いらっしゃいませ!Poaキャロットへようこそ!

 ここ、千葉県千葉市海浜幕張西は今、乱立するファミリーレストランによる過当競争が繰り広げられていた。老舗である「美空ひばり」をはじめ、高級感を売り物にした「エンペラー・ロイヤル・ホスト」、なべ物などに力を入れる「HIROSUE」、そして本場フランスのスタンド使いトニオシェフを擁する「ジョースター」。
 ここに、また新鋭のファミリーレストラン「Poaキャロット」の2号店がオープンしようとしていた。オーナーは熊本出身の元薬剤師ショーコー・浅原彼は天才よ!)。この店の特徴は彼独自のカリスマによって集められたかわいい女の子達にある。
 かわいい女の子が、ちょっぴりHなコスチュームで、歌い、踊る。(ガネーシャ音頭だけどな)それが一部のマニアに受けているのだ。

 って、ここまで書くとなんだかゲーム評論じゃなくて別の小説書きたくなってきちゃうのでここまででやめ。

 うーん、ファーストインプレッションではかなりキラキラと輝いて見えたこのゲームもただの98エロゲーマニアではない俺の観察眼にかかると、ちょっと残念に見える部分もいくつかでてきた。やはりLeafのゲームとこーゆー一般のギャルゲーを比較するのは無駄なような気がしてきた。やればやるほど、Leafゲーの完成度というか、俺内部の評価が上がる一方で他のソフトから得るところが少ないという印象が募ってしまうからだ。
 ギャルゲーの老舗、カクテルソフト(かつて大学の研究室で初めてやったギェルゲー、「きゃんきゃんバニー」を思い出し胸があつくなるu-kiであった)の最新兵器(といってももう一山越えた)「Piaキャロットへようこそ2」をプレイしてみたわけだが、やはり業界きってのリーサルウェポンという前評判通り、「おもしろい」かつ「マニアの心にグッとくる各設定」など非常によくツボを押さえています。

1.コミケというイベントが標準装備。
これは一種、ねこにまたたび、あるいはパソコンを買うと必要ねーのにWindowsが付いてきてしまうのと同じくらい狙いすぎというか必須というかお約束過ぎる事だと思います。親友の真士が「俺、同人やってるんだ」と部屋に告白しに着た時は同様に恋愛についての相談されたときよりもどきどきしてしまいました。


2.光る、回る、音がでる

このうち「音が出る」だけが採用されています。女の子はおろか、男の子である「祐介店長」「バットエンド真士」のふたりもべらべらしゃべりまくりです。PCゲームでフルボイスは結構感動したけれど結構もうあたりまえの機能かもしれない。個人的には「あっはん、うっふん」が音で聞こえるというのは非常に重要な機能だと思われます。


3.ゲームの操作性

恋愛シミュレーション、というよりはアドベンチャーゲームのイベント発生フラグをプレイヤー育成型のシミュレーションで行うといった感じです。なのでときメモのようにコマンド入力の合間にイベント発生、というよりはしゃべるAVGの合間に自己パラメータ設定のためのイベントがはさみこまれている感じです。なのでAVGに慣れてる人でもストレスなくプレイ可能だと思います。
1ターン、音声カット、育成イベント飛ばしまくりで3時間半。まじめにやると6時間超えるでしょう。こまめにセーブ可能なのでCG100%のために利用しましょう。バットエンドのみのCGも結構存在するようです。


4.ゲーム攻略

エロゲーの性として「簡単に見せてはいけない。だが、あまりに見るのを難しくしてはいけない」というバランスがあります。俺のように「お姉ちゃんがかわいやらしくぬぎぬぎするシーンへのショートカットをすべてのゲームに設けよ!」という者ばかりではなく、ゲームを「解く」ことに命を懸け、「18時間でクリアしたぜ」とスピードを競う愚か者や「簡単に終わちゃうと損した気分」になる貧乏性&じっくり型のあなたのためにも、ここらへんのバランスはすごく大切なわけであります。
このゲームの場合は標準キャラである「皆瀬葵」さんをクリアした時点でアルバムにシルエットのみの女性が4人もいました。標準で登場する女の子は6人ですから総勢10人。で、標準のキャラについては狙った女の子を意図的に単独で攻めることが可能で、あとは女の子の好みのパラメータに仕上がっていれば難なくクリアできるようです。ヒロインの日野森あずさはパラメータやイベント発生条件が厳しく設定されているようです。ま、藤崎詩織型の難易度設定ですな。ちなみに、トゥルラブはデフォルトでヒロインのとの関係がある程度進むようになっている「アンチ藤崎詩織型」です。個人的にはそれがあのゲームの受けのいい秘密では?と密かに思っている。
標準の女の子は単独攻略させて、比較的簡単にクリアさせ、ヒロインは割と難易度高めに設定し、あとは隠れキャラ、隠れイベントを探させて何度もプレイさせる、という方針が見えてきます。王道といえば王道ですが、逆に工夫や冒険が見られないという感じです。


