ワイヤーアンテナ 埼玉県鶴ヶ島市にある、対空無線通信施設です。鶴ヶ島市内にあるのに坂戸と名乗っているには何か深いわけがあるかどうかは不詳です。敷地の周りは狭い私道あるいは民家が隣接しているため施設全景を収めるのが困難でした。局の前にスーパーマーケットがあり、2階部分が屋上駐車場になっているのでここから見てみましたが、目の前の電線とワイヤーアンテナのエレメントがごっちゃに見え、何を見ているのかわからなくなってしまいました。

 結局敷地をぐるりと歩いて周り、円形アレーアンテナの様な左図のものと看板を押さえるに留まりました。ご多分に漏れず鉄塔とパラボラがあったのですがこれは今回省略。レドーム付きのが1基だけ、向くとすれば所沢方面かなとは思うのですが、きちんとした方位まで観測しなかったので推測の域は出ません。

 敷地内には左図のアンテナの他、上記の鉄塔と幾つかのワイヤーアンテナがありました。また梯子型の給電線も見えたりしました。敷地内は緑の絨毯が敷かれたみたいになっており、また所々にある背の高い木々が鉄塔や電線だらけの殺風景な施設をなんか落ち着いたものとして演出している様でした。


看板 これは正面で。

駐禁 その手前にあった。

シンプルな看板 裏側にあった。


 街中にある通信施設で、住宅地に隣接しています。この様な環境の中で短波帯の送信を行えばインターフェアの危険性は無いのかと他人事ながらちょっと心配です。またもし仮にこの付近で電灯線インターネットなる、電灯線を用いての通信手段がとられた場合、受信側として影響を受けないのか気になります。対空通信の主役を降りているとは言え短波も重要ですからね(通信手段は2つ以上あった方が安心)。電柱の電線とアンテナエレメントがほぼ同じ高さでかつ平行になっている部分が結構ありましたので…


*** 追補

 過日、この通信所は受信だけですよという情報をいただきました。また送信を行う場所は茨城県友部町にある友部通信所とのことも併せてお教えいただきました(*)。受信だけであるなら近隣住宅地への電波障害はないでしょうね…逆に都市雑音に晒されていたりして。

 そんな訳で先の連休にていなげやでの買い物ついでにもう一回敷地をぐるりと回ってみました。正確には宅地に隣接していますのでフェンスの周りを正確にトレースすることはできませんでしたが、ワイヤーアンテナの終端部とかは見れました。敷地の一部が地元の鎮守の森の様なお稲荷さんに隣接しています。ここからアンテナの終端部を見上げることができました(上に書いた梯子型の給電線も良く見えました)。

給電部 敷地内には幾本もの鉄塔がありますが、大半がこの様な三角形のものです。その鉄塔間にワイヤーが張られています。上を見上げると線ばっかりで、周囲が宅地ということもありそうそうカメラを構えるわけにも行かず記憶の域を出ませんが、傾斜V型アンテナだと思います。

 ものの本によりますと傾斜V型アンテナはロンビックアンテナを半分にぶった切ったような格好で、その特性もこれに似て鋭い指向性・高利得のため国際間の商用短波帯(6〜24MHz)の通信に広く用いられるとあります。この局は航空無線通信所とあることからHF帯洋上管制用と思われます。

 変換部 終端部

 傾斜V型アンテナは鋭角部分に給電点、給電から降りてきている梯子型の給電線の先は左図の様な小さな箱につながっています。箱の中は平衡−不平衡の変換(バラン)と思われます。

 このアンテナは進行波アンテナとして動作します。また梯子給電線の先に延びているエレメントを見ると3本並んで張ってあります。ロンビックアンテナの場合はエレメント上に発生する反射波が発生するのを阻止する働きをしているとのことで、エレメントが単線式のものに比べ、複線式(ここでは3線)にすることで、アンテナ長によって特性インピーダンスの変化が少なくなる模様です。このアンテナにおいても同様の働きをしているものと思います。

 この種のアンテナはワイヤー両翼にある反対側に右図の様な終端インピーダンスを設けます。この終端部分で給電部分から別れたワイヤが再び集線されていました。碍子の下側にあるものが(無誘導)抵抗、左にのびている線は接地行きだと思われます、後方に別方向に向いたアンテナの給電部も見えます。


マイクロ回線アンテナ 敷地内は幾本の三角形鉄塔とその鉄塔間に張り巡らされたワイヤだらけですが、マイクロ回線の鉄塔も1基設置されています。鉄塔中央にレドームつきのパラボラがありました。

 圏央鶴ヶ島IC方向から日光街道を素直に北上してくると宅地の先に一際目立つのがこの鉄塔です。左図はお稲荷さんのある森方向から撮影したものですが、日光街道からだと一瞬正面(パラボラの向きとして)に見える個所があります。そこの位置から地図上に直線を引くとその延長線は所沢の方になりました。


***

(*)幼気な携帯様からお教えいただきました。ありがとうございます。

追記:2003.05.17
・追補部分の撮影 2003.05.02 12時半頃
・当初、線状のアンテナをロンビックアンテナと見間違って誤認してました。
・友部の局も見てみたい気もしてきました(→常磐道友部JCT→北関東道友部ICか…?)。


*** 追補

 こちらに最近の局の様子があります。2010年9月時点で、このページを作成した時期に見たマイクロ鉄塔と円形アレーアンテナ(か?)が撤去されていました。その代わり傾斜V型空中線が増設されていたり、敷地端っこにあった水平ワイヤー(ダイポール型式)も以前同様健在で、通信所の風格は十分感じられました。

マイクロ回線アンテナと円形アレー 左図は敷地周回ゴール寸前(餃子工場前通過)地点から見えていた紅白鉄塔と円形アレ―アンテナ(画面右側)です。パラボラアンテナは塔頂でなく、アンテナ開口径が鉄塔からはみ出さない様な位置に設置してありました。


マイクロ回線アンテナと円形アレー 周回最後の位置(スーパーマーケット正面)から見た、円形アレーアンテナがメイン、その後方にマイクロ鉄塔という構図。給電部は見難いですが、円形の中心部から全円方向上方に展張されている導線(素子)の様子を観察した…ということにしておきたいと思います。


撮影:2003.05.02 12時半頃
追記:2010.09.23

 友部の局は都下からだと圏央道で桶川北本IC、ここから菖蒲久喜のNHK送信所の脇を通過して鷲宮・栗橋経由で古河、八俣送信所手前の山田十字路交差点左折して北上、結城で国道50号に、これを東進して北関東道桜川筑西ICに入り友部ICという経路が最適の様です。


ひとつもどります