エイズFAQ
▼エイズってどんな病気?
▼免疫(免疫システム)とは?
▼CD4とは?
▼日和見感染とは?
▼HIVはどんなところにいるの?
▼もし検査に行くのなら?
▼感染するとどうなるか?
▼感染が分かったら
▼エイズってどんな病気?
エイズ(AIDS)とは後天性免疫不全症候群(AcquiredImmunodificiencySyndrome)
の頭文字をとったもので、生まれつき原因があるのではなく、免疫がうまく働かなく
なって、いろいろな症状を示す病気のことです。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)と
呼ばれるウイルス性の病原体が原因で起こる感染症です。
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▼免疫(免疫システム)とは?
免疫とは病気に対する抵抗力のことで、体内に入ってきた病原体などの異物を破壊す
る役目をもっています。しかしこのエイズの原因であるHIVは、本当なら体外から
の敵をやっつけるはずのこの免疫システムに上手に隠れ、さらにこの免疫システムを
破壊してしまうのです。そのために免疫システムがうまく働かなくなって、いろいろ
な病気にかかりやすくなるのです。またHIVは、大変に変わり身が早いウイルスで、
すぐに違う形になってしまい、ワクチンの効き目がなくなるなどいろいろな問題があっ
て、決定的な治療薬はまだ見つかっていません。
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▼CD4とは?
血液中のリンパ球にはいろいろな種類があります。そのうちの一つが、ヘルパーT細
胞と呼ばれるもので、CD4という数値で表わされます。HIVは免疫システムの司
令塔の役目をするこのリンパ球にくっつき、それを破壊します。CD4は健康な人で
千分の1ミリリットル当たり800〜1200位ありますが、HIVに感染するとゆっくりと
何年もかけてこの数値が下がってくるのです。CD4の数値を調べることで、どんな
病気にかかるのかだいたい分かっているので、その病気に対していろいろな予防をす
ることができ、CD4の数値が低くても病気にならないようにすることができるので
す。
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▼日和見感染とは?
免疫システムがうまく働かなくなると、免疫システムが働いている時にはかからなかっ
た病気にかかりやすくなります。人間の体内や空気中には元もといろいろな病原体が
うろついているのですが、普段は免疫システムが働いて、その病原体が暴れ出すのを
防いでいます。ところが、HIVが侵入してくると、この免疫システムを長い時間を
かけてゆっくりと破壊してゆくので、それまで抑えられていたいろいろな病原体が暴
れ出し、いろいろな病気を発症してしまうのです。これを日和見感染と言います。ま
たこのいろいろな病気のことを日和見感染症と言います。ほとんどの日和見感染症は、
治療することができるので、症状が軽ければ簡単な治療ですむこともあるのです。
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▼HIVはどんなところにいるの?
HIVは、感染者の主に精液・膣分泌液・血液の中にいます。これらが傷口や体の粘
膜(皮膚ではない部分)に直接触れることで感染が成立します。唾液などにも含まれ
ますが、感染には問題にならないくらい微量なので、触れても感染の心配はほとんど
ありません。したがって次のような感染ルートが上げられます。性的接触(SEX)
による感染:HIVに感染した人の精液(“先走り”なども)や膣分泌液が、性器や
直腸、口などの粘膜に直接触れることで感染します。特に、肛門や、直腸内は持続的
な摩擦には弱いので大変に傷が付きやすく、また毛細血管が集中しているために、コ
ンドーム(ラテックス製)なしだと精液などの体液が直接触れるので、感染の危険性
は極めて高くなります。しかしコンドームを正しく着けることでHIVだけでなくそ
の他の性行為感染症(STD)の感染を防ぐことができるのです。母子感染:母親が
HIVに感染していると、妊娠中の母親の胎内や、出産による産道の傷口からの出血
などによって感染することが考えられます。出産による感染は30%位とされていま
す。また母乳にもHIVが含まれているので、授乳すれば感染が成立します。研究段
階ですが、帝王切開によって出産すれば感染を防ぐことができるとも考えられていま
す。血液による感染:日本では緊急時の新鮮血輸血の場合を除いて輸血による感染の
心配はまずありません。血液による感染で問題になるのは、麻薬を注射するときに注
射器や注射針の使い回しをした場合です。感染者がいれば感染が成立する危険性は極
めて高くなります。
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▼もし検査に行くのなら?
個人差がありますがHIVに感染してから抗体ができるまでに、だいたい3カ月くら
いかかります。ですからこの間に抗体検査を受けても正確な結果がでません。また検
査を受けに行く場合は、感染の可能性があった行為から3カ月間は、感染の可能性が
あるような行為を避ける必要があります。保健所では匿名で無料で検査を受けること
ができます。
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▼感染するとどうなるか?
感染が成立してから約2カ月間は、ほとんど症状がありません。症状が出たとしても
風邪と区別することができません。感染してから約7年間は、「無症候性キャリア
(AC)」と言ってHIVが体の中に隠れていて、症状が出ることはほとんどないの
で、自分にも他の人にも感染していることは分かりません。したがって、この時期に
他の人に感染させてしまう可能性が非常に高いのです。免疫力が下がってくると、
「エイズ関連症候群(ARC)」と呼ばれるいろいろな症状が現れてきます。下痢が
しばらく続いたり、寝汗をかいたり、急に体重が減ったりします。かびのようなカン
ジダが口の中や食道にできて、食べ物を飲み込んだときなどに激しい痛みを感じます。
さらに免疫力が下がると、カリニ肺炎などの日和見感染症を発症するようになるので
す。
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▼感染が分かったら
抗体検査の結果は、札幌市内の保健所だと検査を受けてから1週間で出ます。検査を
受けに行った本人でないと結果を知ることはできないので注意してください。検査の
結果、陰性だったら感染しないようなライフスタイルを心がけてください。検査の結
果陽性でも、死の宣告を受けたわけではありません。一つの疾患(病気)であるHI
V感染症に感染したという事が分かっただけのことです。HIVは、早いうちに発見
し治療することで、うまくつきあってゆくことができる病気です。免疫力の低下を抑
えるAZTやddIなどの薬があり、またHIVによって発症するほとんどの病気は、
予防することができ、発症して重い症状が出ても治療できるので短い入院期間ですむ
こともあるのです。しかし、HIV感染症の治療になれていなかったり、積極的では
ないなどのレベルが低い病院があるのも事実です。怖がるのではなく、よりよい治療
を受けるために、情報を集めたり、診療レベルが高い病院を探す努力は欠かせません。
また、結果が陽性だからといって、今までのライフスタイルをガラリと変える必要は
ありません。ただ、身体の状態をよく知ってうまくHIVとつきあってゆくために、
定期的に通院する必要はあります。そして健康に良くないことは、ひかえたほうが良
いでしょう。
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▼さいごに
エイズは特別な病気ではありません。エイズのように、根治できない疾患や難病は多
くあるのです。また、エイズという病気は一人で戦うにはとてもつらい病気です。多
くの人の協力や、理解があってようやく戦うことができる病気なのです。
▽参考文献:'95・5・10ジュニアブランチ例会用レジュメ(テーマ「エイズ」)
SHIPニュースレター1〜12
『エイズカウンセリング』野口・小島共著福村出版
NL50号特集:ゲイの国語、数学、理科、社会より「ゲイの保健体育」
レッドリボンさっぽろエイズスタディーレジュメ
『HIV/AIDSの医学的基礎知識他』及川欧
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