ここのページでは鉄塔遠景を見てみましたが、最近富士吉田方面に行く機会がありましたので、近くまで行ってみてみました。以前行った時はスーパーマーケットの近くだと思っていたのですが、ドラックストア駐車場の近くでした。

鉄塔全景 上記のページで「場所を捜せば富士山がバックになる、いかにも…という構図のものができたかも知れません」と書いた手前、その様な場所を探したのですがこの構図でそうなります。この日はあいにく雲に隠れてしまってまして、かろうじて下の裾野が見える程度でした。上空は快晴(青空)でしたが、富士山にだけ雲がかかった状態で、普段の行いが影響しているのかちょっと考えてしまいました…閑話休題。

 鉄塔を見てみますと、頂部にわっか(頂冠)がある支線式アンテナで遠めに見て基部絶縁形の象徴である基部絶縁碍子がありました。その他、支線の碍子にチョークコイルがぶら下がっているのと、各支線の一番上の碍子同士を結んだ線が見えました。


頂冠 頂冠部の拡大です。機械的には金属の輪っかですが、電気的には送信周波数に対して容量性の負荷として動作して鉄塔(アンテナ)が等価的に長くなり、鉄塔の地上高を低くすることができます。また航空障害灯があり、夜間には点灯(か点滅)していると思います。この障害灯に電気を供給するためにオースチントランスという知恵の輪の化け物みたいなものが基部にあると思います(今回は見れませんでした)。


支線間のワイヤー 鉄塔には支線が直接つながっている様に見えました。通常この支線がアンテナの動作に影響を与えない様に送信周波数の波長に対して10%程度の間隔で碍子を入れて電気的に切り離します。一方でこの支線をアンテナの一部として利用し、傘型アンテナの形式をとることもある様です。傘型の傘の部分も容量性の負荷として動作する様なので、頂冠と併せて鉄塔を低くすることができます。

 左図は支線の鉄塔から一つ目の碍子の相互間を結んでいるワイヤーの拡大です。このワイヤーの働きは容量冠の補佐的なものかどうかはわかりませんが、この局の送信周波数が約300kHz低い方に動いたにもかかわらず鉄塔高が変わっていないとすれば(確証はありませんが)、容量性負荷を増やすためのワイヤーかな?と思いますが、正体はわかりません…


碍子+チョーク 鉄塔の支線を碍子で絶縁すると高周波的にはOKですが、一方で鉄塔に落雷した時はもとより乾燥気候により鉄塔自身が帯電してしまうことがあり、この電圧が碍子の絶縁破壊を招くことがありますので、そんな電圧をさっさとバイパスさせるために碍子と並列にコイルを入れます。

 このコイルにより支線は高周波的には碍子で絶縁され、低周波〜直流的にはに接地されている状態になります。アンテナ(構造物)自体は単に鉄骨や導線の集合体なのですが、電気的に見ると複雑な振る舞いをするのでなかなか面白い(し、厄介)です…


撮影:2006.03.11 09時頃


支線取り付け部拡大 左図は頂部負荷直下の支線の鉄塔接続部です。鉄塔(アンテナ本体)と電気的にも接続されている様に見えます。


鉄塔全景リテイク この日は富士山が良く見えました。


撮影:2006.03.21 07時前


初稿:2006.03.19
追記:2006.04.02

ひとつもどります