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健康保険法

(大正十一年四月二十二日法律第七十号)

最終改正:平成一六年六月一一日法律第一〇四号

(最終改正までの未施行法令)
平成十六年六月二日法律第七十六号 (未施行)
平成十六年六月十一日法律第百四号 (未施行)
   


 第一章 総則(第一条―第三条)
 第二章 保険者
  第一節 通則(第四条―第七条)
  第二節 健康保険組合(第八条―第三十条)
 第三章 被保険者
  第一節 資格(第三十一条―第三十九条)
  第二節 標準報酬月額及び標準賞与額(第四十条―第四十七条)
  第三節 届出等(第四十八条―第五十一条)
 第四章 保険給付
  第一節 通則(第五十二条―第六十二条)
  第二節 療養の給付及び入院時食事療養費等の支給
   第一款 療養の給付並びに入院時食事療養費、特定療養費及び療養費の支給(第六十三条―第八十七条)
   第二款 訪問看護療養費の支給(第八十八条―第九十六条)
   第三款 移送費の支給(第九十七条)
   第四款 補則(第九十八条)
  第三節 傷病手当金、埋葬料、出産育児一時金及び出産手当金の支給(第九十九条―第百九条)
  第四節 家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料及び家族出産育児一時金の支給(第百十条―第百十四条)
  第五節 高額療養費の支給(第百十五条)
  第六節 保険給付の制限(第百十六条―第百二十二条)
 第五章 日雇特例被保険者に関する特例
  第一節 日雇特例被保険者の保険の保険者(第百二十三条)
  第二節 標準賃金日額等(第百二十四条―第百二十六条)
  第三節 日雇特例被保険者に係る保険給付(第百二十七条―第百四十九条)
 第六章 保健事業及び福祉事業(第百五十条)
 第七章 費用の負担(第百五十一条―第百八十三条)
 第八章 健康保険組合連合会(第百八十四条―第百八十八条)
 第九章 不服申立て(第百八十九条―第百九十二条)
 第十章 雑則(第百九十三条―第二百七条)
 第十一章 罰則(第二百八条―第二百二十条)
 附則

   第一章 総則

(目的) 第一条  この法律は、労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

(基本的理念) 第二条  健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び老人保健制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならない。

(定義) 第三条  この法律において「被保険者」とは、適用事業所に使用される者及び任意継続被保険者をいう。ただし、次の各号のいずれかに該当する者は、日雇特例被保険者となる場合を除き、被保険者となることができない。  船員保険の被保険者(船員保険法 (昭和十四年法律第七十三号)第十九条ノ三 の規定による被保険者を除く。)  臨時に使用される者であって、次に掲げるもの(イに掲げる者にあっては一月を超え、ロに掲げる者にあってはロに掲げる所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く。)  日々雇い入れられる者  二月以内の期間を定めて使用される者  事業所又は事務所(第八十八条第一項及び第八十九条第一項を除き、以下単に「事業所」という。)で所在地が一定しないものに使用される者  季節的業務に使用される者(継続して四月を超えて使用されるべき場合を除く。)  臨時的事業の事業所に使用される者(継続して六月を超えて使用されるべき場合を除く。)  国民健康保険組合の事業所に使用される者  保険者又は共済組合の承認を受けた者(健康保険の被保険者でないことにより国民健康保険の被保険者であるべき期間に限る。)  この法律において「日雇特例被保険者」とは、適用事業所に使用される日雇労働者をいう。ただし、次の各号のいずれかに該当する者として社会保険庁長官の承認を受けたものは、この限りでない。  適用事業所において、引き続く二月間に通算して二十六日以上使用される見込みのないことが明らかであるとき。  任意継続被保険者であるとき。  その他特別の理由があるとき。  この法律において「適用事業所」とは、次の各号のいずれかに該当する事業所をいう。  次に掲げる事業の事業所であって、常時五人以上の従業員を使用するもの  物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業  土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業  鉱物の採掘又は採取の事業  電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業  貨物又は旅客の運送の事業  貨物積卸しの事業  焼却、清掃又はとさつの事業  物の販売又は配給の事業  金融又は保険の事業  物の保管又は賃貸の事業  媒介周旋の事業  集金、案内又は広告の事業  教育、研究又は調査の事業  疾病の治療、助産その他医療の事業  通信又は報道の事業  社会福祉法 (昭和二十六年法律第四十五号)に定める社会福祉事業及び更生保護事業法 (平成七年法律第八十六号)に定める更生保護事業  前号に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの  この法律において「任意継続被保険者」とは、適用事業所に使用されなくなったため、又は第一項ただし書に該当するに至ったため被保険者(日雇特例被保険者を除く。)の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して二月以上被保険者(日雇特例被保険者、任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であったもののうち、保険者に申し出て、継続して当該保険者の被保険者となった者をいう。ただし、船員保険の被保険者である者は、この限りでない。  この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。  この法律において「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいう。  この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者をいう。  被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。以下この項において同じ。)の直系尊属、配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。)、子、孫及び弟妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの  被保険者の三親等内の親族で前号に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの  被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの  前号の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの  この法律において「日雇労働者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。  臨時に使用される者であって、次に掲げるもの(同一の事業所において、イに掲げる者にあっては一月を超え、ロに掲げる者にあってはロに掲げる所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合(所在地の一定しない事業所において引き続き使用されるに至った場合を除く。)を除く。)  日々雇い入れられる者  二月以内の期間を定めて使用される者  季節的業務に使用される者(継続して四月を超えて使用されるべき場合を除く。) 臨時的事業の事業所に使用される者(継続して六月を超えて使用されるべき場合を除く。)  この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、日雇労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。 10  この法律において「共済組合」とは、法律によって組織された共済組合をいう。

   第二章 保険者

    第一節 通則

(保険者) 第四条  健康保険(日雇特例被保険者の保険を除く。)の保険者は、政府及び健康保険組合とする。

(政府管掌健康保険) 第五条  政府は、健康保険組合の組合員でない被保険者(日雇特例被保険者を除く。第六十三条第三項第二号、第百五十条第一項、第百七十二条第三号、第十章及び第十一章を除き、以下本則において同じ。)の保険を管掌する。  前項の規定により政府が管掌する健康保険の保険者の事務は、社会保険庁長官が行う。

(組合管掌健康保険) 第六条  健康保険組合は、その組合員である被保険者の保険を管掌する。

(二以上の事業所に使用される者の保険者) 第七条  同時に二以上の事業所に使用される被保険者の保険を管掌する者は、第五条第一項及び前条の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところによる。

    第二節 健康保険組合

(組織) 第八条  健康保険組合は、適用事業所の事業主、その適用事業所に使用される被保険者及び任意継続被保険者をもって組織する。

(法人格) 第九条  健康保険組合は、法人とする。  健康保険組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

(名称) 第十条  健康保険組合は、その名称中に健康保険組合という文字を用いなければならない。  健康保険組合でない者は、健康保険組合という名称を用いてはならない。

(設立) 第十一条  一又は二以上の適用事業所について常時政令で定める数以上の被保険者を使用する事業主は、当該一又は二以上の適用事業所について、健康保険組合を設立することができる。  適用事業所の事業主は、共同して健康保険組合を設立することができる。この場合において、被保険者の数は、合算して常時政令で定める数以上でなければならない。

第十二条  適用事業所の事業主は、健康保険組合を設立しようとするときは、健康保険組合を設立しようとする適用事業所に使用される被保険者の二分の一以上の同意を得て、規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。  二以上の適用事業所について健康保険組合を設立しようとする場合においては、前項の同意は、各適用事業所について得なければならない。

第十三条  第三十一条第一項の規定による認可の申請と同時に健康保険組合の設立の認可の申請を行う場合にあっては、前二条中「適用事業所」とあるのは「適用事業所となるべき事業所」と、「被保険者」とあるのは「被保険者となるべき者」とする。

第十四条  厚生労働大臣は、一又は二以上の適用事業所(第三十一条第一項の規定によるものを除く。)について常時政令で定める数以上の被保険者を使用する事業主に対し、健康保険組合の設立を命ずることができる。  前項の規定により健康保険組合の設立を命ぜられた事業主は、規約を作り、その設立について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

(成立の時期) 第十五条  健康保険組合は、設立の認可を受けた時に成立する。

(規約) 第十六条  健康保険組合は、規約において、次に掲げる事項を定めなければならない。  名称  事務所の所在地  健康保険組合の設立に係る適用事業所の名称及び所在地  組合会に関する事項  役員に関する事項  組合員に関する事項  保険料に関する事項  準備金その他の財産の管理に関する事項  公告に関する事項  前各号に掲げる事項のほか、厚生労働省令で定める事項  前項の規約の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く。)は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。  健康保険組合は、前項の厚生労働省令で定める事項に係る規約の変更をしたときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に届け出なければならない。

(組合員) 第十七条  健康保険組合が設立された適用事業所(以下「設立事業所」という。)の事業主及びその設立事業所に使用される被保険者は、当該健康保険組合の組合員とする。  前項の被保険者は、当該設立事業所に使用されなくなったときであっても、任意継続被保険者であるときは、なお当該健康保険組合の組合員とする。

(組合会) 第十八条  健康保険組合に、組合会を置く。  組合会は、組合会議員をもって組織する。  組合会議員の定数は、偶数とし、その半数は、設立事業所の事業主において設立事業所の事業主(その代理人を含む。)及び設立事業所に使用される者のうちから選定し、他の半数は、被保険者である組合員において互選する。

(組合会の議決事項) 第十九条  次に掲げる事項は、組合会の議決を経なければならない。  規約の変更  収入支出の予算  事業報告及び決算  その他規約で定める事項

