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NEW051 万証文手形便覧 (よろずしょうもんてがたべんらん)
【作者】不明。 【年代】安政(一八五四〜五九)頃刊。[大阪]河内屋平七(三木平七・文繍堂)板。 【分類】消息科。 【概要】半紙本一冊。「金子借用証文」から「跡式譲り状」までの証文類文例二二通を収録した手形証文文例集。本文を大字・五行・所々付訓で記す。頭書には「証文認之心得」「屋号尽」「苗字尽」「消息往来」「仏法宗名」を掲げ。巻末に「十干・十二支」「月異名」を載せる。なお、本書は嘉永(一八四八〜五四)頃刊行の『商人書状鑑』†の後半部に合綴されたものもある。〔小泉〕 【所蔵】小泉。


NEW052 〈御家〉 永楽用文章 (えいらくようぶんしょう)
【作者】林博授(玄教堂・眉寿)書。 【年代】天保(一八三〇〜四三)頃刊。[名古屋]永楽屋東四郎(東壁堂)板。 【分類】消息科。 【概要】半紙本一冊。「貴人え上る年頭状」から「直段申遣す手紙・同返事」までの三九通を収録した用文章。概ね、四季時候の手紙(五節句祝儀状・寒暑見舞状など)、通過儀礼に伴う手紙、商用の手紙の順に配列し、年頭状・暑気見舞状・寒気見舞状では相手の身分別の例文を数例を紹介する。本文を大字・四行・付訓で記す。〔小泉〕 【所蔵】小泉。


NEW053 逸見邑尽短歌 (へみむらづくしたんか/へんみむらづくしたんか)
【作者】今井喜七書。 【年代】文久二年(一八六二)書。 【分類】地理科。 【概要】大本一冊。甲斐国北巨摩郡逸見(速見)郷(山梨県北西部)周辺の地理を記した往来。「幼なき身の心侭、春野に出て当所なき、爰は幾里の塚川や、空も纔に水色も、実黒沢や蔵原や、導給ゑ観世音、小池の水に身を浄、願数々竜の口…」で始まる七五調の文章で、長沢、然場(念場原)、浅川、樫山、若神子、豆生田(まめふた)、神取、浅尾、金岑山(金峰山)、上手、小笠原、塩川、下条、七里岩、河原部、韮崎、駒井、新府城、穴山、日野原、小淵沢、谷戸、西井出、東井出、大八田等の地名や風景・名所旧跡などを紹介し、「恩をしれ人は知らぬが稲の花、米ぞ御法(みのり)の司なるらむ」などの教訓歌二首を掲げて結ぶ。本文を大字・三行・無訓で記す。〔小泉〕 【所蔵】小泉。


NEW054 俊基状・正行状 *仮称 (としもとじょう・まさつらじょう)
【作者】波羅多安支与志書。 【年代】慶応元年(一八六五)書。 【分類】歴史科。 【概要】異称『俊基朝臣再び関東下向の事・楠正行芳野へ参る事』。大本一冊。前半の「俊基朝臣再び関東下向の事」は、後醍醐天皇の側近として討幕運動に尽力した南朝の忠臣・日野俊基の故事を綴った往来で、「落花の雪にふみまよふ、片野の春の桜がり、もみぢのにしきを衣て帰る、嵐の山の秋の暮、一夜を明すほどだにも、旅寝となればものうきに、恩愛の契浅からぬ、我ふる里の妻子をば、行衛もしらずおもひ置…」で始まる七五調の文章で鎌倉下向の様子を綴る。京都から鎌倉に至る地名や名所なども頻出し、一種の地理科往来の様相を伴い、途中、菊川で「いにしへもかゝるためしを菊川の、おなじながれに身をやしづめむ」と詠んだ故事なども盛り込む。一方、後半の「楠正行芳野へ参る事」は、「楠帯刀正行、舎弟正時一族うちつれて十二月二十七日、芳野の皇居に参じ、四条中納言隆資を以て申しけるは…」とで始まる記事文体で、四条畷の合戦を前に大和・吉野に後村上天皇を訪ねた楠木正行が同地の如意輪堂に参詣し、「かへらじとかねておもへばあづさ弓、なき数にいる名をぞとゝむる」の一首を遺した故事などを紹介する。いずれも本文を大字・四行・無訓で記す。〔小泉〕 【所蔵】小泉。


NEW055 〈頭書絵鈔〉 寿福用文章宝(鑑 (じゅふくようぶんしょうほう(かん))
【作者】亀井涌水書。 【年代】江戸中期刊。[江戸]村田治郎兵衛(栄邑堂)板。 【分類】消息科。 【概要】異称『用文章』。大本一冊。四季消息文や証文手形類を集めた用文章。前半一七通は各月一、二通の四季文章で、続いて「元服祝儀状」以下各種祝儀状や「船荷送状」、また末尾には「借金状」から「関所手形」までを収録する。合計三二通で、うち証文類は六通である。本文を大字・五行・付訓で記す。見返に「七福神略伝記」、前付に「文字・筆・硯・紙の始まり」「五節句異名」「昼夜猫の目にてときを知る詩」、頭書に「士農工商」「亭主方心得の事」「客人心得の事」「生花図解」「祝言当用折方図」「古今銭絵図」等の記事を載せる。〔小泉〕 【所蔵】小泉・学芸大(「消息文集」)・筑波大。
*本書の存在は知られていたが、今回初めて原題が判明した。