NEW241〜245  → 次頁へ目次へ


NEW241 〈教訓〉道のいろは (みちのいろは)
【作者】千葉美吉作・書。【年代】文化一〇年(一八一三)書。【分類】教訓科。【概要】大本一冊。自序によれば、近所の童蒙たちのために思い出すままに綴ったイロハ教訓歌で、「いとの調べは竹がする、竹のしらべは吹風がする」から「すがたは蟻の粒引も、蓬莱山もよそならず」までの四七首から成る。内容は童蒙に限ったものではなく、処世訓全般に及ぶ。本文をやや小字・八行・無訓で、各教訓歌を一行で掲げた後、一字下げにした解説を付すのが特徴。
★俚諺集風の教訓で、解説が興味深い。



NEW242 児童掟状 (じどうおきてじょう)
【作者】不明。【年代】嘉永三年(一八五〇)書。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。後文には「右、三十二ヶ条の壁書…」とあるが、実際には三一カ条しかなく、唯一の現存本は巻首一丁の落丁の可能性が高いが、仮に三一カ条とすると、本書は「一、卓机寄懸、額を付事」で始まる三一カ条と後文からなる寺子屋学習心得である。具体的には、教室を散らかさない、衣裳を整えて机に向かう、髪を結い手を洗って机に向かう、賭け事をしない、手本・筆軸や机等に墨を付けない、手習いの際に手や顔に墨を付けない、扇・手拭い・鼻紙を机上に置かない、師匠や父母の言う事を厳守する、敷居や畳の縁を踏まない、戸・障子の開け閉てを丁寧にするなどの心得で、本文を大字・五行・無訓で記す。本書後半部には「寺子教訓書」と「実語教」を収録する。
★寺子屋生活心得集であり、当時の庶民礼法の様子も分かる。


NEW243 世俗日用童子訓 (せぞくにちようどうじくん)
【作者】森屋六郎作か。【年代】江戸後期書。【分類】教訓科。【概要】半紙本一冊。「無筆の輩」など農家子弟のために処世訓全般を説いた教訓書。「抑、教のあらましは人々心得べき事、一天下御法度の事せずして、かならず人目を忍ばず万端くらき所へ行べからず…」と筆を起こして、貴人の前での態度や起床後の生活心得やこの世での積善や禍福糾●(きゅうぼく)の習い、貸借の心得、他人への親切、正直、因果応報、忠孝、智恵、貧乏の道理、家業出精、老いの心得など種々諭す。本文をやや大字・七行・所々付訓で記す。

★庶民倫理全般を述べたものだが、どのような徳目や理念にウエートを置くかについて他の資料と比較すると面白いであろう。



NEW244 勧学伊呂波寄 (かんがくいろはよせ)
【作者】不明。【年代】江戸後期書か。【分類】教訓科。【概要】異称『勧学いろは寄』。中本一冊。卑賤の児童に「日用大概の善行」を知らせんと綴ったイロハ教訓歌。「(い)居つ起つ唯諾を忠に勤るは、孝と忠との常の道なり」から「(十)十八なを陰陽の惣数天徳の、礼拝すべき留の敬白」までの五八首を、やや小字・八行・所々付訓で記す。
★イロハ教訓書は頗る多く、一度総合的に調べてみたいテーマである。



NEW245 新板男女躾方歌教訓四十八文字 (しんぱんなんにょしつけがたうたきょうくんしじゅうはちもじ)
【作者】八田仙助作。【年代】江戸後期刊。[?]松新板。【分類】教訓科。【概要】半紙本二巻合一冊。上下二巻に分かれるがいずれも表紙共紙各巻二丁、全四丁からなる小冊子で、上巻に「い」〜「う」、下巻に「ゐ」〜「京」までのイロハ教訓歌を収録する。半丁に上下二段、一段四首をそれぞれ挿絵とともに掲げる。上巻は「(い)一しやうのたからとなるはいろはうた、おさなきときによめよならへよ」という勧学の心得から始まり、下巻は「(ゐ)一りうがまんばい(一粒万倍)なるぞこめざこく(米雑穀)、そまつにするなたいせつにせよ」という穀類への心掛けから始まるように、卑近な通俗教訓を四八首の道歌で諭す。小泉本の書き入れから天保年間(一八三〇〜四三)以前の刊行と思われる。
★同類のイロハ教訓歌は無数にあり、このような体裁のものも多い。