(組合会の権限) 第二十条  組合会は、健康保険組合の事務に関する書類を検査し、理事若しくは監事の報告を請求し、又は事務の管理、議決の執行若しくは出納を検査することができる。  組合会は、組合会議員のうちから選任した者に、前項の組合会の権限に属する事項を行わせることができる。

(役員) 第二十一条  健康保険組合に、役員として理事及び監事を置く。  理事の定数は、偶数とし、その半数は設立事業所の事業主の選定した組合会議員において、他の半数は被保険者である組合員の互選した組合会議員において、それぞれ互選する。  理事のうち一人を理事長とし、設立事業所の事業主の選定した組合会議員である理事のうちから、理事が選挙する。  監事は、組合会において、設立事業所の事業主の選定した組合会議員及び被保険者である組合員の互選した組合会議員のうちから、それぞれ一人を選挙する。  監事は、理事又は健康保険組合の職員と兼ねることができない。

(役員の職務) 第二十二条  理事長は、健康保険組合を代表し、その業務を執行する。理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、設立事業所の事業主の選定した組合会議員である理事のうちから、あらかじめ理事長が指定する者がその職務を代理し、又はその職務を行う。  健康保険組合の業務は、規約に別段の定めがある場合を除くほか、理事の過半数により決し、可否同数のときは、理事長の決するところによる。  理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して、健康保険組合の業務を執行することができる。  監事は、健康保険組合の業務の執行及び財産の状況を監査する。

(合併) 第二十三条  健康保険組合は、合併しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。  合併によって健康保険組合を設立するには、各健康保険組合がそれぞれ組合会において役員又は組合会議員のうちから選任した設立委員が共同して規約を作り、その他設立に必要な行為をしなければならない。  合併により設立された健康保険組合又は合併後存続する健康保険組合は、合併により消滅した健康保険組合の権利義務を承継する。

(分割) 第二十四条  健康保険組合は、分割しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。  健康保険組合の分割は、設立事業所の一部について行うことはできない。  分割を行う場合においては、分割により設立される健康保険組合の組合員となるべき被保険者又は分割後存続する健康保険組合の組合員である被保険者の数が、第十一条第一項(健康保険組合を共同して設立している場合にあっては、同条第二項)の政令で定める数以上でなければならない。  分割によって健康保険組合を設立するには、分割により設立される健康保険組合の設立事業所となるべき適用事業所の事業主が規約を作り、その他設立に必要な行為をしなければならない。  分割により設立された健康保険組合は、分割により消滅した健康保険組合又は分割後存続する健康保険組合の権利義務の一部を承継する。  前項の規定により承継する権利義務の限度は、分割の議決とともに議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

(設立事業所の増減) 第二十五条  健康保険組合がその設立事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る適用事業所の事業主の全部及びその適用事業所に使用される被保険者の二分の一以上の同意を得なければならない。  第三十一条第一項の規定による認可の申請があった事業所に係る設立事業所の増加に関する規約の変更の認可の申請を行う場合にあっては、前項中「被保険者」とあるのは、「被保険者となるべき者」とする。  第一項の規定により健康保険組合が設立事業所を減少させるときは、健康保険組合の被保険者である組合員の数が、設立事業所を減少させた後においても、第十一条第一項(健康保険組合を共同して設立している場合にあっては、同条第二項)の政令で定める数以上でなければならない。  第十二条第二項の規定は、第一項の被保険者の同意を得る場合について準用する。

(解散) 第二十六条  健康保険組合は、次に掲げる理由により解散する。  組合会議員の定数の四分の三以上の多数による組合会の議決  健康保険組合の事業の継続の不能  第二十九条第四項の規定による解散の命令  健康保険組合は、前項第一号又は第二号に掲げる理由により解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。  健康保険組合が解散する場合において、その財産をもって債務を完済することができないときは、当該健康保険組合は、設立事業所の事業主に対し、政令で定めるところにより、当該債務を完済するために要する費用の全部又は一部を負担することを求めることができる。  政府は、解散により消滅した健康保険組合の権利義務を承継する。

(報告の徴収等) 第二十七条  厚生労働大臣は、健康保険組合について、必要があると認めるときは、その事業及び財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員をして健康保険組合の事務所に立ち入って関係者に質問させ、若しくは実地にその状況を検査させることができる。  前項の規定によって質問又は検査を行う当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。  第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(指定健康保険組合による健全化計画の作成) 第二十八条  健康保険事業の収支が均衡しない健康保険組合であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の指定を受けたもの(以下この条及び次条において「指定健康保険組合」という。)は、政令で定めるところにより、その財政の健全化に関する計画(以下この条において「健全化計画」という。)を定め、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。  前項の承認を受けた指定健康保険組合は、当該承認に係る健全化計画に従い、その事業を行わなければならない。  厚生労働大臣は、第一項の承認を受けた指定健康保険組合の事業及び財産の状況により、その健全化計画を変更する必要があると認めるときは、当該指定健康保険組合に対し、期限を定めて、当該健全化計画の変更を求めることができる。

(監督) 第二十九条  厚生労働大臣は、第二十七条の規定により報告を徴し、又は質問し、若しくは検査した場合において、健康保険組合の事業若しくは財産の管理若しくは執行が法令、規約若しくは厚生労働大臣の処分に違反していると認めるとき、確保すべき収入を不当に確保せず、不当に経費を支出し、若しくは不当に財産を処分し、その他健康保険組合の事業若しくは財産の管理若しくは執行が著しく適正を欠くと認めるとき、又は健康保険組合の役員がその事業若しくは財産の管理若しくは執行を明らかに怠っていると認めるときは、期間を定めて、健康保険組合又はその役員に対し、その事業若しくは財産の管理若しくは執行について違反の是正又は改善のため必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。  健康保険組合又はその役員が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、当該健康保険組合に対し、期間を定めて、当該違反に係る役員の全部又は一部の解任を命ずることができる。  健康保険組合が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、同項の命令に係る役員を解任することができる。  健康保険組合が第一項の規定による命令に違反したとき、又は前条第二項の規定に違反した指定健康保険組合、同条第三項の求めに応じない指定健康保険組合その他政令で定める指定健康保険組合の事業若しくは財産の状況によりその事業の継続が困難であると認めるときは、厚生労働大臣は、当該健康保険組合の解散を命ずることができる。

(政令への委任) 第三十条  この節に規定するもののほか、健康保険組合の管理、財産の保管その他健康保険組合に関して必要な事項は、政令で定める。

   第三章 被保険者

    第一節 資格

(適用事業所) 第三十一条  適用事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所とすることができる。  前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者となるべき者に限る。)の二分の一以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

第三十二条  適用事業所が、第三条第三項各号に該当しなくなったときは、その事業所について前条第一項の認可があったものとみなす。

第三十三条  第三十一条第一項の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。  前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)の四分の三以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

第三十四条  二以上の適用事業所の事業主が同一である場合には、当該事業主は、厚生労働大臣の承認を受けて、当該二以上の事業所を一の適用事業所とすることができる。  前項の承認があったときは、当該二以上の適用事業所は、適用事業所でなくなったものとみなす。

(資格取得の時期) 第三十五条  被保険者(任意継続被保険者を除く。以下この条から第三十八条までにおいて同じ。)は、適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は第三条第一項ただし書の規定に該当しなくなった日から、被保険者の資格を取得する。

(資格喪失の時期) 第三十六条  被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に前条に該当するに至ったときは、その日)から、被保険者の資格を喪失する。  死亡したとき。  その事業所に使用されなくなったとき。  第三条第一項ただし書の規定に該当するに至ったとき。  第三十三条第一項の認可があったとき。

(任意継続被保険者) 第三十七条  第三条第四項の申出は、被保険者の資格を喪失した日から二十日以内にしなければならない。ただし、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても、受理することができる。  第三条第四項の申出をした者が、初めて納付すべき保険料をその納付期日までに納付しなかったときは、同項の規定にかかわらず、その者は、任意継続被保険者とならなかったものとみなす。ただし、その納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときは、この限りでない。

(任意継続被保険者の資格喪失) 第三十八条  任意継続被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第四号又は第五号に該当するに至ったときは、その日)から、その資格を喪失する。  任意継続被保険者となった日から起算して二年を経過したとき。  死亡したとき。  保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったとき(納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除く。)。  被保険者となったとき。  船員保険の被保険者となったとき。

(資格の得喪の確認) 第三十九条  被保険者の資格の取得及び喪失は、保険者の確認によって、その効力を生ずる。ただし、第三十六条第四号に該当したことによる被保険者の資格の喪失並びに任意継続被保険者の資格の取得及び喪失は、この限りでない。  前項の確認は、第四十八条の規定による届出若しくは第五十一条第一項の規定による請求により、又は職権で行うものとする。  第一項の確認については、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第三章 (第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

    第二節 標準報酬月額及び標準賞与額

(標準報酬月額) 第四十条  標準報酬月額は、被保険者の報酬月額に基づき、次の等級区分(次項の規定により等級区分の改定が行われたときは、改定後の等級区分)によって定める。

