クリストファー・クロス


 1981年。テレビを自由に見られない高校の寮生活を送っていた私にとっては、ラジオを聞く事だけ
が毎日の楽しみでした。

 そんな時に、ふとラジオから流れてきたのがクリストファー・クロスの『ニューヨーク・シティ・
セレナーデ(オリジナル名 "ARTHUR'S THEME")』でした。

 "アニ・ソン" にバリバリにハマっていた当時の私は、邦楽のポピュラー/ポップスすら満足に聞
いた事がなく、ましてや "あちゃらもの" の音楽にはトンと無知で、知っていた曲と言えば、せいぜ
いジグソーの『スカイ・ハイ』ぐらいなものでしたが、クロスの哀愁あるハイ・トーンの声で歌われ
るこの曲は、音楽のカテゴリーうんぬんを超越して強烈に印象に残りました。

 うまく言えないのですが、当時の私の幼稚な精神レベルにおいても、この曲は純粋に "いい音楽"
に聞こえたのです。

 それ以来、いつかこの曲を弾き語りしたいと思っていたのですが、私がシンセを手に入れ、音楽演
奏に復帰した時にはすでに10年以上の月日が経過しており、どこの楽器店や書店でもスコアを入手す
る事は出来ず、CDのアルバムすら見つけられませんでした。

 それからさらに数年して、偶然にもデレビの懐メロ番組で録画の『ニューヨーク・シティ・セレナ
ーデ』が流され、私は大慌てでこれをエア・チェックしました。

 懐かしさも合間って、それからしばらくはリプレイの連続で、とうとう歌詞をぜんぶ憶えてしまう
ほどでした。

 それから、思いついたのがビデオの音を "耳コピー" する事でしたが、まずはいっちゃん簡単なパ
ートからと始めたベース・パートが異様に複雑で、音楽としてのアメリカン・ポップスの奥深さを思
い知らされてしまいました。

 そこで挫折したまま現在に至っているのですが、この曲は死ぬまでにはモノにしたいと心に誓って
います。

 '98年の1月のある日、某超有名シンガーのシングルCDを探しに、行き付けのレコード店に寄っ
た際、ふと思い立って洋楽CDアルバムのコーナーを物色して見ると、何と'91年にリリースされた
クロスのベスト版を発見してしまいました。

 これですり減るのを心配しながらビデオを見る必要がなくなりました。しばらくは、CDプレーヤ
ーも1曲リピート再生が続く事でしょう。(^^;

 私は飯島真理さんの大ファンですが、彼女には申し訳なく思うものの、私にとっては、この曲が今
でも我が人生最高の曲なのです。


所有メディア

【CD】

 ◆『ザ・ベスト・オブ・クリストファー・クロス』(1991年ワーナー・ブロス:WPCP-4549)