5.シナリオについて

高校生活最後の夏休みを、ファミレスのバイトで週6日潰す、というのは果たして本当に有意義なんだろうか?しかも社員寮に1ヶ月間だけ入って一人暮らし・・・あまりにも出来すぎた福利厚生、出てくる女の子は皆かわいい、等、非常に「現実逃避願望が結晶化」した設定です。98エロゲーの流れをくむゲームはここがいかんといつも思うのです。残念ながらこのゲームもそこに対する改革はされていませんでした。
たとえば、SMプレイを堪能するために少女を拉致して云々という、非現実的な空間をパソコン上に構築する、というのはある意味でパソコンにしかできないわけで非常に意味があると思います。倒錯した性の欲求をはらすために現実の世界にもSMクラブという非現実的な空間が存在するわけです。しかし、「パソコンのエロゲーは皆、非現実的な設定でいい」という取り決めはないわけで、そういう意味で、エロのあるなしにかかわらずときメモやトゥルラブのように広い顧客層をパソコンエロゲーが獲得できない原因がそこにあるような気がするのです。


6.キャラについて

カクテルソフトのアニメ絵のキャラははっきりいって個人的には好みに合致している。
だが、前々から言っているように物事の本質は目で見える部分意外にあるのでこのさいキャラデザインについて云々言うのはやめたいと思う。ただ、一ついえるのはデザイン上もヒロインのあずさとコスプレギャルのつかさが似てしまっているのは残念である。
女の子のキャラクターはある程度立っているのだが、全員が基本的に「脳天気」型で統一されてしまっている。これはカクテルソフトというメーカーのカラーが出てしまっているためと思われる。6人のキャラはいるが、そこに「個性豊かな」という修飾詞はつけられないと思う。ときメモはあの絵柄だが、各キャラとも「個性的」である。髪の毛の色も一人一人違う、なんていうと馬鹿にしてるように聞こえるかもしれないが、SD化した場合はそれは非常に重要な「カラー」になるわけで、コナミが関連グッズを延々出し続けられるのもあのキャラだったからこそと思うのだが。


7.ヒロイン、日野森あずさについて

ここでは個人的にヒロイン「日野森あずさ」についての感想を述べる。
このゲームで主人公(プレーヤー)とヒロインあずさは第一印象最悪な出会いをする。この出会いを延々ひきずっているのであずさの性格云々の前に攻略が難しくなってくるのだ、というわけだが、正直プレイしてここまで主人公と相容れない初期設定では同入部プレイするのがつらい感じだ。シンクロ率低くして「ゲームとしてこのヒロインを攻略している」という姿勢でなければあずさ攻略はできないと思う。果たしてこの一代試練を乗り越えてハッピーエンドになったとき、鏡魅羅を攻略したときのような、保科智子を攻略したような、あの快感が生まれるか、というのが非常に疑問だ。俺は正直いって、「こんな万年生理中女は死ね!お前の望み通り口もきいてやらん」という印象しか持つ事ができなかった。「くやしかったらバストあと5cmはアップしてこい!」とかそーゆー挑戦的な感情しか持てなかった。苦労して中盤仲良くなったと思ったら親友との三角関係の修羅場。ハッピーエンド時にはHシーン無しというのもこんだけ苦労して御褒美なしかよーって感じでした。すんなり攻略できるよりはシナリオも山あり谷ありにしてるみたいだけど、やっぱりこのヒロイン設定は失敗なんじゃないのかなぁ?
ハッピーエンドでお互い「好きよ、愛してる」なんていってるけど、このシナリオのどこに愛し合う要素があったわけ〜?って感じ。少しは高橋龍也を見習え!


8.おまけの男の子について

フツー、ポイント低いんだけど、親友の真士も、まぬけそうなつらしてる割にはあずさのラストでまじでダンディです。一種「どす恋ジゴロ」の恋吹雪です。また店長も要所要所でダンディです。こりゃ声付きでしゃべってもらってもいいかもしんないな。


結論として
 女の子はみんなかわいくて、台詞のセンスが抜群に良く出来た、楽しいゲーム。しかし、Leafゲーと比べるとやっぱ、シナリオ的に弱い気がする。というのが全体感想であろうか。葵さんと涼子さんのかけあいはもうそれだけで楽しくなってくる。ゲーム中何度思い切り笑った事か。
 もしヌキゲーというジャンルがあるのなら、それは「悪夢95」のように徹底してインチキな設定でゲームも糞も無く、ただマウスクリックで好みの女の子を陵辱していけばいいんだと思う。恋愛シミュレーションや恋愛AVGを語るのならば女の子の個性や心理描写、シナリオのリアリティがもっと必要なんじゃないかと思う。
 トゥルラブと同じ一ヶ月のゲームだが、女の子に囲まれた夏休みの一ヶ月と転校直前のフツーの高校生活の一ヶ月ではこうも違うものなのか、と思う。それはどっちがリアルでってわけじゃなく同じ一ヶ月でもこうも違う捕らえ方ができるのかという可能性の問題にちょっと俺自身が驚いているだけだ。俺内部ではけっこうトゥルラブの評価は高いが、ギャルゲー雑誌で「あれはクソゲーだ」という読者評があってびっくりした。そうなんだよね、感じ方は人それぞれなんだよね。
 なんだか中途半端だが、Piaキャロット2は他人にお勧めできる良いゲームだと思います。お勧めできない糞なエロゲーをもっとこなさないといけないんだろうけどねー。


つかさちゃん攻略後の感想を追加UP!