標準報酬月額等級 標準報酬月額 報酬月額
第一級 九八、〇〇〇円 一〇一、〇〇〇円未満
第二級 一〇四、〇〇〇円 一〇一、〇〇〇円以上 一〇七、〇〇〇円未満
第三級 一一〇、〇〇〇円 一〇七、〇〇〇円以上 一一四、〇〇〇円未満
第四級 一一八、〇〇〇円 一一四、〇〇〇円以上 一二二、〇〇〇円未満
第五級 一二六、〇〇〇円 一二二、〇〇〇円以上 一三〇、〇〇〇円未満
第六級 一三四、〇〇〇円 一三〇、〇〇〇円以上 一三八、〇〇〇円未満
第七級 一四二、〇〇〇円 一三八、〇〇〇円以上 一四六、〇〇〇円未満
第八級 一五〇、〇〇〇円 一四六、〇〇〇円以上 一五五、〇〇〇円未満
第九級 一六〇、〇〇〇円 一五五、〇〇〇円以上 一六五、〇〇〇円未満
第一〇級 一七〇、〇〇〇円 一六五、〇〇〇円以上 一七五、〇〇〇円未満
第一一級 一八〇、〇〇〇円 一七五、〇〇〇円以上 一八五、〇〇〇円未満
第一二級 一九〇、〇〇〇円 一八五、〇〇〇円以上 一九五、〇〇〇円未満
第一三級 二〇〇、〇〇〇円 一九五、〇〇〇円以上 二一〇、〇〇〇円未満
第一四級 二二〇、〇〇〇円 二一〇、〇〇〇円以上 二三〇、〇〇〇円未満
第一五級 二四〇、〇〇〇円 二三〇、〇〇〇円以上 二五〇、〇〇〇円未満
第一六級 二六〇、〇〇〇円 二五〇、〇〇〇円以上 二七〇、〇〇〇円未満
第一七級 二八〇、〇〇〇円 二七〇、〇〇〇円以上 二九〇、〇〇〇円未満
第一八級 三〇〇、〇〇〇円 二九〇、〇〇〇円以上 三一〇、〇〇〇円未満
第一九級 三二〇、〇〇〇円 三一〇、〇〇〇円以上 三三〇、〇〇〇円未満
第二〇級 三四〇、〇〇〇円 三三〇、〇〇〇円以上 三五〇、〇〇〇円未満
第二一級 三六〇、〇〇〇円 三五〇、〇〇〇円以上 三七〇、〇〇〇円未満
第二二級 三八〇、〇〇〇円 三七〇、〇〇〇円以上 三九五、〇〇〇円未満
第二三級 四一〇、〇〇〇円 三九五、〇〇〇円以上 四二五、〇〇〇円未満
第二四級 四四〇、〇〇〇円 四二五、〇〇〇円以上 四五五、〇〇〇円未満
第二五級 四七〇、〇〇〇円 四五五、〇〇〇円以上 四八五、〇〇〇円未満
第二六級 五〇〇、〇〇〇円 四八五、〇〇〇円以上 五一五、〇〇〇円未満
第二七級 五三〇、〇〇〇円 五一五、〇〇〇円以上 五四五、〇〇〇円未満
第二八級 五六〇、〇〇〇円 五四五、〇〇〇円以上 五七五、〇〇〇円未満
第二九級 五九〇、〇〇〇円 五七五、〇〇〇円以上 六〇五、〇〇〇円未満
第三〇級 六二〇、〇〇〇円 六〇五、〇〇〇円以上 六三五、〇〇〇円未満
第三一級 六五〇、〇〇〇円 六三五、〇〇〇円以上 六六五、〇〇〇円未満
第三二級 六八〇、〇〇〇円 六六五、〇〇〇円以上 六九五、〇〇〇円未満
第三三級 七一〇、〇〇〇円 六九五、〇〇〇円以上 七三〇、〇〇〇円未満
第三四級 七五〇、〇〇〇円 七三〇、〇〇〇円以上 七七〇、〇〇〇円未満
第三五級 七九〇、〇〇〇円 七七〇、〇〇〇円以上 八一〇、〇〇〇円未満
第三六級 八三〇、〇〇〇円 八一〇、〇〇〇円以上 八五五、〇〇〇円未満
第三七級 八八〇、〇〇〇円 八五五、〇〇〇円以上 九〇五、〇〇〇円未満
第三八級 九三〇、〇〇〇円 九〇五、〇〇〇円以上 九五五、〇〇〇円未満
第三九級 九八〇、〇〇〇円 九五五、〇〇〇円以上


 毎年三月三十一日における標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の被保険者総数に占める割合が百分の三を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の九月一日から、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。ただし、その年の三月三十一日において、改定後の標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の同日における被保険者総数に占める割合が百分の一を下回ってはならない。  厚生労働大臣は、前項の政令の制定又は改正について立案を行う場合には、社会保障審議会の意見を聴くものとする。

(定時決定) 第四十一条  保険者は、被保険者が毎年七月一日現に使用される事業所において同日前三月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が二十日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。  前項の規定によって決定された標準報酬月額は、その年の九月から翌年の八月までの各月の標準報酬月額とする。  第一項の規定は、六月一日から七月一日までの間に被保険者の資格を取得した者及び第四十三条の規定により七月から九月までのいずれかの月から標準報酬月額を改定され、又は改定されるべき被保険者については、その年に限り適用しない。

(被保険者の資格を取得した際の決定) 第四十二条  保険者は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次に掲げる額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。  月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の三十倍に相当する額  日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前一月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額  前二号の規定によって算定することが困難であるものについては、被保険者の資格を取得した月前一月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額  前三号のうち二以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、前三号の規定によって算定した額の合算額  前項の規定によって決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の八月(六月一日から十二月三十一日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。

(改定) 第四十三条  保険者は、被保険者が現に使用される事業所において継続した三月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、二十日以上でなければならない。)に受けた報酬の総額を三で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。  前項の規定によって改定された標準報酬月額は、その年の八月(七月から十二月までのいずれかの月から改定されたものについては、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。

(報酬月額の算定の特例) 第四十四条  保険者は、被保険者の報酬月額が、第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定によって算定することが困難であるとき、又は第四十一条第一項、第四十二条第一項若しくは前条第一項の規定によって算定した額が著しく不当であると認めるときは、これらの規定にかかわらず、その算定する額を当該被保険者の報酬月額とする。  前項の場合において、保険者が健康保険組合であるときは、同項の算定方法は、規約で定めなければならない。  同時に二以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、第四十一条第一項、第四十二条第一項若しくは前条第一項又は第一項の規定によって算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。

(標準賞与額の決定) 第四十五条  保険者は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに千円未満の端数を生じたときは、これを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。この場合において、当該標準賞与額が二百万円(第四十条第二項の規定による標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額。以下この項において同じ。)を超えるときは、これを二百万円とする。  第四十条第三項の規定は前項の政令の制定又は改正について、前条の規定は標準賞与額の算定について準用する。

(現物給与の価額) 第四十六条  報酬又は賞与の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合においては、その価額は、その地方の時価によって、厚生労働大臣が定める。  健康保険組合は、前項の規定にかかわらず、規約で別段の定めをすることができる。

(任意継続被保険者の標準報酬月額) 第四十七条  任意継続被保険者の標準報酬月額については、第四十一条から第四十四条までの規定にかかわらず、次の各号に掲げる額のうちいずれか少ない額をもって、その者の標準報酬月額とする。  当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額  前年(一月から三月までの標準報酬月額については、前々年)の九月三十日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の標準報酬月額を平均した額(健康保険組合が当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額)を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額

    第三節 届出等

(届出) 第四十八条  適用事業所の事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を保険者に届け出なければならない。

(通知) 第四十九条  厚生労働大臣は、第三十三条第一項の規定による認可を行ったときは、その旨を当該事業主に通知するものとし、保険者は、第三十九条第一項の規定による確認又は標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額をいう。以下同じ。)の決定若しくは改定を行ったときは、その旨を当該事業主に通知しなければならない。  事業主は、前項の通知があったときは、速やかに、これを被保険者又は被保険者であった者に通知しなければならない。  被保険者が被保険者の資格を喪失した場合において、その者の所在が明らかでないため前項の通知をすることができないときは、事業主は、厚生労働大臣又は保険者にその旨を届け出なければならない。  厚生労働大臣は、前項の届出があったときは、所在が明らかでない者について第一項の規定により事業主に通知した事項を公告するものとし、保険者は、前項の届出があったときは、所在が明らかでない者について第一項の規定により事業主に通知した事項を公告しなければならない。  厚生労働大臣は、事業所が廃止された場合その他やむを得ない事情のため第一項の通知をすることができない場合においては、同項の通知に代えて、その通知すべき事項を公告するものとし、保険者は、事業所が廃止された場合その他やむを得ない事情のため同項の通知をすることができない場合においては、同項の通知に代えて、その通知すべき事項を公告しなければならない。

第五十条  保険者は、第四十八条の規定による届出があった場合において、その届出に係る事実がないと認めるときは、その旨をその届出をした事業主に通知しなければならない。  前条第二項から第五項までの規定は、前項の通知について準用する。

(確認の請求) 第五十一条  被保険者又は被保険者であった者は、いつでも、第三十九条第一項の規定による確認を請求することができる。  保険者は、前項の規定による請求があった場合において、その請求に係る事実がないと認めるときは、その請求を却下しなければならない。

   第四章 保険給付

    第一節 通則

(保険給付の種類) 第五十二条  被保険者に係るこの法律による保険給付は、次のとおりとする。  療養の給付並びに入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費及び移送費の支給  傷病手当金の支給  埋葬料の支給  出産育児一時金の支給  出産手当金の支給  家族療養費、家族訪問看護療養費及び家族移送費の支給  家族埋葬料の支給  家族出産育児一時金の支給  高額療養費の支給

(健康保険組合の付加給付) 第五十三条  保険者が健康保険組合である場合においては、前条各号に掲げる給付に併せて、規約で定めるところにより、保険給付としてその他の給付を行うことができる。

(日雇特例被保険者に係る保険給付との調整) 第五十四条  被保険者に係る家族療養費(第百十条第七項において準用する第八十七条第一項の規定により支給される療養費を含む。)、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料又は家族出産育児一時金の支給は、同一の疾病、負傷、死亡又は出産について、次章の規定により療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、埋葬料若しくは出産育児一時金の支給を受けたときは、その限度において、行わない。

(他の法令による保険給付との調整) 第五十五条  被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金若しくは埋葬料の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法 (昭和二十二年法律第五十号)、国家公務員災害補償法 (昭和二十六年法律第百九十一号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)又は地方公務員災害補償法 (昭和四十二年法律第百二十一号)若しくは同法 に基づく条例の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。  被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給は、同一の疾病又は負傷について、介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。  被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費若しくは家族移送費の支給は、同一の疾病又は負傷について、他の法令の規定により国又は地方公共団体の負担で療養又は療養費の支給を受けたときは、その限度において、行わない。

(保険給付の方法) 第五十六条  入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、出産育児一時金、出産手当金、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料及び家族出産育児一時金の支給は、その都度、行わなければならない。第百条第二項(第百五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による埋葬に要した費用に相当する金額の支給についても、同様とする。  傷病手当金及び出産手当金の支給は、前項の規定にかかわらず、毎月一定の期日に行うことができる。

(損害賠償請求権) 第五十七条  保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額。次条第一項において同じ。)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(当該給付事由が被保険者の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。次項において同じ。)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。  前項の場合において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。

(不正利得の徴収等) 第五十八条  偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。  前項の場合において、事業主が虚偽の報告若しくは証明をし、又は第六十三条第三項第一号に規定する保険医療機関若しくは第八十六条第一項第一号に規定する特定承認保険医療機関において診療に従事する第六十四条に規定する保険医若しくは第八十八条第一項に規定する主治の医師が、保険者に提出されるべき診断書に虚偽の記載をしたため、その保険給付が行われたものであるときは、保険者は、当該事業主、保険医又は主治の医師に対し、保険給付を受けた者に連帯して前項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。  保険者は、第六十三条第三項第一号に規定する保険医療機関若しくは保険薬局若しくは第八十六条第一項第一号に規定する特定承認保険医療機関又は第八十八条第一項に規定する指定訪問看護事業者が偽りその他不正の行為によって療養の給付に関する費用の支払又は第八十五条第五項、第八十六条第三項、第八十八条第六項(第百十一条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第百十条第四項の規定による支払を受けたときは、当該保険医療機関若しくは保険薬局若しくは特定承認保険医療機関又は指定訪問看護事業者に対し、その支払った額につき返還させるほか、その返還させる額に百分の四十を乗じて得た額を支払わせることができる。

(文書の提出等) 第五十九条  保険者は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受ける者(当該保険給付が被扶養者に係るものである場合には、当該被扶養者を含む。第百二十一条において同じ。)に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員に質問若しくは診断をさせることができる。

(診療録の提示等) 第六十条  厚生労働大臣は、保険給付を行うにつき必要があると認めるときは、医師、歯科医師、薬剤師若しくは手当を行った者又はこれを使用する者に対し、その行った診療、薬剤の支給又は手当に関し、報告若しくは診療録、帳簿書類その他の物件の提示を命じ、又は当該職員に質問させることができる。  厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受けた被保険者又は被保険者であった者に対し、当該保険給付に係る診療、調剤又は第八十八条第一項に規定する指定訪問看護の内容に関し、報告を命じ、又は当該職員に質問させることができる。  第二十七条第二項の規定は前二項の規定による質問について、同条第三項の規定は前二項の規定による権限について準用する。

(受給権の保護) 第六十一条  保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

(租税その他の公課の禁止) 第六十二条  租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。

    第二節 療養の給付及び入院時食事療養費等の支給

     第一款 療養の給付並びに入院時食事療養費、特定療養費及び療養費の支給

(療養の給付) 第六十三条  被保険者(老人保健法 (昭和五十七年法律第八十号)の規定による医療を受けることができる者を除く。以下この条、第八十五条、第八十六条、第八十八条及び第九十七条において同じ。)の疾病又は負傷に関しては、次に掲げる療養の給付を行う。  診察  薬剤又は治療材料の支給  処置、手術その他の治療  居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護  病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護  食事の提供である療養(前項第五号に掲げる療養と併せて行うものに限る。以下「食事療養」という。)に係る給付及び被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養(以下「選定療養」という。)に係る給付は、同項の給付に含まれないものとする。  第一項の給付を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる病院若しくは診療所又は薬局のうち、自己の選定するものから受けるものとする。  厚生労働大臣の指定を受けた病院若しくは診療所(第六十五条の規定により病床の全部又は一部を除いて指定を受けたときは、その除外された病床を除く。以下「保険医療機関」という。)又は薬局(以下「保険薬局」という。)  特定の保険者が管掌する被保険者に対して診療又は調剤を行う病院若しくは診療所又は薬局であって、当該保険者が指定したもの  健康保険組合である保険者が開設する病院若しくは診療所又は薬局  第一項の給付(厚生労働大臣が定める療養に係るものを除く。)は、介護保険法第四十八条第一項第三号 に規定する指定介護療養施設サービスを行う同法第七条第二十三項 に規定する療養病床等に入院している者については、行わない。

(保険医又は保険薬剤師) 第六十四条  保険医療機関において健康保険の診療に従事する医師若しくは歯科医師又は保険薬局において健康保険の調剤に従事する薬剤師は、厚生労働大臣の登録を受けた医師若しくは歯科医師(以下「保険医」と総称する。)又は薬剤師(以下「保険薬剤師」という。)でなければならない。

(保険医療機関又は保険薬局の指定) 第六十五条  第六十三条第三項第一号の指定は、政令で定めるところにより、病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により行う。  前項の場合において、その申請が病院又は医療法 (昭和二十三年法律第二百五号)第七条第二項第四号 に規定する療養病床を有する診療所に係るものであるときは、当該申請は、同項 に規定する病床の種別(第四項第二号及び次条第一項において単に「病床の種別」という。)ごとにその数を定めて行うものとする。  厚生労働大臣は、第一項の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、第六十三条第三項第一号の指定をしないことができる。  当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が、この法律の規定により保険医療機関若しくは保険薬局に係る第六十三条第三項第一号の指定又は第八十六条第一項第一号に規定する特定承認保険医療機関に係る同号の承認を取り消され、その取消しの日から五年を経過しないものであるとき。  当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が、保険給付に関し診療又は調剤の内容の適切さを欠くおそれがあるとして重ねて第七十三条第一項(第八十五条第九項、第八十六条第十二項及び第十三項、第百十条第七項並びに第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定による指導を受けたものであるとき。  前二号のほか、当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が、保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認めるものであるとき。  厚生労働大臣は、第二項の病院又は診療所について第一項の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その申請に係る病床の全部又は一部を除いて、第六十三条第三項第一号の指定を行うことができる。  当該病院又は診療所の医師、歯科医師、看護師その他の従業者の人員が、医療法第二十一条第一項第一号 又は第二項第一号 に規定する厚生労働省令で定める員数を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した員数を満たしていないとき。  当該申請に係る病床の種別に応じ、医療法第七条の二第一項 に規定する地域における保険医療機関の病床数が、その指定により同法第三十条の三第一項 に規定する医療計画において定める基準病床数を勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した数を超えることになると認める場合(その数を既に超えている場合を含む。)であって、当該病院又は診療所の開設者又は管理者が同法第三十条の七 の規定による都道府県知事の勧告を受け、これに従わないとき。  その他適正な医療の効率的な提供を図る観点から、当該病院又は診療所の病床の利用に関し、保険医療機関として著しく不適当なところがあると認めるとき。

(保険医療機関の指定の変更) 第六十六条  前条第二項の病院又は診療所の開設者は、第六十三条第三項第一号の指定に係る病床数の増加又は病床の種別の変更をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該病院又は診療所に係る同号の指定の変更を申請しなければならない。  前条第四項の規定は、前項の指定の変更の申請について準用する。

(地方社会保険医療協議会への諮問) 第六十七条  厚生労働大臣は、保険医療機関に係る第六十三条第三項第一号の指定をしないこととするとき、若しくはその申請に係る病床の全部若しくは一部を除いて指定(指定の変更を含む。)を行おうとするとき、又は保険薬局に係る同号の指定をしないこととするときは、地方社会保険医療協議会の議を経なければならない。

(保険医療機関又は保険薬局の指定の更新) 第六十八条  第六十三条第三項第一号の指定は、指定の日から起算して六年を経過したときは、その効力を失う。  保険医療機関(第六十五条第二項の病院及び診療所を除く。)又は保険薬局であって厚生労働省令で定めるものについては、前項の規定によりその指定の効力を失う日前六月から同日前三月までの間に、別段の申出がないときは、同条第一項の申請があったものとみなす。

(保険医療機関又は保険薬局のみなし指定) 第六十九条  診療所又は薬局が医師若しくは歯科医師又は薬剤師の開設したものであり、かつ、当該開設者である医師若しくは歯科医師又は薬剤師のみが診療又は調剤に従事している場合において、当該医師若しくは歯科医師又は薬剤師について第六十四条の登録があったときは、当該診療所又は薬局について、第六十三条第三項第一号の指定があったものとみなす。ただし、当該診療所又は薬局が、第六十五条第三項又は第四項に規定する要件に該当する場合であって厚生労働大臣が同号の指定があったものとみなすことが不適当と認めるときは、この限りでない。

(保険医療機関又は保険薬局の責務) 第七十条  保険医療機関又は保険薬局は、当該保険医療機関において診療に従事する保険医又は当該保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師に、第七十二条第一項の厚生労働省令で定めるところにより、診療又は調剤に当たらせるほか、厚生労働省令で定めるところにより、療養の給付を担当しなければならない。  保険医療機関又は保険薬局は、前項(第八十五条第九項、第八十六条第十三項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定によるほか、船員保険法国民健康保険法 (昭和三十三年法律第百九十二号)、国家公務員共済組合法 (昭和三十三年法律第百二十八号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)又は地方公務員等共済組合法 (昭和三十七年法律第百五十二号)(以下「この法律以外の医療保険各法」という。)による療養の給付並びに被保険者及び被扶養者の療養並びに老人保健法 による医療、入院時食事療養費に係る療養及び特定療養費に係る療養を担当するものとする。

(保険医又は保険薬剤師の登録) 第七十一条  第六十四条の登録は、医師若しくは歯科医師又は薬剤師の申請により行う。  厚生労働大臣は、前項の申請があった場合において、当該医師若しくは歯科医師又は薬剤師がこの法律の規定により保険医又は保険薬剤師に係る第六十四条の登録を取り消され、その取消しの日から五年を経過しないものであるとき、その他保険医又は保険薬剤師として著しく不適当と認めるものであるときは、同条の登録をしないことができる。  厚生労働大臣は、保険医又は保険薬剤師に係る第六十四条の登録をしないこととするときは、地方社会保険医療協議会の議を経なければならない。  第一項又は第二項に規定するもののほか、保険医及び保険薬剤師に係る第六十四条の登録に関して必要な事項は、政令で定める。

(保険医又は保険薬剤師の責務) 第七十二条  保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師は、厚生労働省令で定めるところにより、健康保険の診療又は調剤に当たらなければならない。  保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師は、前項(第八十五条第九項、第八十六条第十三項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定によるほか、この法律以外の医療保険各法又は老人保健法 による診療又は調剤に当たるものとする。

(厚生労働大臣の指導) 第七十三条  保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない。  厚生労働大臣は、前項の指導をする場合において、必要があると認めるときは、診療又は調剤に関する学識経験者をその関係団体の指定により指導に立ち会わせるものとする。ただし、関係団体が指定を行わない場合又は指定された者が立ち会わない場合は、この限りでない。

(一部負担金) 第七十四条  第六十三条第三項の規定により保険医療機関又は保険薬局から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該給付につき第七十六条第二項又は第三項の規定により算定した額に当該各号に定める割合を乗じて得た額を、一部負担金として、当該保険医療機関又は保険薬局に支払わなければならない。  次号又は第三号に掲げる場合以外の場合 百分の三十  七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合(次号に掲げる場合を除く。) 百分の十  七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合であって、政令で定めるところにより算定した報酬の額が政令で定める額以上であるとき 百分の二十  保険医療機関又は保険薬局は、前項の一部負担金の支払を受けるべきものとし、保険医療機関又は保険薬局が善良な管理者と同一の注意をもってその支払を受けることに努めたにもかかわらず、なお療養の給付を受けた者が当該一部負担金の全部又は一部を支払わないときは、保険者は、当該保険医療機関又は保険薬局の請求に基づき、この法律の規定による徴収金の例によりこれを処分することができる。

第七十五条  前条第一項の規定により一部負担金を支払う場合においては、同項の一部負担金の額に五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。

(療養の給付に関する費用) 第七十六条  保険者は、療養の給付に関する費用を保険医療機関又は保険薬局に支払うものとし、保険医療機関又は保険薬局が療養の給付に関し保険者に請求することができる費用の額は、療養の給付に要する費用の額から、当該療養の給付に関し被保険者が当該保険医療機関又は保険薬局に対して支払わなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。  前項の療養の給付に要する費用の額は、厚生労働大臣が定めるところにより、算定するものとする。  保険者は、保険医療機関又は保険薬局との契約により、当該保険医療機関又は保険薬局において行われる療養の給付に関する第一項の療養の給付に要する費用の額につき、前項の規定により算定される額の範囲内において、別段の定めをすることができる。この場合において、保険者が健康保険組合であるときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。  保険者は、保険医療機関又は保険薬局から療養の給付に関する費用の請求があったときは、第七十条第一項及び第七十二条第一項の厚生労働省令並びに前二項の定めに照らして審査の上、支払うものとする。  保険者は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金法 (昭和二十三年法律第百二十九号)による社会保険診療報酬支払基金(第八十八条第十一項において単に「基金」という。)に委託することができる。  前各項に定めるもののほか、保険医療機関又は保険薬局の療養の給付に関する費用の請求に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(薬価調査等についての厚生労働大臣の権限) 第七十七条  厚生労働大臣は、前条第二項の定めのうち薬剤に関する定めその他厚生労働大臣の定めを適正なものとするため、必要な調査を行うことができる。

(保険医療機関又は保険薬局の報告等) 第七十八条  厚生労働大臣は、療養の給付に関して必要があると認めるときは、保険医療機関若しくは保険薬局若しくは保険医療機関若しくは保険薬局の開設者若しくは管理者、保険医、保険薬剤師その他の従業者であった者(以下この項において「開設者であった者等」という。)に対し報告若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、保険医療機関若しくは保険薬局の開設者若しくは管理者、保険医、保険薬剤師その他の従業者(開設者であった者等を含む。)に対し出頭を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは保険医療機関若しくは保険薬局について設備若しくは診療録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。  第二十七条第二項及び第七十三条第二項の規定は前項の規定による質問又は検査について、第二十七条第三項の規定は前項の規定による権限について準用する。

(保険医療機関等の指定の辞退又は保険医等の登録の抹消) 第七十九条  保険医療機関又は保険薬局は、一月以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。  保険医又は保険薬剤師は、一月以上の予告期間を設けて、その登録の抹消を求めることができる。

(保険医療機関又は保険薬局の指定の取消し) 第八十条  厚生労働大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該保険医療機関又は保険薬局に係る第六十三条第三項第一号の指定を取り消すことができる。  保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師が、第七十二条第一項(第八十五条第九項、第八十六条第十三項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき(当該違反を防止するため、当該保険医療機関又は保険薬局が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。)。  前号のほか、保険医療機関又は保険薬局が、第七十条第一項(第八十五条第九項、第八十六条第十三項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。  療養の給付に関する費用の請求又は第八十五条第五項、第八十六条第三項若しくは第百十条第四項(これらの規定を第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定による支払に関する請求について不正があったとき。  保険医療機関又は保険薬局が、第七十八条第一項(第八十五条第九項、第八十六条第十三項、第百十条第七項及び第百四十九条において準用する場合を含む。次号において同じ。)の規定により報告若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。  保険医療機関又は保険薬局の開設者又は従業者が、第七十八条第一項の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき(当該保険医療機関又は保険薬局の従業者がその行為をした場合において、その行為を防止するため、当該保険医療機関又は保険薬局が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。)。  この法律以外の医療保険各法による療養の給付若しくは被保険者若しくは被扶養者の療養又は老人保健法 による医療、入院時食事療養費に係る療養若しくは特定療養費に係る療養に関し、前各号のいずれかに相当する事由があったとき。

(保険医又は保険薬剤師の登録の取消し) 第八十一条  厚生労働大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該保険医又は保険薬剤師に係る第六十四条の登録を取り消すことができる。  保険医又は保険薬剤師が、第七十二条第一項(第八十五条第九項、第八十六条第十二項及び第十三項、第百十条第七項並びに第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。  保険医又は保険薬剤師が、第七十八条第一項(第八十五条第九項、第八十六条第十二項及び第十三項、第百十条第七項並びに第百四十九条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、第七十八条第一項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。  この法律以外の医療保険各法又は老人保健法 による診療又は調剤に関し、前二号のいずれかに相当する事由があったとき。

(社会保険医療協議会への諮問) 第八十二条  厚生労働大臣は、第七十条第一項若しくは第七十二条第一項(これらの規定を第八十五条第九項、第八十六条第十二項及び第十三項、第百十条第七項並びに第百四十九条において準用する場合を含む。)の厚生労働省令を定めようとするとき、又は第六十三条第二項若しくは第七十六条第二項(第百四十九条において準用する場合を含む。)の定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。  厚生労働大臣は、保険医療機関若しくは保険薬局に係る第六十三条第三項第一号の指定を行おうとするとき、若しくはその指定を取り消そうとするとき、又は保険医若しくは保険薬剤師に係る第六十四条の登録を取り消そうとするときは、政令で定めるところにより、地方社会保険医療協議会に諮問するものとする。

(処分に対する弁明の機会の付与) 第八十三条  厚生労働大臣は、保険医療機関に係る第六十三条第三項第一号の指定をしないこととするとき、若しくはその申請に係る病床の全部若しくは一部を除いて指定(指定の変更を含む。)を行おうとするとき、若しくは保険薬局に係る同号の指定をしないこととするとき、又は保険医若しくは保険薬剤師に係る第六十四条の登録をしないこととするときは、当該医療機関若しくは薬局の開設者又は当該保険医若しくは保険薬剤師に対し、弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、書面で、弁明をすべき日時、場所及びその事由を通知しなければならない。

(保険者が指定する病院等における療養の給付) 第八十四条  第六十三条第三項第二号及び第三号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局において行われる療養の給付及び健康保険の診療又は調剤に関する準則については、第七十条第一項及び第七十二条第一項の厚生労働省令の例による。  第六十三条第三項第二号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、第七十四条の規定の例により算定した額を、一部負担金として当該病院若しくは診療所又は薬局に支払わなければならない。ただし、保険者が健康保険組合である場合においては、規約で定めるところにより、当該一部負担金を減額し、又はその支払を要しないものとすることができる。  健康保険組合は、規約で定めるところにより、第六十三条第三項第三号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局から療養の給付を受ける者に、第七十四条の規定の例により算定した額の範囲内において一部負担金を支払わせることができる。

(入院時食事療養費) 第八十五条  被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、第六十三条第三項各号に掲げる病院又は診療所のうち自己の選定するものから同条第一項第五号に掲げる療養の給付と併せて受けた食事療養に要した費用について、入院時食事療養費を支給する。  入院時食事療養費の額は、当該食事療養につき食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費の状況を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額。以下「標準負担額」という。)を控除した額とする。  厚生労働大臣は、前項の基準を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。  厚生労働大臣は、標準負担額を定めた後に食費の状況その他の事情が著しく変動したときは、速やかにその額を改定しなければならない。  被保険者が第六十三条第三項第一号又は第二号に掲げる病院又は診療所から食事療養を受けたときは、保険者は、その被保険者が当該病院又は診療所に支払うべき食事療養に要した費用について、入院時食事療養費として被保険者に対し支給すべき額の限度において、被保険者に代わり、当該病院又は診療所に支払うことができる。  前項の規定による支払があったときは、被保険者に対し入院時食事療養費の支給があったものとみなす。  被保険者が第六十三条第三項第三号に掲げる病院又は診療所から食事療養を受けた場合において、保険者がその被保険者の支払うべき食事療養に要した費用のうち入院時食事療養費として被保険者に支給すべき額に相当する額の支払を免除したときは、入院時食事療養費の支給があったものとみなす。  第六十三条第三項各号に掲げる病院又は診療所は、食事療養に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、領収証を交付しなければならない。  第六十三条第四項、第六十四条、第七十条第一項、第七十二条第一項、第七十三条、第七十六条第三項から第六項まで、第七十八条及び前条第一項の規定は、第六十三条第三項各号に掲げる病院又は診療所から受けた食事療養及びこれに伴う入院時食事療養費の支給について準用する。

(特定療養費) 第八十六条  被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる療養を受けたときは、その療養に要した費用について、特定療養費を支給する。  学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学の附属施設である病院その他の高度の医療を提供するものとして厚生労働省令で定める要件に該当する病院又は診療所であって厚生労働大臣の承認を受けたもの(第十三項において準用する第六十五条の規定により、病床の全部又は一部を除いて承認を受けたときは、その除外された病床を除く。以下「特定承認保険医療機関」という。)のうち自己の選定するものから受けた療養  第六十三条第三項各号に掲げる病院若しくは診療所(特定承認保険医療機関を除く。)又は薬局(以下「保険医療機関等」と総称する。)のうち自己の選定するものから受けた選定療養  特定療養費の額は、第一号に掲げる額(当該療養に食事療養が含まれるときは、当該額及び第二号に掲げる額の合算額)とする。  当該療養(食事療養を除く。)につき第七十六条第二項の定めを勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額(その額が現に当該療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)から、その額に第七十四条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ、同項各号に定める割合を乗じて得た額を控除した額  当該食事療養につき前条第二項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から標準負担額を控除した額  被保険者が特定承認保険医療機関から療養を受け、又は第六十三条第三項第一号若しくは第二号に掲げる病院若しくは診療所(特定承認保険医療機関を除く。)若しくは薬局から選定療養を受けたときは、保険者は、その被保険者が当該特定承認保険医療機関又は病院若しくは診療所若しくは薬局に支払うべき療養に要した費用について、特定療養費として被保険者に対し支給すべき額の限度において、被保険者に代わり、当該特定承認保険医療機関又は病院若しくは診療所若しくは薬局に支払うことができる。  前項の規定による支払があったときは、被保険者に対し特定療養費の支給があったものとみなす。  被保険者が特定承認保険医療機関である第六十三条第三項第三号に掲げる病院若しくは診療所から療養を受けた場合又は同号に掲げる病院若しくは診療所(特定承認保険医療機関を除く。)若しくは薬局から選定療養を受けた場合において、保険者がその被保険者の支払うべき療養に要した費用のうち特定療養費として被保険者に支給すべき額に相当する額の支払を免除したときは、特定療養費の支給があったものとみなす。  特定承認保険医療機関又は保険医療機関等は、第一項に規定する療養に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、領収証を交付しなければならない。  病院又は診療所は、同時に特定承認保険医療機関及び保険医療機関であることはできない。  特定承認保険医療機関が第六十三条第三項第一号の指定を受けたときは、その承認を辞退したものとみなす。  保険医療機関が第一項第一号の承認を受けたときは、その指定を辞退したものとみなす。 10  第六十三条第三項第二号又は第三号に掲げる病院又は診療所が第一項第一号の承認を受けたときは、同条第三項の規定にかかわらず、当該病院又は診療所においては、療養の給付(入院時食事療養費に係る療養を含む。)は、行わない。 11  厚生労働大臣は、第一項第一号の高度の医療を提供する病院若しくは診療所の要件を定める厚生労働省令を定めようとするとき、又は第二項第一号の定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。 12  第六十三条から第八十三条まで(第六十三条第一項から第三項まで、第六十九条、第七十一条、第七十四条、第七十五条、第七十六条第一項及び第二項、第七十九条第二項、第八十一条並びに第八十二条第一項を除く。)の規定は、特定承認保険医療機関並びに特定承認保険医療機関から受けた療養及びこれに伴う特定療養費の支給について準用する。 13  第六十三条第四項、第六十四条、第七十条第一項、第七十二条第一項、第七十三条、第七十六条第三項から第六項まで、第七十七条、第七十八条及び第八十四条第一項の規定は、保険医療機関等から受けた選定療養及びこれに伴う特定療養費の支給について準用する。 14  第七十五条の規定は、第三項の場合において第二項の規定により算定した費用の額(その額が現に療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)から当該療養に要した費用について特定療養費として支給される額に相当する額を控除した額の支払について準用する。

(療養費) 第八十七条  保険者は、療養の給付若しくは入院時食事療養費若しくは特定療養費の支給(以下この項において「療養の給付等」という。)を行うことが困難であると認めるとき、又は被保険者が保険医療機関等及び特定承認保険医療機関以外の病院、診療所、薬局その他の者から診療、薬剤の支給若しくは手当を受けた場合において、保険者がやむを得ないものと認めるときは、療養の給付等に代えて、療養費を支給することができる。  療養費の額は、当該療養(食事療養を除く。)について算定した費用の額から、その額に第七十四条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ、同項各号に定める割合を乗じて得た額を控除した額及び当該食事療養について算定した費用の額から標準負担額を控除した額を基準として、保険者が定める。  前項の費用の額の算定については、療養の給付を受けるべき場合においては第七十六条前項の費用の額の算定、入院時食事療養費の支給を受けるべき場合においては第八十五条前項の費用の額の算定、特定療養費の支給を受けるべき場合においては前条前項の費用の額の算定の例による。ただし、その額は、現に療養に要した費用の額を超えることができない。

     第二款 訪問看護療養費の支給

(訪問看護療養費) 第八十八条  被保険者が、厚生労働大臣が指定する者(以下「指定訪問看護事業者」という。)から当該指定に係る訪問看護事業(疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)に対し、その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者が行う療養上の世話又は必要な診療の補助(保険医療機関等若しくは特定承認保険医療機関又は介護保険法第七条第二十二項 に規定する介護老人保健施設若しくは同条第二十三項 に規定する介護療養型医療施設によるものを除く。以下「訪問看護」という。)を行う事業をいう。)を行う事業所により行われる訪問看護(以下「指定訪問看護」という。)を受けたときは、その指定訪問看護に要した費用について、訪問看護療養費を支給する。  前項の訪問看護療養費は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者が必要と認める場合に限り、支給するものとする。  指定訪問看護を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、自己の選定する指定訪問看護事業者から受けるものとする。  訪問看護療養費の額は、当該指定訪問看護につき指定訪問看護に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額から、その額に第七十四条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ、同項各号に定める割合を乗じて得た額を控除した額とする。  厚生労働大臣は、前項の定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。  被保険者が指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときは、保険者は、その被保険者が当該指定訪問看護事業者に支払うべき当該指定訪問看護に要した費用について、訪問看護療養費として被保険者に対し支給すべき額の限度において、被保険者に代わり、当該指定訪問看護事業者に支払うことができる。  前項の規定による支払があったときは、被保険者に対し訪問看護療養費の支給があったものとみなす。  第七十五条の規定は、第六項の場合において第四項の規定により算定した費用の額から当該指定訪問看護に要した費用について訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額の支払について準用する。  指定訪問看護事業者は、指定訪問看護に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、領収証を交付しなければならない。 10  保険者は、指定訪問看護事業者から訪問看護療養費の請求があったときは、第四項の定め及び第九十二条第二項に規定する指定訪問看護の事業の運営に関する基準(指定訪問看護の取扱いに関する部分に限る。)に照らして審査の上、支払うものとする。 11  保険者は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を基金に委託することができる。 12  指定訪問看護は、第六十三条第一項各号に掲げる療養に含まれないものとする。 13  前各項に定めるもののほか、指定訪問看護事業者の訪問看護療養費の請求に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(指定訪問看護事業者の指定) 第八十九条  前条第一項の指定は、厚生労働省令で定めるところにより、訪問看護事業を行う者の申請により、訪問看護事業を行う事業所(以下「訪問看護事業所」という。)ごとに行う。  指定訪問看護事業者以外の訪問看護事業を行う者について、介護保険法第四十一条第一項 本文の規定による指定居宅サービス事業者(訪問看護事業を行う者に限る。次項において同じ。)の指定があったときは、その指定の際、当該訪問看護事業を行う者について、前条第一項の指定があったものとみなす。ただし、当該訪問看護事業を行う者が、厚生労働省令で定めるところにより、別段の申出をしたときは、この限りでない。  介護保険法第七十七条第一項 の規定による指定居宅サービス事業者の指定の取消しは、前項本文の規定により受けたものとみなされた前条第一項の指定の効力に影響を及ぼさないものとする。  厚生労働大臣は、第一項の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、前条第一項の指定をしてはならない。  申請者が地方公共団体、医療法人、社会福祉法人その他厚生労働大臣が定める者でないとき。  当該申請に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者の知識及び技能並びに人員が、第九十二条第一項の厚生労働省令で定める基準及び同項の厚生労働省令で定める員数を満たしていないとき。  申請者が、第九十二条第二項(第百十一条第三項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)に規定する指定訪問看護の事業の運営に関する基準に従って適正な指定訪問看護事業の運営をすることができないと認められるとき。

(指定訪問看護事業者の責務) 第九十条  指定訪問看護事業者は、第九十二条第二項に規定する指定訪問看護の事業の運営に関する基準に従い、訪問看護を受ける者の心身の状況等に応じて自ら適切な指定訪問看護を提供するものとする。  指定訪問看護事業者は、前項(第百十一条第三項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定によるほか、この法律以外の医療保険各法による被保険者及び被扶養者の指定訪問看護並びに老人保健法 による医療を受けることができる者の指定老人訪問看護を提供するものとする。

(厚生労働大臣の指導) 第九十一条  指定訪問看護事業者及び当該指定に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者は、指定訪問看護に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない。

(指定訪問看護の事業の運営に関する基準) 第九十二条  指定訪問看護事業者は、当該指定に係る訪問看護事業所ごとに、厚生労働省令で定める基準に従い厚生労働省令で定める員数の看護師その他の従業者を有しなければならない。  前項に規定するもののほか、指定訪問看護の事業の運営に関する基準は、厚生労働大臣が定める。  厚生労働大臣は、前項に規定する指定訪問看護の事業の運営に関する基準(指定訪問看護の取扱いに関する部分に限る。)を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。

(変更の届出等) 第九十三条  指定訪問看護事業者は、当該指定に係る訪問看護事業所の名称及び所在地その他厚生労働省令で定める事項に変更があったとき、又は当該指定訪問看護の事業を廃止し、休止し、若しくは再開したときは、厚生労働省令で定めるところにより、十日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

(指定訪問看護事業者等の報告等) 第九十四条  厚生労働大臣は、訪問看護療養費の支給に関して必要があると認めるときは、指定訪問看護事業者又は指定訪問看護事業者であった者若しくは当該指定に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者であった者(以下この項において「指定訪問看護事業者であった者等」という。)に対し報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、指定訪問看護事業者若しくは当該指定に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者(指定訪問看護事業者であった者等を含む。)に対し出頭を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは当該指定訪問看護事業者の当該指定に係る訪問看護事業所について帳簿書類その他の物件を検査させることができる。  第二十七条第二項の規定は前項の規定による質問又は検査について、同条第三項の規定は前項の規定による権限について準用する。

(指定訪問看護事業者の指定の取消し) 第九十五条  厚生労働大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該指定訪問看護事業者に係る第八十八条第一項の指定を取り消すことができる。  指定訪問看護事業者が、当該指定に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者について、第九十二条第一項の厚生労働省令で定める基準又は同項の厚生労働省令で定める員数を満たすことができなくなったとき。  指定訪問看護事業者が、第九十二条第二項(第百十一条第三項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)に規定する指定訪問看護の事業の運営に関する基準に従って適正な指定訪問看護事業の運営をすることができなくなったとき。  第八十八条第六項(第百十一条第三項及び第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定による支払に関する請求について不正があったとき。  指定訪問看護事業者が、前条第一項(第百十一条第三項及び第百四十九条において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定により報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。  指定訪問看護事業者又は当該指定に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者が、前条第一項の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき(当該指定に係る訪問看護事業所の看護師その他の従業者がその行為をした場合において、その行為を防止するため、当該指定訪問看護事業者が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。)。  この法律以外の医療保険各法による被保険者若しくは被扶養者の指定訪問看護又は老人保健法 による医療を受けることができる者の指定老人訪問看護に関し、第二号から前号までのいずれかに相当する事由があったとき。  指定訪問看護事業者が、不正の手段により指定訪問看護事業者の指定を受けたとき。

(公示) 第九十六条  厚生労働大臣は、次に掲げる場合には、その旨を公示しなければならない。  指定訪問看護事業者の指定をしたとき。  第九十三条の規定による届出(同条の厚生労働省令で定める事項の変更並びに同条に規定する事業の休止及び再開に係るものを除く。)があったとき。  前条の規定により指定訪問看護事業者の指定を取り消したとき。

     第三款 移送費の支給

第九十七条  被保険者が療養の給付(特定療養費に係る療養を含む。)を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは、移送費として、厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支給する。  前項の移送費は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者が必要であると認める場合に限り、支給するものとする。

     第四款 補則

(被保険者が日雇労働者又はその被扶養者となった場合) 第九十八条  被保険者が資格を喪失し、かつ、日雇特例被保険者又はその被扶養者となった場合において、その資格を喪失した際に療養の給付、入院時食事療養費に係る療養、特定療養費に係る療養、療養費に係る療養若しくは訪問看護療養費に係る療養若しくは老人保健法 の規定による医療、入院時食事療養費に係る療養、特定療養費に係る療養、医療費に係る療養若しくは老人訪問看護療養費に係る療養又は介護保険法 の規定による居宅介護サービス費若しくは居宅支援サービス費に係る指定居宅サービス(同法第四十一条第一項 に規定する指定居宅サービスをいう。第百二十九条第二項第二号において同じ。)、特例居宅介護サービス費若しくは特例居宅支援サービス費に係る居宅サービス(同法第七条第五項 に規定する居宅サービスをいう。第百二十九条第二項第二号及び第百三十五条第一項において同じ。)若しくはこれに相当するサービス、施設介護サービス費に係る指定施設サービス等(同法第四十八条第一項 に規定する指定施設サービス等をいう。第百二十九条第二項第二号において同じ。)若しくは特例施設介護サービス費に係る施設サービス(同法第七条第二十項 に規定する施設サービスをいう。第百二十九条第二項第二号及び第百三十五条第一項において同じ。)のうち、療養に相当するものを受けているときは、当該疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき、当該保険者から療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは移送費の支給を受けることができる。  前項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは移送費の支給は、次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、行わない。  当該疾病又は負傷について、次章の規定により療養の給付若しくは入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費若しくは家族移送費の支給を受けることができるに至ったとき、又は老人保健法 の規定により医療若しくは入院時食事療養費、特定療養費、医療費、老人訪問看護療養費若しくは移送費の支給(次項後段の規定に該当する場合における医療又は入院時食事療養費、特定療養費、医療費、老人訪問看護療養費若しくは移送費の支給を除く。)を受けることができるに至ったとき。  その者が、被保険者若しくは船員保険の被保険者若しくはこれらの者の被扶養者又は国民健康保険の被保険者となったとき。  被保険者の資格を喪失した日から起算して六月を経過したとき。  第一項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは移送費の支給は、当該疾病又は負傷について、次章の規定により特別療養費(第百四十五条第七項において準用する第百三十二条の規定により支給される療養費を含む。)又は移送費若しくは家族移送費の支給を受けることができる間は、行わない。老人保健法第二十五条第一項 各号に掲げる者であって、第百四十五条第一項の規定に該当するものが、当該疾病又は負傷について、同法 の規定により医療又は入院時食事療養費、特定療養費、医療費、老人訪問看護療養費若しくは移送費の支給を受けることができる間も、同様とする。  第一項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、療養費若しくは訪問看護療養費の支給は、当該疾病又は負傷について、介護保険法 の規定によりそれぞれの給付に相当する給付を受けることができる場合には、行わない。

    第三節 傷病手当金、埋葬料、出産育児一時金及び出産手当金の支給

(傷病手当金) 第九十九条  被保険者が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して三日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金として、一日につき、標準報酬日額(標準報酬月額の三十分の一に相当する額(その額に、五円未満の端数があるときはこれを切り捨てるものとし、五円以上十円未満の端数があるときはこれを十円に切り上げるものとする。)をいう。第百二条において同じ。)の百分の六十に相当する金額を支給する。  傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して一年六月を超えないものとする。

(埋葬料) 第百条  被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、被保険者の標準報酬月額に相当する金額(その金額が政令で定める金額に満たないときは、当該政令で定める金額)を支給する。  前項の規定により埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者に対し、同項の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給する。

(出産育児一時金) 第百一条  被保険者が出産したときは、出産育児一時金として、政令で定める金額を支給する。

(出産手当金) 第百二条  被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前四十二日(多胎妊娠の場合においては、九十八日)から出産の日後五十六日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金として、一日につき、標準報酬日額の百分の六十に相当する金額を支給する。

(出産手当金と傷病手当金との調整) 第百三条  出産手当金を支給する場合においては、その期間、傷病手当金は、支給しない。  出産手当金を支給すべき場合において傷病手当金が支払われたときは、その支払われた傷病手当金は、出産手当金の内払とみなす。

(傷病手当金又は出産手当金の継続給付) 第百四条  被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き一年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者(第百六条において「一年以上被保険者であった者」という。)であって、その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる。

(資格喪失後の死亡に関する給付) 第百五条  前条の規定により保険給付を受ける者が死亡したとき、同条の規定により保険給付を受けていた者がその給付を受けなくなった日後三月以内に死亡したとき、又はその他の被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後三月以内に死亡したときは、被保険者であった者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものは、その被保険者の最後の保険者から埋葬料の支給を受けることができる。  第百条の規定は、前項の規定により埋葬料の支給を受けるべき者がない場合及び同項の埋葬料の金額について準用する。

(資格喪失後の出産に関する給付) 第百六条  一年以上被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後六月以内に出産したときは、出産につき被保険者として受けることができるはずであった保険給付を最後の保険者から受けることができる。

(船員保険の被保険者となった場合) 第百七条  前三条の規定にかかわらず、被保険者であった者が船員保険の被保険者となったときは、保険給付は、行わない。

(傷病手当金又は出産手当金と報酬等との調整) 第百八条  疾病にかかり、負傷し、又は出産した場合において報酬の全部又は一部を受けることができる者に対しては、これを受けることができる期間は、傷病手当金又は出産手当金を支給しない。ただし、その受けることができる報酬の額が、傷病手当金又は出産手当金の額より少ないときは、その差額を支給する。  傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき厚生年金保険法 (昭和二十九年法律第百十五号)による障害厚生年金の支給を受けることができるときは、傷病手当金は、支給しない。ただし、その受けることができる障害厚生年金の額(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づき国民年金法 (昭和三十四年法律第百四十一号)による障害基礎年金の支給を受けることができるときは、当該障害厚生年金の額と当該障害基礎年金の額との合算額)につき厚生労働省令で定めるところにより算定した額が、傷病手当金の額(前項ただし書の場合においては、同項ただし書に規定する報酬の額と同項ただし書に規定する差額との合算額)より少ないときは、その差額(その差額が同項ただし書に規定する差額より多いときは、同項ただし書に規定する差額)を支給する。  傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき厚生年金保険法 による障害手当金の支給を受けることができるときは、当該障害手当金の支給を受けることとなった日からその者がその日以後に傷病手当金の支給を受けるとする場合の当該傷病手当金の額(第一項ただし書の場合においては、同項ただし書に規定する報酬の額と同項ただし書に規定する差額との合算額)の合計額が当該障害手当金の額に達するに至る日までの間、傷病手当金は、支給しない。ただし、当該合計額が当該障害手当金の額に達するに至った日において当該合計額が当該障害手当金の額を超えるときは、その差額(その差額が同項ただし書に規定する差額より多いときは、同項ただし書に規定する差額)については、この限りでない。  傷病手当金の支給を受けるべき者(任意継続被保険者又は第百四条の規定により受けるべき者であって、政令で定める要件に該当するものに限る。)が、国民年金法厚生年金保険法国家公務員共済組合法地方公務員等共済組合法 又は私立学校教職員共済法 (昭和二十八年法律第二百四十五号)に基づく老齢又は退職を支給事由とする年金である給付その他の老齢又は退職を支給事由とする年金である給付であって政令で定めるもの(以下この項及び次項において「老齢退職年金給付」という。)の支給を受けることができるときは、傷病手当金は、支給しない。ただし、その受けることができる老齢退職年金給付の額(当該老齢退職年金給付が二以上あるときは、当該二以上の老齢退職年金給付の額の合算額)につき厚生労働省令で定めるところにより算定した額が、傷病手当金の額より少ないときは、その差額を支給する。  保険者は、前三項の規定により傷病手当金の支給を行うにつき必要があると認めるときは、老齢退職年金給付の支払をする者(次項において「年金保険者」という。)に対し、第二項の障害厚生年金若しくは障害基礎年金、第三項の障害手当金又は前項の老齢退職年金給付の支給状況につき、必要な資料の提供を求めることができる。  年金保険者(社会保険庁長官を除く。)は、社会保険庁長官の同意を得て、前項の規定による資料の提供の事務を社会保険庁長官に委託して行わせることができる。

第百九条  前条第一項に規定する者が、疾病にかかり、負傷し、又は出産した場合において、その受けることができるはずであった報酬の全部又は一部につき、その全額を受けることができなかったときは傷病手当金又は出産手当金の全額、その一部を受けることができなかった場合においてその受けた額が傷病手当金又は出産手当金の額より少ないときはその額と傷病手当金又は出産手当金との差額を支給する。ただし、同項ただし書の規定により傷病手当金又は出産手当金の一部を受けたときは、その額を支給額から控除する。  前項の規定により保険者が支給した金額は、事業主から徴収する。

    第四節 家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料及び家族出産育児一時金の支給

(家族療養費) 第百十条  被保険者の被扶養者(老人保健法 の規定による医療を受けることができる者を除く。以下この条から第百十二条までにおいて同じ。)が保険医療機関等又は特定承認保険医療機関のうち自己の選定するものから療養を受けたときは、被保険者に対し、その療養に要した費用について、家族療養費を支給する。  家族療養費の額は、第一号に掲げる額(当該療養に食事療養が含まれるときは、当該額及び第二号に掲げる額の合算額)とする。  当該療養(食事療養を除く。)につき算定した費用の額(その額が現に当該療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)に次のイからニまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからニまでに定める割合を乗じて得た額  ロからニまでに掲げる場合以外の場合 百分の七十  被扶養者が三歳に達する日の属する月以前である場合 百分の八十  被扶養者(ニに規定する被扶養者を除く。)が七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合 百分の九十  第七十四条第一項第三号に掲げる場合に該当する被保険者その他政令で定める被保険者の被扶養者が七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合 百分の八十  当該食事療養につき算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から標準負担額を控除した額  前項第一号の療養についての費用の額の算定に関しては、保険医療機関等から療養(選定療養を除く。)を受ける場合にあっては第七十六条第二項の費用の額の算定、特定承認保険医療機関から療養を受ける場合又は保険医療機関等から選定療養を受ける場合にあっては第八十六条第二項第一号の費用の額の算定、前項第二号の食事療養についての費用の額の算定に関しては、第八十五条第二項の費用の額の算定の例による。  被扶養者が第六十三条第三項第一号若しくは第二号に掲げる病院若しくは診療所若しくは薬局又は特定承認保険医療機関から療養を受けたときは、保険者は、その被扶養者が当該病院若しくは診療所若しくは薬局又は特定承認保険医療機関に支払うべき療養に要した費用について、家族療養費として被保険者に対し支給すべき額の限度において、被保険者に代わり、当該病院若しくは診療所若しくは薬局又は特定承認保険医療機関に支払うことができる。  前項の規定による支払があったときは、被保険者に対し家族療養費の支給があったものとみなす。  被扶養者が第六十三条第三項第三号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局から療養を受けた場合において、保険者がその被扶養者の支払うべき療養に要した費用のうち家族療養費として被保険者に支給すべき額に相当する額の支払を免除したときは、被保険者に対し家族療養費の支給があったものとみなす。  第六十三条、第六十四条、第七十条第一項、第七十二条第一項、第七十三条、第七十六条第三項から第六項まで、第七十八条、第八十四条第一項、第八十五条第八項、第八十六条第六項、第八十七条及び第九十八条の規定は、家族療養費の支給及び被扶養者の療養について準用する。  第七十五条の規定は、第四項の場合において療養につき第三項の規定により算定した費用の額(その額が現に療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)から当該療養に要した費用について家族療養費として支給される額に相当する額を控除した額の支払について準用する。

(家族訪問看護療養費) 第百十一条  被保険者の被扶養者が指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときは、被保険者に対し、その指定訪問看護に要した費用について、家族訪問看護療養費を支給する。  家族訪問看護療養費の額は、当該指定訪問看護につき第八十八条第四項の厚生労働大臣の定めの例により算定した費用の額に前条第二項第一号イからニまでに掲げる場合の区分に応じ、同号イからニまでに定める割合を乗じて得た額とする。  第八十八条第二項、第三項、第六項から第十一項まで及び第十三項、第九十条第一項、第九十一条、第九十二条第二項及び第三項、第九十四条並びに第九十八条の規定は、家族訪問看護療養費の支給及び被扶養者の指定訪問看護について準用する。

(家族移送費) 第百十二条  被保険者の被扶養者が家族療養費に係る療養を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは、家族移送費として、被保険者に対し、第九十七条第一項の厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支給する。  第九十七条第二項及び第九十八条の規定は、家族移送費の支給について準用する。

(家族埋葬料) 第百十三条  被保険者の被扶養者が死亡したときは、家族埋葬料として、被保険者に対し、政令で定める金額を支給する。

(家族出産育児一時金) 第百十四条  被保険者の被扶養者が出産したときは、家族出産育児一時金として、被保険者に対し、第百一条の政令で定める金額を支給する。

    第五節 高額療養費の支給

第百十五条  療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養(食事療養を除く。次項において同じ。)に要した費用の額からその療養に要した費用につき特定療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額が著しく高額であるときは、その療養の給付又はその特定療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受けた者に対し、高額療養費を支給する。  高額療養費の支給要件、支給額その他高額療養費の支給に関して必要な事項は、療養に必要な費用の負担の家計に与える影響及び療養に要した費用の額を考慮して、政令で定める。

    第六節 保険給付の制限

第百十六条  被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、行わない。

第百十七条  被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部又は一部を行わないことができる。

第百十八条  被保険者又は被保険者であった者が、次の各号のいずれかに該当する場合には、疾病、負傷又は出産につき、その期間に係る保険給付は、行わない。  少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき。  監獄、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき。  保険者は、被保険者又は被保険者であった者が前項各号のいずれかに該当する場合であっても、被扶養者に係る保険給付を行うことを妨げない。

第百十九条  保険者は、被保険者又は被保険者であった者が、正当な理由なしに療養に関する指示に従わないときは、保険給付の一部を行わないことができる。

第百二十条  保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、六月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。ただし、偽りその他不正の行為があった日から一年を経過したときは、この限りでない。

第百二十一条  保険者は、保険給付を受ける者が、正当な理由なしに、第五十九条の規定による命令に従わず、又は答弁若しくは受診を拒んだときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

第百二十二条  第百十六条、第百十七条、第百十八条第一項及び第百十九条の規定は、被保険者の被扶養者について準用する。この場合において、これらの規定中「保険給付」とあるのは、「当該被扶養者に係る保険給付」と読み替えるものとする。