読〉教訓歌 (きょうくんか)
【作者】三尾重定(史山・史峯・黙斎・子恭・樵山)作・序。【年代】明治一九年(一八八六)序・刊。[東京]吉沢富太郎版。【分類】教訓科。【概要】小本一冊。七五調の今様風に綴った教訓歌を集めた活版の教訓書。多くが「天津日嗣(あまつひつぎ)の庇蔭(かげ)たかく、常闇はれて弥増(いやまし)に、ひかり輝く日の本の、国の栄えぞ類ひなき」のように七五を一句とする四句構成で所々故事などの詞書を添える。頌賛、臣民(一・二)、忠義(一〜四)、高徳節義を桜樹に録(しる)す歌、楠公桜駅遺訓の歌、孝行(一・二)、孝子源丞内、大江挙周(たかちか)の賛、奨励(一〜六)、小野道風奮励の歌、堪忍(一・二)、菅丞相謫居(たっきょ)の歌、交際(一〜三)、伊藤冠峯の友誼、廉潔(一〜五)、青砥藤綱加俸を辞す、慈善(一〜三)、奥貫五平次の卓挙、至徳(一〜四)、仁徳天皇の至慈、学業(一〜三)、豊原時秋曲を足柄山中に受く、博雅三位の韻事、和魂(一〜一〇)、西行高雄の法華会に詣(いた)る、保昌の威武までを収録する。
本書は往来物ではなく、明治期の小学校用教科